2024/05/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルシエラさんが現れました。
■ルシエラ > 「恥知らずの売女が!!」そんな怒声が響き渡ると共に、王城に設けられた執務室の扉が勢いよく開け放たれ、顔を真っ赤にした貴婦人が羽扇を握り締め、持参したゴルドの包みを磨き抜かれた床にぶちまけ、ヒールを鳴らし速足で歩き去っていく。
「お気をつけて」
夫の不祥事を揉み消そうとした貴婦人からの賄賂を跳ねつけた女騎士は、恐らくは聞こえていないだろう別れの挨拶を口にした後、開け放たれた扉も撒き散らされたゴルドも一切気にすることなく机の上の書類に視線を戻す。
身体を若干横にずらしつつ脚を組んだ。ローブの裾から引き締まった筋肉質の下半身が垣間見え、胸元の合わせ目からは淡い谷間が覗く。
■ルシエラ > 堅い音が聞こえたため、顔を上げる。あどけない顔立ちの少年が、開け放たれた扉をノックしていた。身なりの良さからして王族の侍従と分かる。目が合うと少年は視線を逸らし、足元に散らばったゴルドを見てばつの悪そうな顔をした。
「どうぞ。……それは気にしないでよろしい。拾うのはお勧めしませんが」
手振りで招き入れ、持ってきた書状を受け取る。ローブの下から覗くビキニアーマーを見て頬を染める少年が、たどたどしい口上と共に退室するのを見届けた後、女騎士は文面に目を落とした。
内容は至って単純。日頃城内で内偵、防諜に従事している自分に、危機管理についての助言を求めたいので、明日の夕食会に招待する、というもの。
しかし差出人と紹介された参加者、そして便箋の右下に描かれた紫色の蝶を見れば、本当の用件は別にあるということが分かる。苛立ちを含んだ溜息をついて立ち上がった女騎士は、壁にかかった鏡の前でローブを脱いだ。
「城の中にも城の外にも、女は幾らでもいるだろうに……」
細身で背丈が高く、筋肉質。愛想のない顔つき。王族が呼べる高級娼婦とは張り合いようもない自分の容姿を睨みつけながら、女はそう呟いた。
■ルシエラ > とはいえ、権力者とその取り巻きから要求されてしまえば、女騎士に出来るのは愚痴を零すことだけ。この王城で我を通すには、家名の重さ、あるいは特筆すべき実績が必須となる。女の身であれば尚のこと。
「忌々しい」
前回の夕食会での記憶が蘇ってしまい思わず舌打ちした後、口元を押さえ首を横に振る。こうやって嫌悪感を隠せないから、向こうも面白がって嬲りものにするのかもしれない。いっそ全く反応せず、置物のようになっていれば飽きられるかもしれない。
「……全く、忌々しい」
もう一度頭を振ってローブを放り、ビキニアーマーを着た身体を隠さず、どさりと椅子に身を投げ出す。そう、反応しないということさえ、敏感な身体の所為で思うように出来ないのだから。
■ルシエラ > 「少し、早いが」
湯浴でも、と腰を浮かせた女騎士は最後に一度書状を一瞥した後、それを机の引き出しに放り込み、部屋の前に撒き散らされたゴルドを室外に押し出した後、扉を閉めて施錠した。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からルシエラさんが去りました。