2024/02/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にヤーガ・ダンタリオさんが現れました。
ヤーガ・ダンタリオ >  
 深夜の王城

 陰謀渦巻く王城内は、心強い者 信に置ける者 が無ければ夜も眠れない魔城でもある。
 それぞれが金と忠義 どちらに傾けるにせよ扉の前 寝室の中
 身を置かせるそれらに寝ずの番を張らせなければ明日は我が身、と思うはず。

 
 その王城の中、音を激しく断てることも無く季節を無視した煽情的なアシンメトリードレス
 闇色の衣に身を包んだ者らと対峙し、柔軟な関節は刃が通り抜けるそこをするりと通り抜けていく。
 絨毯床の上 軋む音すらないせいで、互いに振う刃の音すらも無音。
 空を斬る心得を持つ故に、刃と空気がぶつかる音を立てていない。
 刃同士を当てることすらしないまま、逆手に握る内反りの刃。
 爪のような形状 大振りの身 リンググリップに指を通したまま袈裟に振った刃を返すように
 “z”の筋を刻むように三度刃を振るい、胴体に大きく刻まれた傷跡を残し、倒れ伏す。


   「―――あは。」


 小さな、甘い声。
 訛りを含んだ声色で蛇眼の見る先は、一人が倒れたことで証拠を滅するか逃げるか
 選択を迫る他の者らに対し、手をひらりと振って去ねと命じる仕草。
 フッと窓辺か、別の路か 気配を消して去っていく何処の者かもわからない者らと、目の前の死体。


   「―――うちに一々頼むことやった?

    あんたの確実を求める、そら好いけど
    うちはもう隠居した身なんえ?」


 愛用の大振りのナイフをくるり、くるりと弄ぶ。
 影から出てきた恰幅のいい、頭が寂しくなっている上級職と思える肥えた男は
 ふん、と鼻息一つ出して一瞥する死体に対し、その内片づけるよう申し付けるだろう。


   「嫌やわぁ 共食いなんて、あの御方にとても魅せれんわぁ…、…。
    おまけに唯の潰し合い 好い事なんて一つもないよって。」


 互いの利害の一致 国を想えばこそコソコソと動いてみせた二人。
 煽情的なドレス 肉厚な体に眼も向けないそれは慣れを示す。
 蛇眼の女 ヤーガがするりと愛用の武具を艶めかしく仕舞うところですら目をそらさない。

 互いに言葉も交わさず背を向ける。
 足音すら立てず、王城内を歩きだすヤーガ 去る男。
 このやり取りは二人にとってもうおしまいらしい。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からヤーガ・ダンタリオさんが去りました。