2023/12/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城内礼拝堂」にマーシュさんが現れました。
マーシュ > 夜なお明るく。
回廊に焚かれた篝火が浩々と夜の空気を焦がす。
歩哨に立つ兵士の物々しい武具の立てる足音が、規則性をもってその中を通り過ぎてゆく。

王族の住まう居館。あるいは連日夜会が開かれている宮廷の広間。
そういった場所の賑々しさとは少し隔絶した場所にある礼拝堂。

その内側にある瞑想のための小庭。
刈り込まれた植え込みの、柊のとがった葉をゆると撫でる人影。
ヴェールを省略したウィンプルのみの姿。うつむき加減の視線。
回廊側の、明かりに背を向ける立ち位置に佇み観想に意識を傾ける。

──あるいはただ、ぼんやりと眠りにつくまでの余暇を埋めていただけかもしれないが。

マーシュ > つ、と指先が、常緑のとがった葉先をなぞり、軽く押し込んだ。柔らかな指の腹をぴり、とした疼痛が過るもののそれは皮膚を食い破るほどでもない。
茨と違って──それらは受難と苦難を意味するものの。血を流すことはなく。
その代わりのように赤く実った小さな丸い実が、常緑の中を彩っている。────さすがに夜の乏しい照明の中では、その鮮やかなコントラストを楽しむことは難しい。

ゆったりとした仕草。
ただ、衣擦れの音が時折流れる。

通り過ぎてゆく冬の風に、白い吐息が流れて溶けてゆく。

まもなく訪れる冬至を過ぎれば、新年を迎えるための祭祀。
指折り数えるわけではないけれど────めぐってゆく時節を静かにかみしめ。

マーシュ > 哨戒する兵士の足音がまた通り過ぎるのに、視線を転じた。
するりと指を常緑の葉から外して。

────そろそろ時間。

静謐を供に女は歩き出す。
夜の暗がりから、明かりの下に歩を進め、少しだけ眩しさに深い色合いの双眸を細め。
一度止めた足を再び動かして礼拝堂内部へとその歩みを進めていった。

ご案内:「王都マグメール 王城内礼拝堂」からマーシュさんが去りました。