2023/11/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
■メイラ・ダンタリオ >
真夜中の王都マグメール
天候 全曇 透けて満月が明りを吸われて、その真円を見せる空
王城内 真夜中は寝静まる場所
城内で聞こえるのは見回りの足音が静かに流れていくだけ。
しかし、王城の外側に広がる王族に連なるものの屋敷とは違い、一つだけ違うのは
雅もなくただ頑丈 無骨なそれは使用目的さえ叶えばいいというかのよう
閉じられた扉では何も聞こえないだろう
時には悪さに使われそうな匂いがあれど、中でのそれ
轟音 軋み 熱気 明りとなるのは燭台ではなく包まれた火
鉄の悲鳴が、また一つ それと共に、複数本の鎖でぶら下がる人
5,6人を束ねたような太増しい鉄柱が軋みを上げて向こう側へと力によって揺れ動く。
「―――ゼッ―――ゼッ―――ッ―――」
息遣いは荒い 黒いいつもの身なり
稽古着ですらないまま、汗と狂気的な赤い瞳は、手に握る刃すらない
平たい鉄塊に太い柄を持った鍛練器具用いて、複数本がぶら下がった中で数本
唯々、何度も弾いている。
一歩も動かず、こちらに向かってくる鉄柱に対し、握った鉄塊をぶつけて向こうへと弾き飛ばす。
両手に響く振動と鈍い抵抗 外で肉を食み、刀を下げて歩いている時とは違い
何度も揺れ動く限り向かってくる物に対し打ち当てる音は、屋内でなければできないのも無理はないか。
轟音 軋み 轟音 軋み 何を想定してこんなことをしているかなど、わかる者はわかるそれ。
■メイラ・ダンタリオ >
あの御方の為 こんな方法など取ってはほしくなかった
そんな言葉を聞かないつもりで選択していたものの、今のメイラにははっきりと足りないものがある
クシフォス・ガウルス以外への“飢え”
それが絶対的に足りていなかった 必ず殺してやるという殺意と飢えをクシフォス・ガウルスに持ちながら
アスピダに巣食う 取り巻き 傭兵 黒幕 エイコーンに対して
タナールの時のような感覚でやりとりしていたからこそ、モルガナの“クソアマ”はわたくしに嘆いた。
エイコーンは簡単には倒せないからと、ありとあらゆる手段で喰いとめて本命にぶち込むつもりでいたものの
エイコーンを他人に委ねてクシフォスに殺しに向かうという飢えは、なんの飢えでもない
その程度の飢えであの男を殺せると今は想えていないが為に
走り込みも 鉄塊に対する一撃や防御
あの両足を払うくらいの一撃を叩き込みブッ転がしてやるほどの気概を今一度持たなければいけなかった。
規格外はこちらも同じこと 息遣いが熱い 湯気が体から立ちそうで 冷え込んだ気が満ちる中で汗をかく。
戦場に戻る前に、今一度 この “飢え” でもう一度己を塗りつぶすほどに仕上げないといけないと
メイラは先ほどから両手に握るグレートソードクラスの鉄塊を振るい上げ、何度も揺れ戻ってくる巨の振り子
それに対する打ち込みを止められない。
「アスピダも、クシフォスも、あの男を冒涜したクソッタレッも゛
全部全部ブっ殺さないと、わたくしがわたくしでなくなってしまう。」
バキッバリッ そんな異音は歯軋り 綺麗に整ったギザ歯が綺麗に嚙み合わさったまま
お互いの歯がずれそうになり、その擦れが獣のような歯軋りを立てる。
■メイラ・ダンタリオ >
汗まみれな時間を終える
振っていた腕は限界が訪れるまでという気迫で打っていたものの
打ち込む力 痺れ あのデカブツに対する抵抗力の他に芯に打ち込むような工夫だって必要だった。
壊すまでやっては戻れない
飢えが満たせないようなのは御免だった。
何度も何度も打ち込みながら肉を食べて酒を飲み外を吸っていた。
戦場に戻るまでもう日も無い中、床の汗の量を見る。
全身に染み込んだ量を見ながら、普通なら凍えて死にそうなほどでも
躰は終わりを迎えたがらず、熱かった。
「ほんと、弛んでいましたのね…、…わたくし。
あのクソアマに気づかされるなんて、イーヴィアにも顔向けできませんわ。」
その表情は獰猛に笑んでいた。
飢えが心地よかった エイコーンに向かう足が向きそうなほどで。
そう思いながら訓練場を出ていき、王城へと戻る際は毛皮のそれを羽織るものの
躰は戻り湯を浴びるまで熱いまま維持していたという。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。