2023/09/07 のログ
アマーリエ > 戦場で感じてもなお、異様と思える暑気が少しでも緩んでくれば、季節の移り変わりを感じる。
夏が過ぎれば秋が来る。秋は実りの季節である。
収穫に人手を割かれるのを思うと、兵を集めづらい時期ともいえる。
其れまでに事態が終息するのか否かは――、今のところは分からない。まだ先読みできない。

「噂に聞くクシフォス卿なら、読めていそうだけど……断言できないか。」

件の土地を占領している軍勢の頭目、とされる人物の名を口にしつつ思う。
書で知った程度の名前とは言え、当の本人かどうか、そして生きているのかどうか、色々と怪しい。
名義を借りただけの何者か、という説も実しやかに囁かれるが、今もなお真偽が明確ではない。面倒なことだ。
兎も角、現状の趨勢をキャンバスに描いている者であれば、この先の予定、想定も含む諸々を整えているかもしれない。
その思考の先には、定石と思えることもそうでないことも諸々入り混じっている筈だろう。

少しでも事を進め、終息を目指すのであれば、後方でじっと構えているのは得策ではあるまい。
幸い、配下たる竜騎士たちは個々に動きやすい。いざという時の集合も難しくない。
同様の性質を持っている将たる自分も、勝手にする――詰まりは個々に動くべきであろう。

「よし」

ん、と身を伸ばし、息を零せば長い髪と服に押さえつけられた胸元の膨らみが大きく揺れる。
当面の方針を整えれば、執務室に向かうべくバルコニーを後にしよう。
単独で動くにあたって、配下含め、指示を出すための命令書、許可状等を認めるため――。

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