2024/06/14 のログ
メルリンディア > 「だからって……っ、ぇ……そ、それは言えって……言ったから」

子供を作ると言わず、種を蒔くという作業のような軽い言葉。
それで身籠って生まれた子供はどうなるのかとか、身籠らせた相手をどうするかなんて言葉が微塵もない。
理解できないと目が点になっていき、重ねられる合意という嘘。
彼が無理矢理言わせたものだが、映像の部分だけをみるならば自分が認めたことに成ってしまう。
その絶望も重なって、悪魔の子種が胎内を満たしていくと透き通った硝子には白い罅が蜘蛛の巣の様に広がる。
絶望を幾度も叩きつけられた結果としては当然だろう。
そして脱力してだらしなく横たわる自身を見下ろす彼が何故笑うのか、自分には理解しがたい。

「ん……っ」

引き抜かれていく肉棒にも、最初の時のような締め付けはなくなっていた。
心が弱り尽くした結果、身体も弛緩しきっているのだろう。
緩慢に離れていく姿を見送るものの、その合間も、ごぼっと音を立てて泡立つ白濁が逆流し、会陰の合間を伝い落ちる。
そうして戻ってきた彼の手には白い粒、何かの薬だろうかと緩慢に首を傾けるばかり。

「……」

薬の効果を嘘と疑うよりも、彼の行動事態が偽りであると思ってしまう。
何度も何度も騙されれば、天真爛漫で疑うことを知らなかった少女でさえ疑念の一つは抱く。
本当にこれで妊娠しないのかな、ううん、それよりも……その後にもっと酷い目に合うんじゃないかな、と。
問いかけには、言葉もなく、凍りついた顔をそのまま見上げるだけだったが、この悪魔はまだ自分を踏みにじり足りないらしい。
唇を捧げよと曰う彼に、ふつふつと砕けた硝子の隙間から赤色が沸き立つ。
初めて感じたかもしれない気持ちに、両親を憂う思いが溶け合っていくまでにそんなに時間もかからなかった。
虚ろに見上げているだけの姿にしか彼には見えなかったかもしれないが、緩慢に体を起こすと、ふらふらとしながら立ち上がる。
夢遊病のようなおぼつかない足取り、呆けた表情のまま、一歩、また一歩と近づくと彼の願いを受け入れた。

「ん……」

両手を彼へと伸ばし、背中へと回しながら体を密着させれば、胸板の辺りに小振りのマシュマロバストが重なる。
柔らかな感触を伝えつつも、細腕の絹肌を体に擦り付け、唇を開くと小さな舌先を覗かせながら開いた唇同士を重ね合わせた。
瞳を閉ざし、舌がつつっと舌の上をなぞるようにして錠剤を引き寄せていき、自身の口の中へと含む。
舌の付け根の裏にそれを落とすと、自ら舌を絡めつけるようにして彼の口内を弄り始めたのだ。
とはいえど、ディープキスなんて自ら仕掛けたことはないので、舌をなぞったり、口蓋をくすぐったり、歯列の裏をつぅっとなぞったりと、出来るのはその程度。
それでも、唾液が絡み合って泡立てば、唇を離しながら薄っすらと微笑む。
その瞬間、それを欲して重ねたはずなのに、白い錠剤が唇から零れ落ちてしまう。

「……ふふっ」

声が弾み、口元が緩く弧を描くそれは屈託のない微笑みに似ているが、目が笑っていない。
体に残った力全部、この一瞬にだけ集まってくれればいい。
掌が汗ばんで、鼓動が早くなって、違う怖さが背中から広がっていくのが分かる。
それでも、もうどう終わるかしかないんだと覚悟してしまった。
つま先が地面を蹴る一瞬、音もしない。
しなやかな足が成せる一瞬の加速をつま先から太腿へと押し上げて、股関節まで一気に伝える。
なんてことはない、ただの膝蹴りを……彼の睾丸めがけて叩き込もうとする。

「……これでレイアルの赤ちゃんは、私のだけだね?」

受胎を受け入れるのは、彼の子種を独占するため。
彼の遺伝子を誰にも渡さないために、行き過ぎた思いが種を絶たせようとしたという狂気に変わる。
……そんな女の子のフリをしようとしたのは、両親にも害を及ぼさせない為の偽り。
彼が嫌で攻撃したのではなく、彼を受け入れて独り占めしようとしたのなら、行き過ぎた思いと見えるだろう。
私一人がおかしかった、それが今夜の顛末になればいいと道連れの抵抗へと変わる。
これは意図しないことでもあるが、潰れなかったとしても……そんな狂った少女を、嬲る強者は目の当たりにしたことがあるだろうか。
間違ったらより苛烈に責め立てられるだろうけれど、全部自分へと向けさせる為の足掻き。

レイアル > 少女が受け入れていれば、それを餌に更にその体内を嬲っていたことだろう
もう妊娠しないのだから、と
偽りというよりは新たな罠であったが…弱者を食ってばかりであった少年は、少女の側から仕掛けられることを想定できていなかった
あるいは更に歳を重ねた下衆である少年の父なら見抜いたかもしれないが…

「んっふふ…、んー……」

少女が従順になったかと考え、唇を受け入れる
ぶっくりとした醜い唇と可憐な唇が合わさり、舌を差し入れてくる様子に鼻息を漏らして受け入れる
ならばと薬を渡して、一応の取引の形をとれば…零れ落ちる錠剤
力が入らなかったか、と思った直後に不敵に微笑む少女

「ん?、っ! お、ご……!」

その笑みに、一回で狂っちゃったかあと残念に思った瞬間
ごり、と自分の剥き出しの股間に少女の膝が突き刺さった
少女含む女性には想像しがたい衝撃が一気に少年の脳髄に突き刺さる

大の大人、どれだけ鍛えたとしても絶対の弱所である陰嚢に
よりにもよって、人体の中で硬い膝、更に加速を付けた攻撃は効果が高すぎる
少年の思考は一瞬で霧散し、その場で膝をついてひゅー、ひゅー、と息を漏らして

「ぉ、ぉおおお……っっ……!、まえ…っ、うぐ……」

その衝撃はすぐに発散できるものでもなく
今まで少女を嬲っていた存在は、うずくまるだけのただの少年となった
ただただ恨みがましい視線を向けて何とか口を開く

「ふ、ふ……、い、いい、だろう。そ、そうだ、酷い目に合わせてやるからな…っ
こうかい、後悔させてやる…ぅ…!」

種は少女に与えたモノだけ、という言葉に笑みを浮かべる
孕ませただけでなく、この少女の尊厳という尊厳を奪ってやる…と恨みの炎を『少女個人』に向けているのは明らかである
ただし、今しばらく少年は動けない
逃げるなり、更に脅すなりは一旦少女に主導権がある状態となる

メルリンディア > 初めて感じた赤黒い感情、それは憎悪という激情のマグマ。
その言葉で表せるほどにそれを理解できていなかったものの、どうせ壊されてしまうなら、ひと噛みしてしまえと踏み出した。
まさしく窮鼠猫を噛む。
そのために、分厚い唇の気持ち悪さに体を震わせないように、鼻息の生暖かさに鳥肌が立たないようにと堪えていく。
薬が口内へと入り込んだところで、落としたのも言葉を真実にする意味もあるが、一瞬それに目を向けてくれたら良かった。

「……っ!」

出来た、入った! と心の中でつぶやくものの、どうしようという恐怖が脳内では広がっている。
殺されるかもしれない、散々犯された挙げ句にバラバラにされることだって有り得そうと恐怖の想像は重なった。
それでも、どっちにしたってなるならという覚悟が体の動きをどうにか耐えさせてくれる。
その一瞬の怖さも、彼が痛みにうずくまる様子に収まっていき、崩れかけた笑みを立て直す。
逃げれるかも、逃げてもなにかされるかも、それなら何か出来ないように、何か……。
軽く当たりを見渡して、先程彼が使ってきた記録媒体を拾い上げて奪うと、魔力を指先に貯めて、操っていく。
そこは得意分野というのもあり、ロック機能があろうとバックドアを作るように操作を可能としてしまうまで数秒程度のことだ。
そして、それを録画の状態にすれば、うずくまる彼の姿を今度は収めていった。

「……これ、外に出ちゃったらレイアル大変だね……?」

多分彼はプライドも高い方ではないだろうか、と考える。
これだけ豪勢な食事も、屋敷も、そしてこんな風に自分を踏みにじったのだから、誰よりも上と思っているところがありそう。
そんな彼が、自分みたいな小娘に遅れを取って、股間を膝蹴りされてうずくまってる姿なんて出回ったなら、同じ貴族の笑いものと考えるんじゃないかな、と。
録画し終えたそれをゆらゆらと揺らした後、向けられた憎悪の笑み。
それには流石に堪えきれず、瞳孔が震えて体が小さく跳ね上がるものの、強がって笑って見せる。

「っ……出来る……かな? 私、強いし……それに、いつも家にいないんだから」

こちらにだけ向いているなら、自分が外にいることを教えれば、捕まえようと躍起になってくれるはず。
両親にはもう危険は向けられないと安堵しつつも、万が一の時が怖くなる。
殺されちゃうかな……と、死を感じる程の闇深さは彼の言動から理解している。
こくりと息をのむと、重たい体を引きずって、ワンピースの方へと向かい、それをひっつかむ。
乱雑に被って体を隠すだけ隠すと、鞭を拾って直ぐ様部屋から飛び出していく。
素足で、ヨレヨレの格好で、見つかったら面倒になるからと途中窓から抜け出して。
お腹に溜まった熱気に、受胎の恐怖は消えること無く心を締め付けて、泣きながら夜道を逃げ帰るのだった。

レイアル > 恨みを一身に受け取ろうとする少女の思惑はうまくいった
貴族社会は黒ければ黒いほどまた外面も大事であり
今少女が広めているような噂を広められるのは全くよくない

そのため…少女が逃げかえるなら助けも呼べずにそのままうずくまった

(あの女ぁ…今度会ったら次は……)

よこしまな妄想を抱きつつ、夜は更けていく
当然少女の親にも特に悪い噂は流れず…
悪辣な家に恨みを買いはしたものの、少女は少女で一度日常へ戻れることだろう…

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からレイアルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からメルリンディアさんが去りました。