2024/05/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にノイさんが現れました。
■ノイ > 「――……んー……ぅーん…」
富裕地区の外れ。平民地区に程近い、夕刻の街路。
とある喫茶のテラスに座る少女、その前を通り過ぎていくのは。かの学院の生徒達だった。
小首を傾げ、見た目の歳は自分と大差の無さそうな少女達が、姦しくはしゃぎ合う様や。
それを眺めてあの子が良い、いやこの子が、と各々の好きや好みを語る男子達。
あの中に混じってみるというのは、面白いのだろうか。何となく考えてみる。
勉強は好きでも嫌いでもないが、やった方が良いと言われた事は、過不足なく修めている。
だから追い着けない苦悩や挫折を味わう事は無いだろうし…同時に。目立って飛び抜ける事も無い、筈。
可も不可もない、少しばかり時期遅れなだけの、転校生。それはそれで面白そうだ。
というか別に、本当に入学しなくても良いか。
若者達がごまんとひしめき合っている、未知の環境に。入り込んでみるのが面白そうというだけなのだから。
何処ぞの心当たりで制服でも拝借すれば。それで充分溶け込める気もする訳で。
「…それに……おいしそー…だよね、ぇ?」
そう、若い男女のあれやこれといった感情も。それに絡み付く身体の某も。
つまる所少女の視線は、新たな餌場を探ろうとする物であり。
行き交う生徒達に向けている眼差しも、所謂品定めという奴なのだろう…男女、問わず。
■ノイ > そうして街路を。行き交う学院生達を。眺めている少女の下へ、届けられる紅茶と。一緒に付いてくる小さなケーキ。
栄養価だの炭水化物だの糖質だの、その辺りどうでも良い肉体なので。完全に見た目だけで選んだ品である。
フォークで一口サイズを掬い上げ――はくり。口中へと運び。
「……、~~~っ♡」
どうやら。ビジュアルに対する感で決めたそれは。味の方もアタリだったらしい。
機嫌良さげに頬を緩め。少しばかり膝から下、脚先をぱたた、と揺らす。
瞳を細めもう一口。…更に一口。
その辺りで砂糖を控えた紅茶に口を着け、味蕾の上を一度リセットし。改めて甘さに舌鼓。
世の中の女子らしい事をしている、と思う。
正確には――演じている、かもしれないが。その辺は少女自身にも曖昧だ。
少なくとも、本物の学院生達が此方を視界に留める事が有っても。
「知らない顔だけど、もしかしたら私服に着替えた、うちの生徒かもしれない」位には。
見えてくれるのではなかろうか。
■ノイ > と、いう事で。
本当に…学院潜入計画。立ててみるのも面白いかもしれない。そう結論付けた。
正直、足を踏み入れるだけなら。表の立場――貴族の娘というそれを活かして。普通に見学申し込めば良いのだが。
通り一辺倒の施設見学などでは愉しくない。興味はない。
あくまでも目的は学院その物ではなく…其処に通う生徒達、なのだから。
「……最近のわたし。…食べられてばっかり――だもの、……ねぇ?」
これでは淫魔の名が廃る、という奴である。
勿論それはそれで気持ち良いし糧も得られるし、十二分にオイシイのだが。
――ぽつんと発した独り言。間違い無く、遅めのティータイムに相応しい、明るく洒落たオープンテラスには不似合いな。
偶々近場の席で耳に入ってしまったらしい、上品な淑女に。じろりと訝しげな目を向けられた。
やれやれ。怖い怖い。迂闊な所から身バレするのも面倒だ。
一度首を竦めた後。かの女性へふわりと微笑み会釈して――思いっきり誤魔化したなら。
後は他の客達に倣い、茶と菓子とを嗜む事にするのだろう。
…勿論頭の中では。身内の制服をどうやって借りようか、など。
なりきって遊ぶ為の――そして獲物を探す為の。計画を練りながら。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からノイさんが去りました。