2024/05/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にルシエラさんが現れました。
ルシエラ > 富裕地区の一等地に建つ、さる高位貴族の屋敷。普段は宴会で騒がしいか、あるいは静謐な雰囲気が漂うこの場所は、今宵物々しい空気に支配されていた。

兵士を引き連れた黒マントの女騎士が、バルコニーに立つ屋敷の主から投げつけられたワインボトルを避けた後、冷たい顔立ちにしかめ面を浮かべて口を開く。

「今一度、令状を読み上げさせて頂きます。貴殿は不正蓄財、バルファム家第二婦人の誘拐、バフートでの違法な奴隷購入の罪に問われており、この上は領地の割譲と罰金300万ゴルドの徴収は避けられぬものとお覚悟」

その言葉が途切れたのは、バルコニー脇の窓が開いてクロスボウを持った傭兵が姿を現したから。間髪入れず太矢が撃ち込まれたが、それが貫いたのはマントだけだった。

「……手向かわれるなら、是非もなし!」

一瞬でバルコニーまで跳躍した女騎士が、全裸よりも卑猥な黒紫のビキニアーマー姿を曝け出しつつレイピアとダガーを抜き放つ。下腹部の紋章が脈動する光を放って全身を包み込む。

バルコニーに駆け込んだ傭兵が長槍を突き出したが、女騎士はその穂先を逆手に持ったダガーで払いのけ、急迫。武器を持ち替えようとした男の脇をレイピアで切り裂きながら逃げ出した貴族の男を追って屋敷の2階へ雪崩れ込む。

悲鳴、怒号、剣戟が断続的に上がった後、1階の正面玄関から飛び出た貴族が石畳を転がり、情けない声を上げる。直ぐ後ろから出てきた女騎士が、ダガーとレイピアにこびりついた紅い雫を払って息を吐き出す。

「構わぬ!捕らえよ!」

痴女のような出で立ちの女騎士の命令により兵士が一斉にとびかかって、自身が如何に立派な生まれで重要な存在なのかを声高に訴える、ズボンが半分脱げた貴族を縛り上げてしまった。

ルシエラ > 「……この分では、自裁の心配はないでしょう。そこの5人、急ぎ押送を」

芋虫のようにぐるぐる巻きに縛られ、ぐねぐね動きながら喚き散らす貴族から視線を外した女騎士は、別の兵士の一団へ向き直る。

「残った者は屋敷の捜索を。傭兵には対処済です。いかなる書状も見逃さぬように」

2本の剣を納めた女に命じられた兵士が、逮捕された夫を追いかけようとする貴婦人を押しのけ、屋敷へ入っていった。その様子を見つつ、正面玄関前に立って中庭を見渡す。

「上手くいった……いや、行き過ぎたか。見返りに何を要求されるやら」

苦い表情で呟く。この度の捕縛劇は政敵の告発あってのこと。告発者は混じりけなしの善意と正義感によるものと胸を張っていたが、その時の表情と視線の行き先を見るに疑わしい。汚職に手を貸せと言われれば断固拒否できるが、それ以外の対価とすれば……自分の身体で支払える対価だとすれば、交渉の余地はある。

「全く……忌々しい」

強く頭を振って眉根を寄せた。身体で払えるなら考えてもよいなど、まさに世評が揶揄するところの肉奴隷根性ではないか。腕を組んで控えめなサイズの乳房を押し上げ、もう一度首を横に振る。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にゴットフリートさんが現れました。
ゴットフリート >  
喧騒にざわつく屋敷の入口に一台の馬車が停まる。
紋章を掲げない黒塗りの馬車だ。
当然、入口を護る兵士に止められるが、どこ吹く風で入口近くに停車。

「許可はもらってる。
 お前達の指揮官に聞いてみろよ。」

覗き窓から顔さえ出さずに咎める兵士に答える声。
既に老境に差し掛かりつつも、張りがあってよく響く。
忌憚のない喩え方をするのならば他人を見下すのに慣れた声音だ。

“――捕り物を邪魔にならない程度に見学させてもらいたい。”

『情報提供者』が笑いながら告げた言葉を女騎士は覚えているだろうか。
それ以上、雑兵と言葉を交わすつもりはない。
尚も言い募る兵士の言葉を遮るように。

「指揮官を呼んで来い。もう手が空いてる頃だろう」と言葉だけ投げかける。

正面玄関から彼女が此方を見れば、或いは、戸惑う部下からの報告を受けて此方に来れば
真っ黒な馬車の覗き窓、黒色の分厚い帳が開く。
そこから覗くのは、灰色の髪と髭、そして同じ色の瞳を持つ貴族の顔。
したり顔で、“正義のため”なんて彼女に政敵の情報を提供し
ねめつける様に露わな肢体を見詰めた眼差しが、嗤ってみせた。
「此方に来い」とまるで言っているように。

ルシエラ > 「何事ですか。立ち戻らせなさい。誰であろうと……」

黒塗りの馬車を通す、通さないで揉める部下の騒ぎを聞き、眦を吊り上げた女騎士がマント片手に早歩きで近付く。そして馬車の主に向かって物を申そうとして……口を噤んだ。

灰色の髪と瞳を持つ壮年の偉丈夫。年齢と共に刻まれたしたたかさと迫力が形になったかのような顔立ちは見間違えようもない。深々と息を吐いた後、部下に屋敷の守りを固めるよう命じて彼らを馬車から遠ざけた後、下腹部の紋章から光を消し、頭を垂れた。

「……ローエングリン伯、この度のご助力に深く感謝いたします。正義が為され、国王陛下もお喜びになられることでしょう」

真面目腐りつつも、女は相手の意図を組んで馬車に足を掛け、乗り込もうとする。ゴットフリート=ハンネス=ローエングリン。魔族の国との境目を守る辺境伯に封じられた貴族。所領は王城からほど遠いが、下手に王族の周りでとぐろを巻いている有象無象などより遥かに格上。

つまり、そういうことだ。自分に拒否権など、あってないようなもの。それを理解しているからこそ、マントを羽織り直すことさえせず相手の前で膝を折る。

ゴットフリート >  
女性にしては長身の姿。
見紛うことなどないその姿が此方へ近付いてくるのに満足げに頷く。
彼女のために、馬車の扉がまるで意志があるかのように開き
しなやかな肢体が乗り込むのを邪魔するものはいないだろう。

「ゴットフリートで良い、と言っただろう?
 ヴィレノール卿。儂も、卿のことをルシエラと呼びたいからな。」

彼女の形式に則った挨拶に返すのは気安いそれ。
言葉だけ取れば、鷹揚とさえ聞こえるだろう言葉。
けれど、灰色の眼差しには笑みの色も、労いの色も、そういう温かい感情の類はない。
見下して、それが美しいものならば手折らずにはいられない。
そういう、ケダモノに喩える方が適切な色を隠そうともせずに
マントから覗く白い肌に視線を這いずらせて。

「何、お安い御用だ。
 それにしても見事な手並み。遠くで見ていて感心したぞ。」

あからさまに、件の貴族を見下すような台詞は吐かない。
ただ、彼女の仕事を称えるように、顔を上げるよう促した刹那。
馬車の扉がまた、まるで意志があるかのように閉じられる。
余人のこの先の会話を聞かせるのは勿体ない。

「さて、それでは、情報提供の謝礼の話をしようか。
 儂の情報が正確であることは、わかっていただけたと思うが?」

――ほかにも幾人か、情報を持っている。
彼女に差し出した、件の貴族は手付のようなものだ。
そう、昔日、今回の件を情報提供する際に伝えたのを覚えているだろう。
拒否権のない相手を、更に真綿で首を絞めるよう伯爵は嗤って告げた。

ルシエラ > 「それでは……ゴットフリート殿」

言葉だけ聞くなら親しみを感じさせるが、相手の表情はそうは言っていない。むしろ、それを隠す意図も感じられない。自分の外見には何ら性的魅力がないと確信している女騎士は、ビキニアーマーで局部を覆っただけの身体を眺め回され、気まずさに肩を窄める。

「勿体ないお言葉。務めを果たしただけのことです。謝礼につきましては……私に出来ることであれば、何なりと。勿論、限度はありますが」

顔を上げて相手の視線を受け止めた女騎士は、にこりともせずに無難な答えを返したが、日焼けしていない白肌は戦闘の余韻以外の原因により火照り始めていた。

まさに肉奴隷気質とでも言おうか。「そういうこと」を避けられないと認識するや否や、男を感じた身体がほんの些細な――たとえば相手の息遣いや体温――ことに反応し、まるで前戯を受けたように緊張を解きほぐしていってしまう。

「しかし私のような警邏隊長もどきが、貴殿にご満足頂けるものを贖えるとも思えません。……何を、ご所望か?」

そして女の心は、自身のそうした気質を忌み嫌っている。だからこそ、時間稼ぎのような問いかけでお茶を濁し、胸を反らそうとして硬くなった乳首が鎧に当たり、吐息を漏らした。外から差し込む光に首輪型の喉当てが照らされ、鎖を繋ぐ為の金具が鈍く輝く。

ゴットフリート >  
視線に映るのは確かに、女性的な肉感には乏しい肢体だ。
乳房は薄く、扇情的とは到底言えない躰。
けれど、彼女自身は気付いていないだろう。
黒髪と紫の瞳に彩られた美貌や、肢体を惜しげもなく晒すような装い。
下腹に刻まれた紋様でさえも、雄の情欲を煽るものだということに。

「ああ、それでいい。ルシエラ卿。
 いや……ルシエラ。何をご所望か、とは存外察しが悪いな。」

喉の奥で嗤うような、笑声が零れ落ちる。
敬称を外して、まるで蔑むように彼女の名を響かせる。
彼女の身は、“肉奴隷騎士”の身はそれにさえ反応してしまうだろうか。
淡く唇から零れる吐息さえも見逃さない貴族は
ゆっくりと、深く笑みを浮かべてみせながら――。

「まあ、自分の口からも言いにくいだろう。
 その首輪に相応しく、卿は儂の雌犬になってもらおうか?
 ――慣れたもんだろう?」

最後の一言は、野卑を帯びて響く。
同時に、太い手が引き摺り出すのは家畜用の鎖。
ぬらりと、粘着質な光を帯びるそれが彼女の首筋の金具に伸びる。
酷くゆっくりとした動き――拒絶して、馬車から逃れるならば最早その暇しかない。
そういうように。

ルシエラ > 「っ……ふう、ぅ」

雌犬に、と言われれば眦を吊り上げ相手を睨みつける。貴族に対し何を言うか、と。薄い唇の間から噛み締めた歯を見せるが、しかし女騎士に出来るのはそこまで。

どこからか引きずり出された鎖を見せられると、軽く頭を上げて喉を曝す。あれこれ指図されるまでもなく自身の首輪に鎖を繋げさせた女騎士は、「慣れたもんだろう」という嘲りを認めるかのように座席から腰を落とす。何故なら、犬は主人と向き合って椅子に座ったりなどしないから。

「ふー……ふー……」

椅子の合間、狭い空間に四つん這いの長身を押し込んだ女騎士が、首輪から相手の手に向かって伸びる鎖を揺らしながら、今宵の飼い主を睨みつける。そうしながらも早速息を荒げ、殆ど紐同然のビキニアーマーに局部が触れ、腰をもじつかせているのだが。

ゴットフリート > 騎士ではない。最早ただの雌犬だと。
それを否定できるものがいるだろうか。
膝を屈して、首輪を鎖に繋がれた彼女を見て。
だから、老貴族は深い笑みを浮かべた侭、紫色の瞳を見下ろす。

「どうした?儂のことを睨んで。
 こうして首輪を繋がれて、跪くだけで――お前はもう盛りがついるだろ?」

鎖の鳴る金属音が響く。鎖で顔を引き寄せる音。
白い肌に確かに浮かぶ劣情の色を灰色の瞳が見詰め。
まるで、文字通り犬のように息を荒げ、腰をくねらせる女を見下ろす。

「心配しなくても、すぐに使ってやる。
 だから、そのまま、しばらく大人しくしていろ。」

空いた手が、彼女のマントの留め具を外してしまおうと伸びる。
同時に馬車が少しずつ動き出すだろう。
彼女がどこで貪られるかは――貴族が、主だけが知っている。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からルシエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からゴットフリートさんが去りました。