2024/05/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアーサーさんが現れました。
アーサー >  
「……ふぅ」

王国軍第屯所。
マグメール王国の富裕地区にもいくつかあるうちの一つ、その執務室にて。

眉間を指で抑えつつ、深く息を吐く青年が一人。

「今日は、第一師団への出資者達による夜会か……気が進まないな」

そういった場所への参加は、変わった己の環境の一つだ。
今のポストに就くまではなるべくそういったものへの誘いは断っていたが…今は立場上そうもいかない。

「少し、身体を動かして気を紛らわせようか」

気が進まない、などと零しても参加しないわけにもいかない。
青年は執務室の椅子から立ち上がり、外套掛けに掛けてあった蒼のマントをその身に羽織る。
その背に刺繍された紋章は、栄えある王国第一師団のもの───。

アーサー >  
駐屯書には王国軍兵士達のための練兵所も併設されている。
いくつもある詰め所のものなので大規模なものはないが、数人の兵士達が木人を相手に剣を振るっている様子が見られた。

「ご苦労様です。精が出ますね。あまり根を詰めないようにするのですよ」

通りかかり、そう声をかける青年に兵士達は声高に返答を返し、騎士の礼を払う。
その様子に笑顔を向け、さて自らも──と辺りを見回す。

「(──…いつもながら、同じ顔ばかりだな)」

胸中、ついそんなことを思ってしまう。
王国軍の中でも屈指の人数を誇る第一師団。
一つの屯所といえどいつ来ても練兵場で鍛えているメンツは同じ兵士ばかり。
本来ならば、もっともっと多くの兵がいるはずなのだが──。
王族や貴族の出自の者が多い、王国軍第一師団の軍人を務めているという『称号』が欲しいだけの。
ようするに"幽霊騎士"のような者が大半を占める……王国次第のハリボテ、などと揶揄される所以である。
王国の専守防衛、といえば聞こえは良いが───派兵もせず、仕事もなく、というのが現状だった。

──しかしそれは長年の蓄積によるもの。前師団長の時代でも、その前の師団長の時代でもそれは是正されることはなかった。

「(…是正には、腰を据えてかからないと…なんだろうな)」

今すぐにどうにかできる問題ではない。
一先ず今は自分にできることから堅実に片付けてゆくことが寛容…。
日々の鍛錬も、その一つである。

アーサー >  
細かく、考えることはとにかく多い。
甲冑と外套を外し身軽になれば、鍛錬用の重い鉄剣を手にする。
一般兵時代から続けていた鍛錬は最早日常になりつつもある。
それは己の肩書が変わろうと、一切変わることがない。

──前師団長は戦場に在るだけで戦況を変え得る力の持ち主だった。
ある種神懸かり的…それ故に女性の身でありながら第一師団という巨大なる怪物を従えることが出来た。
おそらく、自身にはそれほどの力はない。
その場にあって自分が誇れることは…積み重ね、そして誠実に在ること。

重い鉄剣を振りながら、雑念を振り払う。
王都から殆ど動くことのない第一師団だからこそ、実際にこの場が戦場となった時に敗北は絶対に許されない。
それは王家からの勅命による派兵にしても同じこと──大半の兵は『ただいるだけ』に過ぎないこの軍が退いては鍍金も禿げる。
それらは、王国軍に身を寄せる王族や貴族の面子、沽券にも関わること──。

立場上、考えることばかりだ。
それらの雑念を鉄剣にて振り、払い、汗とともに吹き飛ばす。
少なくともこうして己を鍛えている間は、そうしたものに囚われず無心となることがでできる──。

アーサー >  
第一師団が戦いの場とするのは王都そのもの。
しかし王都が攻められることなど殆どありはしない。
こうやって己を鍛え、高めても…それが発揮されるのはこの地が戦場となった時。
──ないに越したことはない。しかし備えは必要である。そう考えて己を鍛える者がどれだけいるだろうか。
……実際に戦場となることがないからこそ、王族や貴族達の身の良い落とし所となってしまっている。

「──ふ…」

最後の一振り。
風を斬り裂く音と共に振り下ろされる鉄剣の剣先から、全ての雑念は…出ていかないだろう。
考えることが多すぎる。

「…まだまだ、無心には程遠いな…」

自嘲気味にそう零し、汗の始末を済ませれば、空を眺める。
陽が傾き、紅く練兵場を灼き始めていた。

まもなく日が落ちる。
この富裕地区の名門貴族が主催である夜会がはじまる。
ああ、気が乗らない。
しかし遅刻するわけにも───。

汗を流しすっきりすれば少しは気が紛れるかと思ったが、全くそんなことはなかった。

アーサー >  
ただの夜会ならばここまで足どりも重くはならない。
しかしこの国の夜会は……あらゆる欲や企みの坩堝だ。
少なくとも、己が招致されるものは、そういった夜会が多い。
権力ある立場、というものを甘く見ていたわけではあにが…これほどとは…と。
師団長就任まもなく招致された夜会で内心目を白黒させたものだ。

以降、なんとなくこう…夜会などの女性からは距離を置いてしまう。
あの笑顔の裏にどのような…一体誰の…そんな策謀が見え隠れしてしまうのだから仕方がない。

「…代わりに行ってくれる人なんか、いないかな…いないか」

ああいう場に慣れた…己の欲との付き合い方の上手いような。
なんとなく、そういう男性が羨ましくも思う。
……今後そういう人事もちょっと考えようか。そんなことをとりとめもなく考えながら。
甲冑と外套を回収し、夜会の準備をするため屯所の中へ。

夜会服なども使う頻度が増えた。…こんなにも立場で環境が変わるものか、と。

「──よし。逃げが許されないのは戦場と同じだ。気合気合…」

自分に言い聞かせるように己を鼓舞しながら、夜会服へ着替え、主催の貴族‥その大邸宅へと向かった──。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からアーサーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にレイアルさんが現れました。
レイアル > 夜な夜な、貴族の邸宅で開かれるパーティの一つ
表向きは立食パーティ…交流を主としたものだが
貴族間では悪名高いドリュアズ家主催で開かれる会には当然裏がある
息子たちの『欲求』を晴らすため、様々な方法で女性を多めに招待している

冒険者ギルドへ護衛依頼、貴族への弱みを握った脅迫まがいの招待などなど
パイプを作るため、という名目で誘われる者も多い

その中で、子豚のような姿をした少年が下卑た目で周りを見渡している――

(へへ、今日は誰に声をかけようか…)

表情は一応真面目を装っているが、その視線は下衆そのもの
招待された女性を品定めするようにじろじろと見て
小さい背丈を利用して胸を無遠慮に見たりと欲望が滲み出ている

少年の劣情を刺激する相手が見つかれば、当然容赦なくその毒牙にかけるつもり
作法だけは上品に料理を食べつつ…さて、今日は獲物が見つかるか

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にメルリンディアさんが現れました。
メルリンディア > 先日の夜会抜け出しがバレたのは、ストッキングに着いた土汚れが原因だった。
こっ酷く叱られることこそなかったが、一応の立場は弁えなさいと窘められてしまう。
流石に慣れないといけないかなと思えば、護衛依頼としてパーティへの出席というのをギルドで見つけたのが今日の昼頃。
冒険者という立場として出るなら、カチコチにならなくてよいかもしれないと思えば、それを受けて今に至る。
問題は、両親はともかく自身が貴族間の情報に疎く、ドリュアズの悪名高さを知らなかったことだが。
立食パーティもこれで何度目かになるがいまだに慣れない。
白いオフショルダードレスに身を包み、護衛対象と一緒に挨拶回りをしていくと、暫く歓談といった様子で足が止まる。
後ろで大人しく控えていたが、好きに楽しんで構わないと言われれば、わかりましたと笑みを浮かべて少し離れることとなる。

「わぁ……贅沢」

あまり見ないような料理に目を丸くしつつも、使用人にお皿を差し出して取り分けてもらう。
どうぞと差し替えされたそれをありがとうと柔らかな微笑みで受け取ると、片手の皿にグラスの底部を重ねるようにして保持。
そしてあまり邪魔にならなそうな開けたエリアへと移動すれば、遠目にパーティの賑わいを眺めながら皿に乗せたフォークを手に取り、音を立てずにローストビーフを突き刺す。
料理は美味しいが雰囲気は馴染まない、やはりこれは慣れが必要なのだろうか。
そんな事を考えながらそれを口に運ぶと、ゆっくりと咀嚼して楽しみながら瞳を閉ざす。
少女一人で思案顔で料理を堪能するというのも、こうした催しでは目立つ方かもしれないが、わかっていないところもまた不慣れな結果なのかもしれない。

レイアル > 妙に高額の依頼料が設定された護衛依頼は当然嘘のもの
護衛対象はドリュアズの息がかかったものであり、いいところで護衛を自由にさせて関知しないようにと言い含められている
その後はどうなろうと…ここがドリュアズのホームである以上、外に漏れることはない

そしてパーティになれている者から見れば目立つ場所で…料理を無防備に楽しんでいれば
下衆な少年の目に、愛らしい少女が留まることは必然であろう

(おお…♪ 俺とそんなに変わらないのにでかい胸と…ドレスで隠れて良く見えないが…むむむ…
あれはケツも相当いいもの持ってるな…)

少年の見立てでは、少女との身長差は5cmといったところか
それなのに、おいしそうに料理を目を閉じて食べる姿は魅力的…少年風に言えばむらむらしてくる
白のオフショルダードレスによって曝け出された肩もまた…その美麗な肌を穢したい欲が湧きだしてくる
となれば、好色な少年が見逃すはずもなく
料理の皿を適当にテーブルに置けば、果実水のグラスを持って少女の元へ向かっていく

「こんばんは。楽しんでいますか?
ああ、申し訳ありません…つい、麗しくて声をかけてしまいました。
私は今回のパーティの主催家…の四男、レイアルです
とと、畏まられる必要はないですよ♪家督も継げないただの四男ですから。……お嬢さんの、お名前は?」

子豚のような容姿自体はどうしようもないが、近づいてゆっくりと礼をしながら穏やかな口調で挨拶を投げかける
自分の方が小さいからこそ、相手の庇護欲と言えるものを掻き立てられないか、という狙いと共に
このパーティであれば相手も何かしらの仕事か、パイプ作りか…どちらにせよ簡単に無下には出来ないだろうと踏んだ声掛けだ
もちろん、さらりと隣に陣取って周りにアピールすることも忘れない
この少女は、自分がツバをつける、と

メルリンディア > 護衛からこのパーティまで全てが罠とは知る由もない。
自由にしてていいというのが、ある意味悪事開始の合図となっていることもわからないのも無理のないこと。
一応貴族の身ではあるが、爵位はほぼ一番下に近い子爵なのもあり、意外と庶民的な生活が多い。
領地とて父が仕える伯爵から譲り受ける……もとい、面倒を見ろと押し付けられた程度のものだ。
そんな身の上からすれば、臭みのないローストビーフは勿論、春野菜のテリーヌもなかなかありつけない。
ご飯を食べに来たと思えば格別なものであり、当人もそう思おうと頭の中を切り替えて美食を楽しむ。

「……?」

なにか視線を感じたようなと思いつつ、軽くキョロキョロと周囲を見渡すと、ベージュ色の猫毛がふわりと揺れる。
曝け出された首筋から肩のラインは、同世代の少女としてみれば何処となく筋張ったラインはあるが綺麗な方だろう。
胸元は多少ドレスの力もあって膨らみはあるが……まだまだ手の平サイズと小ささを感じる育ち様。
しかし、彼が目をつけた臀部はこの身体の中でも特に女性らしく育ったところといえようか。
腰のくびれから臀部の丸みのラインが、白磁が張り付いて尚も目立つのだから。
そして、視線の正体に気づかぬまま、気のせいかなと首を傾げたところで、今度はテリーヌを頂いていく。
ふわりとした食感の中に交じる、野菜のシャキシャキとした歯ごたえが心地よく、旨味がじんわりと広がるそれに満面の笑みと共に頬を緩める。
年相応な楽しみ方をする最中、近づいてきた姿に気付くとフォークを咥えたまま瞳を瞬かせるのも同様か。

「……ん、えぇ、楽しませてもらってます。ぁ、あははっ、私なんてまだまだ子供ですから、他にも綺麗な人いっぱいいると思いますよ?」

近づいてきた彼に浮かぶ第一印象は、まさに子豚というところか。
肥えた腹部と顔に短足と、農業地帯にいる畜産の子豚の記憶と良く重なった。
貴族の子供が太ってることはそう珍しいことでもなかったので、良い物を食べさせてもらってるのかななんて思いつつ迎え入れる。
そして、お褒めの言葉に破顔したと思いきや、あわあわと慌てふためきながら言葉を取り繕いつつ、少し照れくさそうに頬を赤らめて視線を逸らす。

「あ、主催者様の……そ、そうですか? ふふっ、それでも貴族社会は大変ですよね。えっと……メルリンディア・セルヴァインです。今日はあの方の護衛としてきました、あと……ちょっと練習も兼ねて」

冗談にクスクスと微笑みながらも、程よく緊張がとけてくると、普段通りな表情も滲む。
喜怒哀楽素直に出てしまう子供っぽい変化は、楽しそうな笑みを浮かべるが、名を問われたときに何やらバツが悪そうに視線が泳ぐ。
ぎこちない苦笑いに変わりながらも、フルネームを答えたのは、どちらにしろバレる可能性が高いと思ったからだ。
セルヴァイン家は、魔具や魔導の研究をする伯爵家の下につく成り上がりの子爵の家系。
軍事利用もあるが生活に必要な品々も、その研究の中で生み出されていき、最新のものが流れ着くのはやはり王族貴族という上流階級だ。
最新には金がかかる分、彼らは研究関連の家々からは大切な顧客でもある。
それもあり、無礼と叱られて後々にバレるよりはと明かすものの、後は彼が気付くかどうかか。
こちらは彼の立ち回り、唾付けの段階であるなどと露知らず笑っているのだが。

レイアル > 「いえいえ、声をかけたくなってしまう魅力が発散されていましたよっ?」

金に明かせて作られた料理はどれも豪奢な釣り餌
酒が苦手な者には甘い果実水も無償で提供される優遇もある
その元になっているのは暗い商売によって得た金で…王族に取り入った結果の侯爵という地位である
政など不得手甚だしいというのに、地位だけは高く悪辣

その家の男子ともなれば…知っている者ならまずほどほどに避ける存在である

(ん?…近くで見ると更に…ぐふ。いい感じに腕も体も締まってて最高だぁ…
きっと下の方もきゅ、とこう…。あとは、そのおっきなケツにのしかかって…、おっと…)

会話をしながらも、視線はそれとなくその体に注がれる
遠くから見ても気づかなかった更なる魅力と、大きく見えていたが…逆に育て甲斐のある膨らみに涎を垂らしそうになるも笑顔を浮かべ

至って真面目な顔で、百面相をする少女の表情を楽しむ
貴族との会話で表情をむやみやたらに変える…
それだけで、言葉通りにこういった場にはやはり慣れてないんだ、と判断しつつ自己紹介を聞けば
ぽん、と手を叩いて…知っている、と仕草で伝える

「練習と護衛…、ああ、これは失礼しました。メルリンディア様は…セルヴァイン家の一人娘、でしたねっ
容姿はとても美しく、更に魔具魔導の知識は深く…。ご両親にも愛されていると聞き及んでいます!
お話してみれば本当に噂通りの美女で…そんな相手と出会えるなんて今日は幸運だ…
あ、もちろん、当家でもセルヴァインの銘がついたものは積極的に買い取らせていただいているはずですっ」

人を雇って情報を集めるなどして貴族令嬢や市井の美女の情報は常に仕入れているし
勉学の合間にそういった情報で涎を垂らしていることも多々ある
無礼とは思っていない…むしろ光栄だと示すように小さな目をきらきらさせて年上の少女とその家を褒め称える

ここで身分の差を意識させて引かれては壁が出来てしまう
この後のためにも醜い容姿ながら子供らしく振舞い
顧客であることもはっきりと伝えていこう

表向き、ドリュアズ家は…食料品や薬品など、健全な商売によって資金を得ていることになっている
貴族の知識があればそれがフェイクだと気づくことは容易だろうが、少女にその様子が無いと分かれば心の中でほくそ笑む

(らっき~~、成り上がりの子爵かぁ…最高だ。どうにでもできちゃうじゃん…♪)

「……あー、そういえば…父がセルヴァイン家の製品を酷く褒めていた覚えもありますね
あれは上がってくる家系だとか…。うーん…実は、ドリュアズ家でも魔道具の生産に力を入れようかという話もあって…
私も家を助けるために…勉強して試作したりなどしているのですが、なかなかうまくいかず…。

せっかくの機会です、まだまだ夜会は続きますし…メルリンディア様さえ良ければ別室で、理論などの簡単なアドバイスをいただけませんか?
勿論、護衛対象の方には私の方から伝えておきますし…授業料もお家とあなた、両方にお支払いしますよ♪…もちろん、父にも口添えしておきます…」


あたかも少女の話を聞いて今思い出したかのように、困った顔を浮かべながら少女を見上げる
もちろん真っ赤な嘘である
普通は水を入れて部屋の乾燥を防ぐための魔導器は、媚薬を噴霧するために悪用されているし
悪人を捕らえるためのベルト魔道具は雌を捕らえるために使われている
技術を教えてもらうのだからこれくらいは、と…依頼料以上の金額を提示し
貴方自身にもお家にもメリットがありますよと伝えていこう
人となりまでは把握できていないため…反応によってはまた攻めかたを変えるつもりで、返答を待つ