2023/10/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアルマースさんが現れました。
アルマース > 隠れ家のようなバーがある。
一度訪れた際、静かな雰囲気が気に入って二度目の来訪。

あの時は先客が一人いたけれど、今夜は自分だけ。
だから――というわけでもないが、上質なバーにそぐわぬ露出の高い踊り子衣装でいるのを見逃してもらっている。
他に客がいないのを良いことに、磨かれたカウンターにぺたんと頭を乗せて。

「聞いてよマスター……」

真っ赤な爪と衣装の色と同じ、血のような色をした酒の入った細いグラスをつつきながら、疲れた女の声。
愚痴が始まることが確実な出だしである。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にリュシアスさんが現れました。
リュシアス > カウンター席に一人腰掛ける女性が物憂げに口を開こうとするのとほぼ時を同じくして、バーの入口の扉が静かに開かれる。

「――――やぁ、またお邪魔しに来たよ………と、今日は先客が居たか。」

新たに姿を見せた来客が一人――くすんだ金髪の男がカウンターの奥のマスターへと小さく手を挙げて挨拶を交わしてから、そのすぐ傍のカウンターで項垂れる先客の姿の存在を認めると。
これは失敬――と、軽い謝罪の言葉を述べてから、先客の女性とはひとつ空けてカウンター席へと腰を降ろし、マスターへと注文を投げ掛ける。

それから、男の視線は彼女の方を一瞥する。
失礼とは思いつつも、褐色の肌を晒す様に露出の高い衣装を纏ったその姿へと、どうしても男の興味は向いてしまうのだった。

アルマース > 愚痴が出る寸前、扉が開く音。
いらっしゃいませ――とマスターの言葉が続く。

店の品格を落とすわけにいかないので、瞬間的にぴしりと背筋を正した女は。
――ちらりと男の姿を確認して、変な声を出しそうになった。

あぶない。今まさに『貴族相手の仕事ってほんと疲れる~~』などと言いそうになっていた。
金髪碧眼に白色の肌が、イコール貴族だというわけではないけれど、よく見る組合せではあるので警戒するに越したことはない。
変な声も飲み込んで、隣の椅子に置いてあるローブを羽織ろうと手を伸ばす。

「ごめんなさーい……仕事終わりなものだから。お馴染みの方?」

リュシアスへ軽く笑って黒いローブを肩に掛けると、後の問いかけはマスターと両方に。

リュシアス > 男が店内へと足を踏み入れてから、何処か気怠げにカウンターに身を預けていた女性の姿が垣間見えたのはほんの一瞬。
緊張の様相さえ思わせる程に背筋を正しながら此方を見遣ったかと思えば、吐いて出そうになった言葉を押し留めようとするような、何とも言えない表情に男は首を傾げるばかり。

「いや、こちらこそすまない。………邪魔をしてしまったかな?
 馴染み――と言う程では無いかな。前に一度立ち寄って、気に入ったものだからまた来た、といった処さ。」

投げ掛けられた女性の問い掛けに対して答える男の言葉に、マスターは静かに首肯するのみで。
ややあって、男の席へと提供されたグラス――薄い青色の酒が入ったそれを手に取ってから、

「そう言う君は?見たところ踊り子か何かのように見えるが………。」

浮かび上がった疑問を口にしながら、一度女性から視線を外して店内を一瞥するのは、彼女の装いに向いてしまった視線を誤魔化そうとするのと同時に、この店で披露したりするのだろうか――といった疑問を確かめようとするように。

アルマース > 「いーえ。お客さんが少なすぎて、ここが潰れたら困るもの。
 女一人で安心して飲める店は貴重だから」

そこはきっぱりと否定した。
どうやら違和感を与えてしまったので、百杯分くらいお邪魔してくれても良いのよ、と付け加えておく。
自分のせいでお客が減ったとなるとマスターに顔向けができない。

「ご明察、と言うほど難問じゃなかったわね。
 アルマース、と申しまーす。踊り子やってまあす。
 ここは踊るにはちょっと狭すぎるけどねえ――あなたは?」

偉ぶる感じはなかったので、旦那様、とは呼ばずに。
紅色の酒の入ったグラスを持ち上げ、乾杯、というように軽く掲げてみせた。

リュシアス > 「ハハッ、それは確かに。自分としても折角見つけたお気に入りの店が潰れてしまうのは困るな。」

軽口めいた女性の物言いに笑いながら、百杯分とまではいかないが――と此方も冗談めかして言うと、カウンター越しのマスターへとつまみ代わりの軽食を追加で注文する。
成る程確かに、普段男が足を運ぶ平民地区の喧騒に包まれた宿酒場に比べれば、広過ぎず落ち着いた雰囲気のこの店は、女性が一人で飲むには向いているのだろう。
店内を一瞥してから、その様な感想を胸の内に抱いて。

「―――自分はリュシアスという。一応ではあるが王国騎士の肩書を頂いている。
 まぁ、とは言え今は非番中の身だ。………どうぞよろしく、アルマース嬢。」

尋ねられれば、名乗りと共に素性を明かす。
けれども付け足すように紡いだ言葉は、どうか騎士だからと堅苦しく構えないで欲しいと言外に告げようとするように。
それから彼女に応じる風に、此方も青色の酒の入ったグラスを手に取ると、乾杯、と小さく傾けてから口許へと運んでゆく。

アルマース > 薄暗い明かりに、マスターの目の行き届くこじんまりとした雰囲気が落ち着く店だ。
リュシアスが軽食を注文すると、自分の手柄かのようにマスターににっこりする。
あたし役に立ったでしょ、と顔に書いてある。

「騎士様かあ。こちらこそよしなに。

 ――言い訳じゃあないんだけれど、さっきまで子爵様のお家で仕事だったの。
 主催か来賓かわからないけど、屋敷の中で尾け回されて、おちおち着替えもできなくてそのまま出てきたの。
 騎士様がとっ捕まえてくださる?」

それでこの恰好、とつんつんと自分を指さした。