2025/01/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 市」にナランさんが現れました。
■ナラン > 夕暮れから夜の合間、冬晴れの空が茜色から群青色に変るころ。
富裕地区の広場に立った市に、ほんの少し場違いな女が一人、すこし心もとなげに露店の間を歩いている。
騎馬なども商われる市が立つと聞いて足を向けてみたものの
「…はぁ…」
露店とはいえ流石富裕地区に立つ市。並んでいる商品もお値段もさながら、露店を挟む道は馬車も通れるように広く開けられていて、今も正にゆっくりと通り過ぎていくところだ。きっと、名のある貴族か誰かが馬車の中から商品を見定めているのだろう。何もかもにあっけを取られて女の唇からは吐息がこぼれた。
もう夜も近いというのにどの店も明かりをともして店じまいをする気配はまだない。夜も半ばほどまでは、ここは賑やかなままかもしれない。
道を行く馬車を引く馬に一瞬気を取られて女が足取りを緩めると、後ろから来た執事らしき衣装の男が大股で女の横を通り過ぎていった。すれ違いざまにちらりと睨まれた気がする。もしかしたら前を塞いでいたのかもしれない。申し訳なく思って、女は慌てて足取りを元に戻す。
「ええ、と…」
目的の、騎馬を商う場所を見届けたら早く帰ろう。見届けられなくても、市の端まで行ったら今日は帰ろう。
女は辺りを見回しながらも、速足で露店の合間を歩いて行った。
■ナラン > 「あ……」
できるだけ、ぐるりと回れるように足を運んでいたつもりだったが、やがて女の前に開ける道の向こうに富裕地区を区切る大通りが見えてくる。そちらはもう人通りは少ないが、まだ市へと集まってくる住人がいるようで広場との出入口は人でいっぱいだ。
どの店も客の気を引こうと、音楽を奏でたり客引きの声を上げていたりとにぎやかだった。おそらく一生縁もなさそうな見たこともない商品もいっぱい見た。
目的は遂げられなかったけど、十分に楽しませてもらった。よしとしなければ。
女は吐息をつくと、気を取り直す様に弓を背負いなおして
そのまま広場の外へと向かう人の流れに乗って夜を迎えつつある市を後にした――――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 市」からナランさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 自身の邸宅、その応接用の部屋にと足を運ぶ。
このところばたりばたりと有用無用の用事雑事が入り込みすっかりと忘れかけていた面会の約束。
賓客を招く部屋とも別の部屋に通すようになっているのも何故だったかうまく思い出せず。
とはいえそこに招くということは、貴賓に類する者でも逢うのに堂々とはいかない相手か。
あるいは最初からそこまで礼節優先で会うわけではない相手だろうと当たりをつける。
貴種であっても秘めやかな関係持った相手。遇するでなく、実利でつながった相手。
あるいは平民の陳情、嘆願、商談、面接…そんなとこだろうか。
ふむ、と歪んだ顔を見てか、できた侍従はそっと耳打ちしてくる。
それを聞いてから、ああ、と、頷いて。そうしてたどり着いた部屋の扉。
侍従が扉を開き、中にと促されて入る。多少、待たせてしまった相手はどのような機嫌か。
さて、一言目はどうしようかと、相手の表情の具合を確かめるようにと暗金の瞳を細めて。
■ルーベル > 中の相手の顔を見ている間に、そっと侍従により部屋の扉は閉じられる。
そこから、客人とどのような事柄があったのかは…
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からルーベルさんが去りました。