2023/11/25 のログ
モルガナ > 民草に支持される凶刃様は随分と性善説を大事にされておいでですのね、と嘆息一つ。

次の肉が来るまでの間、己もまた分厚い肉塊を引き裂く。
粗悪な肉であれば刻むにも一苦労だが、ナイフに合わせたように肉が分かれていく。
滴る肉汁を尻目に、淑女たる佇まいに反して、大口を開けてそれを頬張る。
双方対極なれど、食に、肉に、己が滋養に向かい合う姿勢は重なっていて。

「面倒な代物をよくぞ仕上げたものです……。
 その順応性、しぶとさがあってこそでしょうが、それ以前にこちらに合わせてくるのは
 厄介以前に不快ですわ」

 一気呵成に戦陣を切り崩すダンタリオとは対極的に、
 変幻自在に宝石魔術を織り交ぜ、用兵においては守備に重きを置くミナスジェイラス。
 その双方が容易く、とまでは言わずとも対応される。
 かの血の旅団からすれば今度は貴様等が辛酸を舐める番だとでも言いたいのだろうか。

 ……そういう意味では、かつてのクシフォス・ガウルスとはおよそ程遠い、
 血の通わぬ戦を強いる戦局は侮蔑の一言に尽きる。

「延々と転ばせ惑わせ食い止めるのですの? ……エイコーンが道端の草を結ぶさまは滑稽ですけれど。
 やはり、連携……。ここは各家が競う状況でもないのでしょうね」

 杯にワインを受けながら、欲していると聞けば首をかしげて。

「そんな方いますの? ……わたくし、メイラに搦め手なんて似合わないと思っているほうなのですけれど」

 我等は貴族である。権力と武力を持つ者である。
 なればこそ、己を磨き、それで足りぬなら、利害を捨てて国の為に共闘もやむなしと思っていたが、
 まだ抗する手があるのかと目を細めて。

メイラ・ダンタリオ >  
 最初には一枚一枚切り分け、しっかりと味わっていた
 しかし今では肉を数枚切り落とすと、それらを食す方向。
 少し肉の減る速度が上がっただろうか
 だがそれは対峙に対する拒否反応ではなく、体が求めている というところ。
 エイコーンの話をしていた体が囁いているのかもしれない。


   「ふん、お互いの積み上げたものを一握りの天才があっという間に吸収する
    などと言うのは良くある話 それまでの者達だった者の戯言ながら
    あれは盗賊と同じこと しかもご存じ? こちらが10で振るえば返ってくるのは10ではない。
    精々が7、8といったところ それを巨体と硬度でカバーしてくる。」


 ある程度真似れば済む話にされている
 それを自覚すると、ギコッと異音。
 銀色のナイフとフォークの柄が、“への字”を描いている。

 メイラは眉を顰め、自身が年齢を重ねても見た目が若々しい半魔の血故か
 変な所でまだ若く思えてしまい、それを察した者が取り替えていく。
 ゴルドでチップを渡しながら、新に切れ目を入れ。


   「何をいまさら わたくしは 人を辞めてまで仕えたがった 使われたがった者の一人ですわよ。」


 武のみで済むなら済ませるというだけ
 転ばす 埋める など普段しないだけだ
 それをしなければいけないほどというだけだ。


   「それを行い、幻滅するなら勝手にそいつに幻滅させればいい話ですわ。
    嗚呼でも―――」


 そう言って、笑みを浮かべる
 遠い目で肉に視線を向けていても、眼は肉に向けていない。


    「自力で片づけてしまっていれば、いろいろな手段を講じたときよりも
     きっとあの方は褒めてくださると思うと、ときめきはしますわね。」


 それに拘り、下手を打つくらいならしないものの
 クスッとガントレット越しの指先で口元を隠し、本当にうれしそうに笑った。
 目を細めて伺うモルガナに気づいたのは少し後、表情は柔身を思い出しており、肉を運びながら。


    「わたくしをアスピダに行かせなかった王城の糞仕事の件、存じているでしょう。
     あの全裸王女の一件で表側に見えている魔導機械に携わっている者ですわ。」


 開発中なのは知っている者は知っている
 それに関しての学であれば、身近な存在は男装麗人が一人
 だがそれとは違った存在がいるのを淡々と明かしている。
 公の場 隠す気も無いのは、簡単に殺しも捕らえもできない者としているからか。

モルガナ > 戦場に、そこに居座る無粋なガラクタを叩き潰すことに意欲があるのはお互い様であろうと。
互いに肉を喰らう速度が増し、食べ終えた頃には2枚の皿が二人の前に。

「盤石たるフィジカルは奇策を活かす最適解でしてよ。
 もっとも、それを可能とする要素が本来難解なのですけれど。
 しかし結果、奇策に見えてその実盤石な迎撃手段ではある、と」

 不快な音と共に歪む食器。それを取り換える様にあら、と声を漏らして。
 よほど溜まってらっしゃるのねと微笑み一つ。

対してこちらは戦局よりも盤石に情報を集めて対処法を練ってから動くタイプ。

……だからといって、先んじて戦功を挙げていることに嫉妬がないわけではない。

「その言葉。民の前では謹んでおいたほうがよろしくてよ。
 ……メイラ・ダンタリオ。王に仕えし凶刃。
 そう呼ぶ貴族共に限って民に目を向けず、故に貴女の性質を知ることもない。

 ……あの”カラス”が貴女に懐いているのもよくわかりますわ」

 あのカラス、譲ってほしいのだけれど頷いてくださらないのでしょう? と。
 忠義を越えた関係ゆえに勧誘を断ったとある男を引き合いに出し。

「……貴女は本当に”王”を慕っていらっしゃるのね」

 これを狂っていると何故皆は呼ぶのか。
 これは真摯たる忠臣故。ただ今は、そこに仕えるべき者がいないだけ。
 だが、その像はかつてあったのだ。だからこそ目の前のギザ歯を見せる笑みを湛えるのだと。

 しかし、王城の魔導機械開発に至れば、目を細めて。

「ガラクタへぶつけるのがガラクタ、という思想の者、私は大して重要視していませんわ。
 それとも、魔導機械をまとってでも王に媚びるのがダンタリオの礼儀でして?

 血が流れぬ、命が散らぬ戦になんの意味がありますか。」

 そこの見解の違いは決定的であろうか。
 狂人が魔導機械を求め、
 怪物が魔導機械を忌避し、しかし結果的に利害が食い合うことはなく。だからこそ。

「……その者、捕らえて引き渡したとして、お礼はしていただけて?」

 たまには仇敵に恩を売るのも悪くないだろうと微笑んで。

メイラ・ダンタリオ >  
 新しい肉がきても切り分ける速度、肉を食む速度は一定。
 足りない分は傍にある小さなソース壺から注がれ、また皿が濡れていく。
 咀嚼するギザ歯は簡単に肉をかみ砕き、呑みこみ、糧とされていきながら
 メイラが自身の半魔を口ずさんだ時にやや止める言葉
 片眼を閉じる仕草で、別に気にも留めず。


   「肥え豚貴族のほうがよっぽどでしょう。」


 そう言ってしまえば黙る者少なからず
 どちらがマシだと思ってるんだ で終わりだ。
 魔族混ざりより豚のほうがダメとするメイラは、グビリと杯を呷る。
 キュッ、とナプキンが口元を拭えばコルボの事を問われ、あれを欲しがっていたの?と目で問う。
 そして譲るも渡さないもいわない ただ、惚れられた方と口説き落とせなかった者の結果だろうと
 そう返すだけで済ませるのは、まだ手元からあれが消えることがないと思っているからか。



   「―――。」


 普段のメイラらしからぬ手段
 エイコーンに対し色々な手段を講じてでも、と構えながら
 無血で済むかのような解決方法が何の意味があるのかというモルガナに対し
 メイラはその赤い眼 ただでさえハイライトが薄く見える曇りガラスのようなそれを
 より霞仕立てにしたかのようなそれでジッと無表情に眺めた。



   「片腕もげれば 片足もげれば もしくはデカブツ同士でやりあう間にと思っていたけれど
    お前、わたくしがあれで参陣してエイコーンに、無敵モードかますように見えましたの?」



 モルガナが虎の尾を踏みかけている
 


   「お前 わたくしがあの御方のお役に立とうとすること 否定しますの?」


 もはや捕えたら礼云々など、耳に入っていなかった
 元より居たら捕まえる 必ずモノにすると思っているだけの段階のせいか。

モルガナ > 次の皿を頼む。この程度で満足するほどではないのだと。
突き詰めて血を呑み込む半魔と、突き詰めて人の血を磨いた家柄。
されど食欲に、己の臓腑に取り込む肉への欲求に差も区別もなく。

「貴女の前ではガラクタも豚も同じですのね」

豚の方が潰し甲斐もないでしょうにと。
欲しがっていたかと言われれば、幾多数多の言の葉をその羽に記すカラスを欲しがらぬ貴族はいないだろうと。
ただ、周囲はかのカラスが狂人に傅いているのだと誤解して、それはモルガナも同じ。
故にこそ、惚れたはれたで返されればきょとんとして微笑みを返し。

「戦場でも、武人でもない者を惚れさせていたとは」

そう聞けば、まあ納得も行くし合点も行くと、それ以上は欲しがることはない。
ただ、それで諦めるわけではない。
カラスとその友人、共同の事業に出資しているのは他ならぬミナスジェイラスなのだから。

「ちゃんと言葉になさいましな」

虎の尾を、狂人の激情を目の前にして返す言葉はそれだけで。

「互いに互いを気に入る気に入らぬを今更問い合うほど間合いを図るでもないでしょうに。
 わたくしにとって王に献上するは刃にてもたらした首と血のみ。

 わたくし、獣じみた貴女のことは大嫌いで大好きですのよ?
 そんな、同じく刃一つで王に報いる者が、何の理由も言わずおもちゃにご執心と言われれば気にもなるでしょうに。」

 先ほど受けた杯を返すようにグラスにワインを注げば、心なしか発泡が煮えるように沸き立って。

「私が引き絞られた肉と骨と皮で形作られた腹が立つほどに美しい貴女を、他の豚と同等に扱うほど、私を下に見ていらしたのかしら。」

 お前は敵である。お前は気に入らぬ。王に最も報いるに貴様は邪魔である。

 だが貴様は美しいのだと。

 言葉に忌憚はない、嘘もない。口さがなく陰口をたたくこともない。
 王に傅く二人の忠臣、その片割れが両目を開き見返して。

「そのおもちゃと作り手をどうしたいのかはっきり言いなさいな。」

 虎の尾など誰が踏むものか。どうせ踏むなら顔を直接踏みつけてやると。

メイラ・ダンタリオ >  
 見当違いなことを言って、メイラの機嫌を損ねかけたそれ
 それを煙にするようにいなす。
 普通なら、平謝りがいいところか。

 結局のところ、モルガナはその身を鍛えて変質までさせた狂人が
 全く別の手段を用いる事に弱気やダンタリオの気質が変異しているのではと
 そう疑っていただけらしい。
 見当違いもいいところだったのは認めている様子
 しかし、その辺の豚でも言いそうなセリフを私が言うものかと言われれば
 メイラもまた、少し見当違いだったことを認めるように ただ ふん 、と
 鼻で返事をして盃を干す 次を二つ分注ぎ直しながら、カチャリと両手は肉に向けられ。


   「決まっていますわ
    手元に加える 力を増す わたくしの前に立ちはだかるエイコーンの相手をさせ
    わたくしは あの男を クシフォス・ガウルスを 殺す。」


 その手は切っている最中に留まる。


   「あの御方さえいてくだされば。」


 聞いている者はいつも聞いている。


   「わたくしに突破しろと そう命じてくだされば。」


 アスピダの結界 城塞
 何度アスピダに入らせろ病を患ったか それを目の前の女は知っている。


   「本当に、どれだけよかったか。」


 手詰まりの一つはメイラ自身自由に動き回れないところがあること
 それを解消すること 行くな でも 行け でもいい
 壊すな でもいい それだけで目の前のことに集中できるものだと あむ、と肉を咥える
 それを押し込み、数度咀嚼するだけで呑みこむにまで至る咬筋力と歯の鋭さ。


   「はぁ…、…。」


 最後に溜息、ふと目の前のモルガナを眺め。
 お礼と言われても、目の前のモルガナが欲しがるものなど何があるものか。
 手元の愛刀は論外とし、コルボを売るつもりもない。
 王城内の動きならモルガナの方が詳しく、今一瞬、お前もこちら側に加えてやると
 いつものように引き込む素振りが本当に一瞬だけあったものの、別行動の方がいいと思い直した。


   「モルガナがわたくしから欲しがるもの、とは?」


 想像つきませんわね、とソースで全身を濡らした肉をもぐもぐと。
 

モルガナ > 相手はあのダンタリオである。
ただの混ざりもの、ただの突き詰めた品種改良。
そんなだけの存在であれば容易く飲まれる伏魔殿にあって、
ダンタリオはミナスジェイラス同様に王への功績と揺ぎ無い情動によってその立ち位置を盤石としている。

そんな者が仮に惰弱となるなら、目の前の女が王族を斬り捨てたように
己が目の前の女をいずこかで斬り捨てるだけ。

そういう気迫が謝罪など許さぬ。己の謝罪も、相手の謝罪も。
妥協しただけの言葉になんの意味があろうかと。

「上策ですわね。敵の不細工な玩具の相手は玩具で充分。
 ただ、そうであれば、勝手に大多数が動くでしょう。

 放っておきなさいな。互いにお人形遊びから”舞踏会で花を咲かせる”身でしょうに」

 踊る相手は決まっているのだ。無粋と無粋をぶつけ合う者が動いてるのだ。
 であれば、己の身を着飾ることが我等の本意であろうと。

「でも、おりませんわ」

 ぽつりと言葉を返す。

「どこにもいない。
 城の玉座にも、外の廊下にも、来賓室にも、大本営にも。

 しかして、常に御身なくしてうろたえる将など必要とされる方ではないでしょう。」

 知っている。己もまた座にある者を求めて傅く身。
 しかし思い描く王は違い、しかし双方共に思い描くは王の器掲げし者達だった。
 だからこそ、道は重なる。

 怨敵討つべし。
 まして、国の名高き者を騙る輩を許して空席の玉座に座る王の像が、果たして我等を認めてくださるかと目の前の女に問う。

「今までの自分を思い返しなさいなメイラ・ダンタリオ。
 幾度迷えど、貴女の刃が討つべき者を違えたことはあって?

 間違えぬなら、それは王の命と重なると同義。」

 店主を一瞥する。己よりよほどこの店に馴染んでいる狂人。
 腹芸にかまける己よりよほど民の心を掴む不思議な変わり者。

「王が愛する民草に支持されるは、王に認められるも同義。
 だからあのカラスも懐いてるのでしょう? 貴女は王が認めてくださるであろう自身の心意気に、少しは従うべきでしてよ。」

 王を敬愛するあまり己を見失う者。それを王が必要とするのかと。
 間違っているなら貴様の顔を今すぐ殴りつけてやると。
 目の前の仇敵は微笑んで二枚目を食し終えて。

「あら、ちゃんと聞いてらしたのね」

 なんのかんのと血が煮えればそれまでのことは投げ捨てて嚆矢が如く身を引き絞る。
 故に、先ほどの言葉は捨て置かれたかと思っていたが、存外話を聞いてくれている。
 嬉しい。

「物の例えではありましたけれど、そうですわねえ。
 こうして食事をするだけでもいいですし、褥も共にしていただけるなら?
 金だ品だ人材だなど、細かいやり取りなどするほど気が引ける間柄でもないでしょうに」

 戦場で幾度となく競い合ったことはないが、そういえば共にまぐわいに忌憚ない者同士、
肌を重ねたこともないなと、ふと思い至ってそんなことを言う。

メイラ・ダンタリオ >  
 「何を馬鹿なことを。
  “無き御方強請り”しているだけですわ。

  言われなくとも、わたくしがやることに変わりはありませんもの。
  だからわたくしもダンタリオもまだここに居る。」


 一々言葉に出して見つめ直させるようなセリフ
 気に入らない、と言いながらも、どこにもいないわけではない。
 墓の前でも、肖像画の前でもいい 空席のあの場でもよい。
 誓える場所などいくらでもある。


   「―――えぇ?」


 褥と出て、意外そうな口ぶり
 その反応は拒絶ではなく驚き。
 3枚目の皿になっていても、互いに口元に運ぶ速度は変わらず、盃に注ぐ酒精も追加された。
 グビッと傾けて舌がこってりとならない内に潤いを見せ。


   「まぁ、セックスしたいなら別に野外でも屋内でも構いませんわよ。」


 お前相手なら10Rくらいできそうだし、と口ぶりは軽い。
 子供を産めと言わないのはなぜかと言われれば、最初にも出ていた通り
 互いの関係性は濃くも薄くもない どちらかと言えば“まだら”か
 濃淡があるのだ。


   「ああ、でも。」


 杯の中身を傾けるままモルガナを見つめ。


   「孕んだら産ませますわ。」


 やはりそれは変わらない様子
 責任を取ると言わず、二人の子なら何ら問題なく育てるつもりの様子で。
 肉をもぐもぐと咀嚼しながら呑みこみ終えたように口の動きが収まる頃。


   「何人欲しいとかあります?」


 褥という相手にセックスだの、子供は何人だのと明け透け。
 もし人数を逆に聞き返されるのであれば、偶数、とだけ言うだろう。

モルガナ > 「たまにしか話さないんですもの。切り結ぶより言葉でかわしあうことも大事にしなければならないでしょう?
 分かり切ってることを度々口にする。意外と大事なことですのよ?」

 収まるべき口上。ダンタリオたる在り方を口にしながらも、その顔つきからは喧しいと言われてるようでそれがおかしくて。

「いいですわね野外。最近嗜んでいませんでしたわ。
 いっそ廃遺跡とかでも面白いかもしれませんわね。」

 などと、まぐわいやすい場所よりも、雰囲気を優先しているようで、しかし10Rと言われればその程度ですの? などと首をかしげる。

「残念ですが孕みませんわ。そんな馴れ合う間柄でもないでしょうに」

 あくまで礼なのだと。そもミナスジェイラスとダンタリオの子など生まれようものなら
 武門の一大勢力が出来てしまう。
 それは駄目なのだ、王の統べる国にあって必要以上に軍部が力を持ってはならない。

 ただ、ああでもそちらは欲しいようならむしろ何人? と聞いて、応えに対してなんで偶数、と首をかしげる有様で。

「代わりに宝石をお贈りしますわ」

 と、ぽつりと。ミナスジェイラスの秘奥を教えることはないが、散々に注がれた子種から生まれた宝石を分かち合うのもいいだろうと。

 三枚目を平らげて、口元を拭き、満足げに息を漏らし。

「……まだ召し上がります?」

 などと、店の肉を喰らい尽くさんばかりの微笑みで語り掛けて。

メイラ・ダンタリオ >  
 偶数と問われ、首をかしげるモルガナ
 メイラもまた、パチリと瞬き一つ わからないのかと言いたげで。


   「王城で働くのもまた王への役に立つことですもの。
    モルガナに似た子ができるなら重畳。
    わたくし側の強い子もまたほしい。 だから偶数ですわ。」


 後は向き不向きでしょう、と答えれば納得するだろう。
 宝石などと言うのには、そういったもの メイラが身に付けることも所持しているという話も
 まるで聞いたことも無い癖に良く言う、と言いたげ。
 だが剣も鎧も、メイラは既に満たされている。
 ほかに欲しいものが浮かばないといったものかと、余り反論する気もなく。


   「わたくしももう結構 好い肉が入ったからと誘われただけですもの。
    充分満たされましたわ。」


 極厚なハンマー・ステーキが三皿ずつ。
 ナプキンを襟から外し、畳んで置いてしまえば両手はナイフとフォークではなく酒精片手になるか。
 孕む孕まないは、強ち“勝ちそうな”気がするのは黙っている様子。
 懐から合計6皿 ゴルドは剥き身ではなく袋に包まれた状態で先に指示し、受け取らせれば酒精を注ごうか。
 大分話はズレたが、そろそろこの小さな食事会も終わりを迎えるだろう。

モルガナ > 「互いの子が生まれたとしてこちらに渡せば王の役に立つとは」

 相手もこちらを認めてはいるのだろうと。
 しかし相変わらず言葉足らずだとも思いながら。

 貴女を将と慕う兵がいるならば戦場に輝く飾りの一つもお付けなさいなと、
 勲章一つ身につけず好きな装備だけ持ち込んでいくことだけは不満を言う。
 王がおられて賜った勲章があったとして、それを掲げぬのかと。

「まあ、確かに良い肉でしたわね。こういう店で食べる度に、よその邸宅で良い肉がと、言われた時の失望と言ったら」

 餅は餅屋ならぬ肉は肉屋。ことさらステーキハウスに勝る店もないだろうと。

 まぐわいにあって勝ち負けは求めていない。モルガナにとってそれは”性交渉”であり
肌を重ねてお互いを味わうのが本意ゆえに、それに、メイラになら”負けても”いいだろうと思う事もある。

残りの酒を注ぎ合いながら、尽きるまで語り合い、その場の席も終わりになれば、
肉のお礼はまたいずれ、と、連れ立ってその場を後にするだろう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 レストラン」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 レストラン」からモルガナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にイェフィムさんが現れました。
イェフィム > 富裕地区のとある屋敷、その屋敷で行われているのは小さなパーティ。
その貴族の家の子供の誕生パーティらしい、らしいというのはそれに興味がないからだが…。
といっても畏まったものではない、なんせ給仕として冒険者が雇われたりしているくらいだ。
招待を受けた貴族たちの中にはそんな給仕たちに眉をしかめる者もいたりして、
それを見て少女は内心くつくつとほくそ笑んでいた。

「……ふぁ。」

く、と小さくあくびを一つ。
周りからは見えないように、片隅の方でサボって…もとい休んでいた。
義両親が離れてあいさつ回りに言っている今くらい休ませてもらいたいもんである。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に劉若汐さんが現れました。
劉若汐 > 小さなパーティにそんなに多くないがミレー族とは違う毛色の数名が参加していた。
狐耳だったり犬耳だったりといった耳付きにシェンヤン地方に見られる服装をアレンジした服装に身を包んだ集団である。
その中に一際小さい人影がおりやがて話が弾んでいったのか、
小柄な人影を残して数名ほどと給仕の冒険者一人とともに去っていく。

やがて一人残された小柄な狐耳少女は隅っこに避難すべく
いそいそとだが貴女様付近にまで歩み寄っていってしまう。

「あ.失礼致しますの。」

狐耳と尻尾は冬の気候柄とてももふもふそのものだった。

イェフィム > サボって…もとい休んでいた少女の目に留まったのは、
ミレー族とはまた少し違うように見える不思議な種族。
まぁ、といってもミレー族に対してもそこまで偏見のない少女からしてみれば、
耳と尻尾があることが違うくらいで人間と大差ないと思っているのだが。
適当に近くの給仕に頼んでアルコール入りのカクテルを注文して、
それを手に取って喉を潤していたところで声がかかればこて、と小さく首を傾げ。

「これはこれは、初めまして。
 どうぞ、私だけの場所ではありませんから。」

もふもふ…。
その耳と尻尾に少しばかり目を奪われつつ、
劉の言葉にそっと近くにある椅子を指示して。

劉若汐 > 一人取り残されるとコミュ障ならぬただの物静かな性格上とても困ってしまう。
壁に避難とばかりに歩いて行ったら先に先客がお休みしていたのだった。
礼儀としては挨拶はしておかねば不味いのではと思い、口上を述べたのだけど、
自身よりは恐らく年上の少女、いな女性と見える気がして口調は考えたが丁寧に努めるようにした。
傍からすれば背伸びを志した少女といったところ。

「あ。お初お目に掛かります。
 わたくし、リィゥ・ルォシーと申します。
 連れがほぼ話が弾んでしまい残されて途方に暮れております。」

カーテシーを慣れた手つきで行ってから姿勢を正し
通りかかった給仕にノンアルコールのジュースを頼んだ次第。
椅子へと勧められたのならばいそいそと貴女様の近くの椅子に腰を下ろします。

イェフィム > こちらへ歩いてきた劉に向けて、あくまでも外行き用の笑顔を向けた。
それは少女の習性的なものなのであまり気にしないで欲しいところである。
正直この世界では見た目の年齢がそのまま中身の年齢となるかわからぬところ。
なので、相手がいくら少女に見えても礼儀を欠くことはしたくなく、
そっと椅子から腰を上げてドレスの裾を摘まんで軽くお辞儀をした。

「ご丁寧にありがとうございます。
 私はイェフィム・ティル・ルクス。
 義両親が挨拶回りに言っているので取り残されていました。」

劉の言葉にクスリと微笑むと、カクテルのグラスを持ち上げて軽く乾杯を。

劉若汐 > 貴女様の余所行きの笑顔とは露知らずというか見抜く事はできない。
狐少女は年齢について聞くことはしないのだ、あと服装についても特に奇抜でない限り気にしない。
だって自身が見た目詐欺をよくするから外見より中身を磨く事を心掛けている。
そうこの世界 見た目がすべてではない、そう本当に。

「ルクス家の方々でしたか。お互いに取り残された者同士ということですね?
 暫し語り合いが出来ればうれしい限りです」

運ばれてきたジュースのグラスを給仕から受け取ると
グラスを持ち上げて軽く乾杯を。そして静かにグラスに口付けて一口二口飲むのだった。
美味しいと言わんばかりの無垢な笑みを貴女様へと見せるように。

イェフィム > 此処での笑顔は余所行きの笑顔だ。
少女が 見た目詐欺をしていようといまいと、
それも自分に深く関係のあることではないし、
万が一見た目詐欺だったとして、接し方が変わるわけでもない。

「ええ、両親は挨拶回りに忙しいようなので。
 でしたら良ければお話しませんか?一人だと退屈でしょうし。」

軽く掲げられるグラスを目で追いかけ、
その中身を一口、二口と喉に流し込んでいく。
見た目に寄らず度数が高めなのだろう、
喉に焼け付くような感覚に少女は目を細め。

劉若汐 > 物音に反応してモフモフの狐耳がその音を発した方へと向く。
話し声はあちらこちらで発生しているから都度あちらこちらへと向いてせわしない動きをする。
落ち着こうとするも座っている椅子の隙間から尻尾が出てしまう。

「貴族ならではの挨拶回り。
 そうですね一人だと退屈で時間つぶしが苦痛になりそうです。
 喜んで。何を話すことにしましょうか。」

ノンアルコールのジュースなので果実の味がする。
アルコールはお外ではめったに口にしない、
貴女様が飲む様子を見てカクテルとはどんな味なのかと心の中で疑問が尽きなかったという。

イェフィム > もふもふ…。
少女の目は劉の耳に、尻尾に向けられていたが、
女性の身体をまじまじと見つめるのも不躾だろうと思った。
耳を傾ければ、あちこちから挨拶回りの声や、貴族の子供たちの笑い声や、
はたまた大人のゲスな話題の声が聞こえてくる。

「ふふ、そうですね、でもまぁ…義務みたいなものでしょうから。
 カクテルの味、気になります?
 でも、いきなりこれはさすがにキツイと思うので、もう少し度数の低いモノから試すことをお勧めしますよ。」

ノンアルコールのジュースもたまに飲めば美味しいだろう。
少なくとも平民地区や貧民地区で果てに入らない新鮮な果実の味がするだろう。
ふわりと目元を赤く染めながら、ふふふ、と微笑みを浮かべて。

劉若汐 > もっふもふでふわふわもこもこ。
よく撫でられたり触られたりされるけど―今日は触られていない。
貴女様からの視線に首を傾げて何でしょうかと思ったくらい。
聞くことはせず耳と尻尾の誘惑を知らずに撒き散らし中。
聴覚がよいので周りの声や笑い声は聞かないようにしている。

「気にはなるのですが飲むことはダメといわれているので
 気になるというだけで終わりそうです。
 でも飲むことが許可されるようになったら度数の少ないものを挑戦してみます」

平民地区はまだしも貧民地区はまだ訪れたことはない。
そのうちお勤めで貧民地区は赴くことがあるやもしれない。
酒類は…酔うことはできるのかという疑問がある。よくわからないと思っている狐がいた。

徐に

「尻尾触ってみますか?」

なんて貴女様に聞いてみようと尻尾を揺らしながらお尋ねを。

イェフィム > もっふもふのふわふわもこもこ。
自分にはないそれに目が行くのも仕方ないことと言えばそうかもしれない。
首を傾げられたのを見れば、何でもない、とばかりに首を左右に振り、
耳と尻尾の誘惑をまき散らす様子に…少女もうぐ、とうめき声。

「ふふ、そうなんですか。
 それなら飲まないようにしておくのが一番ですね。
 私も、普通ならもう少し待った方がいいんでしょうけど…。」

酒なんて一桁年齢の時からたしなんでいた身。
今でこそしゃんとしているが、普段は不良騎士。
そんな少女はカクテルグラスを傾けながらクスリと笑った。

が。

「え。」

劉の問いにビク、と肩を揺らした。
……イイんだろうか、という目である。

劉若汐 > お手入れの時間に多くを割くけど、その分手をかければ
毛艶も出て毛並みもよろしく触り心地も抜群そんなものがもふもふしてる。
視線にようやく気付いたころ合いには うぐっとうめき声を貴女様が出した前後でありました。

「何やら記憶が飛んで大暴れしたらしくて
 酒を飲んじゃいけないレベルらしく。今後も強制でなければ飲む機会はないかななんて。」

酒 いい思い出がない。
酒は強いはずだがよく飲んだら最後記憶がない。
狐耳や尻尾を揺らし誘惑をまき散らす、普段の姿は現役番匠。
ジュースを飲みほして通りかかった給仕にそれを渡してから辺りを見渡し。

「今ならだれも見ていません。どうですか?いいんですよ」

ここにブラシがあります、と毛すき用のブラシを徐に貴女様へと差し出す悪魔の手ならぬ狐の少女の手。

イェフィム > なんというか、人間にとっての髪の毛みたいなものだろうかと。
手間暇かければ時間もかかるけれど、その分艶も出て、撫でれば心地よさそうだ。
ぐう…、と呻く少女の声に前を通った給仕は不思議そうな顔をしていた。

「……それは、確かに飲まないほうがよさそうですね。
 無理やり飲ませるような野暮な人はいないと思いますけど…。」

ふわふわ…。
そんなふわふわを前に、少女はくつりと笑う。
大暴れを見てみたい気もするけれど。
もこもこ…。
コクン、とカクテルを飲み干し、
こちらもグラスを給仕に返すと、きょろきょろとあたりを見渡し。

「……で、では…少しだけ…。」

ブラシを差し出されると、それを受け取って、
少女のふわふわもこもこもっふもふな尻尾を優しく毛づくろいしていく。

劉若汐 > 人間の女性も髪のお手入れには時間と手間(お金)をかけると聞く。
狐少女は一人でよく行うが時間がないときは供回りの方にしてもらう。
毛繕いはお外でやることはめったにないけど毛の向きに総じて撫でて貰えればとても助かる。

「ですので酒は造っても恐らく試飲すらできないのではと思うのです。
 どなたか試飲なり飲んでもらって感想を聞くしかないとか。
 無理やりとかはその様な方とは遭遇しておりません。」

どう大暴れしたかは記憶がない。当時いた人からは
むくむくと大きくなって毛むくじゃらの狐が二本足で暴れたと。
どこの怪獣ですかと突っ込みをしたのがあるようなないような。

「どうぞ 存分になさってください」

隅っこで少女と少女による毛繕いの時間が始まった。
ふわふわもこもこもふもふの尻尾をブラシですいてもらう。
気持ちよさそうに目を細めてされるがままの狐少女がそこにいた。

イェフィム > 狐少女のふわふわもっふもふな尻尾を前に、
んぐ…、とまた少女はうめき声をあげた。
触りたいのだろう、それはもう触りたいのだろう。
恐る恐る、壊れ物でも扱うかのように、ふわ、と尻尾に触れた。

「それなら良かった。
 そういう人は相手にしないのが一番です。
 美味しいものを美味しく飲み食いできるのが一番だし。」

狐少女の大暴れ…、想像つかないがゆえに見てみたい気もするが、
だが、やはり趣向品は楽しく飲み食いできるのが一番である。

「うわぁ…ふわふわ…。」

自分の髪の毛とは全く違う感じの触り心地。
それを毛の向きに沿うようにしてブラシで撫でていく。
そんな二人を見て少し微笑ましそうにしている給仕もいたとか。

劉若汐 > 尻尾はわりと触れても元が柔らかくふわふわだし冬毛だから
冬限定だけどもこもこ枕としてもよく小さな子供たちの枕にされがちだった。
その時は毛編みの時間として割り振っていたりする。
何かと葛藤している様子の貴女様の遺志を見守っていたがやがて触る様子にどぞと。

「日ごろから手入れを欠かせない尻尾です。
 小さい子供たちのあやす時にも尻尾を枕にされたりとかしますが、
 やはり子供たちに人気なのは耳よりも尻尾ですね。

 ご堪能していただいて何よりです」

存分にでも丁寧にブラシで撫でていく様子の貴女様を見守ります。
尻尾が大きいから振り向けもできる、暫く撫でてもらう時間を過ごし
やがて別れの時が訪れるまで平和な時間を堪能したことでしょう。

イェフィム > 「やわっこい……。」

ふわふわもこもこ……。
柔らかい冬毛の尻尾をす、す、と梳いていく。
狐少女が普段から大事にしているのかな、と思わせるほどだ。

「…でしょうね、こんなにきれいな尻尾ですから。
 とても奇麗です、そんな尻尾を触らせていただいてありがとうございます。」

ふふふ、と緩く笑いながら、
さわさわ、すいすい、と毛並みを梳いていき、
他愛もない話を堪能したことだろう。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からイェフィムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」から劉若汐さんが去りました。