2023/09/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にヨハンさんが現れました。
■ヨハン > とある貴族の屋敷。そこで行われるパーティの護衛。
それが今回の依頼であり、青年はそれを受けて待機していた。
周囲にはほかに護衛として雇われた者たちがいるが、しかし全員あまり身が入っていない。
実際のところパーティとは言うがここに来る者達は欲望に塗れたパーティをするつもりであり。
内側を見れば、人や異種族が値札を立てられてオークションをしている。
「人も多いし、こんなところ襲う人なんているのかね……」
なんてぼやく声に、周囲の仲間たちは耳にも入れない。
麗しい村娘。珍しい種族。それらを目に入れながら、少しでもその姿を見ようと必死である。
そのつもりであれば、自分たちも手を挙げて”商品”を買ってもいいらしいが。
「(ま、興味はないな)」
そう思いながら、やる気のない護衛をしつつ、オークションの様子を見守って。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からヨハンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にゴットフリートさんが現れました。
■ゴットフリート >
空に浮かぶ月が、そろそろ中天に差し掛かる。
夜更けと呼んでも差し支えない時刻。
けれど、この地区が完全に眠りに落ちるにはまだ早い。
酒場から毀れる喧騒、数々の屋敷で催される宴、それらを警備する兵や冒険者。
そういった、人の営みの気配は、この時刻になっても絶えることはない。
けれども、そんな気配から切り離されたような場所もある。
例えば、大柄な男が歩いている、この公園もそういう場所のひとつだ。
平民地区と、富裕地区の境目にある、中央に噴水を備えた広い公園。
そこに、無造作な足音が響く。
忍ぶでもなく、目的地に向けて急ぐでもない、散策めいた足取り。
ほんの少しだけ、それが乱れて聞こえるのは酩酊しているが故だろう。
「あァ――まったく、くだらん酒と料理。くだらん宴だった。
良い女もいなければ、話もつまらん。
成り上がりの宴など、所詮はあんなもんか――無駄な時間だったもんだな。」
体躯に見合った、遠慮のない声量の遠慮のない言葉が響く。
長年、他人に命令を下し、呵責なく踏みにじることに慣れた人間特有の低い錆声。
巨躯、と呼んで差し支えない体躯だが、年の頃は盛りを過ぎた初老の姿。
身形を見れば、大方、貴族か豪商とわかるだろう。
富裕地区とはいえ、こんな時間にこんな場所を供も連れず歩いていて良い身分ではない。
けれど、それを気にした風もなく
歩く足取りは、公園に並ぶベンチのひとつに辿り着き、腰を下ろす。
眠気と、酩酊を噛み殺すような欠伸をひとつ零す。
警戒――している様子はどこにもない。
王都の治安を信じているのか
―――…キリ――……キリ―――……。
あるいは、男が座るベンチの背後。
見る者もいないのに律義に役目を果たす噴水の、水音に紛れる微かな音。
何かが、例えば歯車のようなものが微かに軋むような音。
それが、不敵――あるいは、無防備な姿の所以かも知れない。