2025/05/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」にれあさんが現れました。
■れあ > 気が重いとはまさにこのこと。
しかし糧を得るため、生きるために足は冒険者ギルドに向かう。
毎日2回行動3回行動と精力的に依頼をこなしてきたのは、早く自らの「格」を上げて、お金の良い依頼を受注できるようにするためだった。
そしてその先には、フリーとなり、ギルドを介さずとも仕事が入ってくる…そんな人生設計を立てていた、女冒険者。
その足取りが冒険者ギルドの立派な建物が見えた所で鈍る。
…というのも、昨日の午後、「悪い大人の策略」にハマり、今から踏み込む冒険者ギルドの1Fフロアの隅、文字通りその一角で、チョメチョメされてしまう事態となり、裸を晒したばかりか、善がりアヘッて…とにかく人類史上(?)まれにみる悲惨な痴態をその名に来ていた冒険者達に目撃されていたのだ。
その時その場にいた粗野で下品な男冒険者達の1/5くらいが、「武士の情け」としてあえて見て見ぬふりをしたような状況だった。
私可哀想すぎる…。
流石に昨日の夜はギルドには顔を出せず布団をかぶって眠り、今朝も本当は朝市一番に仕事を引き受けようとおもっていたのに、お布団から出れず、不登校気味になり、それでお昼前にやっとここまで来た、という流れ。
ギルドの建物を前にPTSD発症しそうになり、胸を押さえて何度も大きく腹式呼吸。副交感神経優位になぁれ。
「…よしっ」
毅然とした態度で再び歩み出し、そしてつい昨日の午前中までは謎のミステリアスかつ仕事の異様に早い東邦人女、近寄りがたくて若干浮いてるクールビューティーとしてギルドに突入した。
そしてサササと依頼掲示板前の集団に紛れ、依頼を探しだす。
■れあ > いつもと同じように掲示板の依頼文の文字を目で追うのだけど、情報が一切頭に入ってこない。
全神経が、冒険者ギルドフロア全体の方に向いているのだ。
昨日現場にいた冒険者が、今まさに「あ、あいつだw」と嗤っているのではないか。
昨日現場にいなくとも、噂を聞いた冒険者が「あれが噂の?w」と、そんな目でこちらを見ているのではないか。
自意識過剰かつ疑心暗鬼状態で、思考は地獄へ向かって走り出す。
とりあえず、依頼を見つけ、カウンターで手続して、パッと立ち去る。
これが今の最上の策なのに、文字の読み方を忘れたレベルで、何も読めない緊急事態。
ぞわぞわした気分になりながら、チラと視線を左右に忍ばせれば、こちらを見ていた冒険者と不意に目が合い、どきーん!と心臓が跳ねる。
慌てて視線を逸らし見た先は、昨日自分が乱れに乱されたフロアの隅。
その隅では2人の男冒険者が、なにやら床や空間を指さして話し込んでいる。
ふたたびどきーん!
落ち着け私。ああやって隅っこの方で「仲間内の大事な話」をするのは自然な事。事実違うコーナーにも似たような人たちはいる。
心臓が踊りまくる中、再び掲示板へ視線を戻す。
とりあえず文字を、活字を、読まなくては……!
■れあ > 何も事情を知らない人が見れば、こちらの土地の文字に不慣れな東邦人が、必死にリーディングしているように見えるでしょう。
フロアのそこかしこで囁きのような談笑が聞こえるたびに、情緒を著しく乱しつつ、それでも、10分、20分と、掲示板の前に立ち続ける。
そしてその間、面と向かって下品な暴言を吐かれるとか、不意に体に触られる等の、自分が危惧していたようなことは起こらない。
心も体も、「あれ?」と思い始める。
もしかして大丈夫なのでは??と。
更に10分ほどが経過し、やや緊張がほぐれると、読めなかった文字が読めるようになってきた。
ほっと胸を撫でおろしつつ、端から依頼文を読み漁る。
それなりに楽で、お金がいい。そんな良さげな依頼は無い。
危険度は高くてもいいので、お金の良い仕事は……
「今日はイマイチか…」
ようやく一つ目の掲示板に目を通し、そそくさと次の掲示板へ移動する。
その移動中にまた男冒険者と目が合い。心臓が跳ね、新たな掲示板の前に立つと文字が読めなくなっていた。
立ち尽くす中、何事もなく時間が経過して、また文字が読めるようになる。
冒険者は男性の方が圧倒的に多い。
なので「女冒険者限定」とされている依頼に良いものが残っている場合が多い。
そんな目線で探しつつ、個人的に心のオアシスな「キッズギャング」関連の依頼を並行して探す。
キッズギャングとは主にチームを作って諸々の犯罪行為を行う貧民地区のストリートキッズ達のことを指し、このキッズギャング関連の仕事は、今日みたいな心理状態の日には、ネバーランドに遊びに行くが如くの気分で出来る仕事だった。
「あった!キッズギャング…え?ペア仕事?なんでよっ…」
見つけた仕事の条件に2人一組とあり、がっくりと肩を落とす。
■れあ > そして掲示板を移動する事3度。
見つけた依頼は2つ。
①貴族お抱えの芸術家が、女冒険者を探している。仕事内容は直接説明する。
②メグメール(喜びヶ原)の街道に出没する盗賊団Aのアジトの特定。
「うん。これはこっちかな…」
選んだのは②。
①は美味しい案件の可能性と、バカ案件な可能性がフィフティフィフティー。ギルドからの紹介で一度引き受けた以上、現地で説明を受けて「やっぱやめます」となったらペナルティが発生してしまう。
その点②は、個人的には得意な隠密任務であり、アジトを早く見つければそれだけ早く終わり、また追加報酬として盗賊団員を拘束・殺害で追加報酬も望める。
まさにデキル忍びのための任務と言えた。
ピッと依頼文を手に取り、カウンターへ。
幸い、カウンターに立っているのは昨日とは違う役人。
冒険者登録証と、依頼文を提示する。
「これ受けます。それと、昨日ゴブリン退治4体の報酬を受け取り損ねていたので、それを」
■れあ > カウンターでの審査を通過して、正式に依頼をスタートさせる。
より詳細な「メグメール(喜びヶ原)の街道に出没する盗賊団A」の情報を入手し、それに目を通す。
おもに暗くなってから行動し、非武装商隊や旅人を狙い、その手口は、有無を言わさずに襲い、殺して金品を奪うという極悪なもの。
この春から活動していて、その被害は確認されただけで23人。
集団での捜索では直ぐに察知されてしまい、また非武装を装ったダミーの商隊には引っかからない等、狡猾さが目立つ。
襲撃を受けて重傷を負い、死んだと思われて放置されていたが奇跡的に助かった男奴隷の証言では、5人の大柄な男達で構成されていて、皆腕にワニの入れ墨をいれていた。
「なるほど、盗賊団Alligatorか…」
書類を役人に返却し、非道な盗賊団Aへの怒りのテンションを上げる。
これはアジトを押さえるだけでは済ませない。
極力とらえて、皆の前に引きずり出すべきでしょう。
「世の中そんなに甘くないって、教えてやらないとね」
決戦は今夜か。
無事依頼をゲットして、冒険者ギルドを後にしました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者ギルド」かられあさんが去りました。