2025/05/02 のログ
■れあ > この国に来て、ここに顔を出すようになってからまだ一週間弱。
せっせと仕事をこなした結果、「最近よくいるやたら仕事の早いよそ者女」的な悪目立ちはしてるかもしれないけど、気さくに話しかけてくるような「仲間」はまだいない。
そんなこんなで、まあ一人で若干浮いてる訳だけど、特に気にせず…。
いえ、少しだけ周囲を意識しつつ、お料理カウンターへ移動し
「一番強いの頂戴」
とか言いながらお酒を頼み、あとはもうこれが夕餉でいいやと、パンと卵と、トマトを貰い、席に戻ってきて一人でパクパクゴクゴクする。
「……」
全てがお腹に収まった後思う。
まだ全然足りない。
席を立ち、再びお料理カウンターへ。
「動物性たんぱくとお野菜頂戴」
お肉とサラダとパンを手に、また席に着く。
「よく食うな…」的な視線が若干恥ずかしい。
ええい、私は消化吸収力高いんです。身体が資本なんです。黙っててください。
■れあ > いつもなら、食べたらさっと次の依頼を探す所だった。
でも、今日に限ってギルド内に留まり、なんとはなしに周囲の空気を探っている。
それはなぜか。
実は昨晩、ほんの少しだけヘマ…というか、想定外の馬鹿に出会い、結果半裸に剥かれておっぱいを見られるという失態を、ココ冒険者ギルド内で犯してしまっていた。
それは別に1階の皆の前でではなくて、2階のとある一室で、一人の男に見られただけの話だけど、なんかその事実に尾ひれがついて出回っていないか気になって、それを探っているのだった。
うん、正直恥ずかしぃ。
そんな恥ずかしさもあり、手元には「友」としての一番強いお酒を備えていた。
当然と言えば当然の心配だけど、自意識過剰と言えば自意識過剰な心配と言えるでしょう。
とりあえず、仕事管理してる役人や、料理人の態度には怪しい素振りは無かった。
一安心。
ぐっとお酒を飲む。
■れあ > そんな訳で、暫く探りを入れ続け、グラスが空になった頃合いで、「調査」を切り上げ立ち上がる。
調査結果は──問題なし。
そうと決まればまたいつもの自分に立ち返り、仕事依頼掲示板の方へ。
まずは「猫」とか「温泉」ってワードを最優先に探して、それらに関する依頼がない事を確認してから、後は危険度構わず報酬のよさげなものをピックアップする。
目ぼしいものの中から、自分のランクで、しかも女一人で受注可能なものを洗い出す。
結果的に討伐系の依頼は全て消えて、最終選考までのこったのは…
①依頼主は貴族。晩餐会での見世物として、男と格闘戦を行う。女冒険者限定。
②依頼主は商人。商隊の護衛。奴隷市場都市バフートへの往復2週間。食事つき。女冒険者限定。
「これ……かなぁ?」
うーんと首をひねりつつも、手にしたのは、①の依頼。
見世物扱いは腹立つけど、そこはさっさと勝てばよいだけの話。実際お金は良い。
②は拘束時間が長すぎる。あと個人的に奴隷商人に加担はしたくない。
仕事の依頼文を手に、受付へ。出来上がっていた先の仕事の報酬金を受け取りつつ、すかさず新な依頼を受注する。まさに仕事の鬼。
「これ、よろしく」
件の貴族には明日の朝に出向くとしましょう。
■れあ > ギルド発行の委任状と一緒に、より詳細な依頼文を合わせて受け取る。
「えーと、なになに…貴族のバカ息子が、奴隷格闘が大好きで…」
そんな息子に、父親は格闘用の奴隷を購入して、同じような趣味の貴族が奴隷を持ち合うお披露目格闘大会を企画した。
私はその息子専用格闘技奴隷の対戦相手をする…ということだった。
「え?男冒険者だと負けちゃうから、女冒険者を相手にしたって事?ダッサ…」
依頼文には「息子の奴隷に花を持たせろ」みたいな事は書いてなかったが、こうなるとお金がイイのが凄く気になる。
「…一応仕込をしておくか」
ぼそっと呟きつつ、冒険者ギルドを後にしたのでした。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」かられあさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアルカさんが現れました。
■アルカ > 空が橙から黒へと変わる頃。
大きな広場の一角、数人規模の小さな人混みがひとつ。
中心から響くは蒼の髪の持ち主から放たれる透明な声による歌。
即興の歌詞と旋律で奏でられる歌を終えて、観客達からの控えめの拍手が彼に送られる。
「 ーー ありがと、ございましたっ! 」
聴いてくれた一人一人に深々と頭を下げ、足元に置いていた小銭入りの木箱を拾い上げる。
広場を離れて、目に入った路地裏へと入り込み。
観客の皆様がお気持ちとして渡してくれた小銭の数を確認すれば。
「 ……今日はちょっとだけ、贅沢していいかも。 」
口の端を吊り上げて嬉しそうに微笑み、薄暗い路地裏の中でも目立つ蒼髪を揺らす。
昨晩の食事はパンの耳だけ。今日は甘いものでも食べようか。
隙だらけで無防備な少年は、口に溜まる涎を飲み込んだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルカさんが去りました。