2025/04/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にれあさんが現れました。
れあ > ここは平民地区にある冒険者ギルド。

「じゃあ、これで」

そう言って受付に渡したのは、依頼達成の証。
それを確認してもらうと、報酬を貰うための手続きに入るのだけど、まず30%くらいはギルドの仲介料として差っ引かれ、更に冒険者登録証発行時の登録料を前借りしていた分として、残りの70%を持っていかれ、詐欺じゃないかと思うような少額報酬を受け取った。

「……これでもう借金無いからね」

事務的に仕事をこなしているだけの役人に怒ってもしかたないけど、とりあえず殺気交じりにそう釘を刺した後、肩を回して疲労度をチェックする。

「いけると言えばいけるけど、休みたいと言えば休みたい、かな」

チェック結果を口に出し、良さそうな仕事があればとりあえず抑えておこうと依頼案内板のある壁際へ。
ある程度の人だかりに混じって、ボードを見上げる。

れあ > 個人的な狙いは、危険度が高くても拘束時間が短くて報酬の良いもの。
いいのないかな~と探してる間、隣の馬鹿男がグイグイと押し込んでくるのが気になる。
こちらも見た目よりもずっと体幹強いので、さりげに肘を張り、男のあばら骨にねじ込んで押しかえす。ギャ!と声が上がるけど無視無視。

「うーん……いい感じの依頼はないか…」

隣の男が暴れ出しそうな気配を感じ、依頼案内板は複数あるのでその場を離れて、また違う壁際へ。
移動先でも後ろから、横から、見えていないかの如く男冒険者が押し込んでくる。
ちょいちょい感じてたけど、基本的に男性冒険者たちは(まあ女もアレだけど)、無頼の輩タイプが多い。
生まれながらに体格が良くて暴力が得意だから冒険者になったとかって背景が透けて見えるようだ。

ここでも同じように小技を駆使して居場所をキープ。
そうしながら依頼を閲覧していく。

いい仕事をゲットするのも大変なのだ。

れあ > 何時しか結構露骨な押し合いへし合い合戦になって、堪忍袋の緒が切れる。

「ちょっと!うざったいんだけど、もう少しで閲覧終わるから待ってなさいよ」

振り向き、睨み、怒鳴りつける。
相手も「女だから力押しでなんとかなるやろ~」って感じでノーマナーしてたらしく、噛みつかれて驚いている。

「ふんっ」

一瞥くれた後、また閲覧に戻る。
壁に貼ってある依頼文は、捲って読まないといけないものも多くて、後ろからグイグイやられてたら読めないのだ。

「あ、これなんて…」

いい感じの依頼を見つけた!と思って気を抜いた瞬間
さっきの男がほとんど体当たりみたいに突き飛ばしてきた。もう少しで危うく依頼文を破くところ。
振り向けば、なんか「女にコケにされたままだと男の沽券にかかわる」みたいな顔して息まいてる男の姿。

「しつこいっての!」

そのムカつく顔にビンタかましてバトル開始。

れあ > 相手の顔をめがけて放ったビンタ。
中途半端に頬を叩くだけなら、男を逆上させるだけ。
でも「本気で喧嘩するつもりのビンタ」なので、目に指を入れる勢いで顔の真ん中を叩いていた。
「おうぅ」とか言いながら涙目をしぱしぱさせたノーマナー男は瞬間的に無防備になる。
顎を蹴り上げて数日はご飯を美味しく食べれなくさせてあげるか、股間を蹴り上げて男のプライドを粉々に粉砕するか──きめた。顔がムカつくから顎を蹴る!

バキっと打突音が室内に響いて、ノーマナー男はそのまま後ろにひっくり返った。
衝撃が脳まで抜けたのか、ビクビクと動いている。

私は身をかがめ、相手の冒険者登録証を手に取って確認。
名前とかはどーでもよくて、見たかったのは冒険者ランク。
私はここでは駆け出しなのでまだ最低ランクなんだけど、なんとコイツは私よりも2つも上のランク帯だった。

「ランキングって一体…」

周囲の視線を無視して、男のお腹の上にぽとんっと冒険者登録証を返し、再び依頼板へ。
心なしか周囲が少し左右によけてくれた気がする。

さっき目を付けた依頼文を改めて隅々まで読み進め、最後の最後に「男性限定」と書いていて、がっくりと肩を落とした。

今夜の仕事探しはここまで。
もう少し粘ろうとしたけど、今日は変に目立ってしまった。
新米だけど腕の立つ冒険者として顔が売れるのは悪い事ではないものの、ここはサッと消えるのが「忍び」として適切か。

「お騒がせしました」

そんなセリフを残して、ギルドを後にしました。