2024/11/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
■ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。
この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。
なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。
「…ん」
そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にミルラさんが現れました。
■ミルラ > (その古書店に足を運ぶのは二度目。
一度目が学院の制服を身に着けて参考資料を探しに訪れた。
けれど不思議とその時の記憶は曖昧で、目的のものを見つけられずに帰路についた。
酷く疲れていたことしか覚えておらず不思議に思ったもので。
そして二度目は私服。ジャケットの下にはシンプルなチュニックシャツとキュロットスカートを履き、
少女然とした風貌は相変わらずで、依頼を請けてこの古書店に本の修繕依頼にやってきた。)
「こんにちは。修繕依頼なんですが……、――――?」
(ベルを鳴らして店内へと入れば、カウンターの奥にいる少年に目を瞬かせる。
以前も確か彼がいたなと思い出すようにまじまじと顔を見つめ、何かに引っかかるような、
思い出しそうで思い出せない何かに首を傾げる。
とりあえず鞄から本を出して、カウンターへと依頼主の手紙と共に差し出して。)
■ラリー > 来客である少女の姿を認め、少年は表情を動かさないまま瞬きを一つ。
以前のように学院の制服でない私服姿に軽く新鮮味を感じながら、
カウンターへまっすぐ歩み寄ってくるのを見ればこちらに明確な要件があると察し、
手元の本を閉じてゆっくりとそちらへ向き直って。
「…いらっしゃいませ。わかりました、少々お待ちください…」
見つめてくる視線に特に動じた風もなく、抑揚のない低い声で答える少年。
彼女としては、少年の声を聞くのはこれが初めてのはずである。
しかしその声に、彼女は不思議と耳馴染みを感じる…かもしれない。
ともかく少年は差し出された本を受け取り、黙々と手紙を確認し始める。
「…確認致しました。では、こちらを依頼主にお渡しください。依頼を受諾した証明書のようなものです」
確認した手紙をしまい込み、小さな紙にさらさらと何やら文字を書きつけてゆく。
見れば、少年の言葉に相違ない内容の簡素な書類であることが確認でき、最後に少年のフルネームが書かれている。
…それを目にした瞬間、ざざ、と彼女の脳裏に何かノイズめいたものが一瞬走る感覚を覚えるだろう。
彼女自身の意識に、特に変化はない。少なくとも彼女自身に、なんの自覚もないはずだ。
だが。それを受け取ってあとは彼女は店を後にするだけである、そのはずなのに。
何故か彼女は、そこから一歩も動こうとはしないだろう。
■ミルラ > (初めて聞いた声なのに、抑揚がなくとも不思議と耳に馴染む声を聞きながら、受け取った本を確認する作業を見つめる。
修繕費も手紙の中に入っているので、あとは証明証を貰えば用事は終わりだ。
邪魔をしないように静かに待ち、何かをしたためるようペンを走らせる音を聞きながら、差し出されたそれを受け取る。
確かに修繕依頼を受理していることと店名に名前、それを確認すれば何事も感じなかったように、それを鞄の中へとしまう。
あとはこれを依頼主に渡しに行くだけ。)
「ありがとうございます。それじゃあ、宜しくお願いします、……、――――?」
(そう言って頭を下げて立ち去るだけという意識はありながら、体の動かし方を忘れてしまったかのように動かない。
糸の切れた操り人形が直立不動で立っているような。あるいはマネキンに近いかもしれない。
何にしても、少年を前にしながら少女は動かない。まるで何かを待つかのように、目の前の少年と対峙している。)
「……え、っと……」
(表情にはどうして、という困惑がありありと浮かんでいる。)
■ミルラ > 『移動します』
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からミルラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」からラリーさんが去りました。