2024/11/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」に影時さんが現れました。
影時 > ――ひと仕事を終えれば、酒を呑む。ないし、いい食事をする。

冒険者のあるある、だろう。将来的な何かに備えて、収入を貯めておく堅実なやり方は否定しない。
寧ろ駆け出しの頃はそれが多いのではないだろうか。
物入りとなる場面は幾らでもある。思いもよらない、不意を打たれることだって山のようにあるだろう。
とはいえ、だ。特に何人も纏まって、これまた纏めた報酬が入ってくる仕事を終えたらどうなるか。

「「「乾ァん、杯ァィ……!」」」

こうなるのだ。異口同音の言葉が響くのは夜の平民地区、冒険者ギルドに程近い大きな酒場の一つ。
幾つものテーブルを並べ、寄せ集めて様々な料理と酒瓶を並べ、何人もの男女がかっ喰らい、酒を呑む。
ここ最近で募集されていた、平原を跋扈する強力な魔物の群れを掃討したことを祝する宴だ。
青さが残る若きも居れば、大丈夫かと思う老いも居るが、その中に混じる白い羽織姿の男もまた一人。
大きなジョッキに並々と麦酒を満たし、掛け声に掲げてくいくいと飲み干していく勢いは、早い。

「っ、ぷはぁ、美味いねぇ、こりゃ。おぅい、呑んでるかー?こんなに呑める時は中々無ぇぞう」

もう一杯とばかりに酒杯を掲げつつ、声を放つ。その声に耳を動かすものが二つ、ある。
座した卓でつまみも兼ねた食事を幾つか並べる男の、皿の一つ。
その傍で水を入れた皿から水を舐め、用意してもらった野菜を齧る小さな毛玉めいた齧歯類だ。
可愛いだのこっち向いて―だのと言われ、齧りかけの野菜を持ちながら首をこてり、と傾けてみせるのは、可愛さの売り方を心得ているに違いない。
彼らから親分と仰がれる飼い主も、売り込み方ばかりは負ける。武の技を以て生計を立てる身と気取るとなれば猶のこと。