2024/10/31 のログ
■ラヴィニア > ライブラの頬を外套の袖で挟むように触れた事で、何を求めているか、何を欲しているかが、そのライブラには伝わったようで、淡く青い液体の入った小瓶の中身を自ら口に含む様子をじーと眺めた後に――…互いの視線の高さが重なった事に、ヒクと小さな口の隅を震わせる、笑みを作ろうとしたのだ。
それから外套をまとう両肩に触れる重みとぬくもり、他者に触れられることを拒まず、払わず、受け入れ、種族も大きさも違う唇と唇を寄せて重ね合わせたのちに、水薬を得るべくヌルルと舌べろをライブラの口の中へと潜り込ませ、ライブラの舌先から根本までを冷たい舌ベロを絡みつかせ、味蕾ごと唾液混ざる水薬をこそげとり、んくっ、んくっ、と唾液ごと水薬を嚥下して見せる。
意識はすべて水薬へ、与えられた大切なことを思い出すと手助けになると言われた薬へと執着していれば、容易に物陰に引きずり込まれ、建物と建物の隙間へと、喧騒の死角へと招かれ誘われ引きずり込まれる。
「…ンッ……ン、……ン………ンー………。」
甘いのか、辛いのか、苦いのか、人に擬態していれば舌ベロの作りも性能?も似てくるのだが、判別がつかない。
ただ水気のあるトロリとした液体、それを喉へと落とし、染み渡る分だけ少しだけ、ぼんやりとした記憶に色がつく。
いかねばならぬ場所、王都のぼうけん、ぎ、ど。
話さねばならぬこと、めいきゅ、ゆく、ふ、しゃ、数。
浮かび上がり、記憶に残り、思い出したものはシャボン玉のようにはじけてすぐに消え、もっともっと思い出すために、もっと水薬を……と、ライブラの温かな口内を異形の舌ベロで舐り始める。
舌裏をぞろりと舐り、歯茎に沿って舌ベロを這わせて、僅かでも残っていそうな水薬を探り、外套の袖から出し切れない小さな手も、ライブラの頬から、首までに下してその手でゆるくライブラの首を掴む。
気道を狭めるのでもなく、ただ手の置き場をなくしただけ。
他意はない、少なくとも今は、今はである。
■ライブラ > 混じり合う唾液は潮の味がし、絡み合う唾液は滑る様な感触を覚えてしまう。
舌を扱くように絡みつく舌の動きはまさに人外の動きで人の愛情表現にはない貪欲さが伺え、口の中から水薬の味が消えてしまってもさらに求めてくる様子に銀糸を引きながら唇を一旦離せば愛しい物を見つめるような熱の籠った視線を送って。
「んッ、う、んあ、ぷはぁ、はぁ、思い出せたかな?ふふ、その様子では足りなかったみたいだな。
もう一本いってみようか?、んッ、ちゅッ、んんッ!」
まだ足りないという様子に今度は先ほどと同じ小瓶ではあるが中身の色は濃く、魔素の濃度がより濃いもので希釈した水薬を口に含めば、今度はこちらから下を絡めるように半ば強引に込みこませてしまおうと。
思考や肉体の劣化の回復は目的を思い出すだけではなく、摩耗して行く内に失った本来持ち合わせていた要素を取り戻す効果もあり、それがどう作用するか恐れを知らない行為は続く。
彼の小さな手が首を掴めば普通なら反射的に恐怖から巨説を見せるものが大半であろうが、女はローブを肩から滑り落せば肌が触れる面積を増やしていこうと。
肩に置いていた手でカバンや腰の薬剤のベルトも外してしまえば、彼のローブの中へと差し込んで直に触れ合うことで意思疎通を図ろうと。
肌の触れ合いは肉体的な接触を想起させ、執着と信頼感を与えるには十分なコミにケーション手段だと理解した上での行動
■ラヴィニア > 熱の籠ったまなざしを受けても尚少年の表情は変わらない。
精巧に作られた人形のように、瞳も比喩などではなく感情のない瞳は深海に眠る黒真珠と変わらない。
人間の熱を唾液を水薬を舐りこそぎとり嚥下する。
唇と唇が離れ唾液の糸だけが残り離れていき、淡い青ではなく密度と濃度の上がった青い水薬をライブラが含めば当然のように再び唇を押し付け、重ね、長い舌ベロを押し込んで……。
水薬に執着している間は自由にその身体をライブラの手にゆだねる、素肌は冷たく、幾度も触れるとじわと汗に似た粘液が滲むが、ライブラの手を拒むことはないだろう。
平民地区の裏通り。
更に建物と建物の隙間、死角。
粘り気のある音と、異種族同士の触れ合い。
それはまだ始まったばかり、まだ朝まで遠いのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からラヴィニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からライブラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシアンさんが現れました。
■シアン > 正午過ぎ。雲一つない晴天から注がれる日差しは暑さもすっかり鳴りを潜めて柔らかい。
朝晩にはもう肌寒さすら覚えることもあるが昼日中であれば日向ぼっこもいいかもしれず、
服飾店に飲食店に薬屋や武具店まで軒を構えたものから幌を張っての露天まで並ぶ大通りも大変賑やかだ。
其処な一角。人の流れと活気を臨めるオープンテラスの喫茶店でコーヒーを啜る男が一人――
「……」
机に放って蓋も開けっ放しの懐中時計に、視線を寄越したり、大通りに、視線を寄越したり。
挙動不審に見えない程度に、普通にしていても強面な眼差しで周りを威圧しない程度に、
赤化粧が施された眼光をあちらこちらと彷徨かせて偶に飲み物を口に含む以外で吐息が零れる。
「すっぽかされたかねぇ」
指名依頼で、話は会ってからというので指定の場所に指定の時間でやってきて待ってはいるものの。
依頼人が来るといっていた時間からはもう一時間程も過ぎているし誰かがやってくる気配もない。
他に良い冒険者でも見つけてそっちに乗り換えたか、道中で何がしかの災難にでも遭ったか……
「これ飲んだら帰るか……」
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシアンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 古書店」にラリーさんが現れました。
■ラリー > 平民地区内のその小さな古書店は、わりと地区の中心の近くにありながらほとんど目立たず、立ち寄る者もそう多くない。
また古書店という性質上、商品の劣化を避けるために出入り口の向きなど日差しが殆ど入らない設計になっていて、店内は薄暗い。
そんな店の奥、接客カウンターの向こうで椅子に座って文庫本を読んでいる店番らしき少年の姿があった。
この店は少年の実家が経営しているもので、書類上は別の人間を立てているが実質的な店長は少年が務めている。
それ故、この店は少年にとって学院の図書館以上に自由のきくテリトリーである。
獲物となる対象が訪れれば、ほぼ確実に術中に囚われる羽目になるだろう。
もっとも、客足の少なさから獲物の出現は図書館以上に運任せではあるが…その時はその時、が少年のスタイル。
ただ静かに、読書に没頭しながら客の訪れを待ち続ける。
なお主な客層は通常の書店では見つからないような商品を求めるマニアックな本好きか、
遠方の客との本のやり取りの依頼を受けた冒険者あたりとなる。
少年の修理の腕はそれなりに定評があるため、そうした依頼もぼちぼちやってくる。
「…ん」
そうしていれば来客を告げるドアベルの音が響いて、少年はゆっくり本から顔を上げ
珍しく現れた客の姿を視界に入れた。
さてその客は少年の獲物になりうるような者なのか、それともなんでもない一般客か…。