2024/09/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシトリーさんが現れました。
シトリー > 社交というには細やかな食事会を終えて学院の寮へと戻る道すがら
主催者は馬車を出すと申し出てくれたのだけれど、まだ早い時間帯なら夜風に当たりたいからと断りを入れる。
夜更けには早いとはいえ、大通りの人の往来も幾分少なくなってきている。
だからこそ、歩きやすいともいえるけれど、一方で治安も不安になってくる。

「あまりより道はしないほうが良いかもですね……」

まだぎりぎり大丈夫だろうとは思いながら、普段とは違う光景を楽しんでいると、ぽつんと佇む屋台を見つけた。
看板に書かれた客寄せの文句へと視線を走らせると、小首を傾げ。

「睡眠の専門家……さすが王国の都。変わった専門家がいらっしゃるんですね。」

感心したように独り言ちる。
幸いにも寝つきは悪くない―――方だと思う。
強いて言えば、最近は本の読み過ぎか肩凝りがしているかも。
良い夢を見たいというのには当て嵌まるけれど……。
果たして、黒いローブに身を包んだ怪しげな店主に声を掛けるほどかと言えば、そこは躊躇せざるを得ないもので。

ミタマ > まぁ、当然のように。こんな怪しい屋台に惹かれる人はそう多くはない。
むしろ、このいかにも占い師!とか、道具使い!っぽいローブを脱ぎ、普段の格好で客寄せしたほうがいいんじゃ?
と思ったりするのですが、それはそれ、これはこれ。

一度行ったものを簡単に引っ込めるわけにはいかないわけで。
ゆっくりと静寂に寄っていく夜で、きょろ、きょろと視線を彷徨わせている所に……。

「おや。」

ふと、視線を感じる。それは夜目に眩しい金髪を揺らす、小さな少女の姿。
少し距離はあるけれど、熱心にこちらの看板を見た上で、独りごちる様子が見て取れる。
とはいえ、自分の外見も外見なので……。声を掛けてくることはしないだろうなぁ。と思いつつも。
興味を持っていただけた方がいるのなら、声をかけない理由はないわけでして。

「やあやあ、そちらのお嬢様。もしかして、ご興味があるのでしょうかっ。」

と、鈴の音のような明るい声を響かせ、ちょいちょいと手招きなどしてみたり。
ここで、ふわりとローブを取れば……其処から覗くのは真っ白な獣耳。
そして、天真爛漫。なんて言葉が似合う少女の風貌。
なぜローブを付けていたか。それはあの耳だから?と、お相手様に錯覚させ……。
少しでも警戒心を解かせる。そんな行動の上で……お相手様が近寄ってくれるか、様子を伺ってみましょう。

シトリー > 「ふぇぅっ!?」

急に声を掛けられると、びくりと身体を跳ね上げる。
その声が、仮にしわがれた老婆のそれであったりしたのならば、ここまでは驚かなかったかもしれない。
――それはそれで、やっぱり驚いただろうけれど。
それは兎も角。予想に反して可愛らしい声に、ローブから見せられた目立つ狐耳に注意が向く。
手招きされると、辺りをきょろきょろと確認してから、トテテと近寄っていき。

「こ、こんばんは。
 興味というか、変わったお店だなと思って拝見させていただいていました。
 睡眠の専門家という方は、初めてお見かけしたので。」

ミレー族だろうか。だとしたら、彼の一族には独自の魔法が伝わっているというから、そのひとつかもしれない。
そんな風に思いを巡らせると、変わった専門家というのにも納得できる。
見たところ、悪い人でもなさそうで、少しくらいなら立ち寄っても良いだろう。
軽く膝を折る仕草は、こちらの貴族でも通用する挨拶で。そんな所作で夜の挨拶を交わし。

ミタマ > 実のところ、年齢だけなら老婆も真っ青な実年齢なのだが、それはそれ。
自分の声掛けに驚いた様子を見せる少女は、
それまでの訝しげな様子とは裏腹に、此方の外見を見て驚きの様子を見せて。
そのまま、駆け寄ってくれます。ありがとうございます。

「はい、こんばんはっ! 良い夜ですねっ!
 ……実際、そうですねー。こうやってちょっとした相談の屋台を用意していても、
 やはり、気になって声を掛けてくれる人はあんまりいないのが現実なわけで……。
 ふふー。そうでしょう。何せ、わたしのそれはシェンヤン……基、東の方の呪術仕込みでしてー。
 あんまり、同じことをデキる人が居ないものなのですよ!」

ふんすっ!と、わざとらしく胸を張り。……ちなみに膨らみはほとんど目立たない。ローブと和装のせいで。
とりあえず、机の横にある小さな椅子。それを正面に回し、着席を促してから――。

「あ、わたしはミタマと申します。
 平民地区で、そういった睡眠の専門店を営んでいるものでして。
 お客様は……変わったお店だな。と思ってくれたようですが、なにか気になることなどはございました?」

シトリー > 「はい、ちょっと涼しくなってきて、お散歩には好い夜です。」

月明かりも明るく、夜の散歩にはちょうどいい。
不眠相談とは縁のなさそうな、屈託のない笑みを浮かべてそう答え。
まぁ、仮に不眠の人が居たとしても、こんな場所を出歩くかと言えば疑問符が付く。
世知辛い現実はさておき、ふんすと胸を張る少女に、ぱちぱちと控えめな拍手を送る。
ミレー族の秘伝かと思いきや、異国の呪術だったらしい。
勧められた椅子に、疑う様子もなく座ると相手の話を拝聴する姿勢を取り。

「ご丁寧にありがとうございます。
 シトリーと申します。
 気になるところ……というと、やっぱり睡眠の魔術―――呪術でしょうか。
 王国にはない術式というなら、ちょっと興味があります。」

ただ相手を眠らせるという術ならば、そこそこ見られる。
自身は使えないけれど、比較的扱いやすい類のものも多い。
それでも、良い夢を見せるとなると、夢魔の類くらいしか聞いたことはない。
学院で魔法学を専攻している手前、珍しい術式が見られるとなれば興味を抱くのは当然で。

ミタマ > 「ふふ、そうですねー! 何せ、ここ最近は蒸し暑さが勝利してましたし!
 まぁ、おかげで私が作った水枕などは色々と売れたんですが、それはそれ、これはこれとしておきましてー。」

ここで既に売れた商品に関して語っても意味はない。
まずは目の前のお客様(?)と歓談することが大事だと考え、同調しつつ。
拝聴してくれる様子には、ありがとうございます!と、満面の笑顔をお返ししまして!

「なるほど、シトリー様。よろしくお願いいたしますねー?
 ……おっと、道具にじゃなくて、術の方に興味を持つ人は珍しいですねぇ。
 ……むむう。興味を持ってくれるのは嬉しいのですが。
 これはいわゆる門外不出の術式。そして、わたしたちのような存在でないと学べないものなのですよ~……。
 もちろん、経験をしていただく。ということでしたら、可能なのですけれどっ!」

そして、少しだけ申し訳無さそうに。
その術式を教えたりすることはむずかしい。と伝える訳でして。
何せ、1000年以上生きた仙狐と呼ばれる自分の独自の術式。
普通の人間では、その取っ掛かりに触れることすらむずかしいものなのです。

シトリー > 「ほんとにです。蒸し暑いと寝苦しくて。
 ちょっと水の精霊さんにお願いする日々でした。」

毎夜のように、ほんのり涼しくしてもらうお願い続き。
ようやく、そんな過酷な労働から解放された精霊は、今頃はバカンス中だろうか。
それはそれとされた水枕にも興味は引かれるところだけれど、既に涼しくなり始めた今の季節なら後回し。
満面の笑みを返してくれる店主さんは、話していても気疲れしない。
こういうところも、商売柄のテクニックなのだろう。

「道具の方にも興味津々です。
 でも、やっぱり魔法を嗜む身としては、ですね。
 門外不出と言われてしまうと、どうしようもありません。
 経験できるというなら、それで我慢するしかありませんね。」

そういう決まりがあるのなら、それを侵すような愚は慎むべき。
言い回しに少し違和感を感じたものの、そこはミレーの一族を指すのだろうと勝手に納得し。
そんな一族不出の術式を見ただけで覚えられることはないだろうけれど、何事も経験。
故郷の森に籠っていては、まず経験できなかっただろうことなら、どんなことでも歓迎で。

ミタマ > 「おや、精霊を?……ということはもしかして。
 ……よくよく見ればお耳も長いようですし。エルフの方だったのでしょうか……?」

精霊のちからを借りていた。
彼女の言葉を聞くと、ほぉ。と興味を持つように小さく声を零す。
自然と視線が、その耳元やお顔。いろいろな場所に向けられるのは、
その魔力のめぐりなどを確かめるため。決してお胸などを見ているわけではないのです。

「あははー。申し訳なく。というのも、魔力というよりは術式でして。
 それを理解するのには長い時間が掛かるのですよー。……それこそ、シトリー様のような方でも、数百年ぐらいは。
 ……あ、数百年。と言いましたが、わたしの実年齢は秘密ですよ~? ふふー。 なんて。
 ―――と、どのような術式なのか。ということも説明しておかなければですね!」

既に興味津々。という様子のお相手様が少しでも落ち着いた様子を見せてくれるのならば。
居住まいを正しつつ、こほん!少しわざとらしく咳き込んでみたりして。

「術式は、いわゆる理解した音を媒体に行うものですね!
 ……例えば、眠れ!と命ずれば、それだけでお相手様の意識が、眠る!というように判断し……普段よりも深い眠りにつくことができる。というものなのです。
 これが、睡眠の術式。言霊。という言葉をご存知でしょうかね? ……そういったものの亜種と考えていただければ!」

シトリー > 「はい、そのとおりです。」

軽く髪をかき上げ、耳を見せる。
ぴこぴこと動かして見せるほどは器用ではないけれど、尖った耳がよく見えるだろう。
こちらを観察するような視線は、不快感は覚えないにしても、少々居心地が悪い。
可愛い女の子に、そんなにじっと見られてしまうのだから、照れてしまっても仕方がないわけで。

「門外不出のものでしたら、一朝一夕でどうにかなるものではないでしょうし。
 数百年は長いですね。
 そこもちょっと気になっちゃいますけれど、お口にチャックしておきます。」

同性であっても、女性の年齢を無闇に聞くものではない。
それでも習得に数百年となると、習熟にはいかほどの期間が必要となるのか。
実に気になるところではあるけれど、唇に人差し指を添えて自重の構え。

「意識に作用する術式、なんでしょうか。
 言霊というのは、聞いたことがあります。言葉に力が宿るという概念―――でしたでしょうか。
 精霊のそれとは根本から異なるみたいですね。」

ふむふむと頷きながら、ポケットを漁るも、メモできそうなものはないも見つからない。
せっかくの講義なのだから、きちんとメモを取っておきたかったのだけれど、仕方がない。
しっかりと覚えておこうと、こちらも居住まいを正し。

ミタマ > 「あは、やっぱり!
 ……長く生きていると、ついつい観察眼は鍛えられましてー。……とはいいますが。
 流石に、可憐な方をこう、じろじろと見るものでは有りませんね。失敬失敬。
 ―――お互いに、見過ぎ。知りた過ぎ。には気をつけましょう。ということですね?」

自分の小さな唇に指をあて、しぃ~。っと、わざとらしく。
実は、長寿が多いエルフと比較しても、かなりの年齢なことはここでは黙っておくわけです。
お互いに指を添えた様子に対しては。

「ふふ、おそろいですねー……♪
 ……ええ、そうなのですよ? 言葉に妖力を乗せて、お相手様の脳に眠気等を与えるのです。
 其の上で、脱力等を施すことで……普段、眠ってる最中もこわばっている身体が解れ……。
 この看板の通り。疲れが取れない方。肩こりなどがある方も。
 普段よりも肉体に蓄積された疲労が抜け……文字通りの快眠となるわけですねっ!
 ……わたしは精霊とは契約できないので、むしろそこは、逆にシトリー様が羨ましく感じるところはありますが。

 ……とはいえ、ここで長話もなんですね。」

そうして、会話の最中に席を立ち。
「ほっ!」と、掛け声と共にそこにあった屋台の机が消え、ふわりとクロスだけが残る。
実は影で生み出していたミミック型の魔物の上に、ちょっとしたテーブルクロスを掛けていたというお話。
地面に落ちる生地を手に取り――。

「このままここで話すのもなんですし。
 よければ、わたくしの店が向こうにあるので、お茶でもしながら歓談でもいかがでしょう!」

と、ちょっとしたお誘い等をしてみるわけです。
夜も更けてくる頃合い。お互いに少女。と言っても過言ではない外見。
平民地区とはいえ、道端で話し続けるのはなんだろう、と。

シトリー > 「好奇心は、なんとやらですね。
 お互い気を付けないと、いけません。」

人差し指を添えた者同士、くすりと笑い合う。
こういう何気ない会話ができるのも、外の世界ならでは。
実に楽しそうに笑って。

「そうやって聴いていると、ぜひとも体験してみたくなってきました。
 わわっ……ミタマさんは、変わった術をいっぱいお持ちなんですね。」

それこそ魔法のように、机が一瞬で消えてなくなる。
空間を歪める術だろうか。
そうした魔力の流れは感じなかったけれど。
じぃーっと影も姿もなくなった、その場所を見つめ。

「あ、はい。そうですね。
 こんな時間からですが、お邪魔してもよろしいでしょうか。」

辺りを見れば、行き交う人もまばら。
商店の灯りもだいぶ少なくなっている。
寮に戻って何かするという予定があるわけではなく。
それならば、お店にお邪魔して、そのまま眠りの術を体験してみるのも一興というもので。
もしかしたら魔法談議に花を咲かせることになるかもしれないけれど、それもまたそれ。
月明かりの下、少女二人、並んで夜闇の中へと消えていき――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からミタマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシトリーさんが去りました。