2024/03/04 のログ
”徒花”ジョー >  
小皿を二つと言う言葉にちらりと相手を見やった。
縁もなんとやら、と言うものかもしれない。
頼んだ後にわざわざ断るのもそれは礼節に反する。

「……わざわざすまないな。相席の礼もある、金は出そう。
 使い道も、こういう時位しか無いものでな。」

人間と違って、金を使わないと生きていけない程でもない。
仕事の関係上もらう賃金は大凡貯金として残り続けるばかりだ。
一期一会の縁もなんとやら。礼には礼を返すだけと言うものだ。

「せっかくだ、それならそうしよう。……すまない。
 此のメニューに有る羊肉の香草焼きと、此の肉スープ。」

「それと、此の果実酒を頼む。そうだな、彼女と同じやつで良い。」

とりあえず店員を呼び止めては何の躊躇もなく注文を頼む。
自分だって此の酒場のメニューをよくわかってはいないんだ。
何事もとりあえず頼んだ後に考えれば良い。滅多な後悔は飛んでこないだろう。
少なくとも、先に運ばれてきたサラダを見れば悪くはなさそうだ。
ハムと新鮮な野菜が盛り付けられたありふれたサラダ。
瑞々しさとハムの薄い肉質が良い塩梅となっている。

「そうか。随分と長生きしているのなら問題はあるまい。
 ……、……そうだな。初対面で此処まで良くしてもらうのは気が引ける。が……。」

「そう言うなら一口、頂こう。」

やはり、見た目と年齡など改めてアテになるものではない。
嘘か真か。どちらにせよ、長生きなのは"お互い様"だ。
確かに、翠の瞳はサラダを一瞥したが、そんなに卑しく見えただろうか。
流石に申し訳無さもあるが、美味しいものを食べたい気持ちには抗えない。
空腹を知っていた頃の時代があるから、尚の事だ。

備え付けのフォークをクルリと指先に滑らせるように構え、頂きますと一礼。
礼節は、如何なる理由でも忘れはしない。とりあえずハムと野菜を一切れ突き刺し、口へと運ぶ。

「……うん、良いな。薄いハムが、サラダに良く合う。」

野菜の食感を包むハムの肉質と塩気が程よい味加減になっている。
静かに口を動かし食べる姿は少食めいているが、空腹の概念はないのでよく食べる方。
さて、少女の真意などさておき、よもや自らの僅かの唾液が狙われているとは思いもよるまい。

メルヴィ > 【後日に続きます】
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