2023/11/23 のログ
■シャーニィ >
「……ふむ」
注視していると、向こうから寄ってきた。
邪神たるもの、相手が何者だろうと警戒こそすれ恐れることはなにもない
ないったら、ない。ないのだ。
かつて滅ぼされたとかはいいっこなしだ。
「……確かに、食事中ではあったな。
うまいか、といわれれば……まあ、うまい、気もする。わからぬ」
馴れ馴れしい感じで話しかけてくる相手。
敵意がないのはわかる。なにしろこちらは邪神。
悪は悪を知るのである。
そんなこんなで素直に答えつつ――
では、と近づいてきたソレを目でしかと見れば……
「……なんだ、オマエは?」
何がどう、とは言えないがやはり妙な気配がする。
ソレに加えて男なのか、女なのか。
「妙な感じだな。どっちだ、ソレは」
思わず、素直に問いかけの言葉を口にする。
■チョンウェン >
見れば見るほど、不思議な少女だと思う。
なんというか、見れば見るほどはっきりとわからない。
女の子、という点を覗いて影と話しているようだった。
このハッキリとしない感じはなんだかそう、シンパシーを感じる。
「なんだかボク達似てるねェ。」
それこそお互いハッキリしない。
彼女だって、自分が"どっち"か決めかねている。
最近は結構ハッキリくっきり決める人が多かったから珍しい。
にこにこ、と射止めの笑顔を崩すことなく、視線を合わせるように屈んだ。
「どっちに見える?キミが決めてよォ♪」
あっけからんと、楽しそうに言った。
■シャーニィ >
「似てる……?」
妙なやつは妙なことを言ってくる。
邪神たる自分と、妙ではあろうとおそらくはヒトの身であろうものが。
いや
目的も存在も曖昧になってしまった自分と
妙な気配と、男だか女だかわからない相手と
似ていると言われれば、そうなのかもしれない
「ん、む……む……確かに、似ている、の……か?」
納得はいくが、納得していいものか?
だが否定する要素もない。
「決めろ、だと?偉そうに言ったものだな。
オマエの好きにしろ。」
邪神に対して求めるなら、それなりの対価が必要だ。
何もなしに偉そうに求められて答えてなるものか。
それはそれとして、この奇妙な相手に興味は湧く。
「ふ、ん。本当に妙なやつだ。
男だの、女だの。別に興味はないが、だ。
そんなものを他人に委ねて何になる?」
主体性というものがないのか。
……まあ、目標を見失った自分に言えることではないのかもしれないが。
いやいや、ソレは盛大によそにおいておこう。
■チョンウェン >
「そうそう、似てるよねェ~。なんだか曖昧で守ってあげたくなる感じ。
ホラ、ボクって結構か弱いからさァ~、よくそう言われるんだよねェ~。」
なんて笑顔でニコニコしているチョンウェンを"何いってんだ"みたいな視線を送るメリル。
か弱い、と言う割には立ち振舞はあっけからん、正体不明の相手にも動じない。
キモが据わっているだけと言われればそうだが、深読みすれば底知れなさもあるかもしれない。
お前の好きにしろ。
そんな回答は初めてだったので思わず呆気を取られた。
だが、すぐに困ったように苦笑いを浮かべた。
「え~。人に決めてもらうのが楽しんだけどねぇ~?
面白くない?人の理想の性別になるの。見た目ばかりは気を使ってるからねェ」
自分で言うのも何だが、それなりにお洒落には気を使っている。
髪型から服装、髪質から肌質まで何から何まで気を使っている。
自分で化粧をすることは出来ないので、プロの付き人にやってもらっているからこそ際立つ美しさ。
男とも女とも取れる美しい外見。薄っすらと開いた紅が、怪しく彼女を見つめていた。
「だから気になるなァ。キミにはボクがどう見えるのか?
逆にキミはどう?ボクにどう見てほしいとかないのかなァ」
それこそ何処か、子どもあやすような言い方だった。
■シャーニィ >
「守る? オマエを?
いや、そもそも吾を? は」
一笑に付す。
弱ったりといえど、守られるなんてそんなバカバカしい……
いやでも、部下は自分をいわずとも守ってた気がしたし、守りたくなるってそういう……?
思考が爆走しそうになる。
「……なんだ? なぜそんなにも求める?
そうか、言った通り弱いのか? 己を決められぬほどに」
とはいったものの……そうは思えない。
妙な自信というか、なにがしかの確信があるのはわかる。
その上でどちらかといえば、快楽を求めているのだろうか。
「見てほしい自分なぞ、ない。
吾は吾。ソレ以上でもソレ以下でも……」
ない、のだが。
吾を忘れているというか、あるべき自分を見失っているのは間違いない。
そういう意味では、似てない、のかもしれない。
「……ない、が。
まあ吾はともかく、そんなに決めてほしいのなら決めてやろう。
ただし――」
そういって、先程まで噛み砕いていたナニカの骨の断片を放る。
「こいつが、だがな。
ほれ、先が右を向けば男。左を向けば女だ」
果たして
偶数:男 奇数:女
■シャーニィ > [2d6→4+4=8]
■チョンウェン >
からん。倒れた骨は右を向いた。
どうやら今日の自分はそういう風に見られることになるらしい。
下腹部に感じる重量にぞくり、と背筋を撫でる快楽。
性自認バイセクシャルのちょっとやばめな性癖。
雄としても、雌としても見られても、その瞬間で得られる扇状的快楽が存在する。
「────…。」
その時ににたり、と口元が歪んだのは言うまでもない。
「うん、弱いよボク。一人じゃ生きていけないからね。」
何の臆面もなく、チョンウェンは答える。
さもソレが当然、事実当然なのだからそれ以上言いようがない。
如何なる武力、威光を持っていたとして、それを活かせぬ生命が弱いのは当たり前だ。
ニコニコと笑顔を崩すことなく、懐から高級そうなキセルを取り出した。
「ボクを決めてもらうのは趣味だけど、弱いのは事実だからね。
それにしてもキミ、面白いねェ。それ以上でもそれ以下でもって言うけどさァ」
薄っすらと開く紅が、人影を貫く。
「そもそも"何か"と定義されてないなら、以上も以下もないんじゃない?」
そう豪語する彼女の姿は相変わらず曖昧だ。
自分のように他人に決めてもらうと言うよりは、もっと不定形でか弱い存在。
弱りきった獣とはまた違うが、敢えて表現すれば影法師、"残滓"めいたものだ。
だからこそ、チョンウェンは彼女から目をそらさずにただじっと見ている。
「で、キミはなんだい?名前は?ボクはチョンウェン。
何時か自分の国を作ることを夢見る商人さ。宜しくねェ?」
■シャーニィ >
「……」
男、と定めた刹那に"そうあれかし"とばかりに変貌していく。
それだけならどうということもないが、そこに陶酔めいた何かをのぞかせる相手を眺め……
「……うわぁ」
思わず言葉が漏れ出た。
快楽の類は多少の知識はあるにしても専門外だ。
なんというか……理解がし難い。
「妙な趣味もあったものだ」
素直にぼやいてしまう。
これだから人類というのは度し難い。
……いや、そんなだったか人類?
「定義? 定義、だと……?」
バカバカしい話だ、と思う。
なぜなら自分は……自分は……いや、わかっている。
自分はシャーニィ。
かつて世を荒らし回った邪神だ。
……本当に?
間違いない
だが
いまの おまえは なにを している?
「……吾は、シャーニィ。それだけだ。
少々暇を持て余しているが……そう、それだけ、だ」
ぼやけた少女はそう答えた。
そう答えるしかなかった。
■チョンウェン >
「あ、今引いた?でも、気持ちいいんだよねェ♪」
そういう目線が一瞬でも入るとどうにも興奮する。
一種のマゾヒズムではあるので、理解しろとは言わなかった。
「…………」
目の前の影が揺らいでいる気もした。
自分の定義とは、本来ブレるべきものではない。
ある種、"信念"と言い換えてもいいだろう。
何かを失い、何かを手放しても、絶対に離してはいけないものだ。
それを手放した時、それは"それ"でなくなる。
多分、目の前の彼女は似たような境遇なのかもしれない。
そこにどんな事情があったのかは知らない。どういう人物だったかもわからない。
但し、その紅の双眸は"嬉々"と輝いていた。
「いいね!」
パシッ!自らの太ももを叩いて立ち上がった。
チョンウェンは、人影に手を差し伸べた。
「いいね、キミ。ウチこない?今ボクねェ、ある村を治めてるんだけど人がほしいんだ。
勿論、誰でも良いってワケじゃない。ちゃんと村の発展に貢献し、穏やかな暮らしが出来るのが条件。」
「行く宛がないなら来なよ。大丈夫だって、キミみたいなのが一人増えても、誰も驚かないよ♪」
■シャーニィ >
「……そうか、それはよかったな。」
ドン引きものの言葉に改めて理解できないものを感じる。
人類、知らない間に遠いところに行ってないか……?
いや、寝ている間に正しく言葉通り変態してしまったのだろうか。
……考えるのやめよう
まあ勝手に悦んでいる分には実害ないし。
実際、自分の悪センサーに引っかかるものはない。
「……なんだ?」
自分を観察されているような視線に気づく。
しまった、余計なことを言ったか?
ヒト相手だからと気を抜きすぎたか?
こんな有様では邪神の沽券に関わる。多分
「まあ、吾は……うん? 村?」
何事か言い訳めいたことを口にしかけ……相手の突拍子もない提案に思わず聞き返す。
貢献?穏やか? え? 誰が?
「いやまて、なぜそうなる。なにみてそういう発想になる?
そもそも、吾に貢献、だとか穏やか、だとかが合うと本気で思ったのか?」
ネジがとんでるとは思ったが、ここまでネジが歪んで弾けとんでいるとは思わなかった。
そのうえ、始末が悪いことにコイツは本気だ。
冗談でもなんでもないだろう。
当然、悪意なども……少なくとも感じられない、と思う。
「妙なやつだとは思ったが、だいぶ様子がおかしいなオマエ。
商人?だったか。何を売りつける気だ」
■チョンウェン >
警戒…というよりは困惑しているようだ。
老若男女種族問わずスカウトする人材の慧眼。
心の揺らぎを見逃すことはあんまりない。
成る程、彼女の言うことも尤もではある。
「まず初めに、これは商人としてではなく、領主としてキミに持ちかけてる。
まず単純に、キミに何が出来るかは知らないし、合うかどうかは住んでみないとわからない。」
二本指を立て、まず一本折り曲げる。
「理由は3つくらいかなァ。一つは単純に、面白いことが出来そうだから。
少なくとも、"そんな風に"なっちゃっても現界出来るって事は、相応の力は持ってそうだしね」
それが繁栄を齎すか、破滅を齎すかはわからない。
少なくとも過去はともかく、今のチョンウェンにはそれは凶星に見えない。
未だ、風水定まらぬ未完の星。どう転ぶにしろ、その輝きは見てみたい。
二つ。二本目の指が折れる。
「二つ目は…単純に興味かなァ。行く宛もないのは事実だろう?
どうせ、消えゆく余燼なら、ボクの所で面白いことしてみないかい?シャーニィくん。」
大部分は結局これに収まる。
特に彼女はどうにも、自分と似ているシンパシーを感じざるを得なかった。
善意だけで、上に立つ資格はない。優しい王様など、幻想かもしれない。
"それでも"、理想と現実の乖離が激しくても、理想を忘れては王道は進めない。
たはは、と自嘲気味に笑いながらも、得も知れぬ存在を本気で勧誘しているのは伝わっている。
有り体に言ってしまえば、善意だけでそう言っているのだ。
■シャーニィ >
「……む」
こいつ、考えているようで考えていないか?
勧誘しておいて、合うかどうかもわからないとは、だいぶおかしいだろう。
「……ふむ」
力、といった。
もちろん、今の自分は全盛期ほどではないが力はある。
なるほど、読みは悪くない。
「……む、ぅ」
行く宛がないことがバレている。
そんな話はしていなかったはず、だが……どこか間違ったか?
けれど、その言葉は魅力的だ。
すべきことを、最初の一歩で失った自分。
生きる意味を失った自分。
それでも生きている自分
「……三つ目は?」
それでも。
捻くれた自分が捻くれて口にする。
理由が3つくらい、と。そういった。
それなら、最後はなんなのか。
邪神は疑い深いのだ。……本当に?
■チョンウェン >
揺らいでいる揺らいでいる。
手のひらの上で、心の機敏はよく見える。
実際はもう少し先を見据えて入るが、どうせ勧誘は博打を打っているような気持ちでもある。
それに、今の彼女には"しない"、"出来ない"という確信があった。
甘い見積もりかもしれないが、算段はある。
「三つ目はァ~……。」
ぱ、と両手を広げて肩を竦めた。
「ま、実は"勘"なんだよねェ~。キミを引き込めれば大きく動くかもって。」
なんとも身も蓋もない言い草だった。
率直に言えば、そもそも得も知れぬ初めましてなわけだ。
理由の二つ一つはあっても、事細かに出来るはずもない。
たは~、なんてあっけからんと笑ってはいるが、強いて言えば
嘘は吐かず、隠し事をしないという自らを見せた。信用に足りるかという問いかけになるだろうか、と。
「ま、実際ボク等は初めましてだよシャーニィくん。
去るもの追わず、来るもの拒まずだし、お試しでどうだい?」
■シャーニィ >
「……」
チョンウェン。
この胡散臭くも、なんとも気持ち悪いやつは実に魅力的なことを囀る。
なんなら、嘘……かどうかは判別がつかないが。
悪意はないことだけはわかる。
「まあ、別に……行く宛がないわけでもないが。
吾に目をつけたのは慧眼、といってもよいかもしれぬ。」
ちょっとだけの意地張り。
精一杯の強がり。
「確かに、オマエの言う通り。
我らは初の顔合わせだ。
互いに互いを良くは知らぬ。が」
思案する。
頭の片隅では、ナニカが人類に対する怨嗟を吐き続けている。
だが、それは目の前のコレのことではない。
「まあ、今の話で吾もオマエに興味をもった。
とんだ博打打ちだな、商人」
少女の姿をしたソレは嗤った。
今日初めて、だ。
「自分がナニに声をかけてしまったか。いずれ思い知ると良い。
それまではまあ、いいだろう。勧誘とやらに乗ってやっても良い。」
どこか尊大に言い放った。
「さて、貴様の村とやらはナニをしている?」
■チョンウェン >
「────…。」
ふ、と気が抜けたように微笑んだ。
「契約成立だね、シャーニィくん。
キミ、顔もキッチリ見えないけど笑うと愛嬌あるねェ。」
うんうん、きっと形がキッチリすればカワイイ子になるのだろう。
そう言えばこれ、ボクみたいにならないんだろうか、とはちょっと思った。
多分そもそも根底から存在が違うからそういうのではなさそうだ。
ん、と顎で付いてくるように促せばゆっくり歩き出す。
「ボクの村はそれこそ何でもしてるねェ。キミには何をしてもらおうかなァ~……。
メリルくん、帰ろうか。勧誘は成功だよ、手ぶらは回避出来たねェ~。」
新しい人材が増えるとなれば、これからまた忙しくなる。
秘書とともに一人分増えた足音。また野望に一歩近づいた。
それ以上に新たに増えた家族に心躍らせながら、夜の街を共に抜けていくだろう…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からチョンウェンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシャーニィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にトーラスさんが現れました。
■トーラス > 王都に幾つか存在する冒険者ギルドの支部の一つ。
とは言うものの、その実態は冒険者が客として集まる酒場兼宿屋であり、
申し訳ない程度に店内の掲示板に日銭を稼ぐための依頼文が貼られているに過ぎない。
それでも、1階の酒場では冒険者を始めとした荒くれ者や、彼らを相手に春を鬻ぐ娼婦、
その他にも飲食の為に訪れた一般客達にて相応の賑わいを見せていた。
その賑わいの中心、客達がそれぞれの卓にて同席の身内や仲間と思い思いの
時間や食事を愉しんでいる中で、独り、周囲の卓の客にちょっかいを掛ける中年男の影が一つ。
本来であれば、嫌われそうな行為であるが、誰も文句を言わず、また、店主も黙認する理由は至極単純で。
「いやぁ、運が良かった。ゴブリンの懐を漁ったら、まさかの宝石を見付けてよぉ。お陰で俺の懐が潤ったぜ。
お、グラスが空じゃないか? マスター、俺の奢りで同じのもう一杯。ほら、乾~杯~♪」
等と、傍迷惑ながらも、明快にて、周囲の客達に見境なくも奢りを振る舞う故。
奢られた方は多少困惑するも、ただで酒が飲めるとあって強く文句を口にする事もできず、
店主も彼のお陰で儲かる上に支払い許容額も抑えている為に、この行為を見て見ぬ振りをする始末。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にグァ・ジャミルさんが現れました。
■グァ・ジャミル > 「は~……飲んだ飲んだ。寒っっむ」
(平民地区歓楽街──。
娼館から酒場から連れ込み宿まで揃う繁華街の一角。
冷たい夜風に黒髪をなびかせて歩くのはミレー族の青年。
とは言え、幻術で耳と尾は一般人には見えないよう隠しているが。
自由騎士としての任務の傍ら、相棒とあっち行ったりこっち行ったりと転々としている。
今は王都で、次の旅先に行くまでの準備期間。
賊退治やら魔物退治やらで稼いだ小金で、酒を飲んできたばっかりだ。
酒精で頬を火照らせながら、ケープの下ではご機嫌に尻尾を揺らしている。)
「これで美人か可愛い子ちゃんとヤれりゃあ最高なんだけどなァ」
(今から娼館に行っても人気どころはもうベッドの上だろうなァ、と。
ぼちぼち店を閉じ始めるところも出てきたことだし、大人しく帰るか、と欠伸を零して宿場通りへと歩いていく。
美味い酒をかっくらってもほろ酔い程度で済むのだから、このミレーは酒は強い方だった。)