2023/10/23 のログ
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にアルマースさんが現れました。
■イーヴィア > (本日も鍛冶屋は通常営業……ではあるが
ほんの少しだけ何時もと違うのは、新顔が増える事だ
元々圧倒的に強面が多い鍛冶屋の中で、華が増えるのは有り難い事
武器や防具の知識は置いておいても、接客が出来れば上々だ
特に今の時期、人が増えると言うだけでも助かる訳で
――鍛冶作業の合間に、仕事の様子を見ながら、様子を見る
実の所、余り心配はしていない。 あくまで通常の客相手ならば。
厄介な客相手が来た時だけは、他の従業員や自分が助け舟に入れる様にだけ気を遣えと
初めに、今日出勤の担当達には伝えていた訳だが
さて、現状ではどうであろう。)
「よう、商店街の肉屋からの注文が完成したからよ
もし店に来たら、此の儘渡してやってくれるかい?」
(鍛冶場からのそりと出てきて、店に響く声で連絡事項
確りと鞘に納まった肉切り包丁を、カウンターの内側、完成品の棚へと掛ける
其処に陳列されている物は、他の従業員が取り扱って良い品
主に日用品や調理器具の金物、細かい説明を必要としない物たち、だ)。
■アルマース > 秋の昼下がり。煙の上がる鍛冶屋へ「働きに来たよー」とふらあっと立ち寄った女は、黒髪をまとめて店頭に立つと、今のところ普通に御用聞きくらいはこなしている。
図体が大きい、顔が怖い、傷だらけ、くらいの見た目で物怖じする性質でもないし、酔客相手のことが多い踊り子の生業より働きやすさすら感じる。
鉄拳制裁のこわそうな店主がうしろに控えているからかもしれないが。
ただ気を抜くと、用件なのかそうでないのか判別のつきにくい世間話に長々付き合っていることがある。
今も腰に剣をさげた青年の話を延々聞いていたところ。
「……へーえ、冒険者パーティってのも人間関係ドロドロしたとこあるのねえ。
まあ三人のうち二人くっついてるとやりにくいかあ……。
いっそもう一人二人仲間増やしちゃえば? そっちはそっちでくっついたら笑えるけど――あ、はあい!」
イーヴィアの声に反応し、渡りに船とばかりに、『それじゃあごゆっくり見てってね』と切り上げて、仕上がってきた品を確認しに行く。
カウンターの内側へ入ると、
「肉屋って肉屋? 肉屋ですって名乗ってくれるの? 誰さんなの?」
近隣の店の人や、馴染みのお客さんらしき人がやってきて、「俺だよ! いつものやつできてる?」みたいなことを言われるのが意外と厄介なので、名前が書かれていなければタグでもつけておかないといけない。
■イーヴィア > (長話勢は――どんな商売にもつきものだ
女性店員であれば、積極的に声を掛けようとする輩も増えるだろうし
客を怒らせたり不快にさせたりしないのなら、別に構わない
聞いている限りでは、寧ろ聞き上手と言える類であろう
まぁ、其れで会話の切り所が無いのは、流石に困るだろうから
恐らくは他の店員も、同じような状況が在ったら、声を掛けたりして居る筈だ
――自分達も最初、似たような状況で苦労した経験が在るから、かも知れないが。)
「カールのおっさんだよ、ほら、髭で俺よりデカい。 こないだまで看板がずれてた店の。
いつも肉屋のエプロンで来るから、来れば大体肉屋って判るぜ。」
(多分、恐らく。 ここ最近改装して、看板のずれは漸く直った様だが
長らく放置されていた肉屋の方が少なかろう
ただ、実際顔なじみの客が気軽にやってきて、気軽に出来てるか問うて来る事は儘あるので
其処は確かに、札でも付けて置くのが正解だろう。
鞘の上から布を巻き付けてあり、店の中で取り扱う分には
うっかり鞘が抜けたりしないようになっている
勿論刃物であるから、取扱注意、ではあるし、肉包丁だから其れなりに重い
ただ、あくまで日用品では在るので、女に任せる形だ
――まだ、女へと任せていないのは、武器の類
そちらは、取扱知識が身についてから。 と、先んじて説明してあり)。
■アルマース > 「看板?――ああ、腸詰の種類が豊富なとこかあ。辛いやつが癖になるのよねえ」
人の顔を覚えるのは得意ではないけれど、食べ物の記憶は辿りやすいようで、そういえばいつもサービスしてくれるあの人かあ、とお客さんのシルエットを思い出す。
紙切れに名前や腸詰の絵を走り書きして、鞘の布のところに挟んでおく。
「これでよし、と。
この店、快適~。みんな親切だし。触ってくる客少ないし。誰も殴らずに一日を終われそうな気がする」
褒めて、とにっこりしてイーヴィアを見上げる。
言うほど血の気の多い年齢ではもうないのだけれど、我慢ができるようになっただけで腹が立たなくなったわけではない。
それでも、声を掛けられて鍛冶屋の用件とは若干異なる話を聞いたりするくらい何でもない。
先日の戦いで上げて来た戦果、とかの自慢話がどんどんふくらんでいくのはみんな同じだなあと思ったりはする。
「ねえ、作ってるのってイ――ああ、ええと、店長一人なの?
年の瀬とかいつまでに発注すればいつまで出来るんだって言ってたお客さんがいたんだけど」
イーヴィアが休めば店が休みになるのだろうか。
武具のこともそうだし、店のこともまだ何もわからない。
店の上がイーヴィアの住まいになっているらしいことくらいで。
■イーヴィア > 「昼飯と酒のつまみに良いよなァ、あれ。
来たら代金ついでに頼むか、腸詰の詰め合わせ。」
(少し遅れて、包丁にどんなメモが書かれたのかを確かめた折
腸詰の絵が描かれているのを見て、女の背後でつい、笑い声が零れたろう
既に引き渡しの終わった棚の空きを埋めるように
下の方に掛けて在った物を上へとずらして行きながら。)
「手は出すなよ、そう言うのが居たら直ぐに他の奴か俺に代わりな。
最終的に殴るとしても、それはこっちの役割だからな。」
(居ない、と言う訳では無い。 と言うかむしろ、面倒さは此方も変わらないが
酒飲みが居ないというのは確かに、平時は楽であろうか
他の従業員も、現役とは言えないが、其れなりに腕の在る者達ばかりだ。
そういう意味では、店内で狼藉をしよう物ならどうなるか、と言う圧力は常にある
そも、暴れなければ只の気の良い連中ばかりなのだが。)
「あー、基本的には製作は俺一人だな。
小さな細工とかを作れるのも居るが、鍛冶に関しちゃね。
年の瀬は、年末年始に休みは取る、多分な。
其れ以外は普通に営業してるから、アンマリ気にせず持って来いって伝えな。」
(そも、自宅が店の真上なものだから
店を完全に閉める、と言うのは、例えば従業員が流行り病で全員寝込んだとか
店が営業停止を食らっただとか、そう言う事でも起きなければ余り無い
個人的に店主である己が休むことは有れど、店は従業員だけでも営業して居る
どうしても長期で留守にする場合は、其の際に告知を出すのだと
細かい作業をしながら、今の内に説明をしよう)。
■アルマース > 「そう! ハーブのも美味しいしチーズ入りのも美味しいし。
お店、終わったら酒盛りする?」
腸詰の絵を笑う男には、とても分かりやすいでしょ、と腕を組んでごく真面目に言う。
イーヴィアが引き渡し品の整理を始める様子を見て、手を出しても邪魔になる気がしたから、その間にリストの整理しておく。
引き渡しの終わったものをリストから消すだけなのだけれど、やろうとするたびに声を掛けられて作業が中断していたのだった。
「代わりに殴ってもらってもあたしの気は晴れないのー……そういうの、良いとこ取りって言うんだから。
――なあんて、客と揉めるなんて五年くらいしてないから安心して。
それより手が足りなくなるのを心配してよね。一人じゃ捌けないくらい注文増えちゃうかもしれないわよ」
リストを捲り、過去分を見返しながら背中越しに返す。
実家でも店の手伝いをしていたし、旅暮らしの途中あちこちで務めては「ずっといて」と言われる便利な女なのである。
人当たりの良さ、馴れ馴れしさ、より作業が楽になるように先んじて立ち回る、結果として上の人間が動く必要が無いくらい現場を整然と回すことにちょっとした恍惚を感じる。
商品のことがよく分からないうちに安請け合いで仕事を受けても困るから、半分はただの軽口だけれど。
「そうなんだー。風邪もひけないねえ」
身体が資本なのは自分も同じだけれど、従業員を抱えている身と、片や自分の口だけ養えれば良いという身軽さである。
■イーヴィア > 「嗚呼、悪かないね
持って帰りたい奴は持って帰れるようにして、纏めて頼んどくか。」
(腸詰だろうが似顔絵だろうが、本人が分かれば其れで良い。
ただ、性格や人間性が表れているようで、面白くなって仕舞っただけだ
女の見目は良い。 他に女性店員が居ない訳では無いが
毎日、四六時中出勤している訳では無いから、新顔に群がるのは、まぁ、当然か
踊り子としての女を知って居るなら、余計に声を掛けて来るのかも知れない
ただ軽薄なだけなら、他の従業員が近づいて来る度逃げるだろうが。)
「俺等は殴り慣れてても、お前が殴ったら面倒な相手も居るのさ。
世の中、頭がぶっ飛んでる奴も居るからな。
後、鍛冶に関しては心配すんな、注文が増える?腕の見せ所って奴だ。」
(実際の所、手が足りていないのは此処も同じだ
理由は様々にある、が、主立って居るのは従業員の事情だ
元冒険者、元傭兵、元盗賊に現役の冒険者も一部――
荒くれ者ばかり、だが、その代わりに既に一線を退いた連中は
何処かを負傷して居たり、年齢や、体力的な問題を抱えていたりと
常に出ずっぱりで居られる訳では無い、のだ
限定勤務や、不定期勤務で働いて居る者も居るし
偶に、勤務の兼ね合いで、店主である己以外、誰も居ないなんて事も在る
――それで回せないこともない、が、鍛冶以外の作業を誰かが担ってくれるなら
それに越した事は無い訳で。
其の分、鍛冶作業に関しては、女の心配を一蹴して見せよう
俺を誰だと思ってるんだ、なんて――そも、鍛冶には縁の余り無さそうな女が
己が名前を知って居るかは怪しそうな物だが。)
「心配ねぇな、風邪なんて引いた事も無いからよ。
何分体力が取り柄だからなァ、寧ろ、俺が困る位注文取ってくれりゃ
商売繁盛、店としちゃありがたいくらいだぜ。」
(責任者と言う重みはある。 が、幸いながら赤貧鍛冶屋という訳では無い。
自営業と言う身軽さも、有るには有るのだ)。
■アルマース > 「……あ、そういえば南瓜のパイを買ってきたんだった。
食べ切れないからみんなで食べようと思って。それも出さなくちゃ。
ねえ、おやつの時間をつくるべきじゃない?」
食べ物の話になって、はっと思い出した顔になる。
パイ生地の飾り付けの美しさに一目惚れして丸ごとホールで買ってきたのだ。
今日中には食べ切らねばなるまい。
手元のリストに引き渡し済み、の印をいくつかつけて。
「はいはあい、危ないことはしません。痛い目に遭いたいわけじゃないし。
来世で男に生まれたら、あたしも殴る係をやりたいものだわ……。
ふふ、それなら遠慮なく注文取りに行くけど、繁盛しすぎもなあ……あたしに使う分の体力もとっといてよね」
過去のリストをざっと見て、日付は随分前なのに、消されていない名前があるのに首を傾げる。
消し忘れか、実際引き取りに来ていないのか、暇なときに精査することにしよう。
ひとまずリストの方は終わりにして、くるっとイーヴィアの整理していた棚の方へ向き直る。
またどれが誰のかわからないようなものが無いか、先に確認しておかねば。
■イーヴィア > 「へぇ、そりゃ良い。 ……じゃあ、交代で休憩にするか。
裏手の休憩部屋に置いときな、休憩入ったのから摘まもうぜ。」
(そんなものがあるのか、と、聞けば休憩には了承を
この辺りの柔軟さが自営業の強みと言えるか、従業員も客と同じ位大事だ
実際に、過去に遡っても、消されて居ない名前は幾つか存在する
ただ、如何にも他の従業員や、店主の作業への細かさを見るに
単純な消し忘れ、とは思えぬ所だろう。 理由は、存在する。)
「御前さんが武闘派だったら止めないけどな。
喧嘩ならまだしも、斬り合いになったら困るだろ?
そうなったら、俺の仕事の意味も無くなっちまうからな。」
(踊り手としての仕事に影響が出る様な危険は冒すなと
しないと判って居ても、店主としては一応、忠告を
常連知識が在れば分かる様な品でも、勤務が始まったばかりの女には分らぬ物はある
――加えて。 女が今見て居る棚にはないが、別の棚には
あえて客の名前を記載していない品も存在する
いわゆる――訳アリ、と言う奴だ。
無論、そちらに障らせることはしばらく無いだろう、が
店の中、見回りついでに覗けば、其の存在に気づく事も有ろう
とは言え直近としては、棚に掛かって居た一本の長包丁に
「マグロ」 とだけ書かれて居るのが恐らく、一番意味が不明かも知れず)。
■アルマース > 「休憩部屋あったんだ。うふふ、さすが店長、話がわかる~。
すごく綺麗なパイだから、綺麗に切ってあげないとね。持ってきてよかった」
ここで借りるナイフが切れないわけもない。
店に来た際、勝手に空いている抽斗にしまっておいたパイの箱を取り出しながら上機嫌に笑う。
「来世は武闘派になろうかしら……もお、信用ないなあ。
手は出しません、煽りません、怒りません。
やりそうになったら他の人に交代します。神に誓って。これで良い?」
じいっと目を見て誓いの仕草をする。
片手にパイの箱がのっているので、あまり誓いの神聖さは出ないけれど。
引き渡し品のチェックを終えたら休憩部屋にパイを持っていこうとして、途中で『マグロ』に目が留まる。
「ん……?
これは魚屋さん……? 商店街の角のところの店?
だから肉屋とかじゃなくて名前書いてくれないかなあ」
肉屋の依頼品があったばかりだったから、マグロ、と書かれた品を見てそちらが思い浮かぶ。
■イーヴィア > 「まぁ、流石にな。
元々二つ目の談話室だったんだけど、まぁ、一つで十分だろって事で。
向こうの部屋にナイフも有るから、気を付けて使いな。」
(軽い食器なんかも向こうに用意して在る
明らかに――酒盛りし慣れている店の休憩室だ
ちなみに目の前で女が教会職の様な祈りの仕草をしたら
漏れなく小さく笑った。)
「誓いが軽いなァ。 ま、気を付けるなら別に良いさ。
……うん? 嗚呼、マグロだよ、マグロ。
魚屋が、代金の代わりに魚じゃダメかって聞いて来たからよ
出せるだけの金と、良い魚って返したら、マグロ持って来るって。」
(アイツ阿呆だな、とか言い放つ非道さだが、詰まる所
例え顔が判らなくても、この店にマグロを持ち込んで来る奴が其れだ、と言う事
そうして、もし休憩室に女が向かうなら、他の従業員も一緒に休憩へ行かせようとする、のだが
良いから御前が先に行けと言わんばかりに促され、先に休憩室へと行かされる事に為ろう
――傍から見て、この店で一番ワーカホリックなのは間違い無く店主なのだろう)。
■アルマース > 流石に――と言うが、店によっては、客の目もあるところで店員がまかないを食べたり、店の裏で煙草を吸うくらいの休憩しか無い店もある。
踊り子を呼ぶのに楽屋どころか着替える場所すら用意していない店だって別に珍しくはないわけで。
これまで見て来た色々な店の裏側を思い浮かべ、ううんと首を傾げる。
成り行きで働くことになったけれど、とても良い店に巡り合ったのでは……?
裏手へ行く途中も、まだ若干拗ねた様子で。
「だあってやらないの分かってるもの。
自分だけならともかく、お店の顔潰すようなことしませんー」
誓いを軽視しているというより、誓いが無いとしてもやるわけないし、ということのよう。
しかしマグロの謎が解けて、遠慮のない笑い声を響かせてしまう。
「あっはは! 何それ面白すぎるんだけど――えええ、会ってみたいなあそのお客。
マグロで手を打つ店長も店長だけどさあ……何なの、漁師なの。だとしてもどうして現物払いなの……」
鍛冶屋にマグロを持ち込む人間を想像して笑いが止まらない。
笑いすぎて手が震え、パイが箱の中で斜めになりそうになる。
■イーヴィア > (一番は、設計や実際の建造、改築を
当初、店主自身が行って居た事が大きいか
必要な物は必要として確保したい、其の方が便利だし快適だろう
結局のところ、其の方が最終的にやり易くなるのだ、皆が
資金やら人件費やらをケチったり、土地の狭さが影響する場合も有ろうが
そう言う意味では誠実であるし、立地が幸運だったのも有る
後は純粋に、私室以外にも酒くらい飲む場所は欲しい、我儘だ。)
「ま、流石に今日は来ないだろうが、来たら呼んでくれ
マグロのでかさ次第じゃあ、運べないだろうからなァ…。
いや、食うだろマグロ。 食い物は大事だぜ、金だって最終的に食い物に消えてく訳だしな。
来たらお前達にも配るから、持って帰れよ?」
(持って帰っても良い、ではなく、持って帰れ、だ。
何せ、流石にマグロ一匹を保管しておけるような冷蔵施設は無い。
一匹丸ごと持ってくるのか、解体してから持って来るのかは分からないが
もし丸ごと持って来た暁には、間違い無く店内で解体ショーをやらせるだろう。
ちゃんと価値さえ釣り合っていれば、不必要な物でさえ無ければ
現物で無くとも支払いの対象にする、と言うのは
例えば、武器防具の類に対して、素材持ち込みを許可して居る所からも伺えよう)。
■アルマース > 「絶対その場面に立ち会いたいなあ。
もう、そのためだけにまめに働きに来てしまいそう……」
マグロの解体ショーが開催される鍛冶屋。たぶん誰に説明しても意味がわからないだろう。
食事処を併設した宿に食材を持ち込むならともかく。
見知らぬ客への興味が止まらない。
踊り子の仕事は夜だけのことが多いし、たぶん暫く、毎日のように通うことになりそうだ。
「食べるけどー……もうその客来たら、その日、営業終わりじゃあ……?
宿の女将さんに頼んだら料理してくれるかなあ。もう焼けば良いんじゃない、鍛冶場で」
料理などしないしそもそも宿の部屋にはキッチンもついていないから、お湯を貰ってきて飲み物を淹れたり、果物を剥くくらいが女の『料理』である。
鍛冶場には足を踏み入れていないので、ピザ窯のイメージで言う。
おかしな話をしながら、揃って休憩部屋へ。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からアルマースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にアキアスさんが現れました。
■アキアス > 平民地区の路地裏。
その日の午前中、うまく受けることのできた割のいい依頼を片づけて、
貰った報酬で昼下がりから安酒を飲んで仲間内と騒ぎ。
そうして店を幾つかはしごしては、夜はこれからという時間までに潰れてしまい。
路地裏でぐぅすかといびきをかいて小一時間。
不埒者に身ぐるみ剝がされても、難癖付けられても不思議でないものの、
明らかにガタイがよく手を出しては面倒と思われたり、憑りついている淫魔がしょうがないなぁとばかりに催眠で追い返したり。
幸運にも味方されての、硬い硬いベッドでの、目覚め。
「……んぁ。……ぁ? ……ンだ、カラかよ」
通りから、夜の喧騒の声も聞こえる。酒場かなにかが近いのかもしれず。
遠巻きに様子を見ている浮浪者の視線も感じるが、気にせず手に持っていた酒瓶を口につけ、中身が無くては文句を言って。
塒のある貧民地区とも違う風景に、まだ酒精の残る頭を揺らしながら、周囲を見回して。
冒険者としてはそこそこ長い身であれば、こんなところを知人に見られればどうなるだろうか。
心配されるか、笑われるか。あるいはまだ宵の口だと、連れ回されるか。
想像しては、いつもの扱いとそう変わらないな、と、背伸びをして。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にユーゴさんが現れました。
■ユーゴ > 「それじゃあ、よろしく頼むよ。」
穏やかな表情と共に、そんな一言を告げてフード姿の男と別れた。
それが、ほんの数分前の事。
ギルドを通し辛い依頼を受けたり頼んだり、そんな事は日常茶飯事でしかない。
頻繁ではなくとも、己も受けるし、頼んでいる。
とは言え、余り人目に付いても良い事はないのも事実で。
路地裏の暗がりを緩やかな歩みで進んでいれば、ふと、進行方向に人影――と言うには、随分低い位置の翳りに、双眸が瞬いた。
倒れているのだろうか、など、頭に過らせながら距離を縮め。
「――――……君、大丈夫?」
とは、丁度相手が伸びをした頃合いだった。
声を掛けるタイミングを間違えただろうか。
ほんのり、渋色を表情へと乗せ。
■アキアス > 声をかけられるタイミングで、体を起こし、背伸びをする。
みしみしと関節が悲鳴を上げるのに瞳を細めていれば、目の前には長命種たるエルフの特徴を備えた美人。
細まったままの碧眼を向けては、無遠慮にじろりじろりと眺めまわして。
「あー? 大丈夫じゃねぇかなぁ。もちょっと飲みたいし、お嬢ちゃん付き合ってくれよ」
へらりと笑い、相手が中性的なのをよいことに、お嬢ちゃん、と、からかうように告げてはその手を掴まえようとし、首尾よく触れられれば、自分の方に引いてしまおうとする。
男性か、女性か。それは、淫魔が取り付いてから感覚的に知れるようになったところ。
だから間違えることは少ないのだけれど、目の前の相手には、男と判るのに、淫魔が脳裏に囁くのは『これは雌だよ』という、意味不明な言葉。
快楽に弱い相手であることを隠喩してのことかとも思いながら、にやにやと下卑た笑みを浮かべる。
憑りついた淫魔はと言えば、鈍いな、なんて呆れ調子で囁いては――……目の前の相手の身体に仕込まれた淫らな術を、好奇心から弄ってやろうと、アキアスの意志は置いたままにその淫蕩な魔力を、二人の合間に滲ませてゆき。
■ユーゴ > 視線を向けられる事自体には、己の身分もあれば慣れてはいる。
母親に似た見目の特徴であるが故、性別の判別が付き辛い事も同様に。
だからこそ、それらについては然程気にはならないのだが――酔っ払いの軽口、となればまた別だ。
「おや。 問題なさそうに見えるけど―――……っ、」
呆れと困惑の入り混じった表情を浮かべ、伸ばしかけた手を戻そうとした矢先、相手の方へと伸びていた右手が取られる。
待たず、引かれて踏鞴を踏む足。
先程よりも険の滲む表情を浮かべるや否や、肌神経に覚える違和感に、相手の手を振り解こうと試み。
「……ッ、離してくれるかな。」
■アキアス > へらへらと緩んだ笑みを見せる男。
相手の手を掴まえてしまったまま、その掴んだ手からじっとりと男の汗が彼の手に滲む。
淫魔が悪戯にその体液を、触れた相手の身体が雄に媚びるようにと影響させるものに変えて。
振り解こうとするなら、案外簡単にその手は離れるだろう。
「なんだよ、つれないじゃねぇの。一緒に酒でもどぅか、って言ってるだけなのに」
ゆっくりと立ち上がれば、相手を見下ろすようになり。
自分に憑りつく淫魔が、目の前の美丈夫に仕込まれているものが面白い、と、興味を示しているのに、ふぅん、と、鼻を鳴らすようにしてはその身体を眺めまわして。
■ユーゴ > 魔力の波や術の類であれば、軽度のものは常に施している抵抗の魔術が大概は弾いてしまう。
然し、体へと直接影響するような物は、気付かなければ術では弾く事は出来ないし、解除も直ぐには難しい。
すぐさま効果が表れないのであれば、早々に開放された今、尚更だ気付くのが遅れてしまう。
まだ、己の身体へと齎された変化には気付かぬ儘、訝し気な表情を浮かべて視線が滑る。
見下ろす形から見上げる形へ。
常の、穏やかに緩められた表情ではなく、作り笑いと分かる笑み顔を浮かべては浅く頭を傾げ。
「もう少し、スマートな誘いの方が受けは良いと思うよ。」
■アキアス > 淫魔は目の前の相手に興味を覚えて、いろいろと仕掛けているようだけれど。
どうにもそれが効果を表しているようには見えない。
もともと好き勝手なことを頭の中で騒ぎ立てる存在だからと、期待外れだとため息を吐く。
それは、目の前の相手には、乗りの悪い彼に対して、詰まらない相手だというふうに示したようにも見えるかもしれず。
「っは。スマートねぇ? 付き合え、よりスマートってどんなもんだ? やってみてくれよ、お嬢ちゃん。」
わざわざ笑顔を作ってまで、こちらに指摘する相手を見下ろしながら。
酔っていなければ、こうも鬱陶しく絡まないだろうけれど、
わざわざ顔を降ろしては、酒精の匂いを漂わせる呼気を吹きかけるように、告げる。
■ユーゴ > 零される溜息に、寧ろ安堵してしまうのは致し方のない事だろう。
急病人かと思って声を掛けたは良いものの、それが違った処か、酔いどれらしい応えばかり返ってくるのだから。
それが酔っての対応にしても、態と為された対応だとしても、勝手に勘違いしていたのは己だ。
相手にしてみれば謂れのない事なのやもしれないが。
次いだ台詞には仄かに眼が眇められる。
間近で覚える、酒気を帯びた吐息の香りに眉根を寄せ――右手が、相手の顎先へと伸びた。
緩く立てた人差し指が、その顎先をするりと撫ぜ。
「そもそも、素面の時に誘うべき――――……、……?」
そこまで紡いで、言葉が途切れた。
普段にない、己の行動に違和感を覚え眉間の皺が深くなる。
顎先へと伝わせた指先ごと手を引き、本能の響かせる警鐘の儘、無意識の内に後退り。
■アキアス > 絡むような台詞を突きつけ、からかうように顔を寄せ。
淫魔が囁くような、艶っぽい面白さは、どうも無さそうだから、
そうやって、相手の反応でせめて遊んでやろうとしていれば、顎先に伸び来る右手。
胸倉でも掴まれるのかと思ってにやにやしていれば、指が顎を撫でる。
「はぁん? ……ツラが良いやつは、そぅやって、スキンシップで誘うってか?」
後ずさりする相手の様子に、へらへらとにやついた笑みを浮かべながら。
彼我の間を詰めては、建物の壁に彼を追い立てるようにしていく。
延びる男の片手は『スキンシップ』を実践しようというよう、その細腰を掴まえようとし、
飽いた手は彼がしたように、顎を指先で撫でつけるようなふうにしてからかってやろうとする。
うまく掴まえてしまえたなら、憑依相手に期待外れ扱いされた淫魔が、今度こそは、と。
探るような淫気でなく、発情を煽るようなそれを、彼が抱え込む術式にと流し込んでいくか。