2023/10/07 のログ
ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
イーヴィア > (金槌の音が響く。
店舗は通常通り営業中だが、店主たる鍛冶師は、鍛冶場へと引き籠って居た
揃えられて居るのは、とある希少金属で造られたインゴット
其の一部を炉にくべ、打ち込んで、更に純度の高いインゴットを造ろうとして居た

露の中、赤々と焼けた金属を、金槌で叩く度に火花が散る
普通の人間であれば、相応の防火装備をして居なければ火傷に塗れて仕舞うだろうが
其処は、曲がりなりにもドワーフの肌の強さ故、か

既に、何度も折り返しを重ね、不純物と空気の残留を排除し
凝縮する様にして金属としての質を高めていく、地道な作業
余り扱う事の少ない素材であるからこそ、其の素材の特性や性質を
研究し、工夫し、試しながらの製造は、誰に頼まれた物でも無い
自らの技術向上と、研鑽の為に定期的に行う、予算度外視の試作品

本来であれば、此れを完成させた物が、様々な武具や防具に鍛造されて行く
だが、今日の作業は一旦、其処で止める心算だ
どんなものに加工するかに関しては、まだ、ゆっくりと考える所
だが、先ずは何よりも、どんな素材なのかをこの手で確かめたかった
自らが確かめなければ、インスピレーションだって湧きはしないのだ)。

イーヴィア > (次第に、金槌の音が変化して行く
金属の純度が変わり、火入れが進んだ事によって、鈴を鳴らす様に高い音が響く
鍛冶場の防音は意識されて居る為、売り場には微かに届く程度だろう
視覚で、音で、金属の状態を判断する鍛冶師にとっての、目安

其処からは叩き方を変え、刃物へ変える為の形へと細長く成形して行く
ムラなく形を整えれば、充分に火を入れ、頃合を見て炉から取り出し
其の儘、水桶の中へ直ぐに突っ込んでは、急激に冷却する
こうする事で、金属が通常以上に頑丈となる――硬く、剛く。)

「―――――……やれやれ…思ったより手間が掛かりやがる。」

(――一息ついて、水桶の中の金属を見詰める。
元のインゴットの状態が悪かった、とは言えないのだが
"使える"様になる迄、大分金槌を振るう事になった。
此処まで来て仕舞えば、後はいつも通り、と言えそうだが
鉄やら銅やらに比べると、少々仕込みに時間が掛かるのが難点か

――まぁ、ミスリルやらオリハルコンやら。
そう言った類に比べれば、なんて事は無いのだが
これを、平常使用する金属として仕入れるのは、少々考え物だ。)

「これで、大分マシな物が作れるってんなら話は別なんだが…。」

(そこは、最後まで形にして見なければ判らない
急ぐ必要は無いから、また、仕事の合間に進める予定では在るが
――目途がついて欲しい物だと、そう思う)。

ご案内:「ヴァルケス武器防具店」にアルマースさんが現れました。
アルマース > 人に道を尋ねながら通りを歩いてきた女は、金属を打つ音が聞こえ始めてからは、それを頼りに店まで辿り着いた。
少しの間、店頭でうろうろして、入って大丈夫なものか様子を窺うと、ノックをしながら売り場を覗く。

「お邪魔します、まだやってる――?」

覗いた顔は、暑い地方の人種と知れる褐色の肌に彫りの深い目鼻立ち。
ゆるい三つ編みにした黒髪が揺れた。袖も裾もゆったりとした黒のワンピース姿はどこにでもいそうな街人の雰囲気で、少なくとも武器防具に縁のある人間には見えない。

イーヴィア > (水桶に突っ込んだインゴットが、凡そ冷え切ったなら、其れを取り出す
作業台の上に乗せ、其の儘自然乾燥させながら、芯熱が冷めるまでは其の儘に

其の辺りで、店舗の方では客人が入店して居るのだろう
先ず初めに対応するのは従業員だ、閉店時間にはまだ遠い

『やっていますよ』と、白髪交じり、初老に近づいた
其れで居て背筋の綺麗に伸びた店員が応えれば
遅れて鍛冶場から、作業をひと段落させた店主が漸く、姿を現す。)

「うーす、いらっしゃい。 今日は鍛冶屋に何か入用かい?」

(一見武器や防具に縁の無さそうな相手でも
日用品としてのナイフや金物も取り扱って居るこの店では、立派に客人だ
他に客も居る中で、用向きが在るなら自分は対応すると、軽く片手を掲げれば
首筋から胸元までの汗を軽く拭い、カウンターへと立って、女を迎えよう)。

アルマース > とりあえず一見さんお断りな雰囲気ではなかったので、笑みを向けた。
急ぎでもないので、「ちょっと見せてもらうね」と、初老の店員の手が空くまで待とうと短剣の展示された壁を眺めだしたところで、奥からもう一人姿を現すのに顔を向け直す。
作業を切り上げてきたばかりといった雰囲気の男と、途切れた金槌の音で、おおよその状況を察した。

「どうもー。お仕事中に悪いね。
 急ぎじゃないから待てるけど、あと、こういうお店で良いのか分かんないんだけど、相談しても良いかなあ……
 ジャグリングナイフなんだけど――……」

カウンターに近づくと、革の巻物を置く。
くるくると紐解くと内側のポケットに八本のナイフが収まっている。

このまま話を続けてもいいか確認するように、カウンターの上に持ち物を広げるだけ広げてイーヴィアを見上げる。

イーヴィア > (基本的には誰でも歓迎の店
お断りするのは、余程省の悪い連中か、店内で暴れ出す連中くらいの物だ
初老の店員も、女に対しては柔和な対応を心掛ける事だろう
だが、見る者が見れば、其れが引退した傭兵か、或いは冒険者か
そう言った類であろう事は、感じ取れるかも知れぬ

女が此方へと近付いてくれば、台上に拡げられた品に目を落とす
ジャグリングナイフと一言にしても、大道芸で使う、あくまで道具用の物も在れば
暗器の様に、実用性の或るレベルで切れ味の在る物まで存在する
女の其れが、何方の物だろうと確かめながら、話の先については促し。)

「構わないさ、金物全般扱ってるからな。
鍋の底が抜けたって言われても直して遣れるぜ?」

(――冗句めいて言うが、実際其の位気軽な作業も受け付けている。
もし、女が許すなら、ナイフの一本を手にとっても良いかと伺いつつ
其の具合を確かめようとするだろう

どんな素材で作られて居るか、どの程度の価値の物か、どれだけ手入れがされて居るか
傷や刃こぼれの有無など、云われずとも調べて仕舞うのは、鍛冶屋の性だ)。

アルマース > 「ふふ、あたしは料理、食べる専門だからなあ。
 ドワーフがやってるって聞いたけど細工物もやってる? 装飾品とか」

とんとんと布靴の爪先が機嫌よく床を叩く。

たぶん必要は無いのだろうけれど、銀色に塗られた爪が全部のナイフをポケットから出してしまう。デザインは皆同じ、飾り気のない黒い柄のナイフ。古いもので、細かい傷は多いけれど錆びたりはしていない。
あくまで見世物用として、頑張れば果物くらいは切れるかも……くらいに刃は潰されている。
どうぞ、というように掌を上に向け。

「これと同じ感じのを一揃い作りたくて。
 もうこれに慣れちゃってるから、重さや形をあまり変えてほしくないのと――あと、お値段次第だけどもう少し装飾が欲しくてさ。
 あ、そう、舞台用ね、これ。アルマよ。踊り子やってまーす。今夜の一杯は『踊る潮風亭』でどうぞ~。それでね……」

徒然に思いつくままぽんぽん喋る途中で営業もする。

「舞台映えしてほしいけど、鏡みたいに光を反射すると、うってなっちゃうからそこは抑えてほしくてー……
 ……注文多いかな? 無茶ぶりしてる? 借り物だからこういうの自分でオーダーしたことないんだよね」

言いながら不安になってきて、ちらっとイーヴィアの顔を窺う。

イーヴィア > 「クク、良いじゃねぇか。
食べる奴がいなきゃ、作る方も張り合いが無いしな
装飾も、どの程度かによるが受け付けてるぜ。
ま、デザインが気に入るかって所は人によるんだが。」

(女がナイフを全て引き抜くなら、その一つ一つに目を通そう
刃を潰して在る、確かに、大道芸用の代物
実用品では無いが、踊り子や芸者にとっては立派な商売道具だろう
大きな傷や割れが無ければ、一先ず良しとして頷き。)

「……成程、予備と言うか、新調って所か。
そうだな、全く同じ物ってんなら、別に難しくはない。
飾りを増やしたり、彫ったりってなるなら、其の分少し調整が要るが…。」

(彫るのか盛るのか、何れにしても、主に重さと手触りに調整が必要と為るだろう
女のしれっとした営業には、名前は聞いた事が在るのか、あの店かと反応しつつ
刃の造りや、照りの具合を、実際に店内の照明を当てながら軽く確かめる

実際に柄を握った感じを確かめるのは、金属柄か、木材柄か。
どんな素材が使われて居るかを、凡そで判断しながら、持ち上げた一本を、台上に戻し。)

「……実用しないなら、刃に飾りを入れる事も出来るし、柄の部分に飾りを入れても良いな
照りは消せる、後は、どの位目立つ感じにするかだが…例えば、色だな。」

(黒の柄は、実際舞台上では地味で在ろう
其の部分を別の色に変えたり、飾りに色を入れたり、と言った方法は在る
もし、女に希望が在るならば、其の辺りは細かく要望するよう促し――

……つまるところ、別に問題は無い、と言う事だ。
高価な素材を使う訳でも無ければ、ちょっとした工賃を乗せるだけで良い
まぁ、其処で女がどれだけ予算を出せるか、と言うのは判らないが。)

「実際、小遣いは何処まで出せそうだ?
其の辺りにも寄るからな。 懐具合とも相談してみねぇとよ。」

アルマース > 「悩ませるなあ……」

衣装も新しいのが欲しいし、ヘッドドレスも欲しいし、いかようにもできるような話を聞いてしまうと、夢ばかり広がってしまう。

「そ、母さんが使ってないのを持ち出してきたら、先輩?から貰った思い入れのあるものだったらしくて。
 返せって言われちゃったから自分用のが必要になったんだ」

黒い握りの部分――塗装らしい。全て金属だ――を掴み、一本ナイフを手に取る。

「可愛いよりは、殺意高めのが良いな……ピンクは嫌。深紅とか青とかターコイズとか紫……濃いのが良いなあ。
 琥珀色のキャッツアイみたいなのも格好いいよねえ。石入れるとお値段張りそうだけどテンション上がるよねえ。
 んーでも入ってなくても良いかな……でもナイフなんてそうそう買い替えないだろうしー……
 衣装はよく買い替えるから、ナイフは何色でも良いといえば良いんだよね」


「宿代まとめて払っちゃったばかりだし、すぐ出せるのは二万ゴルドくらい。
 少しずつ払って一本ずつ貰ってとかだと面倒になっちゃう?
 貯金って概念は無いけど、足りない分は稼いでくるからお願いしたいな」

きりなく悩みそうになって、振り払うようにしっかりと頷いた。

「とりあえず細かいデザインは兄さんの趣味で良いよ。すんごいのが出来てもそれはそれで面白そうだし、投げやすい受け止めやすいが一番大事だから、そこさえ押さえてもらえたら」

ひゅ、と中空に投げて受け止める。

「よくわかんないけど、重さのバランスが違うと、回り方……? が変わってくるって聞いたからさ」

イーヴィア > 「ふぅむ…、……何なら、一本ずつ色を変えるって手も在るがね。
石入りだと、其れは其れで石によっては値が上がるか。
まぁ、二万ゴルドの間に収めろってんなら、こっちで考えるけれどよ。」

(成程、投げナイフと考えれば、重さのバランスも調整が居る
手元から羊皮紙を取り出し、秤を引き寄せて一本のナイフを乗せれば
全体で、どの程度の重みになるかを先ず記した
凡その形状を、設計図めいてその場で型取りした後で
ナイフの重心が何処に在るのかを、指先に乗せて確かめれば。)

「――――……出来るだけ安上がりにして、15000ゴルド。
今言った辺りを全部乗っけて、25000ゴルドって所だ。 ……何処まで粘るかは、御前さん次第だな。
まぁ、一本ずつの納品でも良いっちゃ良いが、揃って無いと意味は無いんじゃないか?」

(そもそも大道芸用、ジャグリング用なのだとしたら、全部揃って漸く意味が有る筈だ
相手が望むなら其れでも良いが、良いのか、なぞと問いかけつつに
凡そ、概算では在るが、想定金額を一緒に伝えよう
装飾についてを一任されれば、判った、と頷きつつに
また、ナイフをホルダーに戻してやり。)

「20000が前金で払えるなら、残りは分割でも、稼ぎ払いでも良いさ。
何なら、一晩俺と踊ってくれりゃあ、ちょいと負けて遣っても良いしな。」

(最後のは、女が踊り子と聞いての冗句だ。 ……半分くらいは。
笑い飛ばす様に、そんな事を言いながら。
カウンターの下を探り、飾りに使う石の見本を幾つか並べて見せた
何れも、使えば20000は越えるし、使わなければ、予算以下に抑えられるだろう)。

アルマース > 「ねえ、更に悩ませようとしてる……?」

ジャグリングの仕草をしつつ、一本ずつ違うナイフが空を舞うところを想像する。
でも統一感が、とか、ええ、でも、とまた悩みが増えそうになって、

「こういう時は、直感に従うのが一番だから――
 ……ううん、赤! 深紅! 血みたいな色の石にしよう。
 全部のっけでお願いします。足出そうなときは教えてくださいな」

メモをしたり量ったりしている合間にそのペンを借りて、イーヴィアから見ると逆さまのまま追記する。
借りている宿の名前、ナイフの本数(八本)、納期(急がない)、自分の名前(Almaz)、など書き足して、最後の仕上げにハートで囲う。

「んー、一本ずつ現物が手元に増えていくと、稼ぐぞ!って気分になれるでしょ……?

 一人の男の前でだけ踊るのは、うちの地方では新婚初夜の儀式だから御法度なの。
 残りはちゃあんと稼いでくるし、そういうの関係なしで口説いて。まめに一本ずつ引き取りに来てあげるからさ。嬉しいでしょ?」

にこにこと挑発的に笑いながら、これ、と一番深い色の赤い石を指さした。

「いつも何時までやってるの? 手付金、一旦取りに戻らないと無いんだけど、これから仕事だから、その後だと遅くなっちゃうなあ」

ひとまずおおよその話がまとまって、とん、と両手でカウンターを叩いた。

イーヴィア > 「何、選択肢は多い方が良いだろ?」

(こういうのは初めに悩んで置く物だ、と、笑いながら。
其れでも、女が悩んでいる間は、急かす事も無く待つだろう
結果、結論が出たなら、頷き返して、見本の中から示された石を取り
其れを軽く磨いてから、少しばかり、脳裏でナイフの色合いを思案する
柄にこれが嵌るなら、柄の方が落ち着いた色合いでも、恐らく問題無い。

――幾つか、試しで造って見るかと、考えつつに。)

「……やる気の問題ね、確かに。
そう言う事なら、一本ずつでも受け取りに来な。
受け取りもそうだし、何か用が在るんなら、店が開いて無くても、俺が起きてりゃ対応してやるよ。
今夜だったら鍛冶作業のあがりは遅いし、裏口叩けば開けてやる。」

(何せ、店舗の上が己が家だ。 住まいも一緒くた。
自分の裁量で、営業時間は伸びたりする物だから、余り気にするなと伝え。
其れから、台上に置かれたナイフを示しては。)

「これは持って帰りな、大事な商売道具なんだろうしな。
それと。 ……金が絡まなきゃ、口説いて良いんだな?」

(くつり、喉奥で笑いながら、戯言。
少なくとも、もし今夜戻って来るなら、此方に問題は無いし
また、都合の良い時でも構わない、と添えて)。

アルマース > 「選択肢が多くても選べるのは一つなわけで……
 月イチで新調できるくらいの売れっ子になるしかないな」

 自問自答して、稼ぐやる気に満ちた顔つき。
 それが、若干ふくれ面に変わり、唇を尖らせる。

「嬉しいって言いなよ、もう。可愛くなあい。
 ……『押し倒す』は口説くじゃないからね?

 ……それじゃあ、仕事が終わって元気だったら今夜持ってくるね。
 来なかったら、客に絡まれて疲れて死んでるんだと思って。

 そのナイフ、しばらくは演目指定でお呼びがかかることも無いだろうから、一本は置いていくね」

また勝手に羊皮紙の上に、みほん→と書き足して、矢印の先にナイフを一本置いていく。
残りのナイフを革にくるみ直し、ぽん、とカウンターを素早く叩くと、軽くその上に身を乗り出してイーヴィアの頬に口づける。

「次はちゃんと名乗って。あと、名前、呼んで」

耳元に囁きと、砂漠に咲く花の残りを残して。
じゃね、と肩で三つ編みを跳ねさせながら、手を振って店を出ていく。

ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からアルマースさんが去りました。
イーヴィア > 「此れから仕事受けようって相手に、初手で押し倒すはなァ…。
……ま、出世払いってのも夢が有って良いぜ。 無理な計画は流石に突っぱねるがよ。」

(流石に、無計画が過ぎる支払予定を拒む程には、ちゃんと商売をしている。
ただ、若者が向上心に溢れるのは、見ている側としても応援したくなる物
続いた膨れ面には、くつくつと喉奥で笑い、肩を竦め返そう
一本だけ残されたナイフは、問題無いなら、有難く参考に使わせて貰う。)

「自分に可愛げを求める様な歳は、もう過ぎてんだよ。
―――……全く。 わかった、約束だ。次に会ったらな。」

(頬に、受けた口付け。 其ればかりは、少しばかり不意打ちとなったのだろう
僅かに瞳を瞬かせ、其れから、やれやれと口端吊り上げれば
店を出て行く女を見送り、残されたナイフを、丁重に拾い上げて工房へと持って行く

他の作業もまだ残って居る。 時間を全て、ナイフに掛ける事は出来ないが。
さて、女が店に戻ってくる頃には、多少は進捗を見せられるだろうか――)。

ご案内:「ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。