2023/10/02 のログ
ご案内:「王都マグメール ヴァルケス武器防具店」にイーヴィアさんが現れました。
イーヴィア > (カン、カン、と金槌を振るう音が木霊する
従業員の中には、其の音が好きだと言ってくれる者も居るが
そも、こんな場所で働いてくれる者なぞ大概、物好きで在ろう

窯に新しい炭をくべて火力を強め、叩いた鉄へと更に火を入れて
何度も何度も、融かして叩いて、熱して叩いてを繰り返す
普通の鍛冶屋が行う其れよりも執拗に、何度も何度も、其れ以外の術を忘れたかの様に
この作業の間は、例え誰であっても、声を掛ける事は適わない
掛けた所で、例え其れが聞こえて居ても、聞こえて居らずとも、作業を止める事は適わない

――そうやってこの店の品は造られて居る。 店に並んで居る、どんな小さな刃物でも。
其処に銘は無くとも、同じ業で造られて居るのだから。)

「――――――……ふぅ……。」

(金槌の音が止んだ。
鍛冶場では、水桶に沈めた刀身が一気に冷やされ、水蒸気を発させて居る
引き締められた刃は、独特の刃紋を描いて炎の揺らめきを反射する
水から引き上げ、其の刀身に傷が無いかを確かめた後
刀身を、芯まで完全に冷やすために、専用の台へと固定して

――ゆっくりと、鍛冶場から姿を現した。)

「――――はー…、……おう、店の方は大丈夫か?」

(作業がひと段落点き、漸く店内に姿を現した責任者
今宵、特段に約束は無かった筈だが、己への客人は居なかったかと
従業員に問いかけながら、首元の汗を布で拭った)。

イーヴィア > (従業員から返って来たのは、店長指名の用事は無かったと言う報告
なら良し、と、置いて在った器の水を一気に飲み干してから、鍛冶場に戻る
まだまだ、作業が終わった訳では無い。 此処の所は特に連日、作業詰めだ

鍛冶屋としてのかき入れ時、と言えるだろうこの時期
些細な遅れが、後々に響いて来るかも知れぬし、そんなのは鍛冶屋としての自尊心に関わる
もうひと働きだと、肩を回しながら作業台の前に佇めば、再び金槌を手に取り

――程無くして再び、金槌を振るう音が響き出す
一定の間隔で、まるで音楽でも奏でて居る様に正確な旋律を刻む音が
従業員にとっての、作業用音楽とも為るのだ――)。

ご案内:「王都マグメール ヴァルケス武器防具店」からイーヴィアさんが去りました。