2023/09/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリセさんが去りました。
■タピオカ > 【後日継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にサウロさんが現れました。
■サウロ > (────残暑の中に吹く涼し気な風と晴天。
午後の昼下がりの王都、平民地区を歩くサウロは今また少女姿になっていた。
本来は成人男性でありながら、年端もいかない少女になってしまう現象は固定されている。
一つの身でありながら男女の性を持つという、稀有と言えば稀有な身体になってしまった。
その上、様々な因果が折り重なって淫蕩化が進み、淫欲に酷く弱くなってしまっている状況。
こうして平民地区を歩く時でさえ気が抜けない。
そんな状況下でサウロが今向かっているのは薬屋だ。
九頭龍山脈に自生する薬草類など求められているモノが手に入ったので、王都へ戻り納品しようというところ。
からんからんと控えめなベルが鳴る扉を開けて中に入り、カウンターへと向かう。)
「すみません、店主殿はおられますか?」
(カウンターの奥へと声をかければ、ちょっと待ってくださいねと返事が返ってくる。
どうやら手が離せない様子なので、その間店内を見ておこうとぐるりと見渡した。
基本的には小さい鍋から大きい鍋、濾過機、抽出器、すり鉢や薬研など、薬を作るための道具が棚に置かれている。
他にも日用品的な雑貨がいくつか。
ポーションを含めた薬品は、カウンターの向こうの棚に。
製薬技術か、あるいは錬金術か。
そういうものを覚えたら薬も自製できるのかなとサウロは道具をしげしげと眺めている。)
■サウロ > (そのうち出てきた店主に呼びかけられて、依頼品を納品する。
自由騎士の紋章付きということもあって少女姿であっても問題なく完遂すれば、備品としていくつかポーション類も購入した。
お勧めとされたのは新作だというローションタイプのポーション。
疲労回復もかねて体に塗ってもいいし、傷つきやすい粘膜などにはよく効くと言われて顔を赤くしてしまったのはまずかったかもしれない。
店主のニヤニヤした顔に小瓶タイプのそれをひったくるように鞄の中に入れて、店を飛び出した。
変なことを言われたせいで意識してしまいながらも、予定よりも時間が出来てしまった。
どうしたものかと、一先ず店の前から離れて目的も特に定めず歩き出す。)
■サウロ > (道中自由騎士の同僚の顔を見つければ軽く手を挙げて挨拶を交わし、最近の近況を交わしながら目的を決めて。
何事もなく平和に帰路へとついていった────。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からサウロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 【待ち合わせとなります】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にリセさんが現れました。
■タピオカ > 「ううん、シャツの色を変えようと思って!
リセが僕の瞳の色のシャツを着るなら、
僕はリセの瞳の色のシャツがいいかなって!
――制服スカートが合わないって意味じゃないよー、誤解させてごめんね。
でもその白いスカート可愛いなあ。
スカートもお揃いしていい?そこまで揃えたら嫌かな?」
店員さんの襟首をひっつかむ勢いで連れてきた。
戻ってくると彼女の手には白のロングスカート。
要らぬ勘違いをさせてしまったようで下がり眉でお詫びを告げると、
自分も欲しくなってくる。
小首傾いで彼女の意向を尋ねる。
彼女が嫌がらなければ、自分も同じロングスカートを買ってしまおう。
そこまで真似っこするのを厭うのなら、丁度手近にあったミニ丈のチェックスカートを買うつもり。
自分も持っていた学生鞄に制服を詰め込んで。
「仲良しみたいじゃなくて、ほんとに仲良しなの!
あはっ、ありがと!リセも薄着で涼しげなの、似合ってるよー!
――お揃いもうひとつ、つけてくれる?良かった!
宝物なんて言ってくれて嬉しいな。どうぞ使ってね!」
お店から出ると、自分は藤色のノースリーブシャツ。
彼女はエメラルドグリーンのノースリーブシャツ。
まだ暑さと熱を帯びる街を、お揃いのコーデで歩いていく。
肩が外気に触れる涼しさを感じながら、ふるふると短い銀髪を揺らし。指先で梳く。
褒めてくれる言葉にすっかりご機嫌になりながら。
渡したブレスレット、早速彼女の細い手首へ。
自分も手首に飾ると、彼女の感涙の様子をにこにこ見守った後に。
その手首を彼女の手首に近づけてみせた。
「大丈夫、クレープは怖くないよー!でも、誰かと一緒に食べるとさらに美味しいっていうのはわかるかな。
そっかー、初クレープなんだ。ふふ!僕の責任重大……!
ここのクレープはぜんぶ美味しいよ!僕が好きなのは、こっちのベリーミルフィーユ!」
ふんわり漂う甘さと果物の香りの中で相手と列に並んで。
第一印象で今後の彼女の人生におけるクレープのイメージが形成されてしまう。
初体験クレープの責任の重さに大げさにのけぞって戯れて遊び。
いつも自分が口にするのは、ミックスベリーと生乳入りカスタードが入ったクレープだ。
お店の横に立てかけられている、木製で幅広い黒いボードに描かれたクレープを指さして。
そこには他にも、レムレーズンホイップ、焼きりんごパイ、キャラメルクランチなど。
珍しいものだと、シェンヤン由来の抹茶ティラミスクリームや黒蜜クリームも。
■リセ > 「あ……なる、ほど……わ、たしの眸の、色、にしてくれるん、ですか……?
わあ、それは、とっても素敵なお揃い……!
ぜひぜひ、スカートもお揃い、嬉しいです…っ
白いスカート、タピオカちゃん、きっとよくお似合いになりますよ」
厭だなんてとんでもない。むしろ嬉しい、と目を輝かせてほこほこと喜色を滲ませて綻んで。
そして勢いよく連れていらした店員さん。その様子に思わず肩を揺らし。
双子コーデ状態に二人で着替えると、試着室から出てきて、うわあ…と頬を染めて感嘆符を零し。
すごくかわいい、とても似合っている、と若干興奮気味に彼女のスタイルを称賛するのだ。
「ほ、んとの、仲、良し…ですか……? わあぁ……素敵……タピオカちゃんと仲良しさんなんですね……すごくすごく…嬉しい…きっと伝えきれないくらい、嬉しいです。
そ、そうですか…?ありがとうございます。腕が細くてお肌綺麗なので、タピオカちゃんノースリーブ似合います。
この服にすごく合います、このブレスレット……お洒落ですし……お守りにします……」
独りで淋しい時も慰めになってくれる気がする。
同じ格好で歩く街はなんだかいつもよりも色彩豊かで輝いて見えるようだ。
いつもと違うように見える街の景色を眺めながら、ふと近づけられるお揃いの嵌った手首、ふふ、と嬉しそうに笑気を洩らしながら、ブレスレット同士を触れ合わせるように近づけて。おろそい、と笑った。
「でも、なんだか独りだと孤独感が深まり、そうで……。
タピオカちゃんと一緒だと、とびきりおいしいクレープになりそうですね。
ベリーのミルフィーユ……、絶対おいしい奴ですね、ぜひそれにしてみます、ベリーもミルフィーユも大好きですから」
お勧めに従って、甘い誘惑の香り漂う屋台の列に並びながら注文を決める。
責任重大と仰け反るリアクションにくすくすと喉を鳴らしながら、『おっとと…』と反り返る背中を支える仕草。
図でボードにかわいらしく描き表されたクレープはどれも魅力的で珍しいメニューも多くておいしそうで、きっと一人では決めかねただろうが、ベリーのミルフィーユがクレープ上級者のお勧めならばそれ一択になって、すでに口がベリー。
今度は違うメニューも試してみようと考えながら、順番が回ってくると、財布を取り出して、ブレスレットのお礼にここはわたしが、と支払いを申し出て、彼女の注文を待ってベリーのミルフィーユを頼むのだ。
■タピオカ > 「いっぱいお揃い!嬉しいなー!
スカートまで揃えて大丈夫ならー、ねえ!
これからリセとまた遊ぶ時に、今日みたいなお揃いコーデで遊びに行こ?
僕もこうやって揃えるの、楽しくなってきちゃった!」
お店から離れても、興奮さめやらぬ様子。
近づけたブレスレットの手首をそのまま、ちょん、とん。
戯れにひっつけて、何やら双子だけの交信をしてるみたいな。
今日のみに留まらず、別日にでもこうして遊べれば幸い。
肌の色も淑やかさもシンメトリな2人によるお揃いコーデ、足音弾ませ。
「それならクレープ友達作るといいよ!
この店の常連の子って、よく顔合わせするから。
列に並びながら挨拶してれば、お話してる間に順番になるし。
もちろん僕がリセの最初のクレープ友達!
――順番だね!」
甘味フリークスたちの門は誰にでも開かれている。
クレープコミュニティの気軽さを紹介しつつ、彼女の最初の1人の座は譲るつもりがなかった。
そんな会話の間に前の女子生徒たちが受け取ったクレープを手に離れていく。
一歩進んで、こんにちは!
自分たちより少し年上の背が高い、愛想の良い近所のお兄さん。
そんな店員さんにベリーミルフィーユを2つ注文して。
支払いに路銀袋を取り出そうとする仕草の横から支払いを申し出る彼女に睫毛を弾ませ。「ありがと、リセ!」浮かぶ笑顔でお礼する。
小さなカウンターの裏で調理器具や食材を操る店員さんの手付きはマジシャンみたいだ。
間もなく二人分のベリーミルフィーユがそれぞれの手に渡される。
「おまたせ、どうぞ召し上がれ」と瞳細めるお兄さんにありがとうと応じて。
2人並んで列を離れよう。
「歩きながら食べてもいいけどー、こっちのベンチに座ろうよ!」
そう言って、ブレスレットを嵌めた片手で彼女がブレスレットを嵌めている手を握って空いてる席へと促した。
そこはちょっとしたレストスペース。長椅子が並ぶ。クレープだけではなく、露天で買ったものを飲み食いする来客がそれぞれ寛いでいた。
「それじゃあー、……リセの初めてのクレープを祝して!
一緒に食べるよ?いっただきまーす!」
ベンチに横並びになると、手にあるクレープと彼女を待たせる理由はない。
ワイングラスの乾杯みたいに、相手のクレープのさきっぽをつんっ、自分のクレープでつついて彼女の初めてを祝い。
はむり。
小さく噛みつくベリーミルフィーユ。ベリーの酸味と香り、カスタードの甘み。
■リセ > 「はい…っ、すごく仲良くなった気がして……なんだか幸せです。
え? また、こんな風にお揃いで……? うわ、うわ……ええ…! ぜひ…ぜひ、そうしたいですっ。
同じお洋服で歩くの、とても楽しいです」
仲良くしたい女の子と同じ出で立ちで街を歩くだけで遊戯のように愉しい心地。
大きく何度も肯いてそれはぜひとも、と大いに乗った。
お揃いのブレスレットをくっつけると、ビーズが微かな音を立てる。
たったそれだけで心が弾んで笑顔を深め。
「あ……そぅ、ですね……そう、できれば、いいんです、けど……。
知らない方にお声を掛けるの、できなくて……
わたし、タピオカちゃんとクレープ食べられれば、それでいいです……」
基本的に消極的。最初のクレープ友達が一番いいように思えて積極的に列に並んで声を掛けることは難しいだろうなとは予測し。
そして慣れた様子でクレープを焼く店員に声を掛けるのを見て、そんなコミュ力ないな、と実感しつつ。
彼女より小さな声で「こんにちは」と挨拶をして。
ベリーのミルフィーユのクレープ。これもお揃いだ。
クレープの代金を払わせてもらえば、小気味よい声のお礼に自然と微笑を浮かべてゆる、と首を振り「こちらこそ」と軽くブレスレットの嵌った手を挙げて。
そして焼き上げられていく二人分のクレープを物珍しそうに見守った。
生地を薄く均一に焼く技術に感心して、さくさくのパイ生地や濃厚なカスタードにベリーの鮮やかな色合い、と少し中身の見えるように仕上げられたクレープを嬉しそうに受け取って。
店員さんへと頭を下げ「おいしそう…いただきます」ご挨拶して、ベンチへと促す声にそちらを振り向き。
「あ、はい、ここで食べれるようになっているんですね」
そんな基本も分かってないというか考え及んでいなかった。ブレスレット同士が嵌った手。握る小さな手を思わずぎゅ、と握り返して促されるままに並んで座り。
「はい……っ、一緒に……いただき、ます……っ」
まるで乾杯をするようにクレープの縁を彼女の仕草を真似してつつき合わせて。
同時にとタイミングを合わせて頬張る。
カスタードの甘みをベリーの酸っぱさと甘みのない小麦の生地が緩和して、そして口の中でひとつに調和する。
おいしい、と広がる豊かな風味に目を輝かせ。一口味わうと。
「とっても、とっても……おいしいです……っ。
ベリーが甘酸っぱくって、カスタードとよく合いますね……それにこの生地、薄くてもちもちで、これだけでもおいしいです」
■タピオカ > 「うん!露天で買ったものを口にしたり、ニヤニヤしながら眺めたり。
通りかかって少し座るだけにも良い場所だよー。
時々かっこいい男の人も見かけるし。
……さっきの店員さんも結構かっこいいと思うんだよねー。
あのひと目当てに来てる常連さんの女の子も居るみたいだし。
――リセのお好み的にどう?線の細い優しそうなお兄ちゃんは!」
買い食いマイスターとしては自分の庭みたいなスペースも、彼女にとっては物珍しい様子。
コミュニティスペースの良さを熱弁しつつ、先の店員さんに話を絡めてみる。
学校から離れてもクラスメイトと話すよな話題をしてしまうのは、きっと彼女と一緒だから。
そうして一緒に口にするクレープは、自分にとっても美味なもの。
「んーっ!おいしいね!
リセと一緒だから、いつもよりおいしく感じるよー!
――ここのクレープ、かなり良いでしょう?
テストの後の自分のご褒美にしたりもするんだー」
食べ慣れたいつもの美味しさは、今は別の意味でも美味しい。
小さな歯型のついた生地の隙間からこぼれそうなカスタード舌先伸ばし、すくって。
んくんと小さく喉鳴らすと、たまらずこぼれる笑み。
引いた勢いでそのまま繋いでいる手を、きゅ、きゅっ。
にぎにぎ握って喜色表し。
「テストといえばー、……もうすぐ実技試験が近いんだよね。
僕は普段冒険者してるんだけど、片手間で学生なんだー。
今受講してるのは両手剣の剣術クラス。ずっと我流で剣を使ってたから、正式な型を習うのは楽しくて!
リセはどんなクラスで勉強してるの?」
何度か小口でクレープに口をつけつつ、何気ない放課後の雑談にふけってく。
■リセ > 「あ、休憩にも使っていいん、ですね……なるほどです。
お買い物に疲れたらここに来ると良さそうですね。
かっこいい……えと、そ……ですね、優しそうで素敵な方、だとは思います。タピオカちゃんのタイプなんですか?
わたしも、優しい方がお話ししやすくて好きかも知れません。
クラスには好きな男の子、いたりするんです?」
容姿よりも物腰などの方を重視しがちかもしれないと小首を傾げて考え込んで。
長椅子の使用法についてはこくこくと相槌を打ちながら彼女の弁に理解を示し。
何気ない会話だけど。この普通の会話が貴重で楽しくて声を弾ませ。
「わた、しも……タピオカちゃんと一緒に食べるから、こんなにおいしいんだと思います。
きっと、ひとりだったらこんなにおいしくなかった……。
ご褒美の、クレープ? わ、いいですね、わたしも真似しちゃいましょう。出来が良くても悪くても頑張ったで賞ですね」
案外食べるのにコツの要るクレープ。隣に並んで座って、クリームが垂れないように気を付けて頬張った甘さに込み上げるような笑みが浮かぶ。
つないだままの小さな手が暖かくて心地よくて、緩急つけた握り方に少し擽ったい心地で肩を揺らして、きゅうー、と嬉しい気持ちのままに握り返した。
「剣術の、実技試験、ですか……すごいんですねえ。
冒険者で学生なんて……わたしは武術はさっぱりで……鈍くてお料理以外で刃物を握ったこともありません。
普通、慣れてない型を覚えるのは大変だってぼやきそうなものなのに、楽しんで出来るのが素晴らしいです。
わたしは、座学を主に魔術概論や一般教養、神学の授業も受けます。実技は家庭科や体育、音楽くらいなのですが……そう云えばわたしも体育、実技が差し迫っているんでした……また再々テストまで行くかも知れません……」
運動関係の実技に関して再テストの常連。
思い出して溜息が出そうになるも、クレープを噛みしめれば憂鬱が癒される。
隣で同じクレープを味わう同じコーディネートの少女を見るとさらに悩みなどどうでも良くなって。
上機嫌でおしゃべりに興じながら少しずつクレープを減らしてゆき。
■タピオカ > 「いいなって思う!
でも相手にされなさそうー。うるさい妹みたいな客だなって思われそ!
それでも優しいひとっていいよね。強いともっといいかな!
――それはー、……」
あの物腰だし、きっともう恋人も居るんだろうけれど。件の店員さんについてのあれこれ。
異性として近づくには、しおらしさという高い壁がありそうだ。
騒がしく持論展開するが、好きな男の子が居るかどうかという話題に及ぶと。
一瞬口ごもって視線が大きく逸れてから俯いて。
取り繕うように、片目を瞑って。クレープで口元を隠した。
ひみつ。
「それそれ!頑張ったご褒美に甘いクレープ。最高。これこそ人生!
僕が生まれて育った高原じゃ、こんなことなかなか味わえなくって。
都会の暮らしに憧れてたんだー。
だから、友達と一緒にクレープ食べられて幸せー!」
握り合う手首を軽く浮かし。うきうきと前後にリズムよく揺さぶったりもする。
軽く出自についての話題も弾み出す。
「ふふー!剣を握るのが本業だからね!
――へー!へえええ!魔術概論!
実は魔法、全く使えないし抵抗力もぜんぜんなくって。羨ましいなー。
受講しようって思って参考書少し読んだけど、最初のページでリタイアしちゃった。
神学は、信仰心とか治癒魔法関係かな?もう僕にとってはおとぎ話の世界だよ。
授業受けてるって時点でリセすごい……!」
剣術や体術に自信あり。
その差し引きなのか神は二物を与えることを拒んだのか、ステータス割り振り制なのか、魔力に全く縁無し。
自分に縁の無い分野を征く彼女を尊敬の眼差しで見つめる。
「あは……、体育は苦手っぽいね。
僕がリセのかわりに受けてあげたいぐらいだよ……!
――ねえねえ、リセ!
同じフレーバーで同じ味だけどー、……クレープのシェア、したいなー。
そっちのひとくち、ちょうだい?
僕のもひとくち、あげるからー……!」
筋力も敏捷度も申し分なし。自分が彼女の代役になれるのなら、再々テストの煩わしさから抜け出せるのに。下がり眉で笑う。
――クレープがなくなってしまう前にひとつ思いつく。シェア。
相手の食べるものは美味しく感じられるものだ。同じフレーバーでも。
ひとくちずつの交換を強請って。顔近づけてひとくち、ついばもうと。
同じように、彼女の口元にひとくち、味わってもらおうと。
■リセ > 「タピオカちゃん結構年上好みなんですねえ。
うるさいなんてことはないと思いますけど……確かに妹感はあるかもです。
………あら」
ふむふむ、ああいうタイプも好むのか、とその年頃特有の話題に花を咲かせ。
そして、不意に賑やかだったお口が濁る。それを取り繕う所作に、ぱたり、と両目を瞬かせ。
そして、これはいるやつですね、と薄っすら感じたが。追及するのは野暮、と心得。その内話してもらえるといいなと考えながら肯いた。
「何せ頭も使ってますから、きっとテストの後は沁みるでしょうねえ……。
高原育ちなのですね。わたしは自然の中での生活、羨ましいですけど……
だけど、こうして一緒にクレープを食べる幸せも掛け替えありませんね」
リズミカルに小さな手が揺れると楽し気にその動きに合わせて。
手を繋いだままクレープを食べてはほっこりと表情を和ませ。
「こんなに細い腕なのに……勇ましいんですね……剣って持っているだけでも重たいでしょうに……。
あ、わたしも全然使えはしないんです……体質的に魔法を無効化してしまって……でも、だからこそ、憧れてしまうんです。
そうですね…信仰とは、基本的にその人々に足りないものを補う教えが主だそうです。他者への労りや日々の感謝が足りないからこそそういう教えが生まれるのだとか。
全然、全然すごくはないんです、よ……? 成績が上位な訳でもないですし、タピオカちゃんの方が私のできないことが沢山できて…立派です」
魔力はないし、武芸もからっきし。
そんな自分にはそれに卓越して、すでに立身している彼女の方こそ尊敬の対象で。
ふるふると首を振りながら、こちらの方が憧憬を抱くと。
「ほんとうに……本っ当に……代わっていただければどんなにいいか……。
え? あ、は、はい…っ、どうぞどうぞっ、この、辺がクリームたっぷりですよ。
え、と、いただき、ます」
体育はきっと得意科目に違いない、如何にも運動神経の良さそうな小さな友人。代わりに彼女の苦手課目を受けてもいいから交換テストしたいと願ってやまない。
クレープのシェア。その発想はなかった。それも楽しそうだ。次は別々の味を選んで半分こしてもいいかも知れないと考えながら、これで良ければぜひぜひ、と小さな口にクレープを差し出して。
そして、彼女の持っているクレープも一口分、端っこを齧らせていただこう。
そうすると不思議と同じ味なのに味わい深さが異なるような。おいしい……と溜息のように零れた。
そして、お揃いの装いで同じクレープを並んで味わい、尽きないお喋りに興じ。
初めて体験することばかりの一日を楽し気に過ごして。陽が落ち、辺りがすっかり暗くなった頃、名残を惜しみながらもまた明日学院で会えるかもしれないとそれを心待ちにその日はお別れをするのだった――
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からタピオカさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からリセさんが去りました。