2023/09/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」にヴァーゲストさんが現れました。
ヴァーゲスト > 平民地区の広場にある三人がけのベンチを一人で占有し、ツマミに安物の飴を齧りながら、一人で酒を飲む人相の悪い男が一人――当然そんな男を避けるように広場には人っ子一人いない。

ガリ、ボリボリ、ガリ、ボリボリ

飴を食うにしても風情も何も味わっている様子すらもなく、口の中の飴がなくなれば見るからに上等な瓶に入った外身に負けぬ上等なブランデーを呷り、美味そうに喉を鳴らして飲んでは、また飴玉を口に放り込んで、の繰り返し。

それようにベンチの空いている部分には呷り飲むには勿体無い上物の酒の瓶が空とまだ手付かずのモノを含めて4本程度転がっており、つまみにしている飴玉も大きな紙袋にたっぷりと詰め込まれている。

――で、何をしているかと言えば何もしてない。

仕事も一段落し、パトロンの一人である商人の男からの依頼もない、冒険者ギルドの方にも面白そうな依頼書もなく、賞金首の手配書もなく、つまりはやる事がまったくないのだ。

だから夜中に一人でこうして酒を呷っている。
酒場で飲む気分にもなれないし、かといって娼婦を買おうとすればお気に入りの娼婦は身請けで辞めたと聞かされて、もう半ば自棄酒かもしれない。

「いやぁ?まぁ?気に入った女が幸せならぁ?いいんだがぁ?」

呂律は無事回っている。
頬の火照りも有りはしない。
一人で飲んでも退屈だが、かと言って呼び出すような相手もいない、眉間の皺だって消えやしないし、表情も不機嫌そうな奴になっている事だろう。

ああ、程よくつまめる奴はいないか、それか何ぞトラブルにでも巻き込まれないか、好奇心はネコを殺すというが退屈は魔族を殺しそうだ。

独り言、飴を噛み砕く音、酒を呷る音、少し蒸し暑さの残る広場にそれだけが響くのだった。

ヴァーゲスト > 酒瓶が全て空になる頃には飴の入った紙袋も空となる。
飴と酒の量はバランスよく喰って飲めば腹も膨れる。
腹が膨れると今度はゆっくりとだが睡魔の所為で瞼が重くなり、ベンチに座ったまま広場のゴミ箱に空になった瓶を投げ、放物線を描いてゴミ箱に瓶が飛び込むのを確認すると、今度は飴の入っていた紙袋をくしゃくしゃに丸めて同様に投げる。

「………ったく、あのオッサンの言うとおり奴隷の一つでも買っておくんだったなぁ……。」

ベンチから重い腰を持ち上げて立ち上がると腰をトントンと手の甲で叩いてマッサージをしてから歩き出す。

行き先は当然宿である、が……その前に飲み足りない分の酒と干し肉を買って帰ろうと、結局あっちにふらふらこっちにふらふらと歩いて……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 広場」からヴァーゲストさんが去りました。