2023/08/10 のログ
■イグナス > ――結局見つかりそうにない。やれやれ、溜息を吐いて諦めて、とりあえず、食事の確保を再開しよう…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 古着屋」にコルボさんが現れました。
■コルボ > 平民地区の片隅、金に困って、または新たな流行から外れたものを売り払ったものを並べる店舗にあって、
男は一人、学院の仕事帰りに品定めをしながら商品を見て回る。
「良い奴に限ってサイズがなぁ……。」
元より流行にそれほど頓着はしない男、どちらかといえば流れも話題も自ら作る性質の男は
気になったものを手に取るが丈が足りなかったりして首元を掻く仕草を見せて。
金をかけて富裕地区の店でそれなりのものを用立てるのもいいし、
平民地区の服飾店でオーダーをするのもいい。
装備も職人と打ち合わせてワンオフ物も作ることはある。
けれど、この誰の手から流れてきたか分からぬもの、
いうなれば人の流れの果てに行きついたここで、
もし気に入って自分に合う品があれば、一期一会に巡り会えて得した気分になれるのは未だに止められないのもあって。
値段はさておき、手ごろなものがないか、店の中をうろついて品定めをしていく。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 古着屋」にジーゴさんが現れました。
■ジーゴ > 古着屋の店内を歩き回る小さな気配。
なるべく人影、特に店員の姿を避けて店内をこっそりと歩き回っている。
その様子がかえって目立っているかもしれない少年。
キャスケット帽をかぶっているから普段ほどミレーらしさは表れていない。
「いち、じゅう、ひゃく?…!あ、ごめんなさい」
たまに服につけられているタグを指でなぞっては、値段を確認している。
そしてその姿を店員に見られると急いでその手を離して違う棚へと移動して。
歩く挙動不審である。
■コルボ > 「んお……?」
少し店内が騒がしい。というか、一人が騒がしい気配にそちらへ視線をやる。
見れば自分より少し背の低い人影が自分よりも店内を彷徨い、
その度に声を漏らして離れていく。その声に聞き覚えがあって。
「……」
静かに、声の主がいる棚の方へ移動し、背後からその様子を伺う。
背格好、歩き方から変装していても友人だと気づくのは男には難しくなく。
「何かお探しですかー、お客さまー?」
ふと、邪心が動いて近づくと、身を屈めながら背後から声をかける。
貴方が気が付けばニヤニヤ笑いながら片手を上げて。
「奇遇だなジーゴ。買い物か?」
■ジーゴ > 「いえ、なにも!」
店員に声をかけられたと思ったミレーは明らかに驚いてその場で跳ねる。
キャスケット帽の中で獣の耳が大きくたって、帽子に2箇所小さな突起ができ、
振り向いた少年の驚いた顔は、見知った相手を見るとすぐにやられた、とばかりに笑顔になる。
「おまえかよ!びっくりした!」
すぐに近寄ってコルボを見上げると、自分のシャツを指差して続ける
「オレのシャツ、ボタンがなくなっちゃたから、さがしにきたの。おまえは?」
少年が着ている白いシャツは止まっているボタンの方が少ないくらいだ。
「でも、けっこう高いよな」
彼なりにはお金を持ってきたつもりだったのだが、
入る店側悪かったのかそもそもの予算の見積もりが悪かったのか
思ったよりも高かった。
■コルボ > 「だったらボタン付け直したほうがいいな。
ボタン買った方が安く済むぜ?」
だったらつければ済むことだろ、と否定することなく、対案を出す形で自分のボタンをつまんで見せながら。
視線は相手よりやや高く、友人だが犬由来だと言う事と、
友人の心中に潜む恐怖心等を刺激しないように適度な距離感を保って。
「俺ぁちょっとデートに誘おうかと思ってる奴がいるからな。
それで服見るついでにここに寄ったぐらいだよ。
まー、ここは他所の古着屋と違って質が悪いものは出さずに
孤児院に寄付したりしてるからな。
その分わりかし値段がまっとうなのよ」
……その孤児院のきりもりをしている女性に店主が言い寄る口実なことまで把握しつつ、
うーん、と声を漏らして。
「ジーゴお前言う程余所行きの服持ってねーだろ?
なんなら俺のとまとめて買うことにして俺が値切るけどどうする?」
■ジーゴ > 「ボタンってつけれるのか!んー」
そもそも付け方がわからない、とはちょっと言い淀んだ。
表情を見れば、はてながたくさん飛んでいるから伝わってしまうかもしれないが。
かろうじていくつか残っている自分のシャツのボタンをつまみ上げて、しげしげと眺めた。多分だけど、糸が必要だ。
「デート!さすがのコルボ。おめかししていかないと」
褒めているようでいて、くすくすと笑った。
もちろん女性をエスコートする時は完璧にこなすであろう相手だけど。
友達がデートと聞けば、冷やかすより他ない。
「そっか、高いのか…」
ここで買うのはやめようか、とばかりに獣耳が帽子の中でへにゃり。
確かに店員も分不相応だとばかりにこちらを見てきた気がする。
これは彼が挙動不審だったせいだけれど。
「よそいき?んーーー、んーーー」
へにゃりとなった耳が一瞬でピコンと立ち上がる。
帽子の中でだからわからないかもしれないが、
そわそわと周囲に陳列されている服を見て、しばらく小さく声を漏らした後
「んー、やっぱいいや。オレ別にどこにも行かないし」
仕事と家、たまに定食屋に行くくらいの毎日。
仕事がしやすい白いシャツと黒いズボンがあれば十分だと、首を振った。
■コルボ > 「なんなら帰りにボタンつけてやるから付き合えよ」
疑問に満ちた表情を見ても、何が必要か、どうつけるのか、そんな面倒なことは言わずに今までと同じボタンでいいのか?
と話題を横にずらしつつ。
「格好悪かったら恥かくのは俺じゃなくて誘われた女のほうだからな、
きちんとおめかしするっての。
お前も一張羅買い揃えておめかししてやろうかテメー」
冷やかしに対して起こることもなければニヤニヤ笑ってそんなことを返して。
「ただ、ここで買った分は古着だからってすぐへたれるような奴じゃないから、
結構長持ちするからおすすめはするぜ。
普段着る分にも仕事着にも使い回せるの多い感じだしな」
多分友人であればデザインよりも今は機能性と耐久性が必要だろうと、
望む方面の話題を出しながら、片手間に近くの衣類を手に取って。
「そういやジーゴ、前に話してた冒険者家業の同伴どうする?
お前下手な防具つけるより軽くて丈夫な服着てた方が立ち回りやすいだろ」
機能性、と考えて、ふと仕事のことを思い出して。
奴隷でミレー族のジーゴも自分がつけば後見人となってまっとうに稼げるし、
彼自身機動性が高い攻撃役、自分と傾向が似ていてなおかつ攻撃的な仕事仲間は欲しかったのもあって。
……仕事で組むうえでのメリット、他者からの視線は、今しがた会話していれば
店員が向けた視線が離れていくことからも考えられるだろうか。
もっとも、今回のことに限っては貴方が話してるうちに落ち着きを見せたからだろうけれども。
■ジーゴ > 「やった!助かる!ん、ボタン白いやつ」
ボタンもこの店に売っているだろうかとキョロキョロしたがわからなかった。
外れたボタンは拾い集めてはみたが、割れてしまっていて使えそうになかったので、ボタンは買わないとない状態だ。
「オレだってジャケットとか似合うもん!」
どこかでジャケットとズボンの一式を着させられた時のことを思い出して言った。
張り合っても仕方がないけれど。
「そっか、たしかに白いシャツうすいとみえちゃうからな…乳首。こんなのとかならだいじょぶかな」
彼なりには深刻な問題である。
少し厚手の、肘などには前もって当て布がしてあるしっかりとしたシャツだ。
給仕の仕事には少し分厚いけれど、肉体労働にはもってこいだ。
「あ、オレね、街の外いくやつやりたい!」
自分の能力は棚に上げて、希望だけが口からこぼれ落ちる。
街の外にほとんど出たことがないミレーは街の外への興味でいっぱいだ。
「そうなんだよ。オレね、重いとダメになっちゃうんだよね。コートとかも苦手」
コルボが期待しているほど、戦闘で動けるかはわからないけれど
重い防具や武器を持つと突如として動きが悪くなるのは確かである。
しなやかな筋肉は、自分の体を軽やかに動かせる程度の量しかついていない。
「なぁ、これとか似合いそうじゃない?」
近くに陳列してある、黒を基調に差し色で赤が取り入れられたハットを取り上げて、相手の頭に乗せようとする。(全く届かないが
■コルボ > 「ん……、あ。そうか」
ふと、そこで思い至る。何故ボタンのつけ方が分からないのか。
教えるべき人が、ボタンをつける上で腕が一本ないから。
そこで自分の頓着の無さ、知らず人の価値を決めつけていたことに気づく。
あの”姫”の最たる強みは歌にあって、無意識に腕に意識が向かなくなっていたこと。
情報の失念、情報屋にとっての損失に行き当たり、首筋を軽く拳で叩いて。
「ジーゴが覚えられるまで、なんならボタンのつけ方教えてやるよ。
なんか手伝いできること増えたら、ヴェル姫の役にも立つだろ?」
罪滅ぼしというわけではないが、友人にそんなことをふと投げかけて。
「だったら今度買ってやるから首あらって待ってろバーカ。
俺みたいにレザーアーマーのがジーゴだって使いやすいだろ」
一般的に言う”革の鎧” いわゆるハードレザーと違いレザーアーマー、
なめした革を使用した上着を指して、ジャケットタイプであれば手入れも簡単だろうと
「男の乳首とか気にすんな。ああでも、そいついいな。
俺もサイズ合ってたら買ったわそれ」
思わずしゃがみ込んで友人と目線を同じくしてシャツを見入る。
生地もしっかりしていて、しかし前の持ち主がきちんと補強したのか当て布が綺麗に設えてあるのを見て頷いて。
「だったら今度俺の仕事付き合え。ついでにギルド登録と証明書も俺が担保して作るからよ。
俺の連名入っておけば配達ぐらいは一部のほうでもできるようになるだろ。」
着々と稼ぐ段取りを進めながら”そういや姫の誕生日いつだっけ”と
友人が一番に金の使い道に思いつきそうな情報を口にして。
「俺も。だから防具は最低限だよ。
損害受けないようにするからって着こんでタコ殴りなんざ意味ねえからな。
いっそ下に着る厚手のクロスアーマー代わりもここで買っちまうか。俺が奢るからよ。」
レザーアーマーだけ着こんでは擦れて中期戦以上では戦いにくい、
ある程度着こんでおけばそれも免れる、そして一張羅二号を買う口実をつけつつ。
「ん? 俺用のか? ほう」
載せようとすれば、目線が同じくして、高さも同じとなれば手が届くようになるだろう。
かぶせられれば、手近な鏡に自らを写して、角度を整えて。
「どうだ、似合うか?」
などと言ってニッと笑って返すだろう。
■ジーゴ > 「ん、おしえてほしい。オレごしゅじんさまの役にたたないといけない」
真面目な顔で頷いた。
彼にとってご主人様の役に立つことはとても大切なことである。
今の所、買い物・洗濯・多少の料理くらいしかできないから、増やしていかないといけないと強く思っている。
「そういえば、ごしゅじんさまに姫って言ったらなんか嫌がられたんだけど…でも、やっぱ姫ってにあってるもんな」
それは、少年が笑い転げたせいもあるけれど。まだ懲りずにミレーはにやにや笑っている。
「かっこいいやつな!」
買ってくれるというなら、それを固辞したりはしない。
もらえるものはもらっておけ、の精神である。
「ん、これいいよな」
持ち上げた服を自分の体に当ててみる。
ちょっと大きいけれど、これくらいなら近いうちに成長する予定である。
ギルドの話には、また大きく頷いた。
稼げる方法も増やしていかないといけない。
今の稼ぎが低くて、ご主人様に申し訳がないとミレーは心底思っている。
「え?ごしゅじんさまの誕生日?」
奴隷は絶句する。全く知らないばかりか、思いつきもしなかったからだ。
でも、誕生日に贈り物をするということさえ知りもしないミレーの頭の中ははてなでいっぱいだ。
「やった!」
何を買ってもらえそうなのかはよくわからないけれど、とりあえず頷いておく。
クロスアーマーって何だろうか?
「にあってるにあってる、これで女の子もおとせるね」
相手の全面的な協力のもとなんとか頭の上に帽子を乗せると満足げに笑った。
実際、黒はもちろん、差し色の赤も似合っているように見える。
「にあうし、これオレが買ってあげよっか」
値札はまだ見てないけれど、今日は金貨を持ってきたから多分足りるだろう。
ポケットの中の小銭をあることを確かめるように指でなぞった。
■コルボ > 「おう。つか、出来ないことあっても別に俺笑わねえからな」
ふと、そんなことをぽつりと呟いて。
「本当にダサい奴は知らないことを見得張って知ってるって言う奴だし、
俺はそんな奴より、あの人の役に立ちたいから教えてくれって言えるジーゴのほうがカッコイイと思うからよ。
だから俺に知りたいことあったら何でも聞けよ。友達だからタダで教えてやるよ」
まるで悪戯をする共犯の友達同士のように、いつの間にか色々出来るようになった友人を見て驚く”姫”の顔を思い浮かべるように笑って。
「ああ、あの後怒られたけど、なんで姫って呼んでるかガチで話したら
逆に照れて反論しなくなったから呼んでいいと思うぞ。」
下手な王族より人の心を救う歌姫、高貴なる者の義務、下々の者を救う姫。
それ故にそう呼ぶと伝えたことは省きつつ。
「そう思うならお前も選ぶの手伝えよ。お前がカッコよくなるかどうかだぞ?」
ちょいちょいと、居並ぶ衣類を指さしながら”つかどういうのが着たいんだよ”と聞きつつ一緒に探し始めて。
「ああ、そのぐらいのサイズ……、じきにはまるし、少しぐらい大きくても利点はあるからな。
ん、あ、そうだ。
一緒に仕事する時は飯代は俺持ちでいいか? その代わりメニューは俺が決めるけど」
少し大きめのサイズに対して感覚を補う利点も考えながら、考えていることを見抜いてから、そんなことを言いつつ。
素養はあるが栄養の貧相故に恵まれぬ友人。きちんとした食事を仕事中に取らせて徹底的に働いて体に負荷をかけて還元すればどれだけ化けるのかと思いつつ。
「おう。誕生日になったらお祝いしたりプレゼントするもんなんだよ。
今度聞いてこいよ。教えてくれたらお祝いするの手伝うし、
なんならグランツの旦那も巻き込んでみんなで美味いもん食おうぜ」
知り合いの貴族も巻き込んで、自分達も良い目を見ようと悪い顔で。
ひとまずクロスアーマーにも使えそうな少し厚手で関節部に処置が施してあるもの……。
具体的に言えば先達の冒険者で友人に体格が近い者が処分したものを探しつつ。
「お前多分金さえあったらセンスいいもの揃えられるタイプだな。
バーカ、今は養われるだけで精いっぱいだろうがよ。
その代わり二人で仕事やるようになってガッツリ稼いだら、
その時は仕事仲間でお揃いのもの、小さい奴でいいから何か買ってくれよ。
ダチ同士で同じものつけてるの、イイ感じがしねえか?」
笑いながら”でもこれは今日は俺が買うぜ”と、帽子をかぶったまま立ち上がって。
……友人を守るための布石として、後々自分と同じものをシンボルに、
奴隷のミレー族が自分の縁者であるという証を持たせる伏線を仕込み始めて。