2025/05/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグライドさんが現れました。
■グライド > 傭兵の仕事をして居ると、珍品奇品の類が報酬に含まれる事が在る
普通の人間では使う機会など一切訪れないだろう代物でも
己の様な輩にとっては、何が身を助け、何が縁を繋ぐかは知れない
よって、宿とは別に存在する、己が家は半ば倉庫。
収集した物品を収蔵して置く為の空間、と言っても過言では無いのだが
――当然ながら、其れにも限度と言う物は在る。
今回、請け負った以来の報酬に、オマケとしてついて来た物は
何らかの呪い付きの椅子、なる妙ちくりんな物であった
何でも、呪われて居る事だけは確かなのだが
依頼主の男が何度座っても、一向に呪いらしき物が発動しないとの事
―――そんな物に興味本位で座るなよ、と思うはしたが、其れはさて置き
こう云う場合、己に求められて居るのはただ一つ。
詰まる所、不用品の処分、と言う事だ。
「……椅子を担いで帰る身にもなれよってんだ…。」
街中、片手に椅子を抱えて歩きながら、やれやれと一言零す。
少しばかり大目に報酬を貰ったから、仕方なしに引き取ったが
取り敢えず一旦持ち帰るか、魔法屋辺りに鑑定を依頼するか悩み所だ
以前、うっかりと呪い付きの腰帯を持ち込んだ際
魔法屋の女に呪いが発動して、其れなりに怒られる結果となった
勿論、確りと責任やら後始末やらは果たしたが。
――今度持ち込んだら、門前払いを喰らいそうではある。
■グライド > 店が立ち並ぶ通りには、他の通行人も多い
一般市民が殆どであろうが、中には冒険者や同業の傭兵も居るだろう
時折、魔法使いなのだろう連中が、此方を振り向いては
一様に、妙な表情を浮かべて通り過ぎて行く辺り、呪いの椅子、と言うのは間違いでは無いのだろう
――生憎ながら、己にそう言った魔法の素養が無い故に
自分では、何が如何危険なのか、何て事は判らない。
矢張り、一度鑑定に持ち込むべきか。 いやしかし、出禁を喰らうのはもっと困る
「……かと言って、他に解呪まで出来る鑑定屋は知らねぇからな…。」
――この場合の解呪とは、ある程度上級の呪いも対応出来る、と言う意味だ
多少の解呪で在れば、他にも思い浮かぶ店は多く在るが
己に呪いの強弱が判らぬ以上、基本的には腕の良い相手に任せるのが安心では在る
悩みつつ、其の内に近付いて来るのは、家に戻るか、馴染みの魔法屋に向かうかの分かれ道
呪いの内容が、元の持ち主にも判って居ないと言うのが厄介極まりない
一見、危険は無さそうに見えるのも厄介だし、かと言って周囲の反応から
この椅子に何か在るのだろうと言う確信が得られるのも厄介だ
「――――面倒なもん引き受けちまったな…。」
受け取った時、依頼人が少しだけ、ほっとしたような表情を浮かべて居たのが
今となっては少々腹が立つ。 ……まぁ、受け取る判断をしたのは自分なので文句も言えぬが。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にプシュケさんが現れました。
■プシュケ > 午前中から昼下がりまでのオークションが終わった後の帰り道、いつもの通り護衛や侍従を撒いてから、街中を散歩していた王族少女。
実際の所は腕の立つ護衛が遠巻きに確認しているし、少女の『眼』が危険な所へ足を踏み込ませないので事故が起こっていないという現実もあるのだが。
そんな散歩をしている時に、ちょうど交差点の位置で椅子を置いて何やら悩んでいる様子の重戦士がいた。
普段なら、風景の一つとしてそのまま気にせず通り抜ける所なのだが、少女の『眼』が椅子を捕らえた時
「……へぇ……」
ぽつり、と漏れる声。
その椅子に視線を吸い寄せられたまま、当初は通り抜けようとしかけたのだが、結局足が緩み、最終的には椅子の前で足が止まる。
「ねぇ、貴方。こちらは売り物なの?」
戦士にとってみれば、いきなり椅子の前で立ち止まった少女が、椅子をまじまじと、360度あらゆる方向から観察したのちに、売り物か?と聞いてきた。そんな奇妙な状況ととれるだろうか。
明らかに仕立の良い服を着ているので貴族かそれ以上であることは察することはさほど難しくないだろう。
■グライド > 何方が、より面倒を早く片付けられるだろう、と言うのが本音だ
結局家に保管して居ても、問題の先延ばしでしか無いし
何時かは鑑定に持ち込む必要があるのは間違いない
其れに、保管する事が、この椅子が他の宜しくない物品と変な同調を起こす事だって在り得るだろう
保管方法を確りと確立させたうえで置いている他の物と違い
全く中身が判らない物を持ち帰るのは、間違い無く不安要素
問題は、其の当てが無い事だから、困って居る訳だが。
「……、……うん?」
ふと――そんな折、声を掛けられた。
声の方向に一度振り返り、目線の高さに相手を捕らえられず、遅れて視線を下に降ろす
椅子を診て居るのは、まだ少女と呼べる雰囲気の。
一寸瞳を瞬かせてから、凡そ、平民とは思えない其の豪奢な服装に
何と答えた物か、考えた後。
「―――――……売るか如何かを決める前に、正体を知りたくてな。
鑑定依頼を何処に持ち込んだ物か、考えてた所さ、お嬢ちゃん。」
―――結局、何時も通りを貫き通した。
傍目には、付き人らしき者の姿は見えないが――居ない、と言う事は無かろう
声を掛けて来たのは向こうである以上、多少の無礼は免除される筈だが
――面倒事に巻き込まれぬよう、暴言だけは避けて置くべきか。
「余り下手に触るなよ、普通の椅子じゃあないらしくてよう。
……其れとも、判ってて興味が在るのか?」
――子供、か。 其れとも、子供の見目をした"高貴なる存在"か。
王族や貴族と言う物は得てして、其の見目から侮れる物で無い事は身に染みている故に
念の為の忠告と――声を掛けてきた真意を、問うてみよう。
■プシュケ > 「あぁ、なるほど?良く分からないから厄介払いされたものの処分方法に困っているという感じなのね。」
戦士の言葉に得心したように頷いて、その椅子に手を伸ばす。
伸ばした時に、下手に触れるな、という言葉が耳に届くが、きょとん、とした表情をグライドに向けて、
その後で、にこーっ、といたずらっぽい笑顔に変われば、躊躇なくぺたり、と椅子に触って、
触感を確かめるように手すり、座面、背もたれのあたりを撫で始める。
「この子、見た感じ禍々しく見えるわよねぇ。
でも、それはそういうデザインだからで、別にこの子が悪い訳じゃないわ。
このデザインだと、元々は魔族の国の家具師が作ったものじゃないかしら。
そういう意味では珍品の類よ。」
分かってて興味があるのか?と聞いてきたグライドの言葉には、納得のいくような返事は返していないものの
何も知らずに触っているわけではなさそうだという事は雰囲気で分かるだろう。
また椅子に視線を集中させながら、少女の言葉は紡がれ続ける。
「そんなにいい手入れをされていたわけではなさそうなのに、しっかりとしたつくりのまま。
特にどこかに傷や汚れがついているわけでもなく、壊れている部分もなさそう。だいぶ古いものなのにね。
……あ、この色、魔法がかかってるのね。だいぶ鮮やかな色だから、相当強い魔法。
でも……別に悪さはしなさそうね。魔法の種類としては、保護魔法かしら。
流石に魔術師じゃないから確定は出来ないけど。」
まるで、家具の鑑定人が鑑定をしているかのような言葉をその年齢外見にそぐわずに口にしてから、
改めてグライドを見やる。
「貴方が処分に困っているなら私が買い取るけど?
もし、貴方が鑑定先に困っていて、自分で価値を知りたいというのなら、魔術鑑定が出来る家具屋をお勧めするわ。
貴方、冒険者でしょうから、そういうものを扱うお店、知ってらっしゃるでしょ?
……あぁ、でも私が何をしているのかとか分からないから不審なのかしら?」
意図は、この椅子が欲しい。鑑定は、魔法物品の鑑定先ではなく、家具の鑑定先に持ち込むようにと告げた後で、
こんなことをする自分が不審にみえるのも、何度も経験しているがゆえに、
そっちの方が知りたいの?というように最後問いを添えた。
■グライド > 「そう言う事だ。
馴染みの魔法屋をこないだ怒らせたばかりでな、間も空けずに怒らせちまったら
今度こそ出入り禁止を喰らっちまう。」
あれは怒らせると臍を曲げてる時間が長いんだ、と、戯言めいて言いながら
されど、忠告を聞いた上で相手が椅子に触れるならば、其れ以上の忠告はせずに置いた
敏い相手だ、己の置かれた状況を、つぶさに理解出来ている
なら、無暗に触れて居る訳では無いのだろうと言う、妙な信頼が在ったのだ。
「………魔法が掛かってるのは間違い無い訳か。
貰った先の奴からは、明確に"呪い"って聞いてたんだがなあ。
……見る限りは、安全そうな物って事か?」
暫く、相手から紡がれる鑑定の言葉hえと、少しばかり感心したように耳を傾けた。
己も多少物の良し悪しが分かる方では在るが、勿論専門家とは比べようもない
魔族の国が関わって居ると聞けば、僅かに片眉跳ね上げるが
――まぁ、そう言った曰く付きの物が王都に流れて来る事は、儘有る。
「………調度品としては悪いもんじゃあないみたいだが、呪いに関しては俺様も専門外だ。
其の辺りを加味して買い取るってんなら、俺様としても歓迎するぜ?
勿論、後々で責任を追及されないっつー確約が取れた上で
そっちが出すっていう値段か、報酬次第だがな。」
あくまで、自分に面倒が回って来ない事が最優先だ
とは言え、二束三文で売り飛ばす訳には行かない
あくまで、己が正当な報酬として手に入れた物なのだから、其処は妥協せぬ
其の上で――そう、この少女の鑑定眼が、果たして何を根拠にして居るのか
其処に対する興味が無いと言えば、当然嘘になるだろう
幾ら貴族であったとしても、其処までの審美眼を持って居る事は稀である、筈だ
ピンからキリまで、ひとえに王族貴族と言えど、色々な輩が居るのだから。
――そう、こんなしがない傭兵を捕まえて、手玉に取ろうとする様な連中も。
互いに素性を知らぬ時点で。 相手の言葉を鵜吞みには出来まい。
■プシュケ > 「……あら、それならその人の所へ持って行ってもいいんじゃない?
貴方の言い方からすれば、きっと女性よね?
狙っているなら、イフレーアの姫君が良いものだと言っていた、って伝えて
5桁ゴルドの向こうの言い値で売ってあげれば多分、1,2週間ぐらい後に、モノにできるかも。」
告げた家名と自分を評する言葉。この組み合わせ、プシュケ・イフレーア・カルネテルはそれなりに有名ではあるが、
特殊な範囲で有名なので、知っているかどうかは男次第。
最後、年齢に似合わぬ遣り手めいた笑みを浮かべて楽し気に告げるが、
いくつか向けられた質問にはきちんと答えようと考えたのか、普通の表情に戻って。
「この子、別に呪われていないわよ。
この子みたいに、禍々しく見えるデザインと強い魔法がかかっている組み合わせではよくあることだけど。
それとも、何か実害があったって事例があったのかしら?
呪いって、魔法で作ることもあれば、人間が作ることもあるの。
家具の場合は大体4対6くらい。
そのうち、この子に座った後で自分の不注意で滑って転んだことも、この子の呪いとか言い出したんじゃないかしら。」
自分の見立てを少し丁寧に、専門家でなくてもわかるくらいかみ砕いて説明した後で、
しばらくお互いに顔を見合わせる時間。その後、くすっ、と小さく笑いをこぼせば
「貴方も別に悪い人じゃなさそうだから、教えてあげる。
私はね、価値が『視える』の。どう視えるかについては説明してもわからないだろうから説明しないけど
この瞳で視たものの価値は、まず間違えない。
呪われているなら呪われているように。
呪われていないなら、呪われていないように視えるわ。
そして、たまたま目に留まったこの子が欲しいなって思ったから声をかけたわけ。
私がこういうことをするのはいつものことだから、別に貴方に迷惑がかかることはないし、
実際に呪いがかかっていたとしたら、私の見立て間違いなので、貴方に責任はないことは私の名において……
プシュケ・イフレーア・カルネテルの名にかけて保証するわ。」
■グライド > 「…………。 ……良いんだよ、そう言うのじゃあねぇのさ。
俺様は傭兵だ、何時くたばるかも判ったもんじゃねぇ
狙うだのなんだのってのは、もっと軽い意味なんだからよ。」
――そして、そう言う意味合いでなら、心配されずとも問題は無い、と
既に、褥を共にした事ならば在るのだ、と。
見目だけは、まだまだ大分幼い筈の相手に、酒場の連中とする猥談めいた調子で
そんな事を言い返して見せるのだろう。
告げられた家名は、少なくとも耳にした事は在る。
傭兵として戦地を転々としている中で、貴族の名前だけは覚えるようになって行ったのだ
騎士団連中よりも、貴族個人が依頼を持ち掛けて来る事も在る
覚えて置いた方が、何かと火の粉は振り払いやすい。 そんな有事への備えとして。
「……まぁ、此処で鑑定までして貰ったのも何かの縁だからよう。
欲しいって言ってる奴が居るなら、そいつと取引するさ。
……迷信から、勝手に呪いを作り上げたって訳なら、余計にな。
こう言うのは、価値が正しく判る奴が扱うのが、一番良いってもんだ。」
――実際、これが純粋な調度品であるならば、己が手元に置く理由は無くなる。
己はあくまで、いざと言う時に役に立つ物、として収集して居るのだ
少なくとも、相手の説明は腑に落ちたし、其の後に紡がれた鑑定の術も又
理解は出来ないが、納得は出来た。
そうでなければ、碌な説明もして居ないのに
椅子の来歴やら美術品としての価値やら、はたまた魔法の関与を口には出来まい。
「―――カルネテルも、イフレーアも、俺様みてぇな一般庶民にゃあ
中々想像も及ばねぇ連中らしいとは聞いてるからよう。
……なら、信用しねぇ方が角が立っちまうかもな。」
肩を竦めて、そして、周囲を一度見回そう。
取引には応じる心算だ、が。 流石に、少女に椅子を手渡すのは重かろう。
椅子を軽く掲げて見せれば、誰か、取りに来ないだろうかと様子を伺って見たか。
■プシュケ > 「あら、そうなのね。
じゃぁ、お言葉に甘えて私が頂いちゃおうかしら。」
女性への貢物として、5桁ゴルドで売ったとしても、それ以上の値段で売れることを暗に伝え、
そういう者ではないと知れれば、安心して買えるというものだと言わんばかりの反応を見せた。
大人びた言い回しをしてはいるが、結局は見た目相応の少女なのだろう。
そして、周囲を気にし始めるグライドの様子に自分も周囲を見渡して、一番位の高い従者を認めれば、手をあげる。
程なくその従者……切れ者やり手と言えそうな、20代後半くらいの女性が現れる。
「レティ、この椅子を買うわ。小切手を切って頂戴。
その場買いなので、最も権威のある銀行のでお願い。
価格は……」
その女性に声をかけて、値段の部分では、見ただけでは良く分からない手の動きを相手に見せる。
程なく頷いて、一度その場を離れ、5分程度した後に、戻ってきて封筒をグライドに差し出した。
「確認してみていただけるかしら?」
従者が差し出した封筒を取って中身を確認すれば、
王立の誰でも耳にしたことがある銀行の小切手に、80万ゴルドの金額が書かれている。
小切手払いは貴族相手ではよくあることだし、
裏書まできちんとしているため、詐欺ではないことは明白だろう。
「その金額でご納得いただけるのであれば、商談成立という事でよろしい?」
先程のように従者がやってくる様子からすれば、荷物を運べる護衛のようなものも近くにいることは察せられるだろう。
故に、あとは金額的にグライドが満足するかどうか。
■グライド > 「こう言うのは、早い者勝ちって相場が決まってるからな。
道中で見つけて声を掛けた、嬢ちゃんの勝ちって事さ。」
――――ただ、其れは其れとして、後で魔法屋には何か奢ってやろう。
元々道楽研究型で、金に興味が在る相手とは言えないが
そうすれば、きっと真の意味で"どちらも勝ち"だ。
案の定、姿を見せた従者。 まぁ、予想通りだと、其の姿を横目に眺め。
貴族相手の取引だ、別段急かす事もせず、大人しく待つだろう
此方の要求は伝えた、其の上で相手が如何出るかは、己にも知れぬ
ただ、一つ決めて居る事が在るとすれば――
「――――――……そうだな、俺様からは何も文句はない。
取引は成立だ、間違い無く渡したぜ。 此処に来るまで、傷は付けてない事だけ確かめてくれ。」
―――貴族が提示した"良心的な"金額に、否は唱えないと言う礼儀だけだ。
荷運びに椅子を手渡せば、改めて第三者を含めた確認をさせ。
其の上で相手が納得すれば、無事に取引成立と相成る事だろう。
金額としては、当然ながら文句は無いし、想像以上の泡銭だ。
平民にとっては、間違い無く生活を一変させるような桁の金額では在ろう
とは言え――もし、娘が其の瞳で、目の前の傭兵を鑑定するならば。
その金額に対しては、さほど浮かれても、動揺しても居ない
凪の様な"平常"の色合いが垣間見えるやも知れぬ。
男にとって金と言う物が、自らの有り様を変容させる代物ではないのだと
伺う事が、出来る筈だ。
■プシュケ > こちらが提示した金額に同意したグライド。その言葉に鷹揚に頷けば
「ええ、受け取ったわ。傷がないことは先ほど触って確認済だから問題ないわ。」
そう返事を返して、椅子を受け取った荷運び役が先に邸へと帰っていく。
あとはこれでおしまい。一期一会の取引となるのが普通なのだが、
金額に対して動揺がない、金に固執していないということがその瞳でもって理解できれば
くすっ、と小さく笑いをこぼして
「貴方、お名前は?
また処分に困ったものがあったら持っていらっしゃい。
貴方みたいな人物ならば、その権利があると私は思っているから。」
身長差ゆえに、下から見上げる態勢ではあるが、その小さな体に似合わぬ自信というか、覇気というか。
物理的なものではなく、力としてではなく、存在力としてというのだろうか。
それをグライドに感じさせつつ、少女にこの出会いを一期一会にしないつもりがあることを伝える。
もし、名を名乗るのであれば、レティと呼ばれた従者がその名をしっかりとした帳面に書きつけて、グライドに対して一礼を向けるだろう。
名乗らないとしても、少女は涼し気な笑い声を零して『分かったわ』と告げるだけ。
「それでは、ごきげんよう。良い夜を。」
そして、最後に辞する挨拶を向ければ、踵を返して富裕地区の方へと消えていく。
『ねぇねぇ、レティ。とってもいいモノが買えたのよ!』などと、年相応の少女に戻ったかのようにはしゃぎながら。
ちょっとした邂逅から始まった縁がこの後にどうなるのかは、また別のお話。
■グライド > 「―――――グライドだ。
家名はあって無いようなもんでな、盾持ちでグライドっていや、大体通じる筈だ。」
平民の家名など、何より、既に己しか生きて居ない家の名など、伝えても無意味だろう
問われれば自らの名前だけ答え、背負った大きな盾を親指で示して見せれば
其れこそが、己と言う傭兵の存在の証だと、主張して見せるのだ。
己と言う人間が、相手にとってどんな印象を抱かれたかは知らぬ
貴族相手に、安易に深入りする心算は、今の所は無い、が
もし、其の縁が今後、己を助けるならば、この取引も
金額以上にそちらの方が、価値があったと言う事だろう。
「ああ、良い夜を。 今度はちゃんと、あんまり周りを困らせずに出歩けよ。」
最後の最後に、笑いながら、ちょっとした軽口だ。
場合によっては従者から睨まれるかも知れないが、もうこの段には関係ない。
ひらり、片掌を振って見せれば、懐に小切手を仕舞いつつ
――さて、自宅に戻るのではなく、今度は一度銀行だ
この泡銭を、何に投資するかは――また、おいおい考える事にしよう。
――同じ都に住む以上、また、顔を合わせないとも限らない。
だが、少なくとも其の機会が在れば。 ――良好な関係で、向き合う事は出来よう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からプシュケさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグライドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 街の宿屋兼食堂でパンをかじる。
今日は胡桃の入ったパンだが、噛んでも噛んでも飲み込めない。
仕方なしに、無理やりワインで流し込んだ。
食後に一服、煙草を吹かす。
この宿屋、食事もちょっとした有名店であったが。
出会い系の宿としても知られている。カウンターでいくらか払うと色つきの札がもらえる。
札の内容によって、友達募集やらセフレ募集やらいろいろあるわけだ。
今、男はセフレ募集の札を下げて、ぽけーっとしている。
■グスタフ > 気付けば煙草もほとんど灰になっていて、灰皿に押し付ける。
最近店の中で煙草を吸える店が減ったのが悲しい。
紙巻き煙草が吸えないと、紙巻きの薬物も吸えない。
気分転換に合法の薬物を巻いて吸う。
軽く酩酊するような酒を飲むより簡単に酔った気になれるのがいい。
■グスタフ > 「いやあ、最近ご無沙汰でね」
客もいないし、マスターと話していたら無駄に猥談が盛り上がり始めて。
下品な会話が先ほどから店に響いていた。
「ハメるまえにチンポの匂いかがせるのが好きなんだよね。
匂い覚えさせてこれからこいつで犯されるのを頭に刷り込んでね」
マスターと下卑た会話を交えながら、ワインが進む。
調子ものって来たのか、変態的な内容になっていて。