2025/03/16 のログ
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ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエンさんが現れました。
エン > 今にも一雨やってきそうな暗く分厚い曇天下。
時刻は正午を回ったばかりだというのに薄暗く、春風でなく寒風が染みる気温の中――
がたごと、がたごと、車輪が回るたび心地よく響く駆動音。馬車が乗合所に乗り付ける。
港湾都市、神聖都市、奴隷市場都市、水遊場、等々各所からやってくる中比較的近所の九頭龍山脈近郊から、
宿場町や温泉所をぐるっと回るような道程を走ってきた馬車から降りてくるのは疎らで人となりも各様様々。

「ん゛~~~」

内、一人、北方の装束や羽織りを纏った青年が、長旅でないとはいえ中々の時間揺られ座っていた凝りを解すよう背伸び。
ぐぐぐぐ……とよーく手足も背中も腰も伸ばしてから、ついでに、数度ほど屈伸したり、軽い柔軟運動後、ほう、と一息。

「さあて。……お腹減ったあ……何食べよ……」

いっちにぃさんしぃ、ごぉごぉろくしちぃ~……。
とか端から聞いていると気の抜けるような掛け声も終えて、ズレたサングラスを中指で戻しては、ぐるり、街を見渡し一先ず歩き出す。
瞳は閉じられているし瞳が開いたところで何も見えず足取りも実にしゃんとしているから、これで盲目、とはそうは見抜けなさそうな風情で、
後ろから急ぎ足でやってくる通行人や前から流れてくる人混みもきちんと避けつつすんと鼻を鳴らしては食べ物の匂いを嗅ぎ取り……

ぐぅ~~~。

盛大に腹の虫が鳴る。

「………………んん゛」

ごほん、と咳払い、いや誰も聞いてはいなかろうが本当にでかく鳴ったのでちょっと恥ずかしかった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にノア = セシルさんが現れました。
ノア = セシル > 王都マグメール 平民地区、買い物の帰り道。
荷物は後日自宅へ届けてもらうよう手配を済ませ、
何処かで昼食を… などと考えながら、ふらりふらり。
日差しもなく肌寒い陽気に ケープの中で二の腕を擦りながら、こつこつ と石畳に細いヒールを鳴らし歩いて。

そんな中、特徴的な羽織を視界の端に捉えると、久しく会えていなかった友人の姿に ぱち と目を瞬いて

「 ︎︎…………… エン、? ︎︎」

歩み寄れば間違いないと確信し、嬉しそうにその名を呼んだ。
もしも女の纏う甘い香りや声を 貴方が覚えているなら、こちらが名乗らずとも気付くだろうか…
気付かれなければ、その時は自分から名乗ろうと。

「 ︎︎しばらく見てなかったけど、いつ王都に ? ︎︎」

過去の話は、さらっと聞いたことがあるものの… 知り合ったのはここ数年で、隠居した後の貴方しか 女は知らなかった。
いつどこで何をしているかも知らなければ、知っているのは目が見えないことと、“気のいい飲み仲間” ということくらい。

そんな貴方を覗き込むように見上げ “いつ帰ってきていたのか” やら “いつまでこっちにいるのか” やらを、貴方の返事も待たず楽しげに投げ掛けて

エン > 雑踏、喧騒、風鳴り、馬の嘶き、数多の音が広がる通りを こつこつこつ 硬いブーツが危うげなく進む。
時折羽織りを大きく揺らす寒風に小さく身震いして、今年は寒いなぁ、何て北国生まれのくせに寒さにぼやく。
鼻にふと届いた香ばしい香草と油に肉の香りを辿って串焼き屋のほうへと足を向けようとした時だ。

「うん?」

己の名を呼ぶ声に、嬉しそうな足取りが艶やかな香りをふわり、華やかな生地がふわり、舞って、
近づいてくる気配に足を止めるとくるり回れ右。

「セシル?」

耳に鼻に覚えのあるそれへと首を傾げて彼女の名を呼べば、やはりそう。
お久しぶり、と緩うく右手を持ち上げれば挨拶してから右に左にやはり緩々ひらひらと右に左に揺れ。

「奇遇だねえ。ああ。丁度今しがた帰ってきたんだ。九頭龍山脈の温泉宿にしばらく逗留してて。
 目の患いは相変わらずだけれど腰のほうは幾分かマシにはなったよ」

軽やかな声音があれやこれやと楽しげに跳ねているのを前に口元が可笑しそうに釣り上がる。
掌で示せば、人通りの邪魔になるから、と端のほうへと寄ってから歓談だ。
彼女を、壁ドン……じゃないけれど壁側のほうへと案内してから己は人通り側に立つ。

「で、お腹減ったからどこかでご飯でも食べようかと。
 君は、お昼は? まだ済ませていなければ良ければ一緒にどう?」

ノア = セシル > 「 ︎︎万年腰痛じゃ、女遊びもできないわよ ? ︎︎」

くすり、肩を揺らして悪戯に揶揄って。
さらっと結っただけの黒髪も、異国情緒溢れる独特な衣服も、変わらずセンス良く貴方の容姿を一層華やかに魅せ。
一瞬で女を識別する感覚の鋭さや 不自由なく一人で王都を歩き回る器用さに、“コイツ本当は見えてるんじゃないか…” なんて思うくらいには、つい盲目だということを忘れてしまいそうになる。

ともあれ… バッタリ再会を果たした友人に女は嬉しげに、その憎らしいほど美しい顔立ちを見詰めて。
貴方に促されるまま通りの端に寄れば、続く貴方の提案には 口で答えるよりも先に… ぐぅ、と小さくお腹を鳴らし

「 ︎︎───── ─ っ、 ︎︎大賛成。 ︎︎」

恥ずかしそうにケープの中でもそもそ腹を擦りつつ、こくり 頷いて。

「 ︎︎何が食べたい気分 ? ︎︎どこか行きたいとこある ? ︎︎」

せっかくなら、帰ってきたばかりの貴方が食べたいものを訊ねて。どこかへ向かい歩き始めるのなら、共に歩調を合わせ着いて行こうと。

エン > 「なぁに、腰を振るだけが寝技じゃないさ、使える武器は幾らでもある。指に、舌に、後はほら、このツラ」

人差し指を立てると何かを描くような仕草をしてから……
ゆるり、綺麗に纏まった唇を、ゆるり、端正に設えれた面構えを、各々なぞる。
ふふん! どやぁ!
と、そこで仰々しく大げさに顔芸するから一瞬漂った色気も本当に一瞬でどっかに吹っ飛ぶけれど。
誂いに喉を鳴らして肩を揺らして笑いながら黒眼鏡と綴じた瞼で見えない筈の“視線”が彼女を眺める。

ぐぅ?

その顔向きがお腹につい落ちて、すぐ戻した。

「ごめんね、さっきから俺の腹がどうにも喧しいんだ、早く食わせろ早く早く美味いもの! って」

耳が良すぎるのも考えもの。彼女の腹の音もしっかと聞いてしまったが自分の腹の音という事にして、

「そうさね。向こうでは土地柄やはり山の幸だの、猪だの鹿だの野性味ある肉をよく食ったけど……
 こっちらしい牛や豚だのの肉もそろそろ食べたいなと思っていた頃だ。寒いし、火鍋……あ、辛いのは平気?」

革の手袋に包まれている大きな掌を差し出す。彼女が取れば、歩幅は僅かに縮めて、歩き出す。
盲が手を取って連れられるならとかく盲が手を取って連れて行くのはどうにも事情を知っている者からすれば妙だろうが、
足を取られて二人一緒に仲良くすっ転ぶ……何て心配もまるでないほど確とした歩みも相変わらずに、こつ、こつ、こつ。

実は見えてる。訳でなく。耳が良いのと歩き慣れた道だから。
これが全く知らない道ともなると彼女に連れられて歩いた事も幾度かはあったか。

ノア = セシル > 「 ︎︎その “俺様かっけー” がなければモテるのに。 ︎︎」

貴方の色気に一瞬惹かれつつも、直後のドヤ顔に じと… と目を細め、残念そうに呟いて。
酒の席で知り合った仲だからこその、この揶揄い合いも心地好い。
そしてこの穏やかな雰囲気の貴方が、かつて戦場に出ていたなんて… 女には、まるで想像がつかなかった。

腹の虫を 自分の音だと気遣う貴方には、“こういうとこはイイ男なのに” なんて ぽつりと本音を零し。

「 ︎︎辛いのすき。 ︎︎行こっ ︎︎」

当たり前のように、貴方の手を取った。
こうして手を繋ぎ歩くのはいつぶりだろう… なんて ぼんやりと思いながら、貴方に案内され共に歩き出す。

幾つもの店が建ち並ぶ通りを歩きながら “ここは店主が変わって味が落ちた” とか “ここの酒場の新メニューが美味しい” とか “ここの染物屋が女性向けに新たなサービスを始めた” とか… あれこれと、ここ最近の街の様子を伝えながら

「 ︎︎そこで やってもらったの、綺麗なのよ。 ︎︎」

自分の爪が、今花からなる染料で淡い桃色に色付いていることを。
それがどんな色味で どんな濃さであるか、事細かく言語化して伝える。
その声色も、表情も、無邪気で楽しげに。本来キツい顔立ちを、やや幼げに綻ばせて。

エン > 「これぐらいでないとモテすぎちゃって身が保たなくてね。……くぅぅぅぅ」

わざとおどけて三枚目の振りして体力の調整と男たちの嫉妬の目を回避、云々……
言っているけれど素だし残念過ぎて出会いを逃す事多々であるのは彼女にも知れた事。
サングラスを上へとずらしてハンケチーフを懐から取り出せば目頭抑えて泣き真似。

「ちょっと? セシルさん? マジで残念そうにぼそっと呟かないで? マジで泣くよ?」

じっとりとした視線は、見えてませんから解りません、とでもいった風だったが溢れた本音に二度見。
ハンケチを畳んで戻しながら、溜息、はつきつつやはり口元は笑いながら手を取って歩いていれば、
自分が居ない合間にもあれやこれやと変わった様子を事細かに伝えてくれる彼女に頷きや相槌を返す。

「へえ。咲き始めの桜のような……王国にもあったっけ? 桜。以前、桜並木を見たことがあるがあれは綺麗だった……。
 見られなくなってしまったのは残念だけど見えなくても解る事だっていーっぱいある。
 例えば、セシルの笑顔がとーっても可愛い事だとかね?」

声の高さや低さや、喉の開きや唇の角度や、目線の位置と顔向き、周りへの反響と周りからの反響と、諸々、諸々。
綴じた瞳の内側に像を結ぶのは容易くないが隣に居てころころと笑う彼女の顔ぐらいは“視える”ものだと笑顔に、首を傾げる。
そんなことを喋っていれば歩いて暫くもない道程はあっという間。
古風だが古めかしくはない、北方の情緒が彩る門構えと暖簾を潜れば、己の鼻にも彼女の鼻にも香るスパイシーな匂い。
二人で、と受付に伝えれば提灯やカンテラが吊り下げられてやや薄暗い室内を通してテーブル席へと通される事になる。

「お酒も頼んじゃおうか。真っ昼間から何だけど。再開を祝して、ってことでさ」

名残惜しくも繋いだ手を離せば対面へと腰掛けて、羽織りを脱いで畳みつつ、献立表を指差して。

ノア = セシル > 「 ︎︎はいはい、泣かないでイイ男。 ︎︎」

おどけて見せたり、態とらしく泣き真似をしてみたり、ころころと移ろう貴方の様子に肩を揺らして。
はいはい、とほぼ棒読みで宥めつつも… 本当にイイ男だとは思っている。口には出してやらないけれど。

見えなくてもわかることはある と言う貴方に褒められれば、実際に見られないのをいい事に調子良く盛りに盛った返答を。
その表情は、先程の貴方にも負けないくらいドヤ顔で

「 ︎︎うん、正解。
 ︎︎ ︎︎ノアちゃんの笑顔は とってもとーっても可愛いのよ。 ︎︎」

そんな他愛もないお喋りを楽しみながら、やがて目的の店へと辿り着き。
貴方の纏う羽織にも似た、異国の雰囲気溢れる店内を興味深げに見回しながら、案内されてテーブル席へ。

「 ︎︎へぇ……… 知らなかった、素敵なお店… ︎︎」

足下まで全身をすっぽり覆っていたケープを脱ぎ軽く畳みながら、鼻を擽るスパイシーな香りに目を細める。
貴方の向かいに腰を下ろすと ほんの少し身を乗り出してメニューを見詰め、貴方からの提案には今度もやっぱり こくこくと頷いて

「 ︎︎当然♡ ︎︎」

メニューの方は、馴染みのない物ばかりだったから… 食べられない物は特にない とだけ伝え、注文は貴方に任せて。
耳のいい貴方に、二度も聞かれたくはない と… 鳴りそうなお腹には、ずっと手のひらを当てたまま。

「 ︎︎こっちでの宿は ? ︎︎温泉宿 ? ︎︎」

エン > 「ドヤッてても可愛いのはもはや反則では?」

何に対しての違反で何の罰則があるのか?
問うても答えは考えちゃいないから返りやしない。

「俺の顔をもってしても俺がやったら顔芸なのに……君だと愛らしいになる。く……っ」

文句垂れてんだか褒め言葉なんだかを、見えてないくせちゃっかり視えている事示唆しながらぽつりぽつり。
聴衆がもし居たらば『このカップル人目も気にせずイチャつきやがる……!』等とも妬まれながらの道中だった。
羽織りと、サングラス、何方も畳んで隣へと置いてから彼女の荷物やケープを受け取ってその上へと置く。
綴じた瞼は相変わらずだが目尻を緩ませては、王国のそれとは随分変わった情緒の店内を見回して……。

「店主が同郷でね。生まれがほんとにご近所さんの顔馴染なんだ。
 ……昔は故郷で王国の料理屋をやると言っていたが……王国で北国の料理屋になっちゃったなぁ……。
 まあ、おかげで故郷の本格的な味を楽しめるから俺には有り難い話だけれど」

よお、といった具合で掌を高く持ち上げれば、厨房の方から年若い店主が、よお、と手を上げている。
それに一度笑って、ぐぅ、とまた鳴りかねないお腹を一生懸命抑えている彼女の様子は気付かない振り。
好き嫌いの話に一つ頷けば手慣れた様子で、献立表を開いて指でなぞっては、味付けや肉の種類など注文。
酒は乾杯するのに丁度いいからと一杯目は麦酒にすればすぐに運ばれてくるので、硝子のジョッキを手に持つ。

「暫くはまた温泉旅籠のほうで世話になろうかと思っているよ、あすこ、温泉は質がいいから。
 ……遊びに来るには女性にはちょっと物騒かな? その折には俺が出てくるよ、また一緒に色々食べよう。
 それでは。今日の偶然とノアちゃんの可愛い笑顔に、かんぱーい」

かちゃん、と彼女も杯を持った頃合いを見計らえば小気味いい音を立ててジョッキを合わす。
それを飲み干す頃には故郷の酒を紹介したり、火鍋の辛さに汗を滲ます様子にハンケチを渡したり、と、しながら、会話は弾む。昼に入ったのに、日が傾くぐらいまで、或いはもっとじっくり飲み交わす事になったかどうかはさて何れまた会った時の会話にでもぽつりと漏れ出すか。『いやこの前は飲みすぎて……』とか言うのに今度会っても結局また飲み明かす、かどうかはさて、何れまた――……

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からノア = セシルさんが去りました。
ご案内:「平民地区・路地裏」にシャルティアさんが現れました。
シャルティア > 平民地区、大通りから外れた路地裏
街灯もほとんど無い薄暗いというより歩くのも少々あぶなっかしい暗さの路地裏。
捨てられて黒カビの生えた木箱に小さな野良猫が丸まってる

「ねえねえねえ、にゃー、にゃーーー♪」

その木箱の前で小さな少年が野良猫ににゃあにゃあと話しかけている。人懐っこそうな少年だが、こんな時間に一人でいるのが危うく感じるほどには押さない子供だ。
野良猫は丸まったまま返事もせず、しかし目を細めて少年をみてるあたり少年を嫌ってる様子もない。
少年はそんな大人しい猫に鳴いてほしいのか、一生懸命に話かけてにゃーにゃーと、どっちが猫かわからない鳴き真似をしてる

シャルティア > 「もー、なんで鳴いてくれないの」

少年はそんなことを言いながら猫の頭を撫でる。 人慣れしてない野良猫は人間に鳴くことはほぼない。
とはいえ人間から餌をもらっている猫は自身をアピールするために鳴くので、個体差といってもいいが。
そもそもにゃーと鳴けば返してくれるようなものでもない。
しかし少年は、そんな野良猫と目が合うと、とりあえずにゃーと言ってみる。 もちろん返事はないのだが

「ぷー、猫さんはだめな子だ、いい子いい子♪」

だめな子なのかいい子なのか
どっちみち鳴いて欲しいのも少年の思いつきのようなわがままだ。 こうして撫でさせてくれる猫は大好きである。

シャルティア > 茶色の野良猫は丸まったまま大人しく撫でられてる。 目を細めてるあたりは気持ち良いのだろう。 少年の撫で方は少々雑だが平気なようだ。

「猫さんはおとなしいねーいいこいいこ♪ ちゅーもしてあげよう、ちゅー♪」

おでこ、頭のあたりに唇をくっつける。 ふわふわの感触が心地良い。 目が合ったので、またにゃー♪と言ってみるが猫は大人しく目をほそめるだけだ。

ご案内:「平民地区・路地裏」からシャルティアさんが去りました。