2025/02/16 のログ
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ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグライドさんが現れました。
グライド > 戦地からの帰り。
行きと違って、面子は随分と少なくなった。
傭兵と言うのはそんな物だ、いつも死が隣り合わせに在る
都まで辿り着けば、各々で各自解散して、集団行動からは解放される
飲みに行く者も居れば、宿に戻って死んだように眠りたい者も居るだろう
或いは戦場での高揚其の儘に、女を抱きに行く者も少なくは無かろう

己はと言えば、道中の泉で、鎧ごと水浴びをする機会があったから
装備の手入れ、については別段急ぐ必要は無い
さて、如何した物かと、のんびり佇んでは腰に手を当てて空を仰ぐ
――今宵も月は大きく、戦地と変わらない姿を見せている。
鉄錆に塗れた、戦地と同じとは思えない程に。

「……飲むにしても、荷物は置いて来るか…。」

鎧姿で酒場に行くのは、少々物々し過ぎるだろうか
場所によっては、余り歓迎されない視線を受ける事も在る
宿は、此処から其処迄遠くは無い。
――其の儘、宿で静かに飯を食う気分になる可能性も在るが。
まぁ、其の時は其の時、だ。

グライド > 街中を、ふらりふらりと歩く。
体躯に加えて全身金属鎧だ、比較的空いて居る道であれば
何方かと言えば、己が避けるよりも先に人波の方が割れて行く。
己も己で、誰かにぶつかったりはしないよう注意してはいる、が

其の先、大通り等の、混雑している最中だと中々そうも行かない物だ
人の流れが滞って、無理に動かず佇んで居ても
向こうからやって来る誰かが鎧にぶつかってきたりするものだから
其の度に、おう、悪いな、だとか、気を付けろよ、だとか
そんな声を適当に駆けつつ、宿前まで進んで行く

「やぁれ、流石に週末はこの時間、ごった返してやがんな…。」

せめて鎧を外して居れば如何にでもなるのだが。
――否、盾だけ背負って居ても、其れは其れで危ないか。
ともあれ、一旦宿の出入り口まで退散しては、中には入らず一息つく
視線の先には、寝床を探す為の長蛇の列
既に部屋を取って居る己は、別段並ぶ必要も無いのだが

まぁ、押し退けて入る位なら、少し落ち着くのを待てば良い。

腰に下げていた水筒を開け、くい、と煽る。
水ではなく、入って居るのは蒸留酒。
気付けや消毒にも使える其れは、戦場でも割と重宝するが、今は、単なる口遊びだ。

グライド > 暫く街の喧騒を眺めて居れば、漸く人の波が落ち着いて来る。
列最後尾の隙間から、狭い入口へと入り込めば
受付の女将へと、顔を見せて挨拶するだけで、宿の奥へと歩いて行く

列に並んで居た者が、何か不満げに声を上げるのが後ろで聞こえたが
『半年分以上払って貰ってるんだよ!』と言う女将の一喝が直ぐに響き
可笑しくなって、けらけらと笑い声を響かせた。
――そんな贅沢な払い方をする奴も中々居ないだろうし
そんな払い方で部屋を確保させて貰えるのも、一見には無理な事。

「そういや、女将さんとの付き合いも長くなったもんだ。」

もう数年経つ。 己にとっては、親戚のばあさん位の感覚だ。
己が何をしていても、金さえ払えば口を挟んで来ないのが云い
傭兵と言う生き方を、よく理解してくれて居るから
この宿では、同業者が良く顔を合わせたりする。

扉を開き、部屋に入れば。 漸く、一息入れて、鎧を外しに掛かり。
さて、その後飲みに出歩くのか。 其れとも億劫になって部屋に籠るのか。
其の辺りは、其の時になって見ないと判らない物で――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグライドさんが去りました。