2025/01/20 のログ
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ご案内:「王都マグメール 平民地区」に影時さんが現れました。
影時 > 朝に間に合わぬものに、今日の仕事はない――とは誰が言った言葉だろうか。
ありがちな格言のようであり、誰かが単に思いついただけかもしれない。
だが、当たらずとも遠からざる点が嗤えない。
仕事が限られた椅子のようであり、其れを勝ち取らなければならないとするなら、誰にも遅れないようにするしかない。

「……つまりは、だ。
 遅れてくるような俺みてェな奴には、いまいちな奴しか残らねェわけだ、と。世知辛ぇなぁ」
 
そう一人ごちる声は、朝はとうに過ぎて昼に差し掛かった冒険者ギルドの奥、隣接した酒場の卓の一つでぷかりと浮かぶ。
早朝からの仕事を片しての食事や、朝帰りした後に起きて食事に興じる姿に混じる姿がその声の主だ。
テーブルを陣取って茶を呑み、ギルドの受付前の掲示板から残った仕事の張り紙を数枚剥がし、並べて見分する。
そんな姿もまた、特に幾つもの仕事を掛け持ちしている冒険者では、割とあるケースであろう。
最低限の食い扶持を収入を確保しているかわりに、特に午前中に掛け持ちの仕事を割く日には、間違いなくこうなる。

かくして、掲示板に残った半端な仕事と向かい合うことになる。
日帰りし難い距離の採取依頼、この時期はあまり行きたくない雪山での討伐、どんな季節でも必ずある地下水道の清掃、等々。
行くにしても、せめて道連れとか欲しくなる類のものだ。

影時 > 人間、楽して仕事をしたい。手っ取り早い終わるものであればなお良い。
最終的には大金を得られるが、それまでに面倒な手順と条件を満たせ――というのは、面倒が過ぎる。
そんな手間を犯す、せざるを得ないような仕事は、最早御免蒙る。つくづくそう思う。

「で……何だね。さっさと決めろみてぇなツラしてンだか、お前さんらは。ン?」

軽い昼食を終え、薄くなる代わりにおかわり自由な茶を呷って一息。
請けるか請けざるか。思案していれば、卓に立てかけた刀の柄や依頼書の周りでうろつく姿を見る。
小さな白い法被を着こんだ二匹の齧歯類だ。
冬毛で膨らんだ毛並みもあれば、まるで法被が着ぶくれしているように見えるのはご愛敬。
昼食と一緒に頼んだナッツ類を齧り終え、満ち足りたので腹ごなしの運動という処か。
気侭な二匹が皿と器の間を走り回り、飼い主の肩や頭まで攀じ登って、じっと眼下の文字を読む――ような素振りを見せる。
読めているのかどうかはさておき、ぺちぺちと尻尾で叩いてくる始末は、まるで催促してるかのよう。

「この時期の雪山にゃ行きたくねェだろう?
 何と言うか、行くなら行くで奇麗どころでも欲しいトコだが、心当たり無いかね無いか」
 
懐具合が心許ない、とまではなくとも、いつでも纏った金はあるに越したことはない。
飼い主が放つ無理難題じみた言の葉を聴いた二匹が、頭や肩の上で顔を見合わせ、へにゃと尻尾を撓らせる。……無いらしい。

影時 > (……まァ、雪中訓練のお題にしてもなぁ。教えなきゃならねぇことが多すぎるわな。否、それ以前か)

弟子を連れて攻略、受諾もふと考えるが、雪中登山やら何やらは準備が面倒だ。
それならばまだ、思いっきり経路をショートカットして、空からどーん!とやってしまう方が早い。
そう。早いのだが、依頼書に書かれているあたりの地勢を思い返す。
麓に村だか集落が無かっただろうか。それはそう。近くに出ている魔物退治の依頼だから、在るに決まっている。
下手に仕出かして雪崩が起こった場合、どうなるかという想定は力業は危ういという気づきに繋がる。

――結論。地道にやるしかない=拘束時間が長くなる。

では駄目だな、と脇に退ける。他の仕事は改めてどうか。
ギルドの意向としては、未着手の仕事は出来る限り早めに片したいだろう。自分も仕事日が近い。そうとなれば。

「…………仕方ねぇか」

地下水道の掃除、か。この場合の掃除は真っ当な意味での清掃作業ではない。
地下水道に棲息する鼠や蟲、錬金術師が未処理で流した廃液から生じたスライム等を排除する討伐の任務だ。
選んだ依頼書の記載を見た二匹の毛玉たちが、凄く嫌そうな気配を放つのは気のせいではあるまい。
――潜っている間はどうせ鞄の中に這入ってるが、と口に出さない。こういう二匹だと割り切れる位には、付き合いが長い。
テーブルに飲み食いした代金分の硬貨を置き、立ち上がる。

刀を取り上げて腰に差し、依頼書を取り上げる。さて、まずは手続きといこう――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエリシアさんが現れました。
エリシア > 「これが討伐証明だ。頼んだよ」

冒険者ギルドのある時間帯。
それなりに人で込み合う中、人波を押しのけて受付に迎えばそう告げて袋を置き。
中を確認したギルド職員のぎょっとした顔も気にせずに笑顔を見せ。

引きつった顔で奥に引っ込むのを見送り、戻ってきた職員から報酬を受け取れば満足そうに笑い。

「また面倒そうなのがあれば言ってくれていいから」

そう言っては受付を離れ、人波を押しのけ進むのは依頼の張り出される一角。
そこにたどり着けば何かいいものがないかと見上げて。

「大物は流石にないみたいね」

オーガ退治でもあればと期待はしたが、そう言うものは早々あるはずもなく。
あってゴブリンの群れかその辺りであり、そう言うものは実力があっても一人でうけれないものであり。
それは流石にと思えば、採取か護衛でも良いかと考えてほかの依頼を探して。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエリシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にノア = セシルさんが現れました。
ノア = セシル > 忽然と姿をくらませていた便利屋の女が、久方ぶりに王都へと戻ってきていた。懐かしい顔ぶれと、ついでに初対面の客も巻き込んで、歌って踊って 賑やかに酒を酌み交わし……

「 ばいばーい おやすみぃ♡ 」

ほんのり頬が色付く程度には酔いの回った女は、ご機嫌で酒場を後にした。しばらく空けていた住居へ帰るその足取りは、ふらふらと危なげない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 街角を曲がって目の前に酔いの回ったふらふらとした女。
注意する暇もなくぶつかってきて、受け止める。

「おい……」

ふわっと香る匂いに懐かしさを覚えた。
怒鳴りつけようとした語気が消えていく。
受け止めた身体を確かめるように、そのまま抱きしめて。

「なんだ。帰って来たのか、久しぶりだな」

髪に顔を埋めて匂いを嗅ぎながら言葉を零した。

ノア = セシル > 何者かによって遮られた視界。すっぽりと収まってしまった胸の中 もぞもぞと抵抗を試みるも、酔いの回った女に大して力も迫力もなく

「 ちょ…… どこみてあるい て... 」

自らぶつかった自覚もない女、しまいには文句まで口にしようとしたが... 懐かしい声に、言葉は遮られて

「 ……………… グスタフ、?
ん、 ひさし ぶり... 」

見上げれば、懐かしい顔。ここでの再会も、何より相手の反応が、女にはあまりに意外で。気恥ずかしそうに ぽつりと返した。

グスタフ > 「いつ帰って来たんだ? ……いや、それより大分飲んでるな」

髪の毛をぽんぽんと叩いて、少し離れて顔を見る。
お互いあまり変わってないような、随分変わったような。

「休憩ついでに付き合えよ」

有無を言わさず。手を引いて、腰を抱きながら女を連れ去る。
それはまるで彼女の十八番を奪う手際で。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグスタフさんが去りました。
ノア = セシル > 「 ぇ ………… ちょっ、と... ?! 」

男の問いに答える暇もなく、あれよあれよと連れ去られ。意外な再会を果たした二人は、夜に消えて ───

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からノア = セシルさんが去りました。