2024/07/05 のログ
ロロ > 「そうそう、外で泊まったりすんの最悪だ――前、死霊退治に教会跡で一晩過ごした事とか有って さ。
ったく化け物出るわ蟲が出るわ毒まで喰らうわ…何処のお化け屋敷だってんだ。
――っぁー…っ…ぅえ゛ぇ。想像するだけで食欲失せちまいそうだ ぜ、あたしなら野宿せずに済むよう、速攻で依頼対象ブチのめすわな」

自然環境下でのサバイバルに於いて。確かに虫というのもタンパク源として悪くはないのだが…聞いただけで眉を寄せ。
食欲云々言いつつ…寧ろ、逆に。話題毎さっさと流してしまえと言わんばかりに。よりペースを上げて酒杯を煽るのだった。
おまけに此方が思い出した過去の依頼も。今自分の寝苦しい夜にはピッタリかもしれないが…実体験としては面白くない物である。
霊でも不死者でも何でも。「潰せさえすりゃ良いんだケド」、と。嘆息混じりに脳筋発言も付け足して。

とことん、ミレーらしからぬミレーなのだが。長い事この王国内にてヒトの管理下に有る種族故。こういう者も出て来るのだろう。
…言ってしまうと。犬や猫といった愛玩動物達が、最早野生の虎や獅子や狼や…といった類とは、別種の生物めいているのと同様に。

「あー…デカいヤマ張って、纏まった金が入ると。つい財布の紐も緩むのな、うん。
上手く行かなくっても、それはそれで、ストレス発散したくなるんだろうし。…そう考えると良い商売してる ぜ。依頼のオマケにしとくにゃ惜しい」

うんうんと頷き、また肉を大きめに一口。それから盃ももう一杯。
会話が弾むとその分、飲食のペースも…結局先程の食欲減衰発言は何だったのか。そんな勢いで加速の一途。
結構なボリュームであった筈のステーキは。彼の前でみるみるその大きさを失っていく事だろう。

「アンタが勝てないってなると相当な気がするな、ニンゲンとしても。
序でに良い性格もしてるらしいとあっちゃ気になる――ぜ。その内お近付きになりたいもんだ よ」

ふむ。周囲の反応も含め頷いた。
ギルドとしても、腕が立つ以上…素行に目を瞑らざるを得ないような人物すら。きちんと一目置いて尊敬するらしい謎の人物。
ただ、周囲の者達にも見当が付かないといった風情が有るので。冒険者として此処に通っている人間ではないのだろう。
それとも――そも、ニンゲン、とも限らないのかもしれないが。これはこれで、今後、覚えておくべき情報かもしれないと。頭の中に留め置く。

「結局そりゃぁ、見た目だけじゃ掴めない部分に騙されちまうって――見た目で計るしか出来ないって事なんだろう ぜ。
腕っぷしとか――殴り合ってどつき合って初めて解る事が有るし、その逆も然りなんだけど。逆方面には疎い奴、ニンゲン以外にゃごまんと居るのさ。
……本当なら。どんな事にだって用心するのが。生き物ってモンだと思うんだけど」

すっかり自然と離れて等しい人間達に。力こそが全てな一部の魔物や…ドラゴンのような存在。
其処等辺には、逆に力が無いからこそ、頭やそれ以外をも発達させてきた者達の事は判るまい。そう肩を竦めてみせた。
相手のウインクにはしたり顔で頷いて――実際、犬自身も。自分の視覚能力だけでは判らないと踏んだからこそ。周囲の風評を拾っている訳であり。

「………っ、っへ。そーゆーのは良いね、あぁ、凄ぇ良い。解り易い。
アンタみたいな性格してる奴とは。仕事以外の意味でも、お近付きになっときゃ色々役に立ちそうだ」

にまり。唇を吊り上げ笑いつつ。その唇に着いた肉汁を舐る舌なめずり。
多分、普段の彼の為人だか行いだかについて、知っているのだろう周囲の誰かが。訝しむ…というか、心配するというか。
ともすると同情するような目を向けてきた、という気がしないでもないが――まぁ其処は。此方の判断する事だ。余計なお世話としておくか。

「…そう言うなよ、初回サービスとか、考えて暮れたって良いんだ ぜぃ?
もしくはアレさ。次はこっちが奢る側って事で、その分くらいは考慮してくれるとかー…」

折角。相手も言ってくれているが、此方にとっても。確かに「面白い」、そう感じられる相手である。
此方からも距離を詰めていくかのような、些かなれなれしく緩めた口調は。半分ばかり冗談も交えつつ。
その内すっかり肉を胃に収め、酒の残りを差し出そうとして……む、と。どうやら此方もすっかり空になってしまったらしい。
ペースの速さを自覚出来ていなかった、という辺りも。それだけ相手との会話その他に意識を傾けていた証拠なのだろう。

…ボトル二本目いっとくか?顎に指を当てて思案していれば。値段について――いやその条件として、此方について。彼の言。
横目で口説き文句を発した相手の唇を見やった後。がたんと音を立てて立ち上がり―― 笑った。此方も、犬歯を覗かすようにして。

「――――ノった。 先行投資か、前払いって事で――後はなんだ。
それこそ今日の『おちかづきのしるし』ってぇ奴だ、な?」

ゼオン > 「死霊はさぁ、俺いいんだよ。手に魔力込めてバァーンてしたら消し飛ぶからさ。
 蟲は駄目だ。魔力込めてバァーンしても手がうわぁーってなるもん。
 なぁー? 萎えるじゃん? でも酒飲みながらさぁ、ナッツ食べてんのよ。
 なのに幼虫がどうとか言うんだぜ。マジで……。」

 魔力を脳筋思考で使い、だからこそ脳筋思考で行使した悲劇にげっそりして。
 お互い速攻派。お互い反サバイバル派。
 あの店の保存食、コテージで刻んで煮込むだけで肉が良い味出すんだわなどと、
 シティ派の談義は別の方向にも盛り上がるだろうか。

 そういえばふと、どこかの貴族領地には”備品”として扱われて社会に組み込まれているミレー族もいるという話を聞いたな、などと思い返しつつ。

「なんかここの飯取り仕切ってる人も元冒険者でさ、胃袋の掴み方知ってるしツテも現役時代に造ってるみたいでなぁ。
 こっちとしちゃ役得よなぁ。」

負けじと肉を頬張って咀嚼する。だが急いで食べてるわけでもなく、溢れ出る肉汁を味わうように噛みしめている。
このギルドの酒場は女が引っ掛からなくてもこのステーキがあるから不機嫌になれない。
だが今日はそれ以上に”旨そうな肉”が引っ掛かった。

「それがアニキって俺経由じゃ誰かに逢いたがらないんだよなぁ。
 お前はそのうちデカくなるから俺みたいな裏歩いてる奴とのつながりはあんま表に出すなってさぁ。
 ま、表でもふらっと出歩いてるの見かけるし一応人間だし、案外ロロとも知り合いかもな?」

表で響かない裏の手合。腐敗が広がるこの王都にあっては至極当然の帰結。
まだ目の前の傲岸不遜も表層に過ぎないのだと。

「そう言う意味じゃ、ドラゴンって半端につええから色々勿体ねえよな。
 色々きちんと見るのがおもしれえんじゃん。それやんねえばっかりにドラゴンメイルとかドラゴンシールドの材料にされてさ。」

 竜に限らず、生半可な才能を持った手合も、そうして餌食になっていく。
 強いだけでは人に勝てない。人は見定め、対策を練り、簒奪していく。
 時代の移ろいにただ強いだけの存在は呑まれていく。
 それを勿体ないと、ただ焼くだけでなくソースと香辛料も絶妙なステーキを味わいながら。

「……ロロってたまにだまくらかされたりしてね?」

 などとニヤニヤ笑いながら返すあたり、こちらも周囲からすれば珍しく掛け値なし。
 だが、周囲は男の心中など視線が曇っているから分かろうはずもなく。
 理解してくれるのは目の前の良い女だけで良いのだから。

「じゃあもう一杯飲んでから行くか? 宿代も俺持ちでいーよな?」

 などと、お近づきの景気づけは必要だろうとさらに強い酒を勝手に注文する有様で。

ロロ > 「魔力が有りゃまた違うんかね。 取り敢えず蹴っても効き目の無い奴ってのぁ最悪だよ。
そういう意味だと飛んでる虫ってーのもなぁ…小さすぎるから。当たらないっていうか、勢いで吹き飛ばしちまう。トドメになんない。
…うーっわ。靴底でも気持ち悪ぃのに、手に付くとかちょっと想像したくねぇ。
脚の多いのもヤバいけど、逆に無い奴もちょっと……おおぅ。そいつぁご愁傷様だ。いやうん、脚がなくても許せるのは、海の生き物くらいだぜ」

どうやら。魔力はともあれ、拳やら蹴りやら…その辺については。似たような思考。そして似たような行為と結果を経験済みであるらしい。
同じトラウマを抱えて盃を交わす事になりかねないので、此処は話題をもっと良い方向に変えるとしよう。
それこそ、どうせ食についてなら。やむを得ず野営する事になった際持ち込める、乾物や缶詰の類だの。それを買うなら何処何処がお薦めだの。
そして勿論――現在進行形で、今口にしているギルドでの食事についてもだ。

「偶に聞くよな、ぁそういうの。競技絡みの世界とか。
現役時分に好きだったモンとか知ってる分。同じ界隈の連中に何がウケるか、良く良く知ってますってぇ奴。
――けどそんだけじゃなく、こりゃ腕も確かだわ。ちゃんとそっちの修行も積んだんだろうな――ァ」

しみじみと美味さを味わう…そういうのも決して嫌いではないのだが。つい勢い付いてしまう。
お陰で目の前の相手より早めに食べきり飲みきって。少々待つ事となりそうだ。
その間。頭の後に手をやり、行儀悪く椅子の前半分を浮かせぎっこんばったん…奇しくも。最初、傍を通った際の彼と同じ事をしてしまいつつ。

「……そういうモンか ね。表も裏も両方有ってこそ、ってーモンだと思うけど……ま、表でデカくなっちまうと。
当人がどうあれ、周りが体面気にして来るのは―― …ぁあ、うん。有るな。仕方ねぇ」

だから実際犬自身、こうやって。主の代わりにあれこれと使いっ走りや…時に。公と出来ない仕事を果たしている訳で。
が、そうすると。犬の首輪を握っているのが、表向きは良からぬ輩と縁を持てない貴族である所と比較して。
あくまでも冒険者の一人――といった風情である目の前の相手も。その出自はヤンゴトナキ何某、だったりするのだろうかと。何やら怪しげな事柄を考えてしまった。
……その辺も。今後それこそお近付きレベルが深まっていけば。いつか知る機会が来るのか…それとも。

「逆にナメてくれなきゃ勝ち目無い、っていうのも居るからな …流石にそういうのは、街にゃ滅多に入って来ないけど。
見る。考える。その辺は立派な力だと思うぜ――腕力も魔力も力なら、観察力も技術力も、やっぱり力ってぇ付いてるもん な」

野生の本能をすっかり目減りさせたニンゲン達が、それでも、此処まで発展しているのは。
間違い無くそうした非物理的な力を得てきた、育んで来たからだろう。
そういった力は一個体、一世代に宿るのではなく。代を重ねて受け継がれる。蓄積され進化していく。
実際技術力の結晶、その一環に。料理という奴だって有るのだろう。果実や穀物を、保存の利く酒に変えるのも。
こう考えると発展の証たる料理の中に。いつか、ドラゴンだって並ぶのだろうか……いやそもそも喰えるのか?
変な方向へと想像の飛躍する辺り。早酒が過ぎたのと機嫌の良さで。少々…酔っ払いつつあるのかもしれない。

「――…騙されたからって。それが全部悪い結果になるとは限らないだろ?
嵌ったら嵌ったで、その先で暴れてやった方が。とっとと片付く場合も有らぁ な」

否定しない。というか出来無いのだろう…脳筋嗜好なら解って貰えると思う。
ただ本当に。必ずしも悪い結果だけで終わるとは限らない。騙したと思ってのこのこ黒幕が出て来てくれれば速攻出来るし。
後は、まぁ――今のような状況なら。「喰われる」だけ「喰う」だけでなく。「喰い合う」事だって出来るのだ、と。
彼の視線の意味に気が付いているからこそ。変わらぬ表情で頷いてみせようか。

「おぅ。良い宿知ってんなら是非――期待してるぜ?」

先程思案していた酒の追加だが。どうやら驕り序でに彼が奮発してくれるらしい。
ボトルが届けば上機嫌で乾杯し、案の定飲み干していくペースも速く……この後。
約束通り宿へと赴いた、その頃には。どうやら大分「出来上がっている」事となりそうだ――

ゼオン > 【部屋移動します】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からゼオンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──~♪」

灰色の空の下。
雨がしとしとと降り注ぎ、普段に輪をかけて人気のない外れの住宅街の路地を、
ピーヒョロロと下手くそな口笛を奏でながら、一部に赤いラインが入っている意外はほぼ全てが銀色の番傘という
奇妙な物体を担いでのんびり歩く、金髪の男が一人。
傘を携えている代わり、普段羽織っている銀色のジャケットは今はその姿は見えず。

食事を終えた後、暇つぶしを求めてブラブラと大通り、路地裏と歩いてきたが、特に何か特筆するものと遭遇するでもなく、
気がつけばこの場所まで辿り着いていた。

先の二箇所に比べると、余計に事件性の少なさそうなロケーションではあるが──

「……まああ人生ドコでナニが起こるか判らんもんだからな」

なんて小さく笑って独りごち、軽く肩をすくめて。
適当に視線を彷徨わせて住宅街の景色を眺めつつ、ぱしゃ、ぱしゃとマイペースに歩を進め続ける。