2024/03/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメルヴィさんが現れました。
メルヴィ > 【お約束待ちです】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に”徒花”ジョーさんが現れました。
メルヴィ > 「美味しい物は分け合うべき。それが美食を楽しむ秘訣、と何かで聞いた。
 だから、気にすることはないのだけれど、ふむ、それならお言葉に甘えよう」

生憎とこの手の酒場は料理のボリュームと良い意味での雑さが売りだ。女性用のアラカルトなど存在しない。
しかし、この小さな身の丈で様々な味を楽しみたいという我儘な感情を抱いているのがこの小娘である。
故に、料理を分け合う相手が居るというだけでも好ましいのだが、なんとご馳走してくれるという。
健啖家である訳もないし、ここは彼のご厚意に素直に甘えておくとしよう。ただ飯万歳。

「私も興味のあるメニューだったから、助かる。少しだけ味見程度に分けてくれれば文句なし。
 こういうお店はメニューから気分で適当に頼んで、その結果を楽しむものらしい。本当かはわからないけど」

と言うのは、学び舎に務める同僚の雑談を小耳に挟んだだけのこと。少女にこだわりがある訳ではない。
講釈を垂れているのもなんとなくそれっぽいからと言うだけで、割と勢いだけで考えなしに生きている。
ハムもサラダもどうぞどうぞと差し出して、反対側から手を伸ばして自分もむぐむぐと頬張る。
わりと死に気味の表情筋が僅かに緩む。割と何でも美味しく食べられるものだから、人生は幸せがいっぱいだ。

「――ん、気にすることはない。メニューを決めあぐねて時間稼ぎに頼んだやつだし。
 多分食べ切れるとは思うけど、残すかもしれないから、食べてもらえた方が助かるというもの」

しゃっきりした歯ざわりの野菜に軽やかなハムの肉感。瑞々しさと塩気のバランスが心地よい。
程よく着いた脂身の甘みも強めの塩気と合わさって至福。体に悪いものは大抵美味しいものである。
或いはこのハムと目玉焼きでハムエッグなんて作ったら絶対美味しいよねぇ、と夢も膨らむ。お腹が鳴る。
口の中が程よく塩気と脂で満たされたなら、そこで傍らの盃をぐいっと呷って、冷えた果実酒を流し込む。
舌の上が一気にさっぱりとして、いい感じにリセットされた気がする。ハムの感動ももう一度楽しめそうだ。
もしゃもしゃ、むぐむぐ。サラダを半分より若干少なめな量を平らげると、次の料理を楽しみに待機。
お腹の容量は把握済み。苦しくなるまで食べるとこの後寝る時に大変だものねぇ、等と過去から学習済みで。

「やっぱり、塩気はお酒を進ませるよね。喉が渇くのとは別に、ぐいっていきたくなる魔力がある」

もぐ、むぐ。表情の変化はあまりないものの、雰囲気はなんとなく上機嫌だったかもしれない。

”徒花”ジョー >  
表情筋は死んでいるのはお互い様。
物静かな雰囲気も相まってかはっきり言って"暗い"雰囲気も漏れている。
喧騒がつきものの酒場としては、随分と特異なテーブルが出来上がっているのかもしれない
おまけにがっつくのでは静かに料理を食べている。口に運ぶ料理の量も大体少量。
しかし、食事を趣味としている不死者。空腹も満腹という概念はない。
そういう意味では、"処理"としては最適な人材と言えよう。

「……せっかく分けてもらったんだ。好きに摘むと良い。
 複数人で囲む食卓は、そういうものだと知っている。」

無礼講、というのは少し言い過ぎだが、どんちゃん騒ぎをせずとも
静かに食事をし、互いに共有し楽しく談笑をする。
よく知っている、よく経験をした記憶がある。
ノイズがかった記憶に映る"彼女"の姿を思い出し、僅かに目を伏せ首を振った。

「気分、か。所謂"店主のオススメ"と似たようなものか。
 まぁ、こう見えて腹には入る方だ。残すというのなら、俺が全て食べてやる。」

それならその礼に応じるだけだ。
ぱり、と静かに齧るサラダとハムの味を舌が嗜んでる。
なんだかんだ遠慮気味だったくせに、いざとなると結構摘む。
無遠慮、或いは此の不死者、結構食い意地は張っている。腹減らないのに。
とは言え、実際その言葉に説得力は垣間見える…かもしれない。

「ああ、そうだな。そうしてもう一度塩気で口を満たすのが妙に"クセ"になる。」

酒飲みではないが、食事の妙味という意味では理解している。
この不思議な組み合わせで食を進ませる仕組みは実によく出来ていると思った。
実際、此の通りサラダを摘む手が止まらない。むしゃ。美味い。

そうこうしていると、テーブルに届いた注文の品。
鉄板の上を跳ね踊る油。香ばしい香りを立てる羊肉がデカデカと置かれている。
その隣にはまたこれはスッキリとしたコンソメ色のスープにでろっとした野菜と羊肉の浮いたスープ。
彼女と同じ酒と並んだ自分の注文を見て、ジョーは神妙な顔つきをする。

「む……しまったな。香草焼きとスープで羊が被ってしまった。
 この店では、肉スープよりも野菜のスープの方が良かったか……。」

不死者、思ったより食材被りを気にする。
結構神妙な顔をしてる割に言う言葉がそれなのはどうなんだ。
実際、幅広く色んな味を楽しみたい。
生命としてではなく、趣味としての色が出る行動だからこそ、色々楽しみたい方が優先される。
しかし、羊肉のスープも美味そうだ。悩ましい。うーむ。

「……お前も好きに食べろ。」

まぁ難しい事は酒に流そう。
自らの酒を手にし、軽く喉に流した。

メルヴィ > むっつりしているのはどうやら少女だけではなかった様子。反応薄めの男女が卓を囲んでいるのは異様な光景かもしれない。
とは言え、それにツッコミを入れる様な輩はおらず、喧騒の中に妙に静謐なスペースがぽつねんと存在している状態だ。
むぐむぐ、もぐもぐ。マイペースに咀嚼を続ける中で時折会話がなされる空間は、しかし不思議と居心地悪くはない。
なんとなく雰囲気か波長みたいなものが合うのだろう。もしかしたら気のせいかもしれないが、なんとなくそんな気がする。

「ん、それなら、好きに楽しませてもらう。中々楽しみ。
 ――あぁ、そこのお姉さん、今度はりんご酒をお願いしても?」

肩肘張らずに食事ができるなら少女としても文句なし。気を使わないのは良いことだ。
ついでにのんびり彼を見る。見目は整ってて、外見は若い。ただ、何処かに熟れた雰囲気がある。
自分も人のことは言えないが、恐らく彼も外見と実体の年齢が噛み合ってないやつだな、となんとなく評して。
とは言え詮索するのも野暮だよねぇ、と言葉にはするまい。一期一会の最低限のマナーは心得ているのだ、多分。

「そうそう、店主のおすすめ。あの一言は結構悪魔的。思わず頼んでしまう魅力がある。
 なるほど、私は食欲の割に入らないから、食べてもらえるのは嬉しいかもしれない」

適当に頼んだものだし、さっき彼の支払いだと決まったし、自分の財布が傷まないならば文句は一切述べるまい。
仮に自分の頼んだものだったとしても、矮躯故の食の細さから多少多めに譲るぐらいは気にしない性分でも在るが。
丁寧な所作ながら、皿が気持ちよく空いていく様子は結構見応えがあって良い。こう、すかっとして気分が良い。

そうこうしている内に、メインディッシュがやってくる。大きめの鉄板の上に豪快に切り分けられた羊肉の塊。
焼ける脂の匂いと音が腹の虫を起こす。これは齧り付いたら絶対に美味しいし、これでもかと濃い味な気配がする。
同時にやってきたスープもまた良い。特にクタクタに煮込まれて味が染みた野菜は、冷える夜にこそ味わうべきご馳走だ。
どちらも素敵、と眺めていたら、少女の元にも追加のりんご酒がやってくる。柑橘とはまた違った酸味が良いのよねぇ。

「……ふむ、ではまず香草焼きを一切れ頂いて、スープも少し。んぅ、くたくたな玉ねぎ、好き」

これ以上煮込むと蕩けてしまいそうなギリギリを攻めた、黄金色の玉ねぎを匙で掬って自分の皿へ。
お汁は控えめにして野菜と煮込み肉を少し貰うと、先に香草焼きを一口齧る。脂身にまぶされた岩塩が良い。
一瞬で口の中を満たす強烈な塩気。これを柑橘よりも甘みのあるりんご酒の甘酸っぱさで押し流すのだ。
最初から美味しいことが決まり切っている組み合わせである。次いでスープの具材も頬張れば、今度は滋味が溢れる。
そして僅かながらもしっかりと感じる、ぴりっとした香辛料のキレと香り。酒場の一品と侮るなかれ。そんな店主の気概を感じた。

「うん、香草焼きも美味だけど、個人的にはスープが、かなり良いかも」

もむもむ。お気に入りが見つかって密かにご満悦な無表情少女であった。

”徒花”ジョー >  
「……酒は好きなのか?いや、俺も此の通り嗜んではいる。
 特に意図もない、他愛無い質問だと思ってくれ。」

さっきとは別の果実酒を頼んだ彼女に何気なく横目でみやり、訪ねてみた。
所謂酒豪タイプなんだろうか?酒場だから酒飲みは珍しくないが。
そうなると酒に合う注文が良いだろうか。と言っても、ここは酒場。
酒に合わない商品を出すはずがない。なんて無駄な思考だ。
一旦それは置いといて、話題の一旦として振っておこう。

…確かに視線は感じる。何かを見定めているのだろうか。
とは言え、他人にどう見られようと気にする気はない。
気取る気も当然ない。くぴり、飲み込む果実酒は果実の味と酒の味が後を引き、悪くない。

「他人の食欲を惹きつけるほどの一言。
 案外、飲食店を営む連中は皆悪魔なのかもな。」

人を誘惑し、食欲の堕落を貪らせる悪魔。
彼女の言うように、此の手の"オススメ"とやらは随分と魅力的だ。
現に、その魅力に見合うでかい羊肉がそれを物語っている。
跳ねる油。見ているだけで空腹を煽る匂いはまさに悪魔的だ。
勿論冗談の範疇だが、案外彼女の言うことも間違いではないかもしれない。

「ほう、そこまで。」

先につまんだ彼女の言葉は絶賛だ。
それならば、と続いて肉を切り取り口に運ぶ。

「……ん。」

なるほど、確かに美味い。
しつこい脂身を潮見でカバーして濃い味付けと酒を促してくる。
かと言ってしつこすぎる程でもなく、酒を促すには十分なこってり感。
いや、だが、そうだ。と、スープで軽く流すとこれもまた悪くない。
クタクタに煮込んだせいで、野菜の甘味旨味がしっかりしている。
酒で流すのも悪くないが、これはスープ一口で流すのも悪くはない。
表情筋が死んでいる顔でも眉も動くというもの。

「確かにな、悪くはない。
 俺は香草焼きのほうが好きだが、此のスープは……。」

だからこそ惜しい、肉をかぶらせたのが悔やませる。
とは言え、美味いものは美味いからそれでいい。
同じくして酒を喉に流して一息だ。

さて、こうも食事をシェアしていると気をつけていても多少の唾液は交わるもの。
ジョー自身は気にしてはいるが、完璧とは行かない。
たまに料理に交じるジョーの味。精力という意味では非常に力強く、そして何処か耽美な味がする。
また、彼女がどれほどの判別、力を持っているかはさておき、それなりに"味"を知っているなら
その目測通り、ジョーが人でないことはわかるだろう。
人の姿をした、人でない"ナニカ"が隣りにいる。

メルヴィ > 「んー、お酒も好きだし、それ以外も好き。お茶とかもよく飲む。味は甘いほうが好き、かなぁ。
 今日はお酒の気分ってだけだから、別の日はお酒以外を飲んでるかもだけど。まぁ、気分次第かも」

美味しい食べ物に合うなら、酒でも酒以外でもイケる口。例えばケーキとお茶、辛い料理に水も良い。
酒豪と呼ばれる程酒を好む訳でもないが、つまみが美味ければ勝手に酒が進んでしまうから仕方ない。
故に、酒場に来たら自分の好みの料理と酒を頼んで、その結果に一喜一憂する。それこそ醍醐味というものだ。

彼を観察しているのは、少女からすると癖の様なもの。半淫魔の習性と魔導具職人の職業病の合わせ技だ。
見目が良いから美味しそうだよねぇ、と淫魔の本能がうずうずしたりしなかったりするのである。
初対面の相手をしげしげと見るのはお行儀が悪い気もするが、ついやってしまうし気にされてないなら無問題か。

「だよねぇ、『おすすめ』と『きまぐれ』の破壊力はやばい。いつの間にか注文している。
 ふむ、だとすると、酒場の店主なんかは悪魔の中でもかなり強そう。組み合わせがエグい」

酒の相手はとにかく味付けが濃いしカロリーも増し増しだ。揚げ物、炒め物、焼き物、煮込み物、その他たくさん。
例えば、しっかり冷やされたエールと揚げ物の組み合わせなど想像してみようものなら自然と涎が湧いて出てしまう。
そして今も、目の前でガッツリ焼かれている肉塊が、その見た目と音で食欲という三大欲求をこれでもかと刺激してくるのだ。
抗いがたい魅力。齧れば味わえる恍惚。性行為とはまた別の愉悦だ。少女にとって、食事はただの代替行為以上のものとなっている。

少女の反応を見て、彼もまた肉を食らう。表情が乏しい者同士、なんとなく空気や雰囲気の変化で相手の感情が理解る気がした。
暴力的なまでの脂と塩が頭の中を快楽物質でたっぷりと満たす。同時に感じる乾きは自然と酒を促し、飲み干せばそこに天国が在る。
或いはスープで旨味を流すのも悪くない。そちらの場合は、スープの旨味――特に野菜の甘味やコクを強く感じるような気がする。
惜しむらくは、肉とスープが温かい物同士ということか。僅差では在るが、温度差すら味わいになる酒の方が個人的には好みだった。

「ほふぅ、このお肉は一切れでお酒がいっぱい飲めちゃうやつだ。一人で一皿頼んでたら危なかったかもしれない。
 ――それと、ふむ、なるほど……。これは中々癖になる味、かな。うん、なんとなく積み重なった歴史を感じる気がする」

肉への感想――の様で、実は後半は彼の唾液に関する食レポである。肉の味が明確だからこそ、逆にそれ以外も輪郭がくっきりする。
陽の光が強くなる程に影が濃くなるのと同じ様に、混ざり合う耽美かつ力強い別の味わいを舌で転がして、嚥下した。
これまでの経験からすれば、彼もまた人の姿を借りた人ならざる何かなのだろう。そこに在るのは驚愕ではなく納得だった。
自分もまた半人半魔で、正体をはぐらかさなければ面倒に巻き込まれかねない質だ。人の秘密を勝手に詳らかにするのはよろしくない。
あと、単純にどうして分かったのかというネタバラシをするのも面倒だ。体液の味で判別が出来るなど、端的に言ってド変態である。
よって、様々な事情から、彼の味は楽しむのみにとどめておく。今後そういう機会があればやぶさかでもないが、はてさて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から”徒花”ジョーさんが去りました。