2023/09/25 のログ
エレイ > しかしそう上手くはいかないようで。カシカシと頭を掻きつつ、おもむろに立ち上がるとベンチからふらりと離れ、また人混みの中へ紛れてゆき──
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 医療施設」にペッツルートさんが現れました。
ペッツルート > (ギルドの依頼を終えた新人冒険者。まだ伝手を持たない運び屋や一日の生活で手一杯の人間が自然と集う場所。
看板を掲げていないが、何時の間にか少しずつ。噂だけは広がり様々な人物が集まる様になってきた。
薬草と医学。少々の回復魔法を用いてなるべく自然に肉体の回復を目指す医者。
今は1人の冒険者を癒している最中だった。)

「うーん。ヒールといった瞬間的な回復魔法もあるんだけれど。
それに頼るとよくないんだ。止血位に留めて――。」

(別に講釈が好きな訳ではないのだが。冒険者に伝えるのは薬草や煎じ方。水の安全確保から骨や筋肉の固定といった基礎的な医学。
自分の経験から、1人1人に今回のけがは…今回の治療は…と言う事を伝えていく。
薬草自体は今値上がりしているようだが、それでも準備は必要なのだ。
回復魔法を扱える人物が倒れたらどうするのかと言う事もある。
薬草を数種類混ぜた軟膏をゆっくりと鬱血している部分に刷り込み、肌色に近い包帯で覆い隠す。
打撲だが骨に少し傷が入っている。その為の処置。固定するための添木や三角巾も考えたが、話を聞くと暫くは冒険を休むらしい。それなら、余り動かさない事を条件に片腕の不自由をさせない方法を選んでいた)

「これでいいかな。剣を振り回したり、重い物をあまり振るわない事。
そうだなぁ。読書とか、そういうのなら大丈夫。
後は美味しい物を食べておいで。お酒を飲んで、美味しい物を食べる。体を清潔にする。これが一番の良薬だ。」

ペッツルート > (安物だが紙の上にペンを走らせる。
目の前の冒険者はまだ懐に余裕もないだろう。安価で揃えられる薬草と薬湯の材料を記していく。
冒険者ギルドから紹介を受ければ完治までに必要な金銭は小銭程度で済むだろう。
不安そうにしている冒険者の表情を見て、処方箋と一緒に2日分の自前で調合した薬草を渡す。と言うより握らせた。)

「――完治して、次の冒険でも次の次の冒険でも良い。そうだね、冒険の話を聞ければそれを代金にしよう。
後は――もしも王都の外で私に似た顔を見ても、同一人物とは思わない事。」

(不安点があるとすると、金銭面か。それともこの怪我が本当に治るかの方か。分からない以上、医者が考えるそぶりをすれば相手に不安を与えてしまう。
薬草の分は少し足も出るが、報酬は――自分が中々、いや、もう冒険に出る事自体が難しい事を考えればそれで充分と思えた。
若い冒険者が羽搏き、そして少しでも冒険が成功する事で治安が良くなるにしろ、救われる人が出るにしろ。
どちらでも良い事なのだから。――悪魔と契約した今となっては何の罪滅ぼしにはならないにしても。)

「お大事に。」

ペッツルート > (最近は悪魔の動きが大人しい。――悪い事を企んでいなければいいのだが。滅びると言う事は無いだろう、その時は自分も纏めて消失する。
次の患者は――いない。そうか、と壁の時計を見上げれば既に病院が終わる時刻を過ぎている。
しかし。悪魔の影響は確実に意識の表面に出ていた。
今にして思えば、今の冒険者の手に『握らせた』つまり無意識に接触していたのだ。
そこに罪悪感が無い事。恥ずかしさが無い事。
それが問題だった。)

「――今日は終わりにしますか。」

(ここ最近は悪夢も見ない。淫らな夢も見ない。
そのことに欲求不満を抱いてはいけないし、本来安堵しなくてはいけないのだ。なのに――。
病院の電灯は落され、平和な一日は火種を残したままで終わりを迎えていく。)

ご案内:「王都マグメール 医療施設」からペッツルートさんが去りました。