2023/09/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にツネオキさんが現れました。
■ツネオキ >
日も暮れて暫く。日は沈んだが活気は一層増してくる大通りの一角――
酒場や飯屋の呼び込みに、女衒の客引きに、通りを行き交う人々の雑談と、
賑やかな音が満ちて流れていくのを眺めながらに隅っこのベンチに腰掛け。
竹の水筒を傾けては水を流し込んで、一息。
「……ふっ。あかん……このままやと俺……只のお手伝いさんやん……!」
漏れるは、苦悩。
本拠の修繕に参拝客の接客に、本拠に居候してる野生動物の世話に、農家さんに出向してお手伝いなどなどなど、仕事は多々あれど本業は宗派の宣伝である。此処最近色々と忙しかった為あまりやれていなかった布教を、今日こそは! 等と意気込みやってみたのだが相変わらずの信者さん獲得零人……! 今に始まった話でもなく今に始まった愚痴でもないが出るものは出る。
「つってもノーシスさんとこに喧嘩売るわけにもいかんでなぁ……」
大通りで大々的に説法できれば話はまた違うのだろうが出来る事といえば各御宅を回ってみたりお店に話しに行ったりだ。
王国には王国の国教というものがあり異国の宗派が幅をきかせたら……
余計な軋轢を生むのは目に見えるためこういう地道で地味な宣伝になる。
巧く行かないもんだと肩を竦めつつまた水を一口含んで、吐息と一緒に肩を落とした。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からツネオキさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシアンさんが現れました。
■シアン > 「あっつぃ……!」
聞くところによれば、時節はもう夏ではなく秋になるらしい、気温も下がり始めているそうだ。
言われてみれば成程、
朝方はほんのちょっとばかり気温低めかな?
何て思わないでもないのだが……
昼間はまだまだ暑く秋という気分ではない。
手団扇仰ぎながら冷えた果実水を一口含む。
遅めの昼飯を終えて皿を下げて貰い、冒険者ギルド併設酒場兼飯処の隅っこで机に肩肘付きながら一服中。
壁一面に張り出されたメニュー表に紛れそうになっていたり紛れてたりする依頼書の方へ偶に目を遣ると、
「ぁん? ああ。血の旅団ね。行かねぇ。戦働きは割りに合わんわ」
それを目ざとくも見付けてきた店主からのお声掛けに緩々と片手を振る。
妙ちくりんな魔導人形だか何だか相手にするだけでも正直ちょっと安い。加えて言うなら、戦場に出てくるようなのは腕自慢が多いのでそんなんと会敵してドンパチやったら追加報酬あったとしても割に合わない。大怪我なんかしたら長期的に大赤字になる。戦働きはお財布に宜しくないのだ。
「万夫不当みてぇな豪傑なら話は違うがよ。俺ぁそこまでの域じゃねぇよ。あ、おかわり」
出れる実力はあると自負はするが。稼ぎまくれる実力があるかと言えば否。
自分の事は自分がよく分かってるので店主の誘いには終いにはそっぽ向き、
果実水を飲み干してはお代わり注文。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロロさんが現れました。
■ロロ > 「そうかいそいつぁ残念だ よ。
――色々気になるシロモノだからさ。欠片でも中身でも手に入れてくれりゃ… ウチの上司とか、礼も弾んでくれそ …なんだけど」
ぺたり。旅団絡みの依頼は御免だ、といわんばかりの台詞。それが聞こえたからだろう。
彼と向き合うように、テーブルの反対側へ。勝手に座り込んで肘を着く犬、一匹。
「ま、世の中そーゆー需要も有るって事は。覚えといて欲しい ね。
その内ちゃんとした依頼として、此処にも貼られるかもしれないし――さ」
それを踏まえ。王城で何かしら作っている者達の手前、下見に来たのだ、と。肩を竦め嘯いてみせてから――ぺたん。
頬杖は更にだらしなく崩れ、直接、天板に頬がへばりつく。
…人間だって暑いのだ。もう少しだけ耳だの尾だのに毛の多い分、ミレーにとっても大いに暑い。
それはもう、このままへたばりそうな程に。
■シアン > 「ぅん?」
旅団絡みに関わらせたいあちらと割に合わない依頼はノーセンキューなこちら、
その遣り取りに割って入ってくる声と姿に首を傾げる。
お向いの上から下まで、耳から首輪から尻尾まで、金色の瞳が下りていき……
……誰だっけ……?
何て顔に書いてあるし頭の上に疑問符がぽこぽこ飛び出そうな様相だったが、
「ちゃんとした依頼で納得できる額なら一考するさ。
……やっぱあの魔導人形相当妙ちくりんだな、王城の連中まで食指動いてんのかよ」
どうにも工房、それも王直のそれからの遣いだという身の上聞いてみれば、はぇー、なんて気の抜けた相槌打ちつつ。自己紹介もそこそこ直ぐに机に、溶けそう、何て思いがふっと過ぎるへたれっぷりに肩も揺れるし喉も鳴らして笑気を零して。店主に、お代わりに加えてもう一杯、と指を立てれば直ぐに運ばれてくる氷一杯の桃の果実水のグラスが二つ。一つを、彼女に差し出した。
「ほれ。そりゃ暑ぃわなぁお疲れぇ。あ、心配すんな、奢りだ」
■ロロ > 「まぁー ね。お偉方としちゃ、他にも。前に有った魔導機械と同じトコがねーのか、とか。そういうのも警戒してんの さ。
もし本当に帝国謹製だったりしたら、バッチリ国際問題ってぇ事で――ま、その辺は。現場の人間には関係無いけど」
こちとら首輪で繋がれた犬。飼い主達の使いっ走りをするだけである。
一先ず、今後。そうした儲け話(但しきっと、ハイリターンな分ハイリスク)が有るかもしれない、という事だけ。
現役の冒険者であろう目の前の男へと振った所で――差し出されたグラスに。きょと、と。
「 ……ん。 驕り?そいつぁ悪いね、助かる …よ。ったく何で此処までクソ暑ぃんだっての――騎士より化け物よりお天道様が一番怖いだろ。
んく、 ん――、って、ぁぁ、それとも」
グラスに満たされた氷に飲み物。今にもバテそうな犬にとっては非常に有難い。
ましてや其処に、本来日中は我慢している、酒精の香りまで感じたのなら。にへらと瞳を細めるのもやむなしか。
…何せ、驕りである。貰っておいて口を着けないなど、寧ろ礼儀に反する、と。ばっちり言い訳を効かせる事が出来るので。
顔を起こしてもう一度頬杖へ、それから、グラスの中身を一口、二口…三口目辺りで、ふと。
「それとも、オチカヅキノシルシ、って奴? まぁ最近またちょろちょろし始めたし…最近の街に詳しい奴とか。
仲良くなってくれるってのなら、有難い ね」
片手をひらり。それから此方も名乗ってみせた。名前と、こんなナリでも宮仕えの身である事と、後は…見ての通りだ、という獣の証の存在と。
■シアン >
「……政まで関わるなら冒険者には関わらせねぇほうがいいと思うがなあ。スクラップになったもん送られても困るだろ」
魔導機械を完膚無き迄に叩き壊す。
なら、出来る奴は何人でも居そうだが。
解析ができる程度に機能停止状態に追い込む。
となると、出来る奴も数が限られてきそうだが、今のところ自分には関係ない話なので適当に一つ忠告程度に止めておいて。
「年々暑くなってるしな。今から来年が恐ぇよ」
お天道様が一番恐いとの言には、ご尤も、何てしみじみと頷いてしまった。
毛皮ふさふさの彼女に比べればマシとはいえど……
筋肉もりもりと積載済みの自分にとっても夏は辛い。凄く辛い。本当に辛い。
暑さにくたばりかけ寸前ですといった風情が果実酒を前にしたら直ぐに元気になって固めの表情もわかりやすく解れていくのは、ちょっと可笑しい。くつくつと喉が鳴って何度も笑気を零してしまっては、いや悪い、とは一応胸の前に手を立てて謝りつつも。
「そ。オチカヅキノシルシさ。事情通ってわけではねーからご期待に添えるかどうかは保証しかねるが。
女の子とは仲良くしたいのが男ってもんでな。よろしく、ロロ。シアンだ」
名乗りを受けては頷き一つ。己も返して、此処所属、等と指を店の向こうのギルドに向けたり。
首輪も、耳も、尻尾も、目に入っているが。殊、何か言うわけでなく肩を竦めて見せる、実際思うところはないし例え思うところあったとしても貴族関連の工房所属と聞いといて危害加えるのは余程下半身に自制が聞かないか頭の中すっからかんな奴だけだ。
■ロロ > 「逆さ、冒険者の手も借りたいって位――あれこれゴタついてるんだ よ。そもそもこの国、あっちにこっちに噛み付き過ぎなんだ」
頭は一つしかないというのに、何処をどうして、地獄の番犬の如く。帝国に魔族に旅団にその他、同時に吠えて喧嘩をしているのか。
以前だって、タナールで守りを固めるだけならまだしも、更に直接魔族の国側に乗り込んで――えらい目にあった騎士団も有ったそうではないか。
お陰で結構な戦死者も出たし、其処からどれだけ立て直せたのか知らないが、結果として将兵の多くは。国と国、種族と種族、それ等の争いに偏り気味。
大規模で奇妙で喫緊ではあるが…それでもあくまで、国内のごたごたである、旅団の件は。どうしてもそれ等の後になってしまうのだろう。
だからこそ金払いだけで融通を効かせる事が出来るなら、傭兵でも冒険者でも何でも、大歓迎なのである。
『お陰で使いっ走りも大変だ』なんて、肩を竦めてみせてから。
「アレだろ?毎年毎年、”観測史上最も暑い”を更新していく感じ。 …あたしらがくたばるよりも前に、この変、砂漠になってるんじゃない?」
冗談――のつもりなのに。もしかしたら、なんて思えてしまう辺りが恐ろしい。
そも、問題として。神でも悪魔でも何でも良いから、犯人が居てくれる現象なら。それをブチのめして解決、等と思えるのだが。
こればっかりは自然現象でしかないのだろうから――誰のせいにも出来無いのだった。
相手と違い、肉の鎧を纏ってこそいないのだが。それでも最低限に近しいであろう衣、首回りをはたはたと。
汗ばんだ肌に空気を送り…その空気自体が不快指数の権化じみているせいで、ますます唇を尖らせてから。そんな唇を果実酒で湿らせる。
「こちとら暫く街にすら繰り出してなかったから さ。それに比べりゃ全然マシだと思うよ。…ちょっと見なかっただけで、お気にの酒場が潰れたりしてんの な。マジ勘弁。
んー……仲良く。仲良く、か… …良いね。流石に今日の所は、営業回りもやめとこうって思ってた、し。…誰かさんに口説かれたんで、って事なら丁度良い」
く、っく、と。酒気で濡れた唇が笑ってみせる。ちらり、尖った犬歯を覗かせるようにして。
■シアン > 「人手不足が常はどこも一緒ってか。……国が一番そうなのぁほんっと……」
懐事情で人手事情から何から何とかしようと画策するにあたって大変なのは現場の人……
只でさえ苦手な季節に重労働とはさぞ苦労しているだろう様子に、お疲れぇ、何てまた軽く手を揺らし。
「そうそう、それ。何回更新すんだよ例年より暑いはもう聞き飽きたわ! ってなる。
……あながち冗談と笑い飛ばせなさそうなんだよなぁ……」
十年後。川が枯れました。
二十年後。森林地帯が目減りしてます。
三十年後。自然地帯が砂漠化しました!
等という話が出てきたっておかしくないんじゃないかと言うぐらいの猛暑。
冗談だが冗談のままであって欲しい話に喉が笑気を零そうとしてひくつき、
蒸し暑い空気をぱたぱた仰いだ手の所作は丁度彼女と同じタイミング。
汗が浮かんでいる故多少は気化熱で涼しいが、多少でしかない、良く良く冷えた飲み物を口に運ぶ回数も多くなる。余り運びすぎると舌が痛いぐらいに冷えているが今はそれも心地よく舌に広がる甘みと酒精をまたごくりと喉を鳴らして嚥下して。
「ぁー。あるある。俺も覚えあるわ。競争が激しいのは良い事だけどさ、お気にが無くなんのはなぁ……キツイ。
ッハハ、っおふ、ごほっ。んん゛。そうしな。俺も誰かに何か聞かれたら、犬耳の可愛子ちゃんと宜しくやってたっつっとくぜ」
口説くの何の。思わせぶりな言葉に笑みに飲んだばっかりの酒精を吹き出しかけて軽く咳き込んだが。其れにも笑って、サボりにかんぱーい、何て実に軽い調子で、遅めの乾杯に手に持ったグラスを彼女へと差し出す。
■ロロ > 「そりゃぁ世の中何だって有限さ、人の数も戦える数も。…特に命なんて、一人に一つ、それ以上はインチキだ ろ」
そういう意味では個人的に。アスピダのあれこれが気に入らないのだ、と。
相手よりも後から飲み出した癖、早々に空にしてしまったグラスをテーブルへ戻せば…両手を頭の後ろにやって。天を仰ぎ溜息を。
…と、そうして上向いてしまうと。夜行性に近い獣眼には。差し込んでくる陽光がいっそ、痛みすら覚えそうな程だ。
お陰でますますげっそりと。やる気というやる気を失い加減の、しまりのない表情で。
「冗談きっついよ ね、その内熱くなりすぎたら、火が着くんじゃないかな。山火事みたく。
そうなっちゃったらいよいよ、この世も地獄と大差無いや―― って、わ、ぅっわ――!?
ちょっ、冷た……ぁあもぅっ、ちっくしょ――……」
手でも襟でも、扇ぐ分だけ効き目は有るのかもしれないが。送る空気その物が暑いので、残念ながらあまり効果を感じない。
相手程勢い良く、力強く、扇ぐ事が出来たなら。また別なのかもしれないが…と。
座った椅子を引き摺り、真正面から斜めの位置へ。手扇の影響範囲へお邪魔しようとした所で…冷たい物が飛んできた。
盛大に噴き出す、とまでは行かずに耐えてくれたらしいが、それでも、咳に合わせて少しばかり。彼の含んだ酒精が飛散して…直撃。
神経の集まった獣の耳やら頬やら、冷やっこい物に触れさせられたら飛び上がりそうになる首筋やら。点々と浴びた滴に、思わず声を上げてしまった。
…そのまま。座高もこちらに比べて圧倒的に高い相手を。じとー…と恨みがましい目線が見上げてみせる。
冷たかった事は冷たかったが、流石にこれはない、と。
おまけに顔だけでなく、扇いでいた鎖骨辺りから胸元にも。若干滴が滑り込んできたに違いない。飛沫の散った数カ所が。濡れ、透き通り、肌へと貼り付いてくるのが…少々。気持ち悪い。
「くっそぅこれ…は不意打ちだ、そんな面白い事言った訳でもない、だろー… むぅ、ぅ。
ぁーうん、解ってくれると、助かる。それこそオススメの店でも有るんなら連れてってよ。……マジで」
ちょっと、この恰好で街中は、なんて。少しばかり情けない声で。
■シアン > 「手札が多いのは羨ましいがね。
……戦りたくねぇなぁそういう手合いとは……面倒臭ぇことこの上ねぇ」
命が幾つか。冒険者を稼業としているが故の職業病か、摂理がどうの思想がどうのという話より先に戦った場合がどうなるかの方に思考が寄っては直ぐに想像だけでも嫌になってきて眉は顰めるわ口が真一文字になるわ、『嫌!』と顔に書いてありそうな面になってしまった。
彼女とは違う方面の『嫌』だったが彼女と同じ『嫌』の最もたる暑さにはしきり頷き、
暑そうにされると尚更暑く感じて背もたれに背を預けては体重のせいで椅子が悲鳴を。
「って、あぁ、悪い!!」
姿勢を緩めすぎたか、口の締りが緩かったようだ。
咳き込んだ拍子に酒精の飛沫が掛かってしまった。
……もうちょっと離れてくれてりゃ……
とは詰めてきた距離に一言漏らしかけた。が。
湿気の指数をさらに上げてきそうなじっとりと恨みがましい視線に迫力負けした。
両手を胸の前にあわせて謝罪の仕草を取りつつも、椅子から立ち上がってポケットからハンケチ取り出したものだが。……どうにも掛かった飛沫が多い、あっちにこっちに肌まで時折透けている様相に、一先ず顔に掛かった分だけでも拭ってやろうとハンカチを持った手を寄せて。
「いやマジで。うん。ほんと悪かった。えー……そ、そうだな、よし、お詫びと言っちゃなんだが紹介するぜ。奢りだ!
の、前に、着替えだな。暑ぃとこさらに暑くて悪ぃんだが古着市行って着替えるまでこれ羽織っててくれるか」
ハンケチ片手に介助しながらもう片手は腰巻きになっているジャケットの袖の結び目を解いて、差し出して。
飲み食いの前に着替え、と、着替えの用意、と、あと着替える場所……
云々あれこれと考えているのが目に見えて分かりそうな具合に目線が右往左往して。
「ひとまず、離れるか。行こうぜ? 服の分も出すし。場所も用意するわ、いや。俺が取ってる宿だけどさ。変なことしねぇから」
直ぐ近くに、市もあれば自分が拠点にしている宿もある。
手ぇ出さんから。とは、念押ししておいて、目線で促す。
■ロロ > 「…質より量、が戦争の常ではあるけど さ。それでも場合によっちゃ…質が、量を駆逐する事も有るんだな ぁ。
そういう手合いにこそ、アンタ等みたいなのをぶつけたがるって事さ、兵力温存にもなるし。…実際面倒臭いけど ね」
同じく。ぶつけられる側、なのだろう。流石に目の前の相手含む、本職の冒険者や傭兵達程ではないのだとしても…犬とは、噛み付くモノなのだから。
首輪の有る無し、立場の違い、主義主張、諸々。違いは有るのだろうが…面倒である、と。其処については同意しておこう。
残念ながら此方は、仕事としてやらなければいけない為に。依頼と異なり、断る事は出来ないのだが。
そうやって身の危険、命の危機に直結する戦争に対しては。異にする部分が多いのだが…どうやら。
この世に唯一絶対のお天道様に対しては。結果として同じ『嫌』を共有する事が出来るのだろう。
夏日の暑さという共通の敵に対し、共に酒を酌み交わし。この侭グラスを叩き割りでもしていたら、更に共闘する仲に発展していたのかもしれないが――
備品をぶち壊すというのは。ギルド職員の目が怖いので、やめておこう。
どのみち、叩き付ける事などしなくとも。グラスの中身が多少飛び散りもしたのだし――彼の口内という中継点を経て。
「んー…そうか、 そっかマジか――ぉぅ。言ってみるモンだ ね…ふふふ。
ってー…いや、其処までは大袈裟だ って、流石に悪――ぉぉっと …っ…」
この炎天下である。一旦外に出て、違う店に入る…その間が有れば、まぁ程々に乾いてくれる筈と。思っていたので。
まんまとジト目が功を奏して、良さ気な酒場か宿かを紹介してくれるらしい流れへと、話を運べて万々歳。…の、筈が。
其処で終わらずどうやら相手は。乾くのを待たずに着替えも、用立ててくれるという。
例え古着でも、グラス一杯よりは値が張るだろう。流石に其処までして貰うのも気が退けて、両手を振り、遠慮しようとしたのだが――
ぱちり。瞬き。ついで、ぉぉ…と。
此方が羽織らされると、それはもうぶかぶかと大きく、包み込まれてしまいそうなジャケット。
それを脱いだ男の様子は…改めて実感させられたのだが。シャツ一枚の下に、張り詰めた肉の強さを、充分過ぎる程に感じさせる。
成る程流石現役の…というべきか。その中でも突出して、なのか。何となく最初に声を掛ける相手として選んだ、そんな自分を褒めてやりたい。
慌てているのも確かだが、それはそれとして手も口も動き続ける相手に、ほぼほぼ圧され流れるようにして。
結局立ち上がり、手を引かれてこの場を後にする事となるのだが。
…なんだか。掘り出し物に出会った、気分だ。先ずは着替えられる場所にでも向かうのか、その間…へらりと。
やはり少々緩んだ犬の口元は。肉食の獣として、犬歯をちらつかせる侭だった――――
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシアンさんが去りました。
■ロロ > 【後日に継続】
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からロロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にサタンさんが現れました。
■サタン > 平民地区の広場で催されていた店舗を持たない商売人達の出店の市。
有望性のある若い職人の発掘や、異国の珍しい商品など、見て廻っていれば、日ももうすぐ沈み、夜が訪れる。
生憎、気になる人材、商品などは見当たりはしなかったが、
言わば宝探しのような物と思いつつ、男はそのまま平民地区の食堂も兼ねた酒場へと赴いて行く。
時間帯的にも、今日の依頼を終え、仕事終りの一杯を愉しむ冒険者や、
この地区で働く労働者など、皆職は様々だが、それぞれの卓で仲間内と、
楽しげな声をあげながら、酒を呑み、夕食を愉しんでいる。
男はそんなコミュニティには混ざる事もなく、一人カウンターの席へと腰を下ろせば、エールと、店の女将にオススメのメニューを尋ねた。
今日のおすすめは、チキンの香草焼きらしく、悪くないメニューだと思った男は、それを一つ頼む。
木製のジョッキに並々と注がれたエールがカウンターの上に置かれれば、
取手を手に取り、ジョッキの縁に口許を付け軽く傾け飲み、喉を鳴らしながら、伝う爽快な喉越しを愉しんでいた。
■サタン > エールの喉越しを愉しみながら、男はテーブル卓の客達の様子を眺める。
冒険者パーティの卓では、丁度長期の依頼でも終えたのか、契約期間中の出来事を皆口々で振り返りながら、
幾度目かの乾杯の声と共に杯を触れ合せていた。
其処に悲嘆の空気が無い事から、皆無事に仕事を終えたのだろうと、見て取れる。
別の卓では、この地区で大工を生業としている職人達が、今受注している仕事愚痴が、酒精の勢いもあってか、少々呂律も怪しげながら口々に上がる。
皆それぞれの思いはあるながらも、今日を労うかのように酒を愉しんでいる様子を眺め。
片や、表向きの仕事はあれど、基本的には配下にほぼ一任している男は、只の酒道楽だなと、己の事ながら苦笑した。
そうしているうちに、丁度焼きあがったのか
こんがりと焼けた鶏肉に、香りと彩りに刻んだ香草の塗され、スライスされた料理がフォークと共に、テーブルの上へと置かれる。
労働者がメインの客層故か、ボリュームと値段の釣りあいが取れているかとも思うが、
そのジューシーさとエールの相性は言うまでもないだろう。
半分にまで減っていたエールを飲み干せば、おかわりを頼み、
まずは一口とフォークを鶏肉へと刺して、1枚肉を頬張った。
脂っこ過ぎず、香草の香りは爽やかに、けれど柔らかく火の通った肉を味わいながら、
丁度おかわりのエールのジョッキが置かれれば、ゴクリと喉慣らし、喉越しと酒精を堪能していた。