2023/09/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティカさんが現れました。
■ティカ > 「~~~~~~~ッつうぅ。 はあっ、はあ…っ、はあ……っ、くっそ、やっぱ回復頼んどくべきだったか」
日暮れも徐々に早くなっていく初秋の夕刻、茜色に染まる町並みを眼下に見下ろす長い階段の途中で足を止めた少女が呟いた。
手すりに置いた腕で小柄な体躯を支え、眉根を寄せた童顔には脂汗まで浮かせたその原因は、片手で抑えた脇腹の痛み。
「はぁ…っ、はぁ…っ、はぁ……、ふぅぅう……」
リュックを下ろし、むっちりとホットパンツを張り詰めさせるお尻を段差に降ろして一息付く。
チューブトップに包まれたDカップの肉鞠をむにゅりと上げ抑え脇腹に紅色の猫目を向ければ、青を通り越して黒々とした色彩を広げる痣が見えた。
3匹のゴブリンとの戦闘で受けた棍棒による打撃痕だ。
ギルドでの精算中はずきずきと鈍い痛みを感じる程度で動くのに然程の支障も感じなかったため、有料となる治癒魔法やポーションでの治療は断り、宿に戻った後で打ち身に効く薬草でも潰して塗ればいいと甘く見たのが運の尽き。
ここを登りきれば宿までは後少しとなる長階段の途中でついに細足の歩みが止まってしまったという訳だ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ >
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティカさんが去りました。
ご案内:「王都 平民地区/職人街」にマーシュさんが現れました。
■マーシュ > 昼下がりの王都。
職人たちの工房が軒を連ねる区画にて。
装丁職人の工房を訪れているのは、僧形の装束に身を包んだ女だった。
工房の主と言葉を交わして、時折頭を下げている。
「常のお仕事もございますのに、無理を申し上げてすみません……」
写本や、書籍の修復の際に時折世話になる工房。
相互の関係は悪くはないように見えるだろう。
印刷技術が普及したとはいえ、彼らの仕事は未だ失われてはいない。おそらくはこれからも。
華麗な装丁、カービングの施された革表紙。
ある種、美術品としての側面も要求されるそれらの手技。
それらが存分に発揮されるのは、祈祷書をはじめとする顕示的な書物。
信仰心を示すために聖人になぞられた宝石を埋め込んだ壮麗なものが、聖堂に収められたことがあるとも聞く。
今は己が訪っている理由はそんな公的なものではなく。
ごく個人的な依頼の確認であった。
■マーシュ > 装丁に対する確認の言葉に、一つ一つ頷く。
題字の書体、それから納付した皮革の質について。
色入れや、装丁だけではなく挿絵についての言葉に耳を傾け。
修道女自身の意見と、職人としての助言や知識。
日程の問題もある。
それらをすり合わせ、ひとまず互いの認識を合致させたなら頷いた。女は少しほっとしたような表情を浮かべる。
彼らの技術に対して不安はない。あるとしたら己がきちんと情報を伝えきれるか否かだ。
勤めとして何度か使いとしての顔を見せているので話の通りはよいものの、さほど口が上手なわけではない。
大事なものなのか、と問われるのならわずかに眉じりを下げる。
肯定とも否定ともつかない返事と共に取り出したのは、古ぼけた詩歌集。
ぱらりと捲った頁の余白につづられている──後悔"regret"
細めた目がそのいささかインクのかすれた文字を見つめて、その書を閉じた。
「中身はこれと変わりなく。………私の歩んだ時間と同じ時間を過ごしたもの、です」
装丁に綴じられるのは、自身で羊皮紙につづった詩歌たち。
急に思い立ったものではないのはその厚さが物語るだろうけれど。