2023/09/05 のログ
エレイ > しかしそう都合よくはいかなさそうで。フンス、と小さく鼻を鳴らしながらのそりと
ベンチから立ち上がると、男はゆっくりと歩き出しまた人混みの中へ──

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都 平民地区/雑貨商店」にセリアスさんが現れました。
セリアス > 平民地区の大通り沿いにある雑貨商店。
サイコロを模したワンポイントのあしらわれたサロンエプロンを付けた店員たちが、
それぞれ来客対応や品出しに追われていて。

奥にあるカウンターに座る、前髪で目元の隠れた店員がちらりと視線を遣る先。
この店の店主はといえば、先日どこからか仕入れてきた、
隣国は魔族の国由来の素材を並べ、その品質なりを調べているようで。

書類の決裁と、見目の良い客の相手だけしているような印象の店主とはいえ、
目利きも一応はそれなりだと彼女自身も知っている。

今回仕入れてきたのも、王国付近ではあまり見ない魔獣類の素材が中心のようで。
他にも稀少な鉱石、薬草類も、店頭サンプルにするつもりなのか、
手袋を付けては状態を確認しているようで。

「んー。大分、魔力が抜けていますけれど、十分ではありますか……」

大きな魚類の鱗のような形の薄い素材。
王都周辺ではあまり生息していない魔物の鱗素材のようで。
魔術の触媒や、いくつか重ねて鱗鎧にすれば、通常より効果の良い魔術を付与もできるだろう。

元々はもっと含有魔力があったのだろう、
店内の灯りを映して薄い青色に輝くそれをかたりと丁寧に置いては、少し休憩と息を吐いた。

セリアス > カウンターに隣接する、買取依頼受付や注文などの簡易な窓口を占拠し、
幾つかの素材類を並べて。普段は付けないモノクルは、何かを測定するような魔導具らしい。
牙のようなもの、角のようなものなど一つ一つ手にとっては、
どうやら王国に持ち込んだ後の状態を確認しているらしい。

禁制の品になりそうな危険なものは流石に仕入れたりはしていないようだが。
保護ケースのようなものに入れられた薬草は、それをセリアスが扱い始めた途端、
すす、と、隣のカウンターに居た店員が距離を取ったあたり、
あるいは危険なものかもしれない。

「ああ、こちらの魔力量はあまり変わっていない。
 薬屋に見せびらかしてみるか、学院かどこかの研究の虫に、ちらつかせてみるか……」

薬草を撫でるようにしながら、どちらが楽しいでしょうねぇ、と、一人で零し。
商工ギルドの知人に見せてもそれぞれ面白い反応も見られるかもしれないとほくそ笑む。

商売的な意味でも希少品の仕入れは意味はあるが、そういう人脈面での用途も多い。
少しマッドな連中には覿面に効果がある。

稀少な魔術の触媒として、それを込める武具への利用用途として、新薬開発の素材として。
他人の反応やらを見るのが何より好きな男は、相手の反応を想像して笑みを深めた。