2023/05/23 のログ
ご案内:「石牢の中(過激描写注意)」にブランシュさんが現れました。
ブランシュ > ――――――恐らく、今は昼間なのだろう。
明り取りの窓から差し込む光の帯が、細く、しらじらと床の一部を照らしている。
室内の空気を循環させるにはとうてい足りず、
室内の全てを照らすことも叶わぬ、その程度の光でも、
己には眩しくて、恐ろしくて―――――顔を背け、俯いて目を伏せていた。

呼吸が浅く、鼓動は乱れたまま、鼻腔を衝く臭気はもう、ただただ悍ましい。
先刻まではその香りの源へ、好んで貪りついていたのだが、もう、記憶の彼方だった。
一糸纏わぬ裸身を飾るのは、無骨な黒鉄の首輪、そして。
左右に大きく腕を広げ、手首をそれぞれ壁面に固定する金属の枷。

剥き出しにされた白い肌を、真紅の液体が点々と穢している。
その源は、先刻まで鼻息も荒く、虜囚たる女の躰にむしゃぶりついていた、男は。
今はもうびくともせず、足許に倒れ伏して―――――
その躰の下に暫し、とくとくと広がっていた血だまりも、もう、出尽くした様子。
白い足先を浸すその色は、いまや生温く、ただ鬱陶しいばかり。
かと言って逃げ場がある訳でもない、仕方なく、そこへ足を浸したまま、
そっと、小さく溜め息を吐いた。

わたしは悪くない。
この男が、不用意に近づいてきたからいけない。
お腹が空いていたのに、ご飯が欲しければ先に食わせろ、なんて、
意地悪いことを言うからいけないのだ。

そもそも、ここはどこなのだろう。
いつまで、こうしていれば良いのだろう。
空腹は先刻ほどひどくないけれど、かわりに、眠くなり始めていた。

ブランシュ > 何ひとつわからないまま、時間だけが無為に過ぎて行く。


足許で冷えてゆく骸を、誰かが片付けに来てくれると良い。
そしてその時には、新しいご飯が貰えると嬉しい。


そんな希望を抱くこと自体、己が既に狂っている証拠なのかも知れない。
けれどそれを指摘する誰かも現れないまま―――――日は落ち、室内は暗闇に沈んだ。

ご案内:「石牢の中(過激描写注意)」からブランシュさんが去りました。