2022/12/06 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 非公式サロン(過激描写注意)」にマツリカさんが現れました。
マツリカ > 王国きっての学び舎。その地下には、国内に蔓延した悪徳の一端があった。
学院に利益を齎した者なら、別け隔てなく誰しもが使えるアングラサロン。
饗されるのは、例えば多額の献金で経済的に支援する貴族。希少な素材を採取・寄贈した冒険者。
後ろ暗い所で言えば、学院を好ましく思わない敵対者の始末を果たした者等、客層は正しく多岐に渡る。
それこそ、学院教師の財布を拾った、道に迷った時に案内をした、等の些細な功績でも口利きがあれば入り込める。

学院に所属する一部の生徒や教師をキャストとした非公式の売春窟。それが、この施設の正体だった。
対価かコネクションさえあれば、秘密裏かつ平等に学院の饗しを堪能し、キャストを自由に弄べる場所。
その特性故か、日が沈んでからは様々な客で密かに賑わっており、教師や生徒の一部がその餌食となっている。

そして、今夜の少女はサロンで用意された行為用の一室で、客の到来を待っていた。
内装はシンプルで、石牢を彷彿とさせる壁面と床。それから中央に大人が一人寝そべられる程度の無骨な台が鎮座している。
天井には何かを引っ掛けるフックの類いがいくつか垂れ下がり、壁面には道具や薬品を収めた大きな棚が使われるのを待っていた。
想起されるのは奴隷の調教部屋、或いは囚人の拷問部屋だろうか。少なくとも、甘い蜜月を過ごすための部屋でないことだけは確実だ。

そんな部屋の中で、少女はただ客がやってくるのを待っていた。
身につけているのは、学院の制服に首輪、それから学生証が細い鎖によって値札のように首からぶら下がっている。
学生証と言えば聞こえが良いが、少女の身分を含む個人情報と名前、それから本人証明となる写し絵が載った簡素な紙片だ。
『名前:マツリカ 身分:学院備品』――刻まれた文字は何よりも雄弁だ。一瞬、ちらりと目を向けて、苦々しげな表情でため息を一つ。
客が取れればその相手、取れなければ何かと小言を言われる。どちらも面倒には変わりない。
諦観を抱えながら、少女は一人待ち惚けていた。

マツリカ > ――時計の針がいくつか回ったその後のこと。
今宵はどうやら、少女を買う客は居ないらしい。
『奉仕』の係は他にも居るのだ、そう珍しいことではない。

欠伸を一つ。きっとまた後で小言を言われるのだろう。
聞き流すのも大変だ。ともあれ、少女は部屋をあとにして――

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 非公式サロン(過激描写注意)」からマツリカさんが去りました。