2022/10/09 のログ
ご案内:「戦場に降りしきる雨(過激描写注意)」にエリーシャさんが現れました。
■エリーシャ > ――――その日も、娘は戦場に居た。
魔族との戦となるといつもそうだけれど、
身の程を知らず前に突っ込み、目にした敵を深追いし、
いつの間にか味方と離れて、鬱蒼と木々の生い茂る森の中。
剣戟の音は遠く、敵方に使役される魔物たちの咆哮も遠く。
とある大木の陰にぐったりと座り込む、娘の右手は今も、
血塗れになったしろがねの剣を握り締めていたが、
その肩には魔物に食いつかれ、引き千切られたような傷がじくじくと疼き、
だらりと前に投げ出した左足首から脹脛に掛けて、
トラウザーズを大きく裂く傷と、白い肌が覗く。
「――――…ま、ずいな…… これは、………」
濡れて額に、頬に纏いつく髪を、かきあげる余力も無い。
白い呼気と共に掠れた呟きを洩らす唇も、頬も、明らかに血の気を失くしていた。
幸いにして、周囲に敵と思しき気配は感じられない、けれど。
味方の気配も感じられないというのは、全く、宜しくない。
どうしたものか、と巡らせる思考さえ、疲労から滞りがちに。
■エリーシャ > ――――――なにかが、近づいてくるような。
半ば意識朦朧とした状態で、ふと、感じた気配。
それが味方であれ、敵であれ、娘は動けない。
雨に紛れて、暮れゆく森の闇色に溶けて。
娘の姿は見つからないか、あるいは――――――
ご案内:「戦場に降りしきる雨(過激描写注意)」からエリーシャさんが去りました。