2022/06/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 地下拷問室(過激描写注意)」にマキノさんが現れました。
■マキノ > 拷問とは、何か。
マキノは拷問を『死なせることなしに死の恐怖を味わわせる施術』であると認識している。
人は――否、生き物は全て生き物であるがゆえに、死を恐れる。死んだらそれで全ておしまいだからだ。
他方で、追い詰められた者は覚悟を決めて死も厭わない心理状況に自らを置くこともある。
しかしそんな者でも、長く続く苦痛に耐えられる者はそう多くはない。
早晩に心身をすり減らし、理性を、自我を喪失していく。この人格破壊行為こそが拷問である。
――もちろん、苦痛以外にも人格破壊に至る施術はいくつかあるけれど。
人格を破壊した上で何をするのか、それはクライアントのオーダーしだい。
秘密を暴くのが目的であれば、聞きたい情報を聞き出せた後は被拷問者はどうなっても構わないことが多い。
奴隷のしつけ直しなどが目的であれば、重大な後遺症を身体に残すのはあまり好まれない。
ごく稀に『とにかく痛めつけて殺す』ことだけを目的とした顧客も現れる。私怨ゆえか、享楽のためか。
「……ま、ボクはフリーの拷問吏だし? クライアントの事情なんて深入りするだけ損ってヤツ。
ボクは言われた通りの度合いでイジメるだけ。誰でもできる仕事なんだけどねー、ふふふ」
王都の地下深く、迷路の如く入り組んだ下水道の奥の奥にさらに幾つもの石扉を隔てて存在する手狭な地下室。
二束三文の私費で購入した10平方メートルの区画が、マキノ用の拷問室――仕事場である。
壁にかけられたたいまつの灯りに薄ぼんやりと浮かび上がるは、幼い少年にしか見えないローブの人影と。
そして中央に鎮座する、高さ2m・直径60cm程度の石柱めいた物体。
素材は金属にも陶器にも見え、そのどちらでもなく、幾つもの直線的な割れ目が刻まれている。
これはマキノ謹製の魔導機械、拷問器具。どのような機能を内部に有しているかは、まだ秘密。
苦痛をもたらす機構、性的に相手を苛む機構、執拗にくすぐる機構……マキノの操作に応じて何でも出てくる。
「……さて、そろそろ時間だよねー。来るかな、来るかな?」
機械に背をもたれかけ、マキノは無邪気な口調でひとりごちる。
マキノは在野の拷問吏。顧客の望み通りの拷問を提供するのが仕事。お金は取るが、高くはない。
そろそろ今日の顧客と被拷問者が現れる頃。普通は顧客と被拷問者は別人だが、稀に同一なこともある。
今日はどんなオーダーで、犠牲者はどんな子だったか……。
■マキノ > からくりの仕掛けが動作し、ゴゴゴ……と部屋を鳴動させながら分厚い石扉が開く。
暗いローブ姿の刑吏(※アルバイト)が、開く途中の扉の間から人ひとりと紙1枚を放り込む。
そしてすぐさま仕掛けを逆転させ、扉は早々に閉まり始める。無駄口の1つも叩かず、手際のよいことだ。
放り込まれた本日の犠牲者は、どうやら10代後半のミレーの少女のようだ。
猿轡を噛まされ、後ろ手に手枷を嵌められ、歩くことはできても倒れたら自力で立ち上がることはできない。
衣服は小綺麗な平民服。どうやら羽振りの良い貴族に飼われている奴隷のようだ。
少女はなぜここに連れてこられたかも理解していないようで、戸惑いと不服の混ざった視線を少年に向ける。
マキノは薄ら寒い笑みを貼り付けたまま少女を一瞥し、傍に舞い落ちた羊皮紙の指令書を拾う。
それを一通り流し読みすると、今度は目を妖艶に細め、明らかに侮蔑するような笑みでもう一度少女に向き直る。
「――ふむふむ。ああ、キミってあの貴族の人の性奴隷ちゃんかぁー。なるほどね。
うん。なんでキミ、こんなトコに連れてこられたのか全然わかってないよね。キミ、悪いこと何もしてないもんね?
でもね、ボク知ってるよ。キミの御主人様、すっごいチンポがでっかいんだよねー」
混乱しつつも、ここが拷問室や処刑室の類であることは理解しつつある様子のミレーの少女。
マキノはしゃがみ込んで少女の前髪をつかみ、ぐいと引き上げる。青の瞳をまんまるに開き、舐るように見つめながら。
「キミも性奴隷として頑張ってるようだけど、御主人様はフェラの時に歯が当たるのが気になるんだってさ。
――ああ、言わなくていいよ。わざと歯を立ててるんじゃないのは知ってるから。でも気になるのは気になるんだって。
だから、ね。……歯、抜いちゃおうね? 全部」
パチン、とマキノが指を鳴らすと、中央の機械から3本のマニュピレータが生え、少女へと殺到する。
2本は金属製の無骨で大きな手。少女の胴体を腕ごと鷲掴みにできるほど巨大。
片方の手で実際に鷲掴みにして少女を引き起こし、もう片方の手が頬をぐいと挟み込む。
猿轡が取れるが、口は開きっぱなしのままで固定され、悲鳴以外の声を発することはかなわない。
そして残る1本のマニュピレータの先端には、鋼鉄製の小型のペンチが付いている。
重厚な作りのペンチが少女の鼻先に突きつけられると、いよいよミレーの少女は青ざめ、恐怖を顕にし始める。
「大丈夫、大丈夫♪ 歯がなくても意外と生きていけるから。
それに抜いた後の傷が塞がれば、今後は虫歯の心配もなくなるよ。究極の歯科治療だと思わない? ふふふ♪
――じゃあ、下からいくね。顎が外れるかもしれないけど、その方が楽だから早めに外していいよ」
マキノはこれから行う陰惨な『歯科治療』への期待に、無邪気な笑みを満面にたたえ、怯えきった少女を無慈悲に見据える。
そして右手を伸ばして少女の歪んだ頬に添えると、付き従うようにペンチも動き、口腔へと差し込まれ……。
――バンシーの断末魔を思わせる凄絶な悲鳴、32回。
数枚の分厚い石扉をも貫通して下水道にこだまするが、やはりその声は地上に届くことはない。
たっぷり2時間をかけた『施術』の後、少女は機械から解放されバイト刑吏の待つ廊下へと放たれるが……。
……額には深く皺が刻まれ、頬はやせこけ、目からは光が消え失せ、老婆のごとくにやつれきっていた。
ご案内:「王都マグメール 地下拷問室(過激描写注意)」からマキノさんが去りました。