2021/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区(過激描写注意)」にファーンさんが現れました。
■ファーン > 夕暮れ時の王都。秋も深まり、この時間帯はめっきり冷え込むようになってきた。
人通りの多い表通りならまだマシだが、路地裏には冷たい風がぴゅうぴゅうと駆け抜け、怖気走るほどにうら寂しい。
ましてやここは平民地区の中でも比較的貧民地区に近い位置の街区。
こんなところに迷い込むのは、帰途を急ぐあまり近道を選んだウカツな市民か、あるいは元より闇の中を棲家とする者か。
――ファーンは後者である。
陰りゆく路地に座り込む痩躯の人影。しゃがんだ姿勢でも、彼の背の高さは遠目からでも伺い知れる。
起立すればのっぽさんであることは一目瞭然。ローブから覗く細い手足がのっぽ度を際立たせる。
頭にはフードを被り、表情や年の頃は遠目では判然としない。
そんな、如何にも怪しげに闇を纏う男の周囲には、やせ細った犬が3匹。
首輪をしておらず毛並みも乱れ、犬種すら定かでない犬たちは、あきらかに野良犬である。
おそらく貧民地区から餌を求めて流れ込んできたのであろう彼ら、決して人懐っこいペットではない。
……はずなのだが、痩躯の男の前でお座りをし、しっぽをパタパタと振って彼を見上げている。
そんな犬たちをフードの奥から見やる痩躯の男、その手には干し肉の袋。
なんの肉かは知らない。どこで買ったかも忘れた。ともかく、これが犬たちの大好物であることは確かだ。
「……よしよし、いい子達だ。もう少しガマンできたら、ご褒美をくれてやるぞ」
男が発するは、年齢の判然としない、特徴にも抑揚にも乏しい声。しかしどこか愉快そうな色を含んでいる。
野良犬への餌付けは法で禁止されているかどうかはともかく、好ましい行為とは言えないだろうに。
■ファーン > 「――いいぞ。お利口さんたちには肉をくれてやろう。一匹ずつおいで」
おじいさんが孫をあやすような優しい口調で、ローブの男は犬にささやきかける。
3匹の野良犬は互いに示し合わせたわけでもないのに、言いつけどおり1匹ずつ男へとすり寄っていった。
くぅん、と従順を示す声を上げて頭を差し出すと、ファーンは右手の肉ひときれを犬の口に添え、左手で後頭部を撫でた。
……その左手が、ぽう、と妖しい桃色の光を放つ。わずか数秒の出来事。
「くくっ。これで君と私は友達同士だ。これからも仲良くしようじゃないか。
……ん? 君に餌付けをしている者が他にもいるのか? よければ私に詳しく教えてくれないかね」
はむはむと干し肉に食らいつく野良犬の後頭部に触れながら、男は楽しげに独り言をつぶやく。
まるで野良犬に語りかけているかのよう――否、実際に男は語りかけているのだ、己の《使い魔》となった獣に。
「………ほうほう、人間の女の子。この近くに住んでいるんだね。良い子じゃないか、餌をくれるなんて。
君はその子は好きかい? ………好きか。そうかそうか……」
野良犬の乱れた毛並みを整えるように何度も繰り返しグルーミングしながら、男はニッ…と白い歯を見せる。
フードの陰に悪辣な笑みを隠しながら、なおも柔和な口調を作りつつ犬に語りかける。
「ならば、もっと積極的にアプローチしてみるといい。抱きついたり、押し倒してみるといい。
餌をくれるということは、その子も君が好きなんだよ。好き同士なら、何をしてもいいだろう?
……そう。交尾に持ち込んだっていい。きっとその子は受け入れてくれるよ。君が大好きなんだからね……」
犬の耳元で囁かれる邪悪なアドバイス。
ヒトの言葉が獣に通じるはずはない……にも関わらず、野良犬は『アンッ!』と上機嫌な鳴き声をひとつ上げた。
――犬の股間では早くも男性器が屹立を始めていた。男に唆され、早くも種付けの準備が始まっているのだ。
男が魔力を帯びた手を離すと、ごくんと肉を飲み込んだ野良犬は足早に路地を駆け出していく。
犬が男に諭されたとおりの凶行を実行に移すのは今日か明日か。男には経過を観察するつもりはない。
ともかく、この街に邪悪の種が1つ撒かれたことだけは確かなのだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区(過激描写注意)」にシュミーさんが現れました。
■シュミー > 熱の加護を受け、冬場でも薄着のとある踊り子がそこを通りがかったのは、偶然だった
元々、平民地区と貧民地区の境に自身の巣を置いているものだから
この辺りを近道として通ることが多い
そして、店が少し近づいてきた頃にその姿を見つける
あまり情報が読み取れない姿の誰かが、野良犬に見える犬に餌をやっている
…動物というのは可愛いけれど厄介だ
この辺りを餌場だと認識されると…お店の周りを野良犬がうろつき始める可能性がある
その時に追い払ったりするのも気が引けるし、もっと別の場所で餌を上げて欲しいもの
現に自分も少し離れた広場でたまに餌をやっていたりはするし
だけれどもしかすると散歩中なのかもしれないし
一応聞いてみよう
この辺りの人であれば知り合いの可能性も高い
野良犬とはいえ、動物に優しそうに話しかける姿も…今のところは悪い人には見えず
「あの…。こんばんは…、あなたの飼っている犬…、でしょうか…?」
あくまでお店に近づけないため
そんなことを考えながら恐る恐る近づいて、話しかけてみる
男には近づいてくる足音から、聞こえる事だろう
接近を許されるなら、それが成熟し、豊満な女であることもまた
■ファーン > 「………………!」
ファーンの尖った耳が、ぎらつく瞳に先んじて、路地に踏み入ってくる人間の気配を敏感に察知する。
とっさの機転で、残る2匹の野良犬に《使い魔化》の魔力を飛ばす。
こんな時間に路地裏に踏み入るのは、よほど護身に熟達する者か、官憲の類か……あるいはよほどの間抜けか。
前者2例であることを想定しても、相手が1人であれば野良犬2匹を味方につければ決して遅れはとるまい。
……と、修羅場をくぐり抜けたゆえの過剰な警戒行動を取ってしまったものの。
実際に現れたのは女性がひとり。ずいぶんと扇情的な衣装……とても女性の独り歩きの装いではない。
そのことを訝しみつつも、ファーンはそちらを見据えながら立ち上がる。
190cm超ののっぽの人影が、暮れゆく路地に長い長い影を落とす。
「これはこれは、こんばんわお嬢様……こんな薄暗い路地に1人でいらっしゃったのですか?
なんとも不用心な……親御さんを心配させますよ?」
フードは取らず、軽い会釈とともに挨拶のセリフを紡ぐ男。
その口調は慇懃無礼というより、どこか人を食ったような嘲笑的なもの。
「……ん、この子達ですか? 見ての通り、私の飼い犬ではございません。首輪もついてないでしょう?
ですが……飼い犬でありやなしやというのは大事なことにございましょうか?
この王都に息づく存在としましては、この子達も貴女も私も等しく同じ命……くくっ」
ケムに巻くようなセリフを紡いで見せつつ、ファーンは指先で魔力を弄り、野良犬の1匹に指示を飛ばす。
野良犬は警戒の鳴き声ひとつも漏らさないが、慎重な足取りでシュミーの背後へと回り込む。逃げ道を塞ぐように。
「……もしかして貴女は、野良犬は駆除しなければならない、などと考えるタイプの人間なのでしょうか?」
■シュミー > 「え、と。慣れてますから…………大丈夫、です。」
いきなりの早口に面を喰らってしまう
座っている状態だとわかりにくかったけれど、かなりの長身で…
少なくとも、お客さんではないし威圧感を酷く感じる
声をかけたのは失敗だったかな、と今更ながらに思いつつ
何か返答しないと更にまずいことになりそうとも思う
「あ…駆除とかは言いませんよ。
可哀そう…です、し…………」
恐怖を煽られているのもあるが、途切れ途切れに
一先ずは、そんな過激な事を考えているわけではないと言ってから
こういう時は、余り表情の変わらない自分の顔がありがたい
「で、でも…………あまり、たくさんうろうろとかしてると、憲兵、とか、が…………
暴力を、振るうかもしれない……、………
餌をあげる、なら………もうちょっと別の場所の方で固まって…とか…
その方が、ほら。一度に…たくさんの犬たちにあげれます…よ、ね………?」
ここも、十分奥まってはいるのだけれど、お店が少し近いし
ばらばらに餌をやられては、いつか店までくるかもしれない
たまに自分が餌をやっている小広場なら店からは遠いし、そこに誘導したいな…と思いつつ
できるだけ静かな声で、説得しようとする
けれども見ようによっては…犬たちに自由を許さず閉じ込める発言にも聞こえるだろうか
犬の動きについては、特に警戒もしていない
野良犬が統率されているなど、察知していない様子である
もしかすると、女が餌をやっている野良犬も居るかもしれないが…暗がりの中で犬を判別することは女にはできず。
■ファーン > 野良犬2匹はファーンに指示されるがままにシュミーを挟んで対峙し、逃亡の妨害を図っている。
夜目の効く4つの瞳はらんらんと輝き、野獣特有の不気味な眼光で女を射さしてくるよう。
他方でフードの男の視線は、同様にシュミーへと向けられているにも関わらず、一切の光を投げかけて来ない。
この薄暗がりの中で本当に視界が効いているのか疑わしい……が、しかしファーンは確かに彼女を見据えている。
「そうかそうか、駆除には反対か……。この街の住人にしては、マトモな神経をお持ちのようです。
憲兵や自警団といった連中は、さも人間こそがこの街……いえ、この地の支配者だと言わんばかりに練り歩いてますからね。
私も、この子達も、そういう傲慢な連中は大嫌いです。貴女とは仲良くなれそうで、この子達も喜んでますよ」
どこか芝居がかった大仰な口調で、つらつらと早口を垂れるフードの男。
喜んでますよという言葉とは裏腹に、シュミーを囲む犬たちはしっぽを振る様子もなく、鼻息を鳴らしながら警戒を続けている。
「そうですね、私もできれば一度に大勢の犬たちを相手してあげたいのですが。
あいにく1人で大勢を世話するのは私の手に余る労苦にございまして。見ての通り、体力にも財力にも自信がありません。
……見たところ、貴女、客商売の類なのでしょう?
私に協力して、一緒にこの子達の相手、してくださいませんかね……? くふふっ」
そう宣いながら、ローブ姿の男は静かな所作で右手を掲げ、踊り子姿の女に向ける。
――その指先から、紫色の禍々しい魔力が音もなく放たれる。《獣術》の魔力である。
命中した知的生物の身体と心をともに獣のレベルまで貶める……否、『戻す』禁術。
効き具合は人それぞれ、相手の体調や精神状態にすらも依る不安定な術だが、当たれば多少は効果が出る。
もっとも弱い効き方であっても、その身体には獣の耳や毛並みが顕れ、知性に対する本能の影響が勝り始める。
――例えば、二足歩行を身体が拒否し、路地にて四つん這いになってしまう、など。
■シュミー > 「―――――――…?」
目の前からだけでなく、近くから感じる視線に少し反応する
本来なら、感じるはずのない何か異質な視線を感じた気がして、びくり、と身を竦ませるも
けれど、男から話しかけられればそちらを優先せざるを得ない
「そ、れは…………よかった、です。…じゃあ、えっと…
協力…………です、か……。仕事がありますから、少し遊ぶくらいなら―――」
ただ、怖い外見とは別に無暗に暴力を振るうような相手ではなかったようだ
少し、犬に囲まれているのが気になるけれど……襲ってくる様子はないし、大丈夫だろうと判断していて
「―――、ぁ」
そんな、少しほっとした瞬間に
余りに自然な動作で右手を向けられ、あっさりと魔力が直撃する
既に、多少なりとも加護を受けているためか…影響は軽くなるものの
ぐら、と視界が揺らぐ感覚
「あ、…………ぇ?」
何が起こったかまるでわからない
いきなり力が抜け……というよりは、自然に四つん這いになってしまい
頭からは髪色と同じ薄桃色の垂れた大きな犬耳が重さを感じさせ
自分の腿のあたりには、何かふさふさしたものが揺らめいている
更には、自分の手も…指が無くなり、肉球へと変化し
爪が生え、毛に覆われていく
正に犬の様に、身体を変えられていき――
「な…、ど、して…………なに、これ…………」
そんな状態になればまず襲い来るのは困惑
耳を震わせ、尻尾を股の間に入れて怯える姿勢を自然と取ってしまい
震える視線だけは、下から男へと注がれて
まだ話せるレベルだが、思考にもやがかかり、うまく考えがまとまらない状態へと陥っていく
加護はまだあるようだが、見た目には犬を精巧に模した人……あるいはミレー族の獣寄りの種に近くなっていってしまって
■ファーン > 人間を楽しませるために磨き上げられた肢体が、獣のごとく地べたへと這いつくばる。
疎まれしミレーを彷彿とさせる獣の相が、たちどころにシュミーの四肢や頭頂部へと顕れる。
身体を蝕む変化術が神経系を混乱させ、脳髄になだれ込む。人間ではなく獣の理でもって、その身体を支配しようと。
術が効いたとみるや、フードの男は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。不気味に白い歯がにやりと上弦の月を描く。
犬達とともに数歩距離を詰め、男は長身を屈めて四つん這いの踊り子を覗き込むような姿勢をとる。
魔術の残り香を纏った指を、無造作にも初対面の踊り子の髪に這わせ……獣耳の裏をくすぐる。
「貴女のその裸身にも等しい装い。踊り子なのでしょうが……ククッ。
踊りと衣装で異性の気を惹くというのは、人間の身につけてきたセックスアピールの中でもかなり原初の形態に近い習性。
であれば……そう! 人間の中でも貴女は獣に近い生き方をし、あまつさえそれを生業としていると言えますねぇ!」
初対面の女性に対し、さも知ったような口ぶりと決めつけるような物言いを投げかけるローブ男。
たとえこの指摘が的外れであろうと、男側の優位は揺らがないと知ったうえでの狼藉である。
《獣術》は見かけの効き方の機序と裏腹に、精神から肉体へと侵蝕していく邪術。
相手を狼狽させればさせるほど、深く深く術中に陥っていくのだ。
「さあ、名も知らぬ踊り子よ。先ほど口に出した、『野良犬』達への慈悲が心からのものであるならば。
この子達にもその献身を見せてご覧なさい。獣でも求愛のためのダンスを踊るのだから、踊り子の貴女にできぬはずはない。
彼ら2匹とも、糧のみならず雌に飢えている。楽しませ、悦ばせ――勃たせてみせてください!」
男のセリフは敬語だが、端々にシュミーを軽んじる、ナメた口調がこもっている。
だがその口調にヒトの耳が嫌悪を覚えるよりも先に、獣の耳から脳髄へと染み込んで本能をくすぐってしまうだろう。
そして同時に、野良犬2匹はさらに距離を詰め、獣術に戸惑う踊り子へと迫ってくる。
獣臭が否応なくシュミーへと纏わりつき、それは彼女に植え付けられた獣の本能を嫌でも励起させるはずだ。
――求愛行動へと身体を動かす衝動に、抗うだけの精神力は残っているだろうか。
「……もし、さっきの慈悲の言葉が嘘だと分かった場合は……それ相応の報いを受けてもらう必要があります」
■シュミー > 加護があるとはいえ、それが魔術の効果を全て防いでくれるわけではない
精神から肉体へ侵入してくる術が完全に女の中へ浸透し…戸惑いの声を上げる度に
見た目こそもう変わらないものの、嗅覚が、聴覚が鋭くなっていく
もちろん、触覚も犬を元にしたものになり…新たに耳となった犬耳に触れられると、びくん、と大袈裟に身体が震えてしまい
「あ、え…、あ……………っ、」
まだ、思考がまとまらない
冷静な状況なら、この相手が何かをして、自分がそれによってこうなっている――などと考えることもできただろうけれど
速い肉体変化に、心が追い付かず、戸惑う
戸惑えばまた、術は染み入り女を犬に変えていく
けれど
女が、店に近寄ってほしくないと思ったのは…結局のところ
野良犬が周りをうろつくことによって、自分の所属する店の評判が落ちる事
それはつまり、根底にあるのは嫌悪であるに他ならない
本当に好きなのであれば、それすらも受け入れるだろうから
それをしてしまえば、どうなるかわからない
けれど、男によって囃し立てられれば…本能が刺激される
繁殖欲もあるが、それは恐怖だ
汚らしいと思っていたものに求愛を受けている、そして自分もそれを促されている
求愛に動きたがる心と、恐怖する心が混じり合い
「ぅ――…、ぅ……」
中途半端な、体勢を見せる
尻を向けたまま、僅かに上下させて誘うも
口から漏れるのは、威嚇する唸り声
怖いからこそ、近寄らせたくない。だけれども交尾はしたい――
そんな相反する気持ちで…乗り切れない、腰振りを見せる
が、尻尾は相変わらず股の間に入り込んで視線を拒絶し…雄に対して服従しないという雌にあるまじき姿勢を見せてしまって
■ファーン > 「ふふ。なかなか一発で完璧な獣化とは行きませんね。ですがその四肢だけでも犬の仲間入りとしては十分です。
四足歩行こそが生き物にとって相応しい姿。毛に護られた皮膚こそが生き物にとって合理的な姿。
そして……己の中に生まれる本能に抗わぬ振る舞いこそが、生き物のあるべき態度なり!!」
生えたての獣耳に触れただけでも、術の効き具合はよく分かる。40%といったところか?
確実にシュミーの知性は蝕まれ、人間としての思考も行動も、言語能力すらも制限されていることが見て取れる。
……だが、それに懸命に抗う理性がまだ少なからず残っていることも察知できる。
フードの影で、薄灰色の肌の男はやや苦々しい表情を浮かべて。
「どうしました、踊り子のワンちゃん? うー、うー……と喚いてお尻を震えさせるだけでは求愛にはなりませんよ。
……まさか。貴女は交尾の相手を選べるほどにお高く留まった雌犬だったんですか?
そんな気取りは雌としては『不自然』なのですが……仕方ないですね」
ファーンはシュミーの顎に指を添え、くっと引き上げながら問いかける。
歯や喉の震えなどから、シュミーの戸惑いを敏感に読み取って……その隙を付こうと。
「いいですか。この犬達が真に欲しているのは、糧でも子孫でもなく『愛』なんですよ。
そして貴女はもうこの子たちの仲間です。より深い『愛』を与えるのは、雌犬たる貴女の特権であり、義務なのですよ。
繰り返しますが、先ほど貴女が見せた『慈悲』を、より貴女の今の姿に相応しい形で見せてください。
でないと……『愛』のない犬の交尾は、とても苦痛に満ちたものになりますよ。知ってますか?」
つらつらと詭弁を紡ぎ、慈悲に伴う『責任』を主張し、彼女の恐怖を凌駕する理由を付け加えていく。
人間としての理性の側から突き崩し、本能を剥き出しにする言い訳を与えようと。人間と獣の中間にあるからこそ通用する技法。
とはいえファーンも人間の心理に熟達してるとは言い難い若輩者である、効くかどうかはわからない。
その間も、2匹の犬はその体温を感じられるほどにシュミーへと身を寄せてくる。
体格はシュミーに劣るが、その全身でのしかかられれば容易には振りほどけないであろう、中型犬。
1匹は戸惑い怯える彼女の頬に鼻先が振れるほどの位置で、フスフスと鼻息を吹きかける。
もう1匹は折りたたまれた尻尾をくすぐるように、脚の間に鼻先を差し込んでくる。
股間に下げた半勃ちの男性器をぶらぶらと主張させながら。踊り子を包む獣の臭いがさらに強くなる。
■シュミー > 戸惑えば戸惑うほど、術は更に浸透していく
薄く残っていた恐怖すらも塗り潰され、男の声がまるで福音のように聞こえてくる
恐怖を感じていたからこそ、甘えたくなる、服従したくなる言葉
このまま耐えていても、待っているのは恐怖と苦痛だけ。ならば…従った方が良いと
「わ、ぅ――…♡、ぅ…」
唸り声は、だんだん小さくなる
それは…2匹の犬が近くに寄ってきて、ひたすらに獣の匂いを漂わせ
更には股座に入り込み、刺激してくるから
『人間』であった時も特に性交に対して忌避感があるわけではなかった
だから、獣の匂いを長時間嗅ぎ、刺激されれば…男の言葉と相まって最後の砦が崩れ
徐々に、徐々に、ゆらり、と…尻尾が尻と共に上がっていく
「は――♡、は…♡」
そして、口元も緩み…多少長くなり、ざらつくようになった舌を放りだし始めて
全身からはしっとりと、雌のフェロモンが溢れ始めてしまう
そのまま、もどかしげに尻を揺すり、股布を腰に振り上げてひっかければ
現れるのは、褐色の桃尻とその奥にある…既に濡れ始めている秘所
それらを、犬…雄犬たちの前に晒しながら
背を曲げ、頭を下げて…逆に尻を高く高く上げていき
「わん…っ♡、わぅ、ぅぅ…♡」
先程までとは違う、甘えた雌犬の声をあげ…雄犬の鼻先に自分の股座を押し付けるように上下に動かし
鼻キスを求めるように、前方の雄犬には顔を擦り付けながら身体を震わせていく
踊り子の技能が合わさっているのか、生殖本能を刺激し返すように…尻は蠱惑的に円を描き、雄を誘ってしまって
褐色乳をふるふると揺らしながら、唾液を垂らし、鳴く
まだぎりぎり人の言葉は発せるだろうが、雄犬に媚びるならこれがいい、と本能が叫んでいて
「わん、わふ…♡わぅぅ…んっ♡♡」
長い桃色の髪と耳を振り、もう命令されずとも…とろとろに濡らした秘所で、口で…
雄犬が承諾してくれれば、いつでも奉仕して愛する、という雌犬の責任を果たそうとする動きを見せていく
■ファーン > 「くく、く……! よろしい、雌犬らしくなってきたではないか!」
踊り子姿の女から戸惑いが徐々に薄れ……否、『失われて』いく。
ヒトの形を保った口から、ヒトならざる鳴き声が漏れ始めると、ファーンは詰まった笑い声とともに肩を揺らす。
そしてシュミーの眼前にて屈んだ姿勢から立ち上がり、数歩離れる。野良犬に場所を譲る形だ。
「そうだそうだ、よく分かっている……いや、よく『思い出せている』と言った方が正しいでしょうか?
雄の獣が雌のどこに惹かれるのか、それはケツ……尻なんですよ。仔を多く産める尻にこそ雄の本能が惹かれるのです。
乳房なんぞ、仔を育める機能さえあれば大小なんて問題ではない。その点でも人間は実に不自然なり!
這いつくばってケツを高く掲げ、雌臭を撒き散らしながら交尾孔を見せつけるその姿勢……まさしく獣!!
見てご覧なさい、雄犬達も気が乗ってきているようですよ!」
ファーンが愉しげに喚き立てるのに合わせて、シュミーを前後から挟み込む位置取りの野良犬達が同時に立ち上がった。
各々の前脚を、前方の犬は雌犬の肩に、後方の犬は雌犬の腰に。肉体ではなく骨に掴みかかるような力と重み。
そんな体勢になれば、シュミーの眼前には否応なく犬の男性器が突きつけられる。
赤黒い海綿体は刀身の半分近くが露頚し、先端が扁平に潰れており、指1本は入りそうなほどの太い尿道が穿たれている。
人間のそれとは明らかに違う作り、そして性臭。本気の求愛モードに入った雌犬の放つフェロモンに当てられ、先走りが浮かんでいる。
そして背後に圧し掛かる犬の体重と姿勢から、同様の肉棒がシュミーの脚の間に入り、女性器のすぐ傍まで迫ってることもわかるだろう。
「いいぞ、もっと鳴くのです! もっとケツを振るのです!
より獣らしい求愛の振る舞いを見せるほど、貴女のフェロモンも人間のそれから雌犬に近くなっていき……。
身体も犬の交尾を受け入れられるようになるはずです。
そうすれば貴女も彼らも、最高の交配を遂げられるでしょう!」
浅ましく組み合う3匹の獣を高みから見下ろしながら、ローブの男は劇がかった口調で高らかにのたまう。
だが、シュミーに組み付く犬達はファーンの支配下にあるとはいえ、行動原則はやはり獣の本能が勝る。
昂りを促すファーンをよそに、早速交尾へと洒落込もうと、互いに腰を突き出す。
――口に、ヴァギナに、ヒトならざる異形の男性器がねじ込まれようとしている。