2020/09/14 のログ
ご案内:「王都の外れ、廃教会(過激描写注意)」にメアリ・オーガスタさんが現れました。
■メアリ・オーガスタ > 夜半過ぎから降り続いていた雨は、いつの間にか止んでいたようだ。
埃じみた床を彩る幾筋もの光、差し込む朝の陽射しが勝敗を決し、
朽ちかけた教会の一隅、壊れかけた祭壇に背を預けて座り込む己以外、
生きて、あるいは動いているモノの姿は既に無い。
「は、………ぁ、はっ、―――――……」
乱れる呼吸に肩を上下させ、半ば茫洋たる眼差しを注ぐ己の、其の視線の先。
力無く投げ出した両足辺り、陽光を照り返し戦ぐ一山の灰があるばかりだった。
先刻まで其処に在って、己を貶め、辱めようとしていたモノは既に亡い。
本当ならばもう、一刻も早くこんな場所からは立ち去りたかったが―――
「……少し、明る過ぎるわ」
頭上から降り注ぐ朝日に目を眇め、独り言ちて溜め息を吐く。
今一度雨雲が空を覆いでもしない限り、日暮れまで、此処から動けるとは思えなかった。
震える手指で、放り出されていた杖を手繰り寄せる。
突き出た侭の刃を、握り手の部分を操作して引っ込めると、
引き剥がされかけた黒衣も其の侭に、杖を抱きかかえて目を閉じた。
■メアリ・オーガスタ > 甘く厭わしい香りが鼻腔を擽り、僅かに眉根を寄せて瞼を持ち上げる。
左手を浮かせ、少しばかりの違和感が残る右の頬を擦れば、
手の甲に乾きかけた紅がこびりついた。
どくん、と、鼓動が跳ねる。
葛藤はほんの数瞬のこと、背に腹は代えられぬ、という現実的な思考が勝り、
己は其の紅へ顔を寄せ、紅い舌をねろりと這わせた。
「甘い、………気持ち、悪、い………」
やはり、美味だとは思えない。
思いたくないだけかも知れないが、とにかく、そう感じられるうちは、
未だ、留まっているのだと信じられた。
己は未だ間に合うのだと、―――未だ、戻れるのだ、と。
忌々しい甘露を喉へ潜らせ、また溜め息をひとつ。
今度は己の唾液に濡れた手の甲を、黒衣の右肩口で拭った。
■メアリ・オーガスタ > 薄汚れた床の上で、灰燼に帰したナニモノかと共に。
そうしてひと時、己は微睡みに落ちる。
次に目覚めるのは日暮れを迎えた後か、其れとも其の前に、
何らかの形で覚醒を促されるのか。
何れにしても、今暫く先のこと、と――――――。
ご案内:「王都の外れ、廃教会(過激描写注意)」からメアリ・オーガスタさんが去りました。
ご案内:「◆街郊外(過激描写注意)」にノールさんが現れました。
■ノール > 街明かりを望む程度の街外れ
白い街道が伸びて、草原とも言い難い踏みしめられた街の周りの空間
その外側の、手入れをされていない辺り
数本寄り添って立つ木立や、大きな岩が除去を諦めて放置されている
「…………。」
夜風の風向きが良ければその獣臭さで気づくかもしれない
街からの視野では遮られる位置でのっそりと立つ歪んだ大柄な長身
猫背の獣人は手足がだらりとしたまま突っ立って
傍らには、農夫が一休み中のように長い得物が突き立って並んでいる