2020/05/06 のログ
ご案内:「王都の路地裏」にダソさんが現れました。
ダソ > 「ーーーいよい…しょっと…っ」

肌色のぷるぷるとした巨大なゼリー状の水たまり。
それは液状の竜巻となって一瞬で逆巻き、立ち上り、素っ裸のヒトの子供の姿を形作る。
その正体は、高度な人間への擬態能力を持った、癒やしのスライム。

「~~~~♪  ーーーーっ♪」

王都を訪れて一月ほどで慣れてきた、スライム形状からヒトの姿に化けるのにも慣れてきた。
ここ数日、公園や路地で人間を観察していた折に、自分が象ったのと同じ年頃の幼子が、
「はなうた」というものを歌っていたのを目の当たりにして以来、スライムもそれを真似して、暇さえあれば口ずさんでいた。

「~~~~~~~~~♪ ふふーん、 んーーーー♪」

変幻自在の声帯と、人ならざる肺活量を持つスライム体からは、
真っ当な人体では発することのできないはずの高音まで透き通って歌い上げられて、
人の…いわゆる一般的な感性で捉えれば、美しい歌声が響く。

素っ裸の少年が、美しい歌声を振りまきながら路地を闊歩するという、
目撃してしまうと妖精にでも化かされているかのような光景。

ご案内:「王都の路地裏」にゾーイさんが現れました。
ゾーイ > そこに通りかかった、ミレー族の少女。
音を良く拾う猫の耳が歌声を拾ったので、そちらを覗いてみればそこには素っ裸の男の子が歩いている。
一瞬ギョッとしたが、その肌色というより橙色に近い肌の色には見覚えがあった。

「あれ……もしかして、ダソ?」

ダソ > 「―――っ! あっ! ぞーい、 ぞーい、おねえちゃん、だっ。」

驚いた様子で声をかけてくる相手に振り返り、にこ、と表情は笑顔を形作る。
ニンゲンのような感情の発露かどうかは定かではないが、スライム体として再びの遭遇に悦びを得たことは真実で。
ぺたぺたと裸足で歩み寄り、無防備な裸の姿勢のママ、ぺったりと抱きついて。

「ね、ね、こっち、こっちで、おもしろいこと、できるよっ」

と、路地の奥へ、奥へ、子供っぽい無邪気さで少女の腕を引いて誘おうとする、甘えるような幼児独特の強引さ。

ゾーイ > 「お風呂場だけじゃなくいっつも裸なの?
 流石にその格好は……って、わわ!」

ベタベタとくっつき、すりすりと体を寄せてくる様は間違いなく子供の仕草。
感触がやたらとプルプルしていることを除けば、だが。

「ちょっとちょっと、待って、引っ張らないでよー!」

見た目より強い力に半ば強引に誘われ、仔猫はスライムと共に路地の奥へと姿を消していった。

ご案内:「王都の路地裏」からゾーイさんが去りました。
ご案内:「王都の路地裏」からダソさんが去りました。