2019/08/01 のログ
ご案内:「◆王都マグメール 富裕地区(過激描写注意)」にアデラさんが現れました。
■アデラ > 富裕地区というだけあり、その酒場は内装も客層も、他地区とは比較にならない上等なものであった。
弱い照明を落とした店内に煙るほのかな香、仕切りで広く区切られた座席。
調度品、壁の彫刻、店員の質。客の懐具合も豊かで、姿には清潔感がある。
――とは言えその清潔感は、半数ほどの客は、髪や髭からのみ読み取れるものとなる。
其処此処の席で、或いは通路で、人が交わっている。
男女の睦み合いもあれば、女同士で肢体を絡ませる者も。幼い少年を抱く男も。
この酒場ではあらゆる退廃が許される――店をあまり酷く汚さなければ、と枷は付くが。
そういう環境にあってその少女は、多色の嬌声を肴として酒を愉しんでいた。
「……そういえば、私。扱いとしては人妻になるのかしら……?
指輪がある訳でもないけれど、ううん」
などと首を傾げては、恥じらうこともなく周囲を堂々と見渡して、他者の交愛を鑑賞する。
或いは自分と同様に相手を探す〝誰か〟を、見つけることができないか、と。