2019/07/06 のログ
ご案内:「九頭龍山脈の麓を通る街道(過激描写注意)」にタマモさんが現れました。
タマモ > 九頭龍山脈、その麓を通る街道。
進めば、近くはタナール砦であろう付近の場所だ。
そこに佇むのは、一人の少女。
何をする訳でもない、ただ、雲に覆われた夜空を見上げている。

「………ふん、変わらず、場所を考えて落ちてくれるのぅ。
確かに、ここならば、好きにする相手も居らんか」

不機嫌そうに、視線だけで周囲を確認する。
人の住まう場所の近くなら、まだ嬲れる相手も居る可能性はあるだろう。
だが、付近にあるのは、タナール砦のみのはずだ。

好きに動いても良いが、下手に殺める事は控えろ、それがある者と交わした最低限の条件だ。
加減する事、それ自体は別に大した事でもない。
だが、あの場所のように、向かって来るだろう相手の数が多いと厄介だ。
間違いなく、途中で我慢し切れず…となるだろうから。

「まぁ…仕方あるまい」

ぽつりと呟き、また視線を空へと向ける。

タマモ > 「とは言え、ただ突っ立っていてもつまらんか。
このまま終えるのも、勿体無かろう」

待ったところで、得られるものは何もない。
視線をもう一度だけ、周囲へと巡らせ…歩み出す。
目指すべき方向も、目的も、何もない。
ただ先へ、歩いて行くだけだ。

普段の少女、それを知る者ならば、すぐに気付ける違和感。
この時期なのに、少女を前にすれば、誰でも寒気すら感じるだろう。
勘が鋭い者ならば、近付く事を躊躇うのもあろう。

周囲や進む先、そこに居た動物達は逃げて行く。
今の少女の危険性、それを示すかのように。

ご案内:「九頭龍山脈の麓を通る街道(過激描写注意)」にナカムさんが現れました。
ナカム > ターナル砦へ物資を運搬する依頼の帰り道。
魔族と人間が頻繁に争う場所が近くに存在するためか、滅多なことがなければ静かな街道。
しかし、今日はあまりにも静かすぎた。

「人どころか動物の一匹も居やしねぇ…。
それに、この寒気はいったい…?」

ただの道を歩いているだけで背筋が凍るような感覚。
圧倒的な嫌な予感。戦場にいるときにも似た感覚。

やがて目線の先に少女の姿を捉えれば、無意識に腰の剣に手が伸びるだろうか。
自身の直感が告げるのは、目の前の存在が危険であるということ。
したがって、口を出るのはこんな言葉。

「おい、お前は………なんなんだ?」

タマモ > 気配。
こんな場所に、こんな時間に。
それに気付いたのは、その気配が近付いてくるよりも、以前の事。
どうせ離れるのだと、そう高を括るのだが…

「おや、大したものじゃのぅ。
分かっておって、尚、近付くとは…怖い物見たさか?」

己の気配を感じている、それは理解しているのだ。
なのに近付くとすれば、その理由は多くない。
掛かる声に、ゆらりと揺れるように、相手へと顔を向ける。

互いに見える距離、しかし、互いに違いがあるのは確かか。
片方は、強く抱く警戒心に、身構えようとしている。
対し、もう片方は、構えもせずに両手をだらりと垂らし、眺めているだけなのだ。

少女は、相手の問いに、問いで返す。

ナカム > 「まあな。こちとら度胸だけは鍛えられてるんでね」

内心感じている野生獣的な警戒を押し込めてニヤリと笑う。
戦場で生きてきたソレはだてじゃない。
次の瞬間には剣を抜き放ち、刃先を少女に向けて。

「で、質問の回答がまだだぜ。可愛いお嬢さん。
お前は、いったいなんだ?」

見てくれからしてミレー族というのが第一候補だが、直感的に違う気がする。
まるで魔族のような。それでいて人間にとって明確な敵であるような。

警戒を微塵も隠さず、すぐに動けるように準備する。
そのさまは、蛇に睨まれた蛙そのものだった。

タマモ > 男は答える、少女の問いに。
獲物である剣を抜き放ち、少女に切っ先を向けながら。
しかし、男は気付いただろうか?
瞬時に抜いた剣、なのに少女は、その動きすべてを瞳に捉えていたのを。
続けて問う男に、少女はくすりと笑う。

「ふふ…一つの問答に、一つの問答で応えよ、か?
その眼に映るものが、そのまま答えじゃろうて、のぅ?」

自然の流れのように、すぅっと、少女の手が向ける刀の刃を無造作に掴む。
そのまま、力を込めて握っているのは、見ていれば分かる。
加減を間違えれば、指が落ちる…普通ならば、そう考えられる光景か。
男がその剣を引こうとすれば、並みの力では動かない、それを知るだろう。
もっとも…少女の手の事を考え、そうするかは分からないが。

ナカム > 当たり前のように握られた刃に目を見開く。
自身が向けているのは間違いなく剣。そこに疑う余地もない。
適当に買った剣のため切れ味がいいとは言えないが、刃は刃。
それを素手で握る少女に嫌な予感が加速する。

「………!離せ。このまま斬るぞ?」

その言葉に反応しなければ、手を斬り落とそうとするだろう。
しかし、剣は微塵も動かない。
力を全力で入れ、培ってきた技術を使い、何とか剣を奪取する。

剣を取り返せたならば、息を乱して叫ぶだろう。

「お前、絶対見た目詐欺だろ。
その姿でこの強さっておかしくないか………!」

タマモ > 面白い…そう思う。
男の様子一つ一つを見詰め続け、少女はすぅっと目を細めた。
放せないように掴んではいない、握っていた剣は、男の手腕によって解放される。
手から剣が離れた後も、少女の笑みは崩れない。

「おや、誰が見た目で判断しろと言うた?
目に映るもの、と言うたはずじゃ…そうじゃろう?」

軽く首を傾げ、男の言葉に答える少女。
男が剣を瞬時に向ける、それと同じように、気が付けば少女は男の目の前まで寄っていた。
身丈的に、少女は少し見上げるような形になるか。
僅かに身体を寄せれば、触れてしまえそうな距離。

「………息が荒いようじゃな?どうした?」

再び伸びる手は、距離的に使えなさそうな剣ではなく、男の手首をじかに掴もうと伸びる。
その動きは、剣を抜いた動きを考えた上での、本当に寸でで回避出来そうな速度。
少しでも油断や戸惑いがあれば、掴まれてしまうだろう。
避けるのならば、それでも良し。
捕らえられたのならば、しっかりと、その手首は握られる。
その力は、握り潰されるような凶悪なものではないが、逃げるには困難な感じで。

ナカム > 「疲れてんだよ。人間の貧弱さなめんな!」

そう言ってまばたきをした一瞬。
そのたった一瞬で目の前まで近づかれる。
触れるか触れないかの距離で見つめてくる少女に、場違いにも見惚れてしまい。

「………って、しまった!!」

余計なことを考えて反応が遅れた。
幸い体が反射で動いてくれたため回避には問題なかった。
それでも技術も何もない避けは次には繋がらず、追撃が来たら回避は不可能だろう。
それは目の前の少女にとっては明確な隙で。

少年は何とか離れようとするも、足は言うことを聞かずたたらを踏む。

タマモ > 「一度妾の手から逃れたのじゃ、貧弱と言うには些かな…
ともあれ、これで王手じゃな?
いや、お主等には、チェックメイト、の方が身近な言葉か?」

迫真の演技なのか、実際にどうしようもないのか。
隙と言うものを見せてくれたのならば、乗ってみるのも一興。
目覚めてから、それなりに時間は経っている、そう長くは遊べないと考えて良いだろう。
それならば…

離れようとし、たたらを踏む相手、そのすぐ横に少女は現れる。
マントの襟首を掴み、地面へと強かに叩き付けようという算段。
上手くゆけば、背を打ち、息を詰まらせる事だろう。

ナカム > 「ぐえっ……!」

外套によって首が締まり息が漏れる。
体はそのまま地面に叩き付けられ、視界がチカチカしだす。
肺から空気は逃げ、一時的な無酸素状態になってしまったらしい。
視界が揺れて暫く立ち上がれそうにない。

痛くて苦しくて、それでも離さなかった剣がある。
だから……。

意識の外から、流れる水のように滑らかに。
流水の武技、そう呼ばれる恐ろしくも美しい太刀筋。
反応が遅れればただでは済まない刃が、少女に迫ることだろう。

タマモ > 殺せない、殺せないけど、嬲る事は出来る。
この人間は、言う通りに貧弱の部類ではなかろう。
そうは言っても、今の一撃は、それなりに効いたらしい。
その様子を見詰める、少女の笑みは深まる。

「必至に生にしがみ付く、その姿は見ていて面白い。
そして………何も出来ぬと知った、その絶望も、また面白いのじゃ」

相手の手から、獲物が落ちていれば、確かに何も意識はしなかっただろう。
しかし、その手から剣が離れる事はなかった。
だからこそ、少女の意識が完全に外れる事はなかったのだ、その手から。

剣を持つ手が、なにらかの動きを見せれば、当然のように反応はする。
ただ、それは迫り来る刃を回避するような、そんな反応ではなかった。

少女の言葉は、そんな相手の動きに合わせたもので。
掴んだままの、マントの襟首。
首が絞まるのも気にせず、そのまま強く引き上げ、先と同じ勢いで地面へと再び叩き付けようとしてしまう。
見事な太刀筋とした技を行使しようとしても、体のバランスが崩れた状態では、その本領は発揮出来はしまい。

ナカム > 剣から意識を外し、こちらを嬲ることしか考えていなければ、首を撥ねていたであろう一撃。
鋭く斬りこんだ剣は少女の首に命中することはなく、その頬を掠めるだけだった。

たった一度きりの反撃。
それしか許されずに再び地面に叩き付けられる。

「がっ!っ!?………がふっ!!
こ、の………ぐうぅぅっ!」

その後も背を地面に何度も叩き付けられる。
何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も。

このままじゃ死ぬ………!

そう悟ると何とか抵抗しようと、楽し気に揺れる尻尾を掴もうとする。
何か算段があるわけでもなく無我夢中で、死にたくないと手を伸ばす。
口からは血を吐き、目だけは少女を睨みながら。

掴むことができたなら、ボロボロの体に出せる全力で握りしめるだろう。

タマモ > 何度、地面へと打ち付けただろう。
痣や擦り傷の増える、そんな姿に、つい少し力が篭る。
そうなれば、ついには血反吐を吐き出してしまう。
そろそろか…そう思うも、睨み付ける瞳、己に触れようと伸びる手が視線の中に入れば…

「………まだ、大丈夫そうじゃな?
ほれ、死ぬには早過ぎるじゃろう?
そんなお主に、一つ問うてやろうか」

その言葉と共、叩き付けると同時に、やっと手が放された。
掴んでいた手が離れ、その体は地面をバウンドするだろう。
その為に、伸ばす手は空を切る事となるか。
改めて、側へと歩み寄り、見下ろす。
そうしてから、続く言葉を掛けるのだ。

「誇りと共に死を得るか、それとも、生に縋るのか。
選ばせてやろう」

ナカム > 外套から手が離され、土の上に崩れ落ちる。
背中が鈍く痛みを訴え、肺は突き刺すように熱さを伝える。
息をするのと同時に血液が喉を逆流する。

「ゴホッゴホッ………!」

その様子を少女がどう思ったのか質問をされる。
誇りある死か、無様な生か。
そんなものはもう決まっていた。

「生、き、る。
生きたい、死にたくない。
だから、みっともなくても生き続ける」

呼吸もままならず、血を吹きながら、少女の顔を睨みつける。
とうに四肢は限界でピクリとも動かない。
だからどうした。

諦める気はない。必ず、その喉元に喰らいつく。

タマモ > その答えは、大体の予想は出来ていた。
分かっている答えならば、その続きも、決まっているようなものだ。

「………なるほど、生きたいか。
みっともなくとも、生き続けたいならば…
妾を、もっと楽しませる事じゃな」

睨み付ける男に向け、指先を向ける。
その指先が、ぽぉっと薄く輝き、宙に何かを描くように動く。
何かの陣であるのは、それを見ていれば分かるだろう。
最後に、描き終わる陣に、ぴっと指を添えるように触れれば、それはゆっくりと消え去る。

強力な呪縛だ、後は、男の意志力次第。
元々抵抗も至難だろうが、それを削ぐ為に、念入りに痛め付けた訳で。
掛かれば、その身は少女の好きに操れるようになるだろう。
掛からなくとも、動きを阻害する程度の効果はあるもので。

どちらであるのか、それは、言葉にせずとも感覚で分かるが、さてはて。

ご案内:「九頭龍山脈の麓を通る街道(過激描写注意)」からナカムさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈の麓を通る街道(過激描写注意)」からタマモさんが去りました。