2018/07/11 のログ
ご案内:「路地裏(過激描写注意)」にツァナさんが現れました。
ツァナ > 幾度か人に出会った。幾度か信じる事を知った。
…幾度も、迷う機会が有った。
それでも。生きる事は変わらない。生きる上で…果たすべき役割も。

「くは。ッは――ァ、は、ぁ……ふは…はァ……」

此処まで全力で駆けてきて…逃げて来て。息が荒い。
とはいえ、座り込んでしまう事も出来ず。壁に凭れるようにして、少しでも息を整えようと。
…つい先程だ。
富裕地区ですれ違い際に男を刺した。
確か相手は、軍に武器を卸す大手の商人。
もしかすればその男によって売られた武器が、仲間達を殺したかもしれないと。
一瞬の機会でしかなく、事後を確認する余裕もなく。
相手が死んだか、それとも怪我で済んだのか、それも確かめようがない。
それでも。確かめる為に戻る訳にも、追われる危険を冒すワケにもいかなくて。
気が付けば王都の端っこ辺りまで…随分逃げて来たらしい。

「…これじゃ、ダメ、だな……」

休みたい。食べたい。食欲と睡眠欲を満たさないと、今にも倒れてしまいそう。
頼れそうな場所を思い浮かべたものの…首を振った。
血に濡れて。紅く染まって。こんな恰好で、幼い子供達の前になど出て行けない。

ご案内:「路地裏(過激描写注意)」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 貧民地区、路地裏。廃屋街をねぐらとする少年にはもはや馴染みと言った通り。
ゴロツキや、ヤク中、死体、いろいろとここには転がり込んでくるが
自分にはほとんど関係のないものだ。
今日はやけに静かなものでひとっこひとり……
いや、壁にもたれかかる…人影…?
見たところ小さく、少年少女と言った風体か。
風に乗って流れてくるのは血の臭い。

「………なんだ?」

警戒しつつ歩み寄る。
荒い呼吸、もたれかかったまま…どこかしら精気のない顔。
ボロをまとってその手には…血のついた刃物。

ツァナ > 「……っ、ぁ。…あれ…?」

しまった。と。最初に思ったのはソレだった。
その相手は、一体何時の間に近付いて来たのだろう。
誰かの接近にも気がつけない程。自分は動転していて、憔悴していて…
何より、疲弊していたのかもしれない。
…人影は。そんなに大きなモノではない。
フードを被った姿形に、こんな場所…ロクでもないモノが山程存在する貧民地区の路地裏に、
慣れているとでも言わんばかりに、臆する素振りを見せない仕草。
……なんだろう。何とも言えない、違和感めいた物に。首を竦ませるようにして。

「…危ない、よ?私と、居たら、捕まっちゃう。
それとも。捕まえに、来た、人…?」

ブレイド > 「あれって…別に身を潜めてたわけでもねーんだ
それとも見えなかったか?」

それくらい疲れているのか…はたまた、集中力を欠いているのか。
声を聞けばおそらくは女性。
そして血は彼女のものではないことがわかる。
新しい血の雫が落ちていないから…ということは、壁に持たれているのは
純粋に疲れているのか、それとも別の理由か。

「なんで捕まるのかもわかんねーし、捕まえる理由もねーけど…
こんなところでそんな弱った感じで突っ立ってると、ゴロツキどもに犯されるぞ?」

やや呆れたように手を差し出す。
犯罪者かなんだかわからないが、自分に警告を出すくらいだ
悪人…のようには思えない。

「とにかく、歩けるか?もうちっと目立たねーところいくぞ」

ツァナ > 「…見てなかった。」

正直に、周辺への不注意を告白してしまった。
我ながら不用心だとは思うものの。何となく、口を着いてしまったから仕方ない。
確かにこんな場所では、警邏や官憲にとっ捕まるという事よりも、
怪しい連中の方が危険かもしれず。
否定しようもない正論に、頷かされて。

「それなら。それ、なら、今から。気をつける――
って、え、その。…何で……?」

関わると危ない。そう言っているつもりなのに。
逆に心配されてしまったのか、目の前に手が差し出されていた。
フードから覗く、顔の下半分。ぽかんと呆気に取られて唇が開きっぱなしになり…
数瞬で、引き結ばれる。
そう遠くない路地の向こうが、騒がしくなる。
幾人もの足音が駆け回って、近付いてくる。

「――、っ。~~~ッ…!」

きっと、追っ手だ。
そう考えれば、迷っていられなくなった。
差し出された手に、ぎゅ、と。縋り付く様に掴まって。

ブレイド > 「不注意もいいとこだぜ。逃げてきたとか追われてたってなら特にな」

疲れ切った様子だったから仕方ないとは言え
ここまでよく逃げてこれたものだ。
そこまで必死だったんだろうとは思う。思うが…
こんなところで弱ってる人間など、ただの食い物。
特に女は。

「今から…いや、いいけどよ。
とりあえず……」

言葉を続けようとした矢先
少し表通りが騒がしいか。別の路地でも足音が聞こえる。
明らかに複数の人間が固まって動いている…つまり、誰かを探している。
そして…目の前にいる少女。
捕まる手を引き寄せて

「歩けるか?歩けねぇなら運ぶ。
とにかく近くの廃屋にちょうどいいとこがあるから…」

説明もそこそこに相手の状態を確認する。
歩けるようなら手を引いて、歩けないようならば抱き上げて
彼女と件の廃屋へ潜り込むだろう。

ツァナ > 「此処までは、頑張ったんだ、ケド…
ちょっと、休んだら、色々。回復する、から。多分。」

勿論。世の中の危険や暴漢が、そう都合良く待っていてはくれないだろうから。
最初に見付けて、声を掛けてきたのが、この相手だったのは。
幸運だったのかもしれない。
少なくとも、話の通じる人物でもあるようだし。
差し出された手に掴まった、直後。

「と、と、わ。待って、ちゃんと歩け…る……歩く、からッ…」

さすがに。この状況で、知らない人に、抱き抱えられてしまうのは。
不用心所の話ではないし、それと同時に、こっ恥ずかしい。
最初はふらつく素振りもみせるものの。
歩き始めれば、直に。体力ではなく、調子の方が戻って来るのか。
何とか遅れる事なく連れられて、目的の場所まで辿り着けそうだった。
…もっとも。

「っはァ、は――ッ、ふは……ァ…着いた…?此処……?」

到着すれば、それはそれで。
余計に疲れたと言わんばかり…今度こそ。
膝が崩れ、その場にへたり込んでしまうのだけど。

ブレイド > 「馬鹿だな。逃げるならコースも考えろって…
ここでゆっくり休めるわけねーだろ」

薄暗い路地裏だが、誰の目が光っているかわからない。
力尽きれば人にさらわれ弄ばれるならまだしも
野犬の餌にもなりかねない。

手を引きつつもたどり着いたのは、2階建ての廃屋。
自分が家代わりにしている廃屋とはまた別の廃屋ではあるが
二階にこもれば時間は稼げるだろうし、自分が顔を出せば
探索者たちもごまかせるだろう。

「なんてこたーねー、ここいらではましな廃屋ってとこだな。
ベッドもあるだろ。まーなんだ…とりあえず…」

自分の武装を外す。腰のホルダーを床に落とし両手を広げて見せて。

「その物騒なもんは置け。あと、これ」

自分の道具袋からは水袋。
声の調子、到着した直後の様子から疲れ切っていることだろう。
彼女に差し出す。

ツァナ > 「この辺?ぁー…うん、この辺、良く、知らなくて。
危ない、トコ、なのは。…分かるけど。
それでも、兵隊とか居ない分、マシかなって。」

要はそういう手合いに追われていたと、無自覚にカミングアウト。
一度へたり込んでしまうと、なかなか立ち上がれそうにない…
改めて、疲弊していた事を自覚する。
肩が弾む荒い息は、まだ暫く収まりそうになく。
指し示されたベッドの存在に、コクコクと頷くものの、其処まで移動するのは…当分先になりそうで。

「…………それ、は…」

迷った。本当に、ナイフを手放して良いのか。
相手が、先に得物を手放してみせて。それが無ければ、ずっと握り続けていたかもしれない。
ゆっくり、ゆっくり。指一本一本を、柄から引き剥がしていく素振りは。
血が固まり、へばり付いてしまったから、なのだろう。
どうしても置き場に迷う、血の着いた侭の刃物を。
これなら公平だと思ったのか、相手の得物と同じ場所に置いてから。

「え。え……ッ、良い…の?それ、良いの……?」

続いて差し出されたのは水だった。
確かに空腹なら何とか耐えられるが、それ以上に、渇くとヒトは生きられない。
問い掛けておきながら、殆どひっ手繰るようにして、水袋を手に取り口を着け。
喉を鳴らし、口元を濡らし…噎せそうになる程の勢いで、足りない水気を取り込んで…から。

「くは、っ、げほ――ッ、かは…!
ふ――ッふ…ぅ、くふ……ぅ………ァ。は…ぁ……
ぁ…ー…いっぱい、飲んじゃ…った、…ケド。
………返せない、よ…?私。えっと…」

実に今更。床の上から、首を傾げ、相手を見上げて。

「えぇと。そう、その。…なんて、呼んだら、良い?」

ブレイド > 「兵隊…ね。盗みだか殺しでもしたのか?
いや、いいけどよ。
オレに『危ないよ』なんて言えるやつだ。ほっとくわけにもいかねぇ」

おそらく誰かを刺したのだろう。
どういう経緯かはしらないが。
相当足に来ているのか、疲れもピークと言った感じで
よくここまでもったほうだろう。
行き倒れててもおかしくなかった。

「手、洗えよ?血まみれじゃ気持ちわりーだろ」

水袋の中身がまだ残っているなら手拭いも差し出す。
濡らして血を拭えという意図で。
柄まで濡らして指にへばりついた血。
だいぶ深く突き刺したようだ。だいぶ憎い相手であったのか。

「ったく、落ち着けよ。
別に返さなくてもいいっての。
水なんて井戸や水汲み場でいくらでも…あ、水袋は返せよ?
あと、メシは食えるか?何日も食ってねーなら……パンを水で柔らかくして食えよ」

水を渡してこの様子なら、食事もままならない状況だったのだろうと推察できる。

「ブレイド。ブレイド=エッジ。冒険者だ。
てめーは?」

腰を下ろし、少女と視線を合わせると、金の瞳が見えるだろう。

ツァナ > 「まぁ、うん。…そういう、カンジ。
…良いんだ。そう言っちゃう、ヒト。この街だと、意外、かも。
えー…と。そりゃぁ、刃物って、危なくない?」

勿論、そんな刃物を、振り回し、剰え人を刺したばかりの危険人物も。
それに対して、こうも冷静な対応が出来て。オマケに、同じように武器を携帯していた人物だ。
ひょっとすると、相手も相手で、危険人物なのかもしれない。
今更そう考えるものの。目先の潤いには勝てなかった。
それこそ倒れる寸前だったから。
指摘されなければ、確かに、血を洗い流す、証拠隠滅など思いも付かず。
袋の中身を全部飲み干していたに違いない。

「ンく……んっ、ん……ン…?
くふ、ァ。…ありが…と。」

(的確な指摘にか、水その物にか。…両方か。
手拭いを濡らし、手を拭いてから。ローブの中でごそごそと動く素振りは、中身も拭っているのだろう。
其方にも血が飛んでいる、という辺り。傷の深さだけでなく、実に忙しない現場だった、という証。
紅く染みた手拭いを畳み直し、まだ血濡れていない面を表にしてから。
ふと、手が止まる。)

「でも、コレとかは、洗って返す…ツモリ、だから。
流石に、消え物は兎に角。あー…あぁう、ン。
このカッコじゃ、流石――に、ご飯、食べに行ったら。迷惑だし…」

(アテはあっても、それをアテにしてはいけない。
なので、食事についても彼の推理は正解だった。
何とかしよう、そう、頷きつつも。まだ、手を止めた侭なのは。
顔を拭く…フードを下ろす、それを躊躇っている為に。

「ブレイド。ね。……うん。覚えた。
私は、ね。…ツァナ。……ただの、ツァナ。」

(それ以上は名乗りようがなかった。まじっと、金色を見返す瞳は。
色こそ違うものの…きっと。良く、似ていて。

ブレイド > 「あそこでオレにも斬りかかってきてりゃそうでもねーけど
アンタはそうじゃなかっただろうが。
むしろ、オレを気遣ったくらいだ。なにがあぶねーんだよ」

むしろ不思議そうに眉をひそめる。
相手にその気がないなら刃物が危険ということはない。
つまり、ただ楽観的に少女が困ってるからというわけではなく
危険はないと判断したから彼女を助けたのだ。
血に染まっていく手拭い。
血の汚れは洗っても多分落ちないだろうし…手拭いでローブに染み込んだ血は落とせないだろう。

「べつにいいっての。手拭いはそのままよこせ。処分すっからよ。
あと、水も食いもんも気にすんな。気まぐれで助けただけだしよ。
それに、暫くはおおっぴらに外も歩けねーだろ」

今は大丈夫だからと言って、次の日そとにでればそりゃつかまったっておかしくない。
お返しだの何だののために捕まったんじゃ助けたかいもねーと言って笑う。

「ただの、か。なんか事情があんのかしらねーけど…
ツァナか。そのローブももう使えねーな。
オレのマントでも使え。代えはあるしな」

自分のフード付きマントを外す。
そこには黒い猫の耳と尻尾。ミレー族の証。

ツァナ > 「それはそう…なのかな。…そうかな。
後は、その、ほら。…一緒に居たら。
疑われたり、捕まったり?」

そういう可能性は少なくないだろう。
特に最近の兵隊さんは…というより、軍隊その物が。
色々とピリピリしているらしいから。
だから、有る意味。一緒に逃げるという選択肢が、一番の正解だったのかもしれない。
どうやら手拭いの方も、どうしようもなさそうだ。
返せる物は思い浮かばず、何もかも借りっぱなしか、貰いっぱなし。
隠れ家その物に関しても、だ。
お陰で何とも困った顔になってしまいつつ。

「まぁ、うん、うん。…食べ物無いし。お金も無いし。
で、その。…仕事もない。だから、ただの。」

何だか。言ってて情けなくなってきた。
勿論それは仕方がない事ではあるものの。
溜息を吐いてしまい、ますます脱力する侭に。
それでも僅かに身を乗り出したのは。見上げた瞳に、既視感を抱いたから。

「そんな、に。…そんな、いっぱい、貰う――のは。
返しきれなくって、その、何だか。…だから……ぁ、-…」

(息を飲んだ。相手のフードの下に有ったのは。
思った通りの、年若い少年の姿であり…そして。
もしかして、と感じたような。同じ、ミレーの証を宿した姿なりだった。
しげしげと見上げてしまう。その瞳から、髪へ、更に上の耳へ。
視線が、顔が上がりきれば。此方のフードも、頭の後ろに滑り落ちた。
薄汚れた銀灰色の。猫の耳が、髪が、零れて落ちる。

「……おんなじだ。…おんなじ、ミレーの、人、……だ……ッ…」

ブレイド > 「んー?そんときはいくらでも言い訳できるからよ
ま、そこは気にしねーでいいことだ。
お前を捕まえたから護送するって言っときゃ引き下がるって」

こう見えても冒険者であり王国軍第五師団の客分でもある。
その立場を使えば一緒に捕まる…ということはないだろう。
返り血を拭い終えた手拭いを返してもらえるのであれば道具袋にしまう。
後で燃やしてしまおう。

「そっか…。なら、ただのじゃねぇよ。
卑下する必要もねぇ。
そんな状況だってのに、オレの背中を刺さなかっただろ」

食べ物も金もない。そして、自分は完全に彼女の手を引いているときに背を向けていたのに
何もしなかった。
そんな彼女が自身を卑下する必要などない。

「返してほしいなんていってねーよ。
やる。お返しなんざいらねーって。
まぁ、善意ってわけでもねーけど…さっきも言ったけど気まぐれだ」

なんだか、雰囲気というか…似たような匂いを感じたというか。
理由づけするのは簡単だが、やはり、何となくというのがしっくり来る。
こちらがマントを差し出せば、彼女はまじまじとこちらを見ている。
珍しいのかと思えば…外れたフードから同じような猫の耳が溢れる。

「……なるほどな。なんとなーく助けたくなったのはこういうことかもな」

ツァナ > 「え。ゑー…もしかして。
ブレイド、って。…偉い人とか…
じゃなくても、兵隊とか、そっちの、仕事。してる…?」

冒険者と言っていたけれど。
戦う事も生業になるのなら、関わっているのかもしれない。
今になって、ぎくりと身を震わすものの。
…捕まえて突き出すつもりなら、先程既にそうされていただろう。
何より、相手が同じミレーだと知れたから。
念には念を入れて疑う事は、やめたのか。手拭いと水袋を差し出す手に、おっかなびっくり、のような気配は無く。

「……う…ん。ありがと、う。
其処は、何ていうか。…何というか。
約束というか、な。
唯でさえ、悪いコト、してるから。…それ以上の悪いコトは…
関係無いヒトまで、巻き込むようなコトは。
やっちゃったら。…私が、私を、赦せないし。」

詰まる所、自分自身の為だ。優しさでも正しさでも何でもない。
ワガママを褒められるというのは、照れ臭い、としか言い様が無いのか。
ようやく見せた面持ちが、僅かに横へと逸らされて。小さくなる声音。

「その、気紛れに。助けられたんだけど、ね。
…一宿一飯の、恩義って。…ホントは、忘れちゃ、ダメなんだけど。
……あ。あ、そうか。カラダで、返したら。
…働いて、返したら、って。…言われてた……」

思い付いた、と手を叩く。
以前、別の人物に食べ物を分けて貰った時。…約束を交わした時。それと同じように。
言い方が何とも怪しいが、何、肉体労働イコール体を使う事だから。
多分、間違っていない。

「にしても。……だから、かな。
何だか、安心、しちゃったの」

同じ種族の。だが、囚われの身でも家畜の扱いでも…まして、テロリストとして追われるでもない、
真っ当に身を立てているらしいミレー族の姿。
見つめ続ける瞳は、徐々に精彩を取り戻す。…感心というか、感動というか。
そういう色まで含みつつあるのだが。

ブレイド > 「たまに手伝い程度にな。
まー、心配すんなって。
何したかもまだ聞いてねぇし、聞いたとしても、オレにかんけーねー事なら
別に捕まえようなんざ思わねーよ」

自分の知り合いを刺したと言われればそれは黙っていられていないが
知らない人間が刺されたのなら、貧乏人だろうが貴族だろうが知ったことじゃない。
こちらも相手がミレー族と確認できて安心したのか
次は道具袋から携帯食料やらを取り出して、手拭いと交換に渡す。

「極限状態でそう考えられるなら悪いやつじゃねーってことさ。
てめーが暗殺者だろうが怪盗だろうがな。
この街じゃ、平気で騙して奪ってしてる奴らがいるし
むしろ偉いやつほどそういうやつが多いんだしさ」

少女のわがまま。そうだとしても、この街に染まらない
そう決めてここへやってきた自分とダブって、微笑みを浮かべる。
悪行に手を染めても簒奪者にならない彼女に、むしろ好感を覚えた。

「ばーか。体で返すなんて簡単に言うもんじゃねーっての
どういう意味かわかってんのか?ただ働いて返すとかあめーこと考えてんのか?
オレがスケベなやつだったらそれこそカラダをいただいてたとこだぜ?
気まぐれは気まぐれなんだから気にすんなって」

ひらりと手を振り、今度はこちらが照れくさそうに。
ミレー族…同じ種族の少女の視線も少しばかりくすぐったい。

「で、怪我とか…してねーな?」