2017/04/30 のログ
ご案内:「タナール砦・外周」にクルエルさんが現れました。
■クルエル >
「───…っは」
眠っていた、そして喧騒で目が覚めた
もう何度目だろうか、人と魔族の小競り合いは今日も
「(今はどっちが勝っているんだろう)」
ぼんやりとした目を擦り、立ち上がる
そして歩こうとして、ずべんっと転倒し顔面を強打
「…あぁ、そういえばそうだった」
右足に残るトラバサミ
罠にかかって逃げれないまま、誰も来ないから寝ていたのだ
■クルエル >
やれやれ、とその場に座り込む
喧騒は続いている
それでも少し静かになってきただろうか?
どちらかが優勢に傾いたのかもしれない
「(跳ね飛ばされた剣とか斧とか落ちてこないかな)」
落ちてくればトラバサミを破壊
もしくは脚を切断して逃げることが出来る
再生に時間がかかる性質だがこのままこの場所でトラバサミと添い遂げるよりはいい
…大声で助けを呼ぶのも、なんだか魔王らしくないし
■クルエル >
辺りは少しずつ静けさを取り戻してゆく
今日も闘いが終わるのだ
闘いが終わるということは
「(今日も適当な武器が落ちてきたりはしない)」
困ったことである
大体こんなところにトラバサミを仕掛けたヤツは誰だ
どうせなら即死するような罠にすべきなである
こんな動きを封じるためだけのような
「…となると、人かな」
ふむ、と座りながら考えた
人を捕まえたい魔族はそう多くない
逆に、魔族を捕まえたい人は多いと聞く
何に使うのかは知らないが、きっとえっちなことだろう
■クルエル >
「……他にもあるのかな」
くるりとまわりを見渡す
が、見当たらない
さすがに罠は視認しづらいところに仕掛けてあるのだろうか
「仕掛けたわりには回収に来ない…つまり普段砦に出入りしてる人間の兵じゃないな」
ふむふむ、とぷろふぁいりんぐを続ける
暇なのである
ご案内:「タナール砦・外周」にメンシス・パールさんが現れました。
■メンシス・パール > 「クソ…」
一般的に、クレイモアと呼ばれている両手剣を引きずりながらタナール砦の外周を歩く。
先ほどまで人間と魔族の雄叫び、武具がぶつかり合う音、肉が引き裂かれる音が鳴り響いていた戦場とは打って変わって
こちらは魔族が制圧したと見て放置した場所なのだろうか。やけに静かだ。
状況は既に人間側の敗北が確定している。
となれば、わざわざここで命を失うことはなく、ただ逃げりゃいい。
タナール砦の攻防戦が高額だと思って依頼を請けた自分がバカだった。
「まぁ、いい。ここまで来りゃ…あ?」
外周を歩いていれば、ふと地面に座り込んでいる褐色の存在に気付く。
肌の露出が激しく、目の色調などを見る限り魔族なのだが…
何故だろうか。トラバサミが足にくっついている。
■クルエル >
「……ん」
聞こえた足音と声に、そちらへ視線を送る
……人間、のように見える
携えた剣から、剣士にも見えるが兵士には見えない
戦場で稼ぐ傭兵といったところか
そしてこちらも傍目からは魔族の少女が人間の罠にかかってるようにしか見えない
それは少し悔しいので、魔王らしい口調でこう…
「人間か、罠から助けてくれても恩返しなどにはいかないが、
助けてくれてもいいし、見なかったことにしても許してやる」
とりあえず(本人敵には)やんわりと困ってるアピールをしておく
■メンシス・パール > 眉間に皺を寄せてその生命体を凝視する。
何故トラバサミを付けているのだろうか。アクセサリーの一種なのだろうか。
だとしたらこの魔族はとんでもなくファッションセンスが…
などと失礼なことを考えていたら、その魔族から声が掛かる。
「あ?」
眉間の皺が更に深まり、怪訝の表情を浮かべる。
助ける?という事はファッションではなく本当にトラバサミに捕まったのか?
普通の魔族なら容易に突破できるそれに本当に捉えられている様子を見るに、彼女は他の魔族とは違うのかもしれない。
そんなことを考えながら彼女を見れば、突如として全身が震え出す。
「ぷっ…ははははは!!
あーははははは!!!」
彼女の状態と今の状況を改めて整理したら笑いが堪えきれずに遂に吹き出してしまう。
静かなその場所ではより一層、彼の笑い声が響き渡るだろう。
■クルエル >
「おい、何を笑ってる。
早く外すかそうでなければどこかへ行け」
ほんの少しむすっとした様子で見上げる
がちゃんがちゃんとトラバサミの鎖を揺らして講義
深く足首に刃が突き刺さっていて血の跡もあるが、別段痛そうにはしていない
本気を出せばこんなチャチな罠
…まぁ非力なクルエルには外せないのだが
■メンシス・パール > 「何をって…てめぇが馬鹿らしいから笑ってんだよ」
ムスッとした様子で見上げる彼女に未だニヤ付きながらそう返す。
笑い過ぎたせいか涙が少し出てきてしまい、それを拭いながら座り込む彼女と視線の高さを合わせる。
トラバサミの様子を一瞥すれば、笑顔を消して彼女を見据える。
「別に助けてやってもいいんだけどな、しっかりとした頼み方ってのがあるだろ?
人に何かをして貰いたいときは敬語だよな。ん?」
気安く彼女の頭をぽんぽんと触れば、卑し気な笑顔でそう告げる。
普通の魔族ならば助ける気など毛頭ないが、彼女の態度は少し気に入った。
罠に掛かる魔族、そしてその魔族がここまで太々しいのも何だか珍しい。
■クルエル >
「馬鹿らしい……」
かちーん、ときたのかどうかは表情が変わらないのでわからないが
「恩着せがましい…。
人間の男はケチくさいな、ちょちょいとその背中の剣でコレを壊すだけの作業なのに、
わざわざ我に敬語で頼めなどとのたまう…驚きの器の小ささだ」
ぼそぼそと零すようにそう呟いて、再び見上げる
「ならば良いことを教えてやるぞ。
我は魔王クルエルという、我に力を貸せば何かしらお前にハクがつくぞ。
どうだ悪い話じゃあないだろう、さあはやくこれを外せ」
そんなよくわからないことをやはり偉そげに告げるのだった
■メンシス・パール > 「はっはっは!言ってろこのバカ!
魔族の癖に罠に引っ掛かる方がワリィんだよマヌケ!」
彼女の零す言葉を聞き漏らさず、頭に手を添えてぺチぺチと叩く。
品性の無い悪口を彼女へと言い放ち、満足気な表情を浮かべる。
満足気にニヤニヤと笑っていれば見上げた彼女からの魔王であることを告げられる。
「…魔王?ってーと魔族ん中で一番偉い存在の事か?
最近は魔王が多過ぎてどいつがどいつだか分かんねぇや…
っつか魔王だったら何の変哲もねぇトラバサミぐらい自分で何とかしろや」
偉そげな彼女の発言に顎に手を添えて冷静にそう呟く。
魔王の話は魔族を調べる上で散々聞かされたが、実際見たのは初めてである。
魔王クルエル。どっかで聞いたことあるようなないような…
少し考えた後に、「まぁいいか」と小さく呟いて彼女の方を見据える。
「箔だの何だのは分かったが、助けたら具体的に何をしてくれんだ?
魔王様を助けるんだ。それ相応の報酬を期待してもいいだろ?」
とここで意地汚さを見せるこの男。
彼女に助けることを仄めかしながら、報酬の話に移る。
やはり、冒険者というのは欲張りだ。
■クルエル >
「お前は人の頭を叩きながら出ないと会話もできないのか。
…具体的に?そうだな……」
顎に手をあててうーんと考える
これはある意味交渉材料だ、傭兵なら金だろう
しかしクルエルは金など持っていない
となれば名声か。やはり名声だ
「魔王クルエルと邂逅し生き延びたと吹聴してまわることを許そう。
それだけで凄腕傭兵としてひっぱりだこだ、やったな」
抑揚もない言葉、無表情のままにぐっとサムズアップして見せる
■メンシス・パール > 「んなわきゃねぇだろタコ」
ペチペチと叩いていた手を引っ込める。
考え込んでいる彼女を腕を組んで見守ること数秒。
彼女の返答が返ってくれば呆れた表情で眉間に皺を寄せる。
「ハッ、一国を滅ぼした魔王との戦いで生き延びたなら未だしも
害獣用の罠に引っ掛かったエセ魔王を助けた報酬がそれが?
もっとこう、報酬っぽい報酬はねぇのか?
金とか、金になりそうなもんとかよ」
鼻で笑いながらサムズアップする彼女の指を下げさせる。
そんな不名誉はお断りだと言わんばかりに断れば、金の話を持ち出す。
しかし、既に彼女が金を持ってないことを看破しているのか。視線は彼女の顔から身体へと移る。
■クルエル >
「そんなものはない。
金など魔王にせびるものではなく、その首にかかっているものだろ、
ふつーに考えて」
おつむが足りないのか?と、言ったように肩をすくめてははんと嘲笑う
交渉材料はどうした
「ふん、そんなことならもういいぞ。
砦の中に同胞の強い気配を感じた、今日の戦いは魔族の勝利だろう。
そのうち見回りに来る魔族にでもはずさせる」
ふい、とその顔をそっぽ向ける様子はどこかすねているようにも見える
エセ魔王はお気に召さなかったようだ
■メンシス・パール > 「普通に考えりゃな。
なんつーか、賞金首の一覧にてめぇの名前は…」
嘲笑ってる彼女にジト目でそう返す。
自信満々に無いと断言する彼女に何故だが潔さすら感じてしまう。
魔王ってのは強くても弱くてもみんなこうなのか?
「おいおい、そうカッカすんなよ。
今回は運が悪くて罠に引っ掛かっちまっただけで
本当は魔王らしい強さと品格を兼ね備えてんだろ?
それに、同じ魔族にこの光景を見られたらそれこそ変な誤解を生むんじゃねぇか?
『魔王クルエル様が罠に引っ掛かっていた』って…そんな噂御免だろ?」
そっぽを向ける彼女に近づき、肩に手を回す。
そして先ほどとは打って変わってワザとらしく彼女を褒め始める。
褒める理由としては、無視されるのは流石につまらないのと、彼女から利用価値を見出したからだ。
魔族に見られて~の件は、正直どうでもいいのだ。
■クルエル >
「わかっているじゃないか」
口の端をほんの僅かに釣り上げて振り返る
……ちょっとだけ笑っている、ように見えることもないこともないこともない
「そうだ、こんなところにこんなレトロな罠が張られているなど考えるわけがない。
我は自分自身が強力なな魔王というわけではない、勘違いするなよ。魔王としての能力はとっても凶悪なものだ。
お前など我が本気を出せれば一瞬でミンチのけちょんけちょんなんだぞ」
ぺらぺら饒舌に言葉が滑り出す
無表情気味なところと相まって、どこかアンバランス
「まぁ我は魔王達の中でもはぐれものだからな。
元々変わり者と思われているだろうからそれはどうでもいい」
■メンシス・パール > 彼女の言葉を笑顔で、それでいて恐ろしい物を見たかのような表情で聞く。
しかしさっきから表情が読めない。笑っているのか、笑ってないのか分からない。
が、こちらに視線を向けたということは少なくとも機嫌を直したという事だろう。
「あぁ、けちゃんけちゃんのぐちゃぐちゃのミンチは御免だ。
助けてやるからそれは勘弁してくれよ。魔王様」
色々とツッコミを入れたい所はあるが今は我慢。
饒舌になった彼女を煽てて、いい気分にさせる。
やはり、少し褒めればすぐこうなる、チョロい、と内心で思いながら口を開く。
「ともかく、俺はアンタを助ける。
でも、やっぱりこちらとしても報酬は大事だ。
しかし、魔王様は金も無ければ金に相当する報酬も無い…
であれば、その身体。肉体を俺の好きにするってのはどうだ?」
手をワキワキとさせ、いやらしい目つきになって彼女の身体を嘗め回すように見る。
よく見れば悪い身体はしてないし、こちらも前回からの行為から大分期間が開いていた所。
これぐらいは望んでよいだろうと卑しい笑みを隠さずに彼女に告げる。
■クルエル >
「?」
さて、自分の提示する報酬に納得がいった様子もない
なのに自分を助けようという男に首を傾げる
まあ、続いた言葉はちゃんと理解できるし納得のいくものだったのだけど
「なるほど、そういうことか。
少女性愛もちの冒険者とは思わなかった」
ぽん、と手を打ってみる
小さいながらも膨らみはある、背も小さいながらもまったくの幼女というほどでもない
下半身の肉付きもまぁそこそこ、ロリコンと言うのは勘弁してやろう
「ところでこの状態だとお前の好きにされてもたいして抵抗できないというのをわかってて言っているのだろうか?」
そう言って上目でもう一度見てやる
■メンシス・パール > 「ッ…ちげぇよバカ!
少女性愛じゃなくて少女もイケるんだよ俺は!」
ぽんと手を打つ彼女に対してそう言い返す。
が、何故だか変な反論になってしまい、第三者が居たとすれば更なる事案に繋がりそうである。
肉付きがもっと控えめだったら手を出さなかったかもしれないが…
「それは分かってる。確かに助けてやるが…それは報酬の約束をした事前提だ。
答えはもう大体わかってるが…改めて聞くぞ。
俺に助けられる代わりに、その身体、自由にしてもいいか?」
手に持っていたクレイモアをトラバサミに添えれば、改めて彼女にそう聞く。
体格差と上目遣い、そして先ほどの少女性愛という言葉を余計意識してしまい
目の前の女性に何を言っているのかと再確認しつつ、答えを待つ。
■クルエル >
「1回だけなら許そう、お前は人間のようだからな」
付け加えられた一言は、魔王としたの最低限譲れない部分なのだろうか
小さく、どこかおかしいこの少女も魔王が魔王たる考えなのは同じ
人間を敵視していることには変わらないようで
「これでようやくおさらばだ、世話になったなトラバサミ」
なんだかトラバサミに話しかけつつ、クレイモアの切っ先を見守る
■メンシス・パール > 「…あぁ、交渉成立だな」
付け加えられた一言をしっかりと聞き、クレイモアでトラバサミを砕く。
彼女の足に噛み付いていたそれは瞬く間に彼女から離れる。
ギザギザだった鉄の牙が離れれば、多少は出血するかもしれない。
「さてと、それじゃ早速移動するか。
ここでヤるのは流石に気が引けるしな。
魔族が来たら俺が襲われかねん。」
トラバサミを退けながら、立ち上がって彼女に手を差し出す。
流石に魔族の占領下と化した砦の近くで始める訳にはいかず、先ずは移動する。
足がまだ完全には治ってないだろう彼女に唯一の気遣いとして手を差し伸べる。
■クルエル >
「ふー」
足首からトラバサミが離れればやれやれと立ち上がる
傷跡からは僅かに血が滲むがそれほどではないようで
180cmを越えるであろう男から見れば子供のような身長、見上げなければ顔も見えない
なので見上げつつ
「なんだ、此処でシないのか?
まあついてこいというならついていこう」
僅かに目を細めたのは単なる面倒くさがりからか、呟きながら男の手をとって
■メンシス・パール > 「当たり前じゃねぇか。…とりあえず、行くぞ」
子供の自分と何十cmも身長差がある彼女。
彼女が見上げなければ見えないように、こちらも見下げなければ彼女の顔は見えない。
目を細める行為には気付かず、手を握り歩き出す。
「あぁ、そうだ。俺の名前はメンシス。
短い付き合いだが、まぁ…名前ぐらいは覚えておいてくれ」
思い出したかのように自己紹介をすれば、歩を進めていく。
途中で見つけた宿に一泊し、事を進めるが、それはまた別の話。
■クルエル >
「そうか、ならばちょっと待て」
何やらうーんうーんと念じると頭についている長大な角、
そして太い尻尾が何かの幕で覆われるように消えてゆく
これでとりあえず
……露出度が高いだけの褐色少女に見える、かもしれない
「では行こうか、ふむ。…メンシス」
名乗ってもらったばかりの名前を呼んで、先に歩むメンシスの後をついていくのだった
ご案内:「タナール砦・外周」からクルエルさんが去りました。
ご案内:「タナール砦・外周」からメンシス・パールさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山中(過激描写注意)」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 九頭龍山脈の山中、麓の付近。
山道から少し外れた場所に、少女は立っていた。
別に、何かをしていた訳ではない。
いつもの事だ、気が付けばここで目が覚めたのだ。
「ここは…ふむ…砦やら、集落やらがあった付近じゃろう」
木々の隙間から見える景色、それだけで、ある程度の場所は把握出来た。
その点は、普段出ている少女とはかなり違うところだろうか。
今、こうして自分がここに居る理由としては…気紛れの散歩か、何か用事があってどこかに向かう途中だったか、その程度だとは思う。
どちらにせよ…今、こうして自分が目覚めた状況では、どうでも良い事だろう。
■タマモ > さて、どうしたものか…そう考える。
せっかくこうして目が覚めたのだが、今は特に何かを喰らう気分でも無い。
暇潰しに嬲るにしても、近くには動物程度しか居ないだろう。
付近とは言え、砦も集落も、距離的にはそれなりにあるはずだ。
そもそも、自分から探しに向かうという手間を、掛けようとも考えてはいない。
「まぁ…呼び込めれば良い、程度でやっておくか」
何もない空間に手を伸ばし、そこから、一丁の魔法銃を取り出す。
軽くその先を上空へと向ければ、魔力を込め、撃ち放つ。
それは上空高くへと昇っていき…ぱんっ、と爆ぜる。
この付近で喰らった相手から得た記憶の中にある、緊急信号らしきものだ。
まぁ、何かしら役割を与えられ向かった者達が使うもの、この付近にそういった者が来ていなければ、逆に怪しむものだろう。
仮に、そういった者がもし来ているならば…誰かしらやって来る可能性がある。
それ以外の者であろうと、今のは何事かと、のこのこと確認に来るかもしれない。
何事も無いなら無いで、また何か考えれば良いか。
そんな事を考えながら、魔法銃を空間へと戻した。
■タマモ > 軽く辺りを改めて見渡し、とん、と地面を蹴る。
軽々と身を翻し、それなりに高い木の枝へと移動をした。
生い茂る葉の中に身を隠し、上からも、下からも、己を確認し難い位置だ。
そこへと腰を下ろせば、そのまま、のんびりと待つ事にする。
…別に、探し回る相手が居たとして、それを驚かす為に隠れた訳では無いのだが。
ご案内:「九頭龍山脈 山中(過激描写注意)」にメンシス・パールさんが現れました。
■メンシス・パール > この周辺の地理を知るためという事でやってきた九頭龍山脈。
ここはやれ山賊やら魔獣やらが多いと聞くが、未だにその様な邂逅は無い。
別に危険が無いならないで嬉しいことなのだが、せめてどの様な魔獣が住んでいるかの把握を身をもってしたかった。
「しかし、散歩のつもりで来たんだが…」
予想以上に山の規模が大きい。
油断したら麓でも遭難してしまいそうだ。
気まぐれの散歩でそんなことになるなんて御免だと舗装された道を歩き続けていれば…
ぱんっ
上空から爆ぜる音が聞こえ、そちらに注視する。
破裂音のようなそれに眉間に皺を寄せる。
今の音は何だ?魔法を放った音か?それとも何らかの機械を用いて発生させた音か?
音は上空から聞こえてきた。と、考えれば攻撃のためではなく……と長ったらしい考察を数秒に収め、そちらへ歩き出す。
興味本位に、しかして警戒心を強めながら。
■タマモ > 枝の上で待つ事少々、近付く存在を逸早く感知する。
自分にとってはそう難しい事でもない、周りで聞こえていた動物の起こす以外の音を聞き取っただけだ。
先ほどの音に反応したのだろう、やってくるのは、ミレー族か、人間か…はたまた、それ以外か。
歩みの速度を考えると、やはり、警戒は強めて来ているらしい。
ともかく、音に耳を傾けたまま、近くにまでやって来るのを待つだけだ。
その相手がもう少し進んできたならば、小さく開けた空間に辿り着くだろう。
特に何かある訳でも無い、ただ、空間が広がっているだけだ。
■メンシス・パール > 「音の発信源…の真下はここか」
警戒心を高め、その小さく開けた空間に入っていく。
特に目ぼしい物や人物は見当たらずに本当に空間が広がっているだけだ。
となれば、先ほどの音はただの悪戯か、魔法や道具を何らかの理由で弄っていた者の仕業か…
「待ち伏せか…」
小さくそう声を発して、背中の剣を抜く。
使い慣れた両手剣を右手だけで持ち、ぐっと柄を握る手に力を込める。
深呼吸をして、周囲に気を配り、音に集中する。
周囲から丸見えのここは場所としては圧倒的不利であるが
今は無理に動かず、居るであろう相手の動きを待つ。
■タマモ > 視界の中に入ってきたのは、人間の男だった。
あの様子から、集落の人間という訳でもないだろう。
となると、この付近に何かしらの用事でやってきた冒険者とやらか。
少女の表情に、笑みが浮かぶ。
少なくとも…最近会った者達よりも、楽しめそうだ、と。
「待ち伏せなんぞ、する程の相手でもあるまいて…のぅ?」
声は、男から見て上から掛かってくる。
それに反応して見上げれば、木の枝に座る少女の姿が見えるだろう。
まぁ、人間でないのは、ぱっと見で分かるはずだ。
相手がどんな反応を見せようと、気にする様子はない。
そのまま、結構な高さの木の枝から飛び降りる。
着地の寸前、ふわりと身が浮かぶような変化を起こし、音も無く着地をした。
■メンシス・パール > 「!」
上から降りかかってきた声。
それに反応し、声の方へと視線を向ける。
視線の先に居たのは、木の枝に座る少女であった。
しかし、格好が普通の少女のそれではない。
まるで狐のような耳と九本の尻尾。
それに先ほどの言葉遣いといい、こいつは…
「ふぅん、となると何か?他に林に紛れ込んでる奴は居ないって認識でいいんだな?」
木から音もなく、優雅に降りる彼女を見据えながらそう聞く。
今の所作で分かる相手の力量。
内心に生じ始めた動揺を隠しながら、その相手に向き合う。
■タマモ > 「おや、心拍数が上がったようじゃな。
感じておるのは、驚きか?焦りか?それとも…両方かのぅ?」
普段を知らぬ相手にとっては、今の張り付いたような笑みが、この少女の普段のものと感じるだろう。
言葉、雰囲気、それから感じ取れるのは、油断なき余裕。
構えるような姿勢も取らず、無防備の姿を晒す。
「ここまで来たのじゃ、そんな事は教えずとも分かるじゃろう?
動物以外はお主しか居らん、つまらんものじゃった。
じゃが、これよりは、少しは楽しめる事を期待したいものじゃ」
軽く肩を竦め、ふぅ、と溜息。
が、顔を上げれば、向けられる瞳は真っ直ぐに相手を射抜く。
言葉から、ただでこの場を収めるつもりはないと、感じ取れるだろう。
■メンシス・パール > 「…!俺の身体の事が分かるのか…!」
彼女の一言、それに明らかな驚嘆と動揺の顔を浮かべる。
ドキッと縄で心臓が締め付けられる感覚に襲われ、冷や汗が一滴浮き出る。
やばい、やばい感じがする。
今の会話だけで直感が告げる彼女の実力に、動揺が隠せず思考が鈍る。
落ち着け、落ち着け。
そう自分に言い聞かせながら深呼吸をして、相手を見据える。
「まるで狩りでも楽しんでいるかのような口ぶりだな。
今までの会話とか行動とかでてめぇの強さはなんとなくわかった。
てめぇの判断基準は分かんねぇけど…少なくとも、そこら辺の雑魚よりは楽しめるだろうよ」
溜息をつく彼女にそう告げる。
ここで断っても戦いは避けられない。
相手の能力が明確に分からない以上逃げる訳にもいかない。
であれば、戦うしかない。
■タマモ > 「急に心の蔵の鼓動が強まれば、状況も踏まえ予想は安易じゃろうに?
ふふ…ほれ、また強い鼓動が聞こえたぞ?速まっておるのも分かっておる。
少なくとも、相手の実力も測れぬ無知な雑魚とは違うようじゃのぅ?」
相手の反応に対し、何を当然な事を言っているのか…そう言わんばかりに答える。
そう、今までは己をまず見た時、その姿から油断をする者ばかりだった。
まぁ、それ以外では少々面白いものを見せてやっていたから、そういったものは無かったが。
そんな連中とは、明らかに違う。久々に…少しばかりは楽しめそうだ。
「狩りか…ふふ…狩りにもならぬような連中ばかりであった。
遊んでやらねば、一瞬で死んでしまうような者ばかりでな?
のぅ…お主なら、まともな攻撃の数撃程度なら、耐えられるじゃろう?」
両手を広げ、わざとらしく空を仰ぐようにして言葉を続ける。
確認をするような言葉、軽く首を傾げ見詰める。
こちらからは、何かするような気配はない。
それは、まるで相手から何か仕掛けてくるのを待っているようにも感じられるかもしれない。
■メンシス・パール > 「あぁ、お前からは魔王に似たヤバい匂いがプンプンする。
しかも可愛い見た目にとてつもねぇ力を内包したタイプ…一番厄介な奴だ。
お前がどんな攻撃をしてくるか、正直予想できねぇが…」
耐えてみせる。言葉を発さずに視線で相手にそう訴える。
相手は特に構えを取ることはなく、自然体でその場に立ち尽くしている。
もしかして、こちらが攻撃してくるのを待っているのか?
よく小説などで見かけるシーンだが、『最初に動いた方が負ける』って奴…ではないにしろ、先に攻撃するのは苦手だ。
こちらの攻撃を露呈させてしまう上に格上相手だったら避けられる可能性が高い。
しかし、しかしだ。相手が格上である場合は先手を打たれるのも痛い。
であれば、俺が次に取る行動の最適解は…
「それじゃ、行くぞ」
目の前の相手に掌を向けて、魔力を集中させる。
掌からは勢いよく水が噴出し、そちらへと向かっていく。
スピードも威力も大したことはなく、避けようと思えば容易に避けられるモノだ。
■タマモ > 「魔王…あぁ、そういえば、そんな者も居ったのぅ?
あの子のせいで、喰えぬ者もおったがのが残念じゃが…
まぁ、一言で魔王と言うても、上と下では雲泥の差があってな?
お主の言う魔王が、一体どの魔王を指しておるのか…のぅ?
ふふ…妾がどういった存在かは、色々と試さねば分からぬじゃろう?
もちろん、お主がどういった事をしてくるかも、まだ妾の知る事では無い」
相手がこちらの言葉に、仕草に、どんな事を考えているかは分からない。
普段の少女と違い、心を読む能力は無いのだ。
もっとも…そんな事は正直、どうでも良い。
こうして待ってやっているのに、何もしてこない相手。
このまま、ずっと向き合うつもりだろうか?
そんな事を考えていたところで、言葉が掛けられた。
「やっと動く気になったか…ほれ、来るが良い」
魔力を集中し始めた相手に、すっと片手だけを上げる。
喰らってきた者達のお陰で、魔力、更にその属性の感知も身に付けていた。
つまり…それが水である事は、前もって分かってしまう。
思っていた通り、相手から放たれたのは水撃、ただ、明らかにその威力は大した事がない。
自分が、どんな相手であるか、ある程度は分かっているはずなのに、だ。
軽く首を左右に振り、やれやれ、といった感じの仕草。
上げていた方の手で指を立て、こちらへと放たれた水撃へと向けられる。
「………舐めておるのか?」
ぽつりと呟く言葉、それと共に、ごぉっ!と轟音と共に、炎が相手に向かって噴出された。
それは、本来不利な属性であるはずの水をあっさりと蒸発させ、相手へと襲い掛かる。
…もちろん、こちらも手加減はしてある。相手が必死になれば、避けれる程度に。
■メンシス・パール > 「っ!」
こちらが放った水撃に対する相手の業火。
瞬く間に水を蒸発させてこちらに向かってくる炎に一瞬、気圧されるも直ぐに切り替えて必死に横に避ける。
すんでの所で炎は元居た場所を飲み込み、地面や後ろの木々を焼く。
「はっ、舐めてねぇよ。
そっちもちょっと油断が過ぎるんじゃねぇのか?
本気出せば、俺が回避も防御も出来ない攻撃をバンバン連射できるんだろ?」
相手の発言を拾い、またも水撃を放つ。
今回は相手に向かって連射する形ではあるが、狙いがブレブレで相手の足元、背後へ飛んでいくものが多い。
しかし、相手を見据える視線は至極冷静で、動揺していることは微塵も感じられない。
■タマモ > 何とか業火を回避する相手に、まぁ、それは当たり前だとは思っている。
立っていた地面は焦げ、背後の木々には火が移り、燃え始めた。
「そうか、ならば…お主の得意とする魔法の前置きじゃな?
水を伝い威力を増すのは…凍結か、雷といった感じじゃろう。
言うたじゃろう、お主には妾の攻撃を数撃は耐えて貰わねば困る、と。
もちろん…妾の攻撃も前置きのものじゃ」
すぅっと目を細め、必要もない己の予想を相手に語る。
相手の攻撃は、あえて気にしない。
代わりに、真っ直ぐに前に向けた指先が、くるりと回された。
こちらにばかり集中せず、周りにしっかりと意識を相手がしているならば…
ぱちぱちと木々の焼け音が、異常に早く周りへと広がっていくのが聞こえるだろう。
もし意識をこちらから離し、背後へと向けたなら、すでに相手の背後は逃げ場の無い程に業火で覆われているのが分かるか。