2016/01/05 のログ
■テルヴェ > 「や、やぁだ……っ! 気持ちいい、きもちいいことだけしたいっ! へんなとこ、さわ、さわんな……で……っ」
脳髄を吸われるのは大変に気持ちが良い。まるで自分自身が一本の巨大なペニスになったように錯覚し、脳内の鈴口を吸いたてる触手に弄ばれる快感。
しかし同時に進められている記憶のサルベージ。失われた脳組織が別の何かで縫合され、仕舞っていたナニカへと深く深く侵入してこようとする触手の蠢きには、判断能力をほぼ失いかけたテルヴェにも漠然とした恐怖をもたらした。
かといって抵抗ができるわけでもない。理性が削ぎ取られ、子供のように駄々を捏ね拒否を訴える性徴前の声が色っぽく反響した。
………。
それは、魔族に飼われていたときの記憶。冒険者の胎から産み落とされてすぐ魔族の手に堕ち、強制的に第二次性徴直前の身体まで生育させられ、人格を育まれることもなくただひたすら「家畜」と「苗床」として酷使されていた。
今日テルヴェに植え付けられたのは、スライムの核。それはテルヴェの尿道を滑り落ち、前立腺にたどり着くと、体内の水分を吸い取って急速に成長を始めた。
「あ゛ーーっ♡ ひあああ゛あ゛あ゛あ゛あーー♡ んあーーーー!」
理性も知性も感じさせず、ただひたすらやかましく本能のままに喘ぐ姿はまさに家畜。
しかしその鳴き声さえも、苗床化して1時間もすれば響かなくなった。この時点で、テルヴェの陰茎や肛門はもとより、口、鼻、涙腺、乳腺、臍、一部の汗腺に至るまで、スライムを産み落とす排出口と化していたのだ。
檻の中でのたうち回りながら、ごぽごぽと骨格を震わす音を立てて透明な粘体を産出し続ける肌色の肉塊。
胸は第二次性徴途中の少女のごとく淡く膨らみ、その突端についた雄乳首には2cmほどの穴が穿たれ、ほんのり乳白色のついた粘液を絶えず垂れ流しては地を濡らしていた。
腹も妊婦のごとく膨らみ、突端では乳首と同様に臍が空洞となり、これもまた粘体を放出。
さらにその下に刻まれた淫紋は煌々と赤く輝き、それを歪ませる形でぽっこりと腫瘍のごとく膨れている。
スライムの核が癒着した前立腺は本来の数百倍にまで肥大化し、淫紋の生命エネルギーを吸い取ってはスライムの生産を行い、一部はそのまま尿道へ、残りを血管やリンパ腺に乗せて全身の穴へと送っていた。
それはまるで全身を用いた、終わることのない射精。未熟な脳はとっくに思考をやめ、快感の波を記録するレコーダーと化していた。
………。
フラッシュバックするトラウマに引きずられ、テルヴェの精神と身体が変調をきたし始める。
小さな乳首が熱く勃起し始め、同時に乳腺が少しずつ開いていく感覚を覚える。じわり、とその先端に薄く白い液体が雫を作り始めた。
淫紋はその記憶と同じように煌々と輝きを増し、心臓のごとく定期的にその輪郭が蠢く。薄い腹膜の下で、前立腺が肥大化を始めたのだ。
尿道も直腸もすでにユルユルになっており、精液はとめどなく垂れ流し続け、尻に撃ち込まれた触手は熱く湿った大腸に深々と受け入れられ、触手の示すままに形を変える。
もはや、スライムの苗床と化していた時にテルヴェの精神は完全に退行していた。しかし、今のテルヴェにはその時の自らの体験を語るだけの理性と知性がかろうじて残されていた。
「は、はひっ♡ すりゃいむ……すりゃいむ様をっ……♡ テルヴェ、産んでます、産んでましゅぅ♡
身体ぜーんぶ、スライム様の巣になってっ♡ スライム様に、きもちよーくしてもらいながら、ぶぴゅぶぴゅ産んでるのぉ♡
おちんちんのおくがぁ……どくどくどくって、脈打ってぇ……全身にねばねばが溢れてぇ……さいこーにきもちいいれすぅ♡」
■洗脳師 > 記憶を読み取りながら、テルヴェの口から明かされる淫らな淫獄の過去。くつくつと面白そうに笑いながら映像を読み取っていれば、腸内を揺らすように犯しながら何かを考える様子。ふむ、と触手をくねらせて思いにふけると、何かひらめいたのか頭を犯す触手を切り離し、腸内からもペニスを引き抜いてテルヴェを解放する。最も、頭の中にはまだ触手が深く突き刺さ待ったままだが。
”今からその最高の絶頂を塗り替えてやろう”
突き刺さ待った触手からテレパシーのように声が聞こえる。その直後、ズボズボと脳の中でピストンするおとが響き、呪印のように何かが刻まれていく。全身の穴という穴を犯されるような感覚とともに、抵抗を許さない緩やかな絶頂が断続的に響くだろうか。
やがて、全てが終わえると再び声が響く。
”お前の中に新種のスライムの核を植え付けた。今からある言葉を言うたびに、お前は全身からスライムが吹き出して下劣な嬌声を上げながら狂っていく。理性は失い、”最高の絶頂”が訪れて苗床へとなるのだ”
ズボズボと脳内を犯しながら、念入りに呪印を刻んでいく。実際に、スライムの核を植え付けたわけではない、ただそれとまったく同じ感触を強制的に受けるだけだ。最も頭の中まで支配されてる今、外見は変化がなくてもまさにスライムを出産してると相違ない感覚が全身を襲うだろう。
”覚悟はいいな?-『イケ』”
そう、触手が言葉を発した瞬間、テルヴェの内側から爆ぜるような感触が響き、追体験の時よりも深く、リアリティのある疑似体験が訪れることだろう。孔という孔だけでなく分泌腺からもスライムが滲み出し、それらは強い粘液と催淫作用を伴って体を蝕んでいくだろう。
絶頂なんて生易しいものじゃない、強制的な連続の大絶頂。理性が崩壊し苗床へと堕ちていく、最短のプロセス。
”気持ちいいか? 気持ちいいだろう? 今トドメを刺してやるから人間をやめてしまったことを高らかに宣言するのだな。-『イケ』『イケ』『イケ』『イケ』『イケ』……『イケイケイケイケイケ』”
宣告が響くたびに、リピート再生のように出産の瞬間の絶頂が訪れる。理性を破壊し、ショック死しようとも回復の刻印が休むことを許さない。イケばイクほどに体は淫らに代わり、やがて本当に全身がペニスになったような感触がしてくるだろうか。四肢は動かず、ピンと直立するように体が硬直し、喉奥から何かがこみ上げてくる。そして最後の絶頂に合わせて、全身からスライムの代わりに本当に精液を吹き出し、人外の快楽に魂を穢されていくだろうか。
■テルヴェ > 「やぁだ、やぁだ……塗り替え、やぁだ……いじらないれぇ……」
普段の、普通の人間として再起した彼にとっては忌々しい記憶。しかし、洗脳されて理性を半壊させられた彼にとっては、甘美な過去の体験。
掘り起こされた苗床の記憶さえも書き換えようとする意思の介入に、うわ言のように拒否を示すテルヴェ。
しかし、植え付けられた触手によってリアルな陵辱快感がもたらされ続ければ、その拒否の声さえも、意思さえも薄れていく。
頭蓋の中をはじめとして、本来犯されるべきでない数々の部位が性器と化していく感覚に、涎や鼻水がごぽごぽと止めどなく溢れ、泡になって床の精液を薄める。
そして、脳内に響く宣告を受けると、理性が失われて久しい赤色の瞳に、爛々と色情の光が灯った。
「えへええっ♡ いいのっ? ぼく、またスライム産めりゅの? やった! やったぁ♡ あひゃはははぁ♡
産みたいっ! どびゅびゅーって、したい! スライム袋になりたいよぉ♡」
前立腺が熱く煮え立ち、秒間180回ものペースで激しく疼くのを感じる。その中に癒着した、異物の神経塊……それがむくむくと肥大化していくのを。
脳内に棲む『ご主人様』に感謝と懇願の意思を送り、叫び、自らを再び家畜以下の存在に変える言葉を待った。そして……。
「はぁい♡ テルヴェ、イキます♡ イキ……いっ……っひ!!!!!!!」
キンと響く嬌声はすぐに詰まり、薄い胃液が逆流して嗚咽に変わった。
全身の筋肉が無作為に痙攣し、内臓までもが激しく蠢いて腹の輪郭を変える。床の上でばたばたと狂人のように藻掻き、硬く勃起しきった陰茎から噴水のごとく太い白濁粘液を撒き散らす。
乳首も陰核のごとく丸く長く勃起し、乳腺から幾筋もの乳液を振りまいている。
副交感神経が異常活性化し、全身の汗腺が開く。さすがにスライムは湧き出さないが、代わりに大量の脂汗が滲み出し、四肢や床の間で糸を引いた。
瞳孔も散大し、視界が桃色に眩む。下腹部の淫紋もこれまでにないほど活性化し、暗い遺跡深層を妖しい赤に染め照らすほどに明るい。
「かひっ……♡ ひっ♡ すらっ♡ い……みゅ……♡ どぴゅっ♡」
不随意運動により、筋力のリミッターを超えた収縮が全身を襲う。
快感に仰け反り、絶頂にのたうち、四肢が床を蹴って乱雑に跳ねまわる。異常に高まった血圧によって、大量の鼻血が吹き出す。
全身の皮膚が、骨が、内臓が悲鳴を上げながら、苦痛とそれ以上の快楽に壊れ始める。過呼吸で膨らんだ肺と限界を越えて収縮した胸筋に挟まれ、肋骨が折れる。
そして、過剰に高まった血流に耐え切れず、とうとう心臓までもその機能を停止した。にも関わらず下腹部では腹膜が拡縮しつづけ、こっちが本当の心臓だとばかりに前立腺が脈動、精液を生産排出することだけはやめない。
呼吸さえも止まり、死んだ昆虫のごとく四肢をピクピクさせながら絶命しかけたそのとき、淫紋が瞬間的に緑の光を放つ。
どういう理屈か、それと同時にテルヴェの心臓は再稼働をはじめ、再び全身の媚神経を活性化させる。
マインドフレアーの指示どおり、テルヴェは『逝き』続けた。逝って逝って逝きまくった。
すぐにまたテルヴェの心臓は快楽に負けて停止し、その都度淫紋が働いて復活させる。
しかし、やがてその緑色の光も放たれなくなった。心臓は止まり、しかし前立腺は激しい脈動を続け、全身はぴんと硬直しきってはいるものの痙攣が止まる様子はない。
……そして、テルヴェのもともと色白だった肌から赤みがさらに引いていき、白粉を塗ったかのごとく際限なく白く、色を失っていく。
「………こ゜ひゅっ♡」
数分ぶりに水っぽい吐息を吐いたかと思うと、その喉から白濁液が溢れた。
やや遅れて、全身の穴という穴から、汗でも血でもない液体……白濁した粘液が滲み出す。精液であった。
尻から、臍から、鼻から、目から。乳首からはより太く大量に、まるで妊婦の母乳のごとく。そして切り離された触手が未だ塞いでいる両耳からも、ごぽりと精液が溢れた。
今や容量の減った頭蓋内にも精液が満ちている状態である。
限界を迎えた心臓の代わりに、いまや前立腺が新たな心臓、精液が血液となって、テルヴェの生命を維持しているのだ。比喩でもなんでもなく、テルヴェは一本の巨大なペニスと化した。
そして、テルヴェの脳髄もまた、過剰に生産される快楽をのみ受け入れ処理する、家畜以下、昆虫以下の脳機能をのみ持つに至った。
■洗脳師 > やがて、動かなくなったテルヴェを見下ろしながら満足げに笑うと、心臓と化した前立腺目掛けて菊座に触手をねじ込んでいく。それらはあっという間に前立腺へ到達すると、プスッと針を刺すように触手を突き立てて、何かを流し込んでいく。
流し込んだのは触手の核。液体ではなく、触手の幼体を生み出させようと苗床へと変えていく。心臓の代わりに動く前立腺に同化した触手の核はスライムと同じように紋章の輝きを受けて分裂、成長し、睾丸に、腸内に、乳房へと転移して全身の血管を通りながら寄生していく。
ペニスと化した口から精液とともに触手が飛び出し、陰茎からは射精の代わりに触手が顔を出して、乳首も表皮の下でうねうねと掻き回されてるのがわかるだろうか。
触手の狂宴は触手の生命力が紋章の再生力に負けるまで続き、テルヴェの体を蝕んでいったことだろう…いつの間にか、魔物は姿を消していた。テルヴェが次に目を覚ますのは、深い遺跡の石畳の上か、それとも暖かいベッドの中か…真相は闇の中へ。
■テルヴェ > 生気のない、散大した瞳と真っ白に染まった裸体を湿った空気の中に晒しながら、テルヴェ……だったものは遺跡の深部に横たえられていた。
呼吸はない。しかし、ときおり四肢がぴくりと動き、またその皮膚の下では絶えずモゾモゾと何かが蠢き、息づいているのを感じられる。
ある程度経験を積んだ冒険者がこの肉塊を見れば、苗床の末路か、あるいはアンデッドと即座に判断したであろう。
しかしテルヴェは生きていた。テルヴェという人格もまた、大半を削られ改変されながらも確かに残っていた。
精液が血液の代わりとなって体内を循環しても生きながらえるはずはないが、面妖な淫紋の恩恵か、純粋な生命力が絶えず供給され続けてテルヴェは死ななかった……否、死ねなかった。
そして、紋章から発せられる生命力は、体内に寄生した触手達をも着実に育み続けていた。
ふと、肉塊の中の蠢きが活発になる。それに合わせ、艶を失っていた瞳ににわかに光が戻る……狂気の光が。
ぐったりと脱力しきっていた肉体が脈打ち、のけぞり、踊る。埃を舞い上げながら、萎えていた肉棒が風切音を立てて勃起し、その体積をぐんと何十倍にも増した。
次の瞬間、肉塊は爆ぜた。
否、破壊は起こっていない。純白の触手と純白の精液が、全身の穴という穴から四方八方へと放射状に噴かれた。
乳首から、尿道から、肛門から、臍から、喉から、腋から、鼻から、耳から、涙腺から。
何十もの触手が、いくつかは縄のようにからみ合いながら、肉塊の穴を無理やり拡げて外へと出ようとする。
ブリュブリュッ、と小気味の良い粘液音を纏いながら、噴水のごとく触手が飛び出し、放物線を描いて地面に投げ出される。
遅れて精液が同様の軌道を描いて噴かれたかと思うと、その流れがすぐに止まり、また新たな触手の幼体が顔を出す。
水音の他に声も音もない。ただ、『テルヴェ』は確かに、苗床と化した全身から出産を行う異常快楽を享受していた。
99%の体積を失い、99%狂い切った脳髄で、しかし完全には狂い切れぬまま……。
………。
……。
…。
一週間後。
テルヴェは遺跡の入り口から、這いずるように姿を現した。
鎧は一応着込んでいるが、留め金もインナーもしっかりと止めぬまま。その肌には血色も戻っていた。
彼は何事かブツブツとつぶやきながら、まるで老衰死間近の野犬のごとく四つん這いで、遺跡を離れていく。
彼の淫紋は、彼が質の良い苗床となることを助ける。そして、『再利用可能な苗床』として身体機能を維持し続ける力も持っていた。
脳髄や記憶は元通りに復元されてはいるが、当然それは、彼の精神面までもサポートするわけではない。
そして、彼の腹腔や性器、脳髄に植え付けられた触手の核や幼体の残滓を完全に追い出したりもしない。
ときおり脚を止め、排便するかのごとく木陰に何かを産み落とすテルヴェ。
しかし森を抜け、荒野を抜け、王都へ向かう街道に合流する頃までには、なんとか正気を取り戻したようだ。正気だけは……。
ご案内:「◆無名遺跡・深部」から洗脳師さんが去りました。
ご案内:「◆無名遺跡・深部」からテルヴェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にテルヴェさんが現れました。
■テルヴェ > 無名の遺跡へと潜り、罠にかかって遺跡の深部へと落ち、そこでおぞましい体験をしながらも生還を果たしたテルヴェ。
ボロボロの装備を整えることもなく、ましてや街道に入ってから王都にたどり着くまでの旅程を一度も休むことなく、丸2日をひたすら歩き通しての帰還であった。
干し肉1つ、水1滴すらも口にせずの強行軍。しかしテルヴェの身体に刻まれた魔の紋章は純粋な生命力を供給し続け、死ぬことはなかった。
……否、死ねなかった。
遺跡の深部で何があって、自分自身の身体や記憶に何が起こったか。思い出そうとしても、その経験の輪郭さえも思い出すことができない。
まるで雨に濡れた水彩画のように、記憶や経験は確かにそこにあるのに、正体を見いだせない。
しかし、かといってそれが夢の出来事であったという感じもなく、たしかに遺跡の中で、自分にとんでもない災難が降りかかったという確信だけはある。
まるで自分が自分でなくなったかのような感覚。それだけが確かな恐怖となって、テルヴェの冷えきった身体をさらに冷たく締め付けた。
とにかく宿に戻りたい。そして暖かい布団で死んだように眠りたい。その一心で、テルヴェは王都への街道を歩き続けた。
……しかし、王都の城壁が近づくにつれ、再びテルヴェの思考にモヤがかかり始める。
どうやって門をくぐり、平民街に入ったのかさえ思い出せない。拠点の宿《白檀の棍棒亭》の戸を久々に開いたのは深夜で、ロビーは無人。
誰にも気付かれぬまま自室へと戻ったテルヴェは、荷物や鎧を無造作に脱ぎ捨てると、布のインナーのまま、再び外へと出た。
覚束ない足取り、うつろな目、ボサボサの金髪はホコリまみれのまま。
深夜の街を、テルヴェはふらふらと歩く……貧民街と呼ばれる地区へ向かって。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエミリーさんが現れました。
■テルヴェ > 今にも倒れこんでしまいそうなほどに、その足取りに力はない。
しかし動きに迷いはなかった。最短距離で貧民街へと向かっている。これまでの王都生活でテルヴェにはまったく無縁な場所であった、貧民街へと。
まるで何者かに導かれ、あるいは操られているかのように。
「……警備が薄くて……肉がいっぱいある……場所……」
ぼそぼそと呟くテルヴェ。涎が口の端から伝い、きらりと街の灯りを反射する。
しかしその灯りも次第に減っていき、代わりにゴミの腐敗臭が通りに立ち込め始めた。
すでにそこは貧民街の一角であった。
頭の中に響く声。テルヴェはそれを繰り返し繰り返し復唱しながら、うつつとまどろみの間で意識を往復させる。
頭の中に居る何か。テルヴェの四肢はそれに半ば支配され、疲労困憊の身でありながらも立ち止まることなく貧民街の奥へ奥へと踏み込んでいく。
■エミリー > 「くさぁいぃ…きたなぁいぃ……」
文句を垂れながら全身鎧に包まれ男と貧民街を進む
時折道端に寝転がり動かないものを軽く杖で突きながらその生死を確かめる
「ん~~?……あ、生きてる…おやすみなさぁい…」
自身の体を支えながら地面とぶつけ続けた杖は先が平たんにならされているのでそこまで痛みはない
だが眠っていたところにいきなり杖でぐりぐりと疲れれば誰でもいい気分はしないもので…
「ふぇ…怒らないでよぉ……もう一回寝ててね~」
こちらをにらみ因縁をつけてきそうな輩にはユラァッと杖を掲げ思い切り頭にたたきつけ再び夢の世界へ誘う
思ったよりも姿態は転がっていないのかとく端子ながら通りを進む…だが今度は変わった者を見つけた
「女の子ぉ…?男の子ぉ……?」
どちらかはっきりとは分からないが酷い格好の子供がユラユラと歩いている
歩き方が生者らしくない…これはもしや不思議なアンデッド使いかもしれないと子供の方へと歩き出す
■テルヴェ > 半端に伸ばした髪、性徴前の体格。パッと見では男女の区別は付きにくいであろう。
まぁそれ以前に、テルヴェは子供だ。深夜の街なかを一人で歩いていて自然だとは言えないであろう。
貧民街であればそう不思議な事でもなかろうが、しかしこの子供の衣服は汚れてはいるが丈夫な作りで、冒険者用の鎧のインナーにも見える。
貧困者の衣服とはやや趣がことなる。しかし、他の装備や荷物を身に着けているわけでもない。
ふらふらと歩き続けるテルヴェ。
しかし自分の方へと明確に近づいてくる気配を感じると、足を止め、そちらへとぐるりと首を回す。
ぎょろりと見開いた目には生気が乏しく、小さな唇の端からはだらだらと涎がこぼれ続けている。
四肢は震え、どうみても疲労困憊の様子だが、呼吸に乱れはない。
生きてはいる。しかし、尋常な状態とはとても言えない。
「………肉……。暖かくて、や、柔らかくて……入りやすい、にく……」
虚ろな瞳に謎の女性を写したまま、ぼそぼそと呟き続けるテルヴェ。
観察眼が鋭ければ、彼の口の中に、細くて白い蟲のような何かが佇み、蠢いているのが見えたかもしれない。
何か別の生物に寄生されている。
■エミリー > 「んー……迷子ぉ?」
こちらを視認し何か呟いている
反応がアンデッドらしくない…身なりもここらの者らしくなくただの迷子かと露骨に残念そうな表情を浮かべる
「うわぁ…病気持ちさんなのぉ?」
ポタポタと地面に垂れる涎に光の無い瞳、体は震えていてどう見ても限界な状態
アンデッドではなく生きた屍といえるだろう彼もしくは彼女を見つめながら考える
考える……
「……ゴーちゃん、ちょっと取って来てー?」
薄暗いせいでよく見えないがぼそぼそと呟く口の中に何か違和感を感じる
歯が多い?
まだ断定はできない…全身鎧の男が少年の方へ近づいていく
抵抗がなければそのままうなじの辺りを掴みエミリーの方へと引きずっていくだろう
■テルヴェ > 「んぎっ……」
服を掴まれ引きずられると、テルヴェは喉を圧迫され、詰まった嗚咽を漏らす。
抵抗らしい抵抗を見せる様子がない。鎧の男に引きずられるがままにされる。
拘引されながら、テルヴェは首を振り、自らの身体を引っ張る鎧姿と、運ばれる先にいる女性とを見比べる。
しばらくキョロキョロと互い違いに観察したあとは、暗い緋色の眼球がローブ姿の女性へと釘付けになる。
「ごふっ……肉、にく……。ふかふかの、肉……。柔らかくて、暖かい、おいしい、にく、にく、にく……」
口角に泡を浮かべながら、甲高く幼い声で呟き続ける金髪の少年。
鎧の男に服を掴まれたまま、女の傍でだらしなく立ち尽くす。震える脚を見れば、鎧の男が手を離した途端に崩れ落ちそうにさえ見える。
しかし、顔はまっすぐに女の顔を見つめ、一瞬たりとも視線を外しはせず、まばたきすらしていない。
「にく、にく……いっぱい入る、肉……入れる……入れたいぃ……」
ぶるるっ、と少年の全身がわななく。寒さからではない。
ほどなくして、彼の方から異臭が漂ってくるのを感じられるであろう。濃い精液の匂いだ。
厚手の布服の股間にも徐々にシミが広がり始める……いや、それだけではない。その内部で何かがモゾモゾと蠢いているのも、近距離であれば見て取れるであろう。
膨らみ続ける勃起の動きではない。何か細身のモノが、ズボンの輪郭を怪しく不定形に歪め続けている。
とくに襲いかかるような仕草やそぶりはないが、少年の身体を走る戦慄は次第に激しくなっている……。
■エミリー > 「むぅ…お肉じゃなくてエミリーだよぉ?」
こちらを見て肉肉連呼する少年へめっ!と告げる
この距離まで地下類手分かったがずいぶんかわいらしい顔立ちの少年らしい…こんな子供も居るのかと珍しそうに眺める
「……やっぱりこの子、何か飼ってる…かなぁ?」
瞬きもせず今では自立もできなさそうな身体
そしてこのむせ返るような臭いと服の下で奇妙に蠢く何か…言葉から脳まで浸食されているのは分かった
後はこの少年をどうするか…
「えーっとぉ…ここじゃあれだしぃ、もうちちょっと我慢してねぇ?
じゃないとぉ…殺しちゃうぞ♪」
ひとまず往来の真ん中で体の中のモノをぶちまけられるのはまずい
何が詰まっているのかは分からないが往来の真ん中でぶちまけられるのは不味い
この街に出入りする者に迷惑がかかる…笑顔で殺すと脅し背を向ける
目指すはひとまずだれも使っていない廃墟、そこまで少年を引きずっていく